マスミンのピアノの小部屋

ピアニスト兼ピアノ指導者松尾益民が、ピアノや教育、世の中の出来事など日々感じることを、徒然なるままに綴ります。

ラフマニノフの組曲第2番作品17

2022-11-26 01:14:40 | コンサート
最後に演奏するのは、ラフマニノフの組曲第2番です。
これも、2台のピアノの曲としては、モーツァルトと並ぶ人気曲です。
今回、つい弾きたいねということで人気曲ばかり並べてしまい、なかなか大変でした。
この曲は、管弦楽曲の編曲ではなく、オリジナルの2台ピアノの曲です。
ラフマニノフ(1873~1943)が、1900~1901年に作曲しました。
ラフマニノフは、モスクワ音楽院時代、1歳年上だったスクリャービンと比較されることが多く、どちらかと言えばラフマニノフのほうが優位に立ち、あまり挫折ということはなかったのでしょう。
1895年に作曲した第1交響曲が1897年に初演され、大失敗に終わったとらしく、その後しばらく作曲ができなくなるほど落ち込んだようです。
そこから徐々に自信を取り戻し始め、この組曲第2番が生まれたというわけです。
同じ頃、ラフマニノフと言えばこれ!というくらいのピアノ協奏曲第2番も作曲されています。
これらの曲は、いかにもラフマニノフという甘く美しいメロディにあふれています。

第1曲 序奏
重厚な和音で始まる堂々とした行進曲ですが、中間部に現れる抒情的なメロディも魅力的です。
第2曲 ワルツ
3拍子のワルツのリズムと2拍子のフレーズが交差する、優美なワルツです。
中間部の抒情的なメロディはとても美しく感動的です。
第3曲 ロマンス
典型的にラフマニノフ的な、抒情感あふれるメロディで歌われる魅力的な曲です。
美しいだけでなく、豊かな響きを持ってクライマックスが作られています。
第4曲 タランテラ
軽快でダイナミックなリズムが全曲を支配しています。
2台のピアノが有機的に結合されて、聞き手を引き込む音作りは、実に見事と言えるでしょう。
タランテラの主要主題は、イタリアの民謡集から引用されています。

タランテラとは、イタリア・ナポリの舞曲で、3/8または6/8拍子のテンポの速い曲です。
タラントという町の名前からタランテラという名前になったようです。
また、毒蜘蛛のタランチュラに噛まれると、その毒を抜くために踊り続けなければならないという話から付けられたという説もあります。
いずれにしろ、タッタラッタというリズムが印象的で、楽しい踊りです。

さて、昨今の状況を考えると、ロシアの作曲家の曲を演奏することはいかがなものか…という意見もあるでしょう。
特に最近のひどい状況を考えると、胸は痛みますし、許せないという感情もわきますが、過去の芸術作品に罪はない…とも思います。
そもそも今回のコンサートを企画した時は、こういう状況になるとは思いもよらなかったですし…。





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