※まったく専門外なので、間違った記載がされている可能性があります。ご了承ください。もしお気づきの点があればコメントをいただければ幸いです。
放射線のリスクは煙草以下であるという説がインターネット上に流れていますがそれは本当でしょうか。
例えば、「ALARA思想を疎外する“二元主義”」東大病院放射線科准教授/緩和ケア診療部長中川恵一氏 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/sports/011/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2011/06/28/1306865_3_1.pdf
私は、もしかすると喫煙を過小評価し、さらに現在の北関東地方の空間線量を多少少なめに見ている影響ではないかと感じています。
例:外部被曝積年合計450mSvの場合
放射線被曝により1万人のうち771人がなんらかのガンに罹り179人が亡くなる。
(より多くの空間線量からそのうち1.7μSv/時間を外部被曝と仮定すると15mSv/年の被曝。それを30年受けると、15×30=450mSvとなります。)
■1Svあたり名目リスク係数1715、1万人当たり1,715人が放射線被曝によりなんらかのガンに罹患する。
ICRP 2007年勧告 附属書A http://www.rist.or.jp/atomica/data/pict/09/09020305/02.gif より孫引き
組織 | 名目リスク係数 ※1 | 致死割合 ※2 | 名目リスク ※3 | 寿命損失 ※4 | 健康被害 ※5 | 相対損害 ※6 |
---|---|---|---|---|---|---|
食道 | 15 | 0.93 | 15.1 | 0.87 | 13.1 | 0.023 |
胃 | 79 | 0.83 | 77 | 0.88 | 67.7 | 0.118 |
結腸 | 65 | 0.48 | 49.4 | 0.97 | 47.9 | 0.083 |
肝臓 | 30 | 0.95 | 30.2 | 0.88 | 26.6 | 0.046 |
肺 | 114 | 0.89 | 112.9 | 0.8 | 90.3 | 0.157 |
骨 | 7 | 0.45 | 5.1 | 1 | 5.1 | 0.009 |
皮膚 | 1000 | 0.002 | 4 | 1 | 4 | 0.007 |
乳房 | 112 | 0.29 | 61.9 | 1.29 | 79.8 | 0.139 |
卵巣 | 11 | 0.57 | 8.8 | 1.12 | 9.9 | 0.017 |
膀胱 | 43 | 0.29 | 23.5 | 0.71 | 16.7 | 0.029 |
甲状腺 | 33 | 0.07 | 9.8 | 1.29 | 12.7 | 0.022 |
骨髄 | 42 | 0.67 | 37.7 | 1.63 | 61.5 | 0.107 |
他固形がん | 144 | 0.49 | 110.2 | 1.03 | 113.5 | 0.198 |
生殖腺 | 20 | 0.8 | 19.3 | 1.32 | 25.4 | 0.044 |
合計 | 1715 | 565 | 574 | 1 |
ICRP:2007年勧告 付属書A
※1:名目リスク係数(がん/万人/Sv)、記号Rで表す。Rは致死がん罹患率と非致死がん罹患率の和。
※2致死割合=がん死亡率/がん罹患率、記号qで表す。このとき、致死がん罹患率「R×q」、非致死がん罹患率「R×(1-q)」となる。
※3名目リスクは、致死がん罹患率に非致死がん罹患率を加える際、がん治療上の痛み、苦痛、悪影響の生活苦(quality of life detriment)に伴う荷重0※4各がん部位の寿命損失の期待年数を全部位についての寿命損失平均期待年数で割った相対的寿命損失。
※5名目リスク(致死相当に換算したがんリスク)と相対的寿命損失を乗じて計算した総合的な健康損害。
※6組織ごとの総合的な健康損害を全組織合計の健康損害で除した相対的健康損害量。の相対的健康損害量の値を丸めた数値が、実効線量計算時の組織加重係数になる。この計算方法の基本は1990年勧告と同じ。
■1Svあたり名目死亡リスク係数398、1万人当たり398人が放射線被曝により亡くなる。
ICRP Publication 103:Recommendations of the ICRP , Annals of the ICRP Volume37/2-4(2007) http://www.rist.or.jp/atomica/data/pict/09/09020305/03.gif より孫引き
組織 | 名目死亡リスク係数 2007年勧告※1 |
---|---|
食道 | 14 |
胃 | 66 |
結腸 | 31 |
肝臓 | 29 |
肺 | 101 |
骨 | 3 |
皮膚 | 2 |
乳房 | 32 |
卵巣 | 6 |
膀胱 | 12 |
甲状腺 | 2 |
骨髄 | 28 |
他固形がん | 71 |
生殖腺 | -16 |
合計 | 398 |
1※ ICRP Publ.103(2007) 修正相乗モデルの年齢別過剰罹患率に基づく計算結果。
本附属書Aから、「名目リスク係数」×「致死割合」で計算
・生殖腺は2世代。・このがん合計は、一般公衆で使用。
2※ がん合計には、生殖腺のリスク係数又は名目確率係数を含まない。
1.7μSv/時間、15mSv/年、30年で450mSvは高い値でしょうか?
このサイトを見ると、福島県、千葉県、栃木県の一部の地域では高めの線量が計測されています。
http://hakatte.jp/
放射線を均等に被曝した際の各臓器への影響(実効線量)は次の式で表す事ができるそうです。
等価線量=吸収線量×放射線荷重係数 |
(等価線量(Sv)=吸収線量(単位はGyがよく使われる)×放射線荷重係数(放射線の種類別の係数))
実効線量=等価線量× 組織荷重係数(wT)
組織荷重係数は各組織の放射線への感受性を数値化したもので、ICRPが2007年勧告にて下記数字を出しています。
組織・臓器 | 組織荷重係数WT |
---|---|
乳房 | 0.12 |
骨髄(赤色) | 0.12 |
結腸 | 0.12 |
肺 | 0.12 |
胃 | 0.08 |
生殖腺 | 0.08 |
甲状腺 | 0.04 |
食道 | 0.04 |
肝臓 | 0.04 |
膀胱 | 0.04 |
骨表面 | 0.01 |
皮膚 | 0.01 |
脳 | 0.01 |
唾液腺 | 0.01 |
残りの組織・臓器* | 0.12 |
*14 臓器の平均線量に対して0.12を与える
2007 年ICRP 勧告(Publ.103) 株式会社メジカルビューのサイトより
http://www.medicalview.co.jp/download/blue_yellow/2007ICRP.pdf
450mSv×肺の組織荷重係数0.12=54mSvの影響となります。肺ガンは1Svあたり114人/1万人罹ります。54mSvだと0.054Svですので6人/1万人肺がんにかかり、5人がなくなります。
450mSv×乳房の組織荷重係数0.12=54mSvの影響となります。乳ガンは1Svあたり112人/1万人罹ります。54mSvだと0.054Svですので6人/1万人がんにかかり1.7人が亡くなります。
1Svあたり1715件/1万人ガンが発生し398人が亡くなります。450mSvだと0.45Svですので771件/1万人がんが発生し179人が亡くなります。
これは少ないのでしょうか?この係数は成人と子供の区分けをしていませんが子供はより高いです。
また、これには、内部被曝は入れていません。
参照:「放射線の確定的影響と確率的影響 (09-02-03-05) 」http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=09-02-03-05 財団法人高度情報科学技術研究機構 原子力百科事典 ATOMICA