マスミンのピアノの小部屋

ピアニスト兼ピアノ指導者松尾益民が、ピアノや教育、世の中の出来事など日々感じることを、徒然なるままに綴ります。

スクリャービン:ピアノ・ソナタ第4番

2014-01-24 01:00:43 | お勧め
一昨日はリサイタルで最初に弾く曲、キラキラ星変奏曲について書きましたが、今日は最後に弾く曲、スクリャービンのピアノ・ソナタ第4番について。
スクリャービン(1872 – 1915)はロシアの作曲家で、自身もピアニストでした。
1873年生まれのラフマニノフとモスクワ音楽院で同級だったとか。
作曲家としてはラフマニノフが、ピアニストとしてはスクリャービンが有望視されていたにもかかわらず、ピアノ卒業試験で、ラフマニノフが1位、スクリャービンが2位…。
スクリャービンは小柄で、病弱だったので、いろいろハンディがあったようです。
訓練しすぎて右手を痛め、作曲にも力を入れるようになったようです。
唇への虫刺されが炎症を起こし、敗血症がもとでモスクワで1915年に急逝します。
短命でした。
スクリャービンという名は、一般の人にはあまり知られていませんが、ピアノを弾く人の間では、人気のある作曲家です。
ショパン的な要素、ロシア的な要素に、スクリャービン独特の音楽感があって、魅力的です。
後半の作品は調性から逸脱する前衛的な方向に行って、なかなか理解しがたい面もありますね。
今回弾く第4番のソナタは、前衛的になる前の作品です。
1903年作曲で、スクリャービンの特徴の一つである、左手が広い音域を駆け巡る書法が随所に現れるため、技術的に難しい曲となっています。
静かな1楽章と躍動感あふれる2楽章は続けて演奏され、序奏と主部という関係を作っています。
1楽章開始部の天上的な静けさは、スクリャービンが後から付した詩によれば、彼方の星が放つ、美しく優しい輝きです。
2楽章は対照的に「飛翔」を表していて、その辿りつく先は、もはや彼方の星でなく「燃ゆる太陽」であり、壮麗なクライマックスが築かれます。
1楽章の静けさと夜の星のきらめきから、最後のクライマックスに向かって、いかに盛り上げて行けるか…完全燃焼して終わりたいものです。

お勧めCD
アシュケナージ スクリャービン / ピアノ・ソナタ全集


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