楽天経営主義

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成長する企業になるために必要なこと⑥

2015年06月17日 | 日記
「環境変化に対する危機感を常に持っていること」

4つ目は経営者が「環境変化に対する危機感を常に持っていること」です。
私たちが外部の客観的な目で、その業界の市場の需給関係や構造が変わり
つつあることを見て、改善することを提案しても、今、取りあえず利益が
出ている会社では、「そんなこと無理ですよ。今までずっとこれでやって
きたわけですから……」というような反応が結構あります。
それでは改善のための代替案があるかというと、ないわけですね。
これは危機感の欠乏と言わざるを得ません。
このような思考は変えてもらわなければならないと思います。

この様な状況を私は「経営の慣性の法則」と言ってます。
同じ状態が長く続けば続くほど、慣性力のついた行動や現状を変えるため
には大きな力がいります。
だからこそ、経営者は適切な危機感という慣性力へのブレーキが必要なの
だと思います。
これは、経営だけでなく、人間の行動原則として、慣れた行動を好み変化を
嫌うところがあるのかもしれませんね。
これは私自身の行動にも当てはまることが多々あります。
自戒しなければと思います。

以前、もう10年くらい前になりますが、私は京都府の日本海側の1市4町の
商工会議所、商工会から大型店出店の影響度調査を依頼されたことがあり
ます。
この1市4町の中の1町に店舗面積4,500坪のスパーセンターの出店申請が
出たからです。
もちろん、それぞれの町の商業者は大反対です。
私への依頼も、何とか出店を止めさせる手段を調査によって探って欲しい
というのが本音でした。
でも、その頃は大規模小売店舗法(通称:大店法)から大店立地法に法律が
変わってまもなくであり、周辺住民の生活環境保全(騒音、廃棄物、交通)に
配慮されていれば基本的に出店自由とするものでした。
事実、その頃(平成16年)大型店で出店を行政側に拒まれたものは無いはずです。

その影響度調査を行い、商業者の前で報告会を行ったわけですが、参加した
商業者は自分たちの生活圏を奪われるので、出店反対の一辺倒です。
私は、先に説明したように新しい法律では原則大型店の出店は自由であり、
正規に申請されたものは行政としては受理せざるを得ず、出店はやむなしとの
説明をしました。
それでも、参加した商業者は困るの一辺倒です。
私は、商業者の皆さんにもしこの場所での出店を一旦阻止できたとしても、
その隣接する市や町で新たに出店されたらどうしますかと聞きました。
これだけの大型店ですから、商圏は30kmから50kmに及ぶでしょう。
同じようにお客様を奪われた上で、大型店が地元に出店するのであれば入る
固定資産税や事業所税も入ってきません。

出店した方が地元へのメリットは大きいはずです。
それよりも、大型店に負けない自分のお店作りをすべきではないでしょうかと、
これだけストレートではありませんがほぼ同じ内容を言いました。
でも、その事に対する反応は驚くほどありませんでした。
大きな外部環境変化に対して、自分たちでどう対応するのかという発想が無いの
かもしれません。
あるいは、本当にどうしたらよいのかわからないのでしょうね。
でも、外部環境の変化に対応して、自店を変える、経営のやり方を変えていく
って経営者の仕事ですよね。

余談ですが、この調査では大型店の出店阻止に成功しました。
調査をする中で、この大型店の出店申請書の中の交通量調査があまりにデタラメ
であることに気づいたからです。
だから、出店を取りやめさせることは出来ないが、再度ちゃんとした交通量調査
をして、申請をし直すように行政(この時は警察)に申し出ることを提案したわけ
です。
その結果、警察から交通量調査の再調査指示が出され、当初の出店予定日が延期
になりました。
そうこうするうちに、新潟中越沖地震(平成16年10月)が起き、その出店申請を
した会社は既存店で被害が出たため出店は取りやめになりました。

地震という自然災害があったとは言え、大型店の出店を止めたコンサルタントは
全国にそんなに多く居ないのではないかと密かに自慢しています。

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