マスミンのピアノの小部屋

ピアニスト兼ピアノ指導者松尾益民が、ピアノや教育、世の中の出来事など日々感じることを、徒然なるままに綴ります。

グラナドスのゴイェスカス

2016-09-01 23:12:12 | ラ・プロムナード・ミュジカル
グラナドスはスペインの作曲で、今年没後100年です。
解説書などにはよくこういう風な記載があります。
「1867.7.27スペインカタルーニャ地方のレリダ―1916.3.24大西洋上(英仏海峡)」
ゴイェスカスというのはピアノ組曲として作られたものですが、オペラにしたらどうかという勧めがあってオペラにし、その初演がニューヨークで行われ、それに立ち会うためにニューヨークを訪れていましたが、時は第一次世界大戦中で、その帰途、ドイツ潜水艇による無差別攻撃を受け、英仏海峡深くに沈んだとのことです。
48歳でした。
この初演はもともとパリで行われる予定だったのですが、それも戦争のためできなくなってニューヨークになったらしいです。

さて、ゴイェスカスというのは、「ゴヤの絵風の場面集」という意味で、マハ(女性)とマホ(男性)による幻想的な愛と死の物語で、「恋するマハとマホ」という副題もついています。
グラナドスは、ゴヤという複雑な画家のロマンティックなで甘美な一面に惹きつけられたようです。
もちろん、ロマンティックな部分だけでなく、そこに秘められた暗い部分も宿命みたいなものも感じ取っていたようです。
ゴヤと言えば、同じポーズの「着衣のマハ」と「裸のマハ」の絵が有名ですね。

曲は、全部で2部6曲ありますが、今回私が弾くのは第1部第1曲の「愛の言葉」です。
スペイン語による原題「レキエブロス」は「恋する男の口説き」という意味です。
非常に甘美な2つの主題が、交互に現れては変奏されていき、華やかで抒情的な曲となっています。
効果的な装飾音も多く、変奏のたびに様々に変化していくので、非常に暗譜がしにくく、技術的にも難しいですね。
この主題2つは、ゴヤの時代のスペインの作曲家ブラス・デ・ラセルナ(1751-1816)の軽い歌芝居から取られています。
この1曲目は、概ね明るい曲想ですが、組曲全体ではだんだん暗い部分も出てきて、奥の深い曲です。
以前、2008年に一度この曲を弾いていますが、その時はよく理解できていなかったし消化しきれていなかったので、今回、没後100年の記念すべき年にもう一度弾くことにしたのです。
今回は未消化でないかって…う~ん、なかなか難しいですねぇ。
少しは進歩したかもしれませんが、完ぺきはなかなかありません。
でも、魅力的に弾きたいと思っています。

CDは、アリシア・デ・ラローチャのグラナドス:ゴイェスカス 他(期間生産限定盤)が一押しです。


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