楽天経営主義

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日常を気ままに綴ります。

残存者利益

2013年01月19日 | 日記
残存者利益とは飽和市場や衰退市場において、他社が相次いで事業撤退
した後、耐え抜いた企業が残った市場を独占的に獲得し利益を上げること。

なぜ、突然こんな事を書き出したかというと、私の顧客で最近の業績が
改善している原因が残存者利益を得ているとしか考えられないところが
あるからです。

一つは、以前「正常返済先への復帰」という投稿で取りあげた企業ですが
(2011.11.5)、今期は前期の100%増の業績を達成しそうです。簡単に言うと
売上倍増ですね。

この会社は生コンを主体とした建設資材卸を営んでいるのですが、創業
100年を迎えようとする歴史の中でも新記録となる売上高を達成することが
できそうです。

建築需要が落ち込む中で、この大幅な増収増益は凄いことだと思います。

この増収増益の原因を探ると、建築業界不況が長引く中、同業の資材卸が
どんどん潰れていたり、もしくは資金繰りの悪化から大規模な工事を受け
入れられなくなったりしている状況があるようです。

当社は取引先ゼネコン倒産の影響で連鎖倒産の危機に陥り、私が関与させて
いただいたわけですが、その時から徹底した資金管理を指導しました。

徹底した資金管理と言ってもたいしたことはやっていません。大まかには
次のことです。
1.資金繰りが苦しくなるような契約は結ばない。
簡単に言うと、売上回収サイトは仕入れ支払いサイトより長くしないこと
です。言葉では簡単ですが、これを契約に持っていくには大変な困難が
伴います。特に建築業界は回収サイトが長いのが通例になっていますから。
2.一定の現金残高を維持する。
連鎖倒産の危険性を回避するために、少なくとも大手仕入先への1ヶ月分
位の現預金残高は維持する。
3.上記を日々チェックするために日繰り表をつける。
日々の入出金予定で予想日繰り表を作ります。そして日々の入出金を実績
日繰り表に記入させます。当然、その変化、変更によって予想資金繰り表も
書き換えます。

これらを10年間やってくることにより、競合他社よりも財務体質が強くなり
競合が受けられないような仕事を受注できる用になりました。中にはゼネ
コンから、これまでの取引先が倒産もしくは信用不安なので、引き受ける
よう頼まれた案件もあるそうです。
10年前は取引先ゼネコンの倒産により連鎖倒産さえ考えられた訳ですから
その時と今では雲泥の差です。

簡単なことではありますが、一つの活動を徹底して行うことで他の会社より
一つ抜きんでることができる良い例だと思います。
別の言い方をすると、潰れていった会社はこんな簡単なことができていな
かった訳です。

残存者利益については、他の関与先でも見ることができます。その企業に
ついては、また別の機会に投稿させていただきます。

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