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スイートコーンは南米が原産と言われ、小麦、米と並んで世界三大穀物に数えられますが日本においては穀物としてではなく、野菜の一種として未熟果を食べるのが主流です。かつては夜店の焼きトウモロコシやフルーツミックスの付け合せのようなイメージが強いような気がしますが、今はスイート種から更にスーパースイート種へと進化を続け、まるで果物の様に扱われるに至っています。生産者の、栽培者の特権かもしれませんが畑で食べる生のトウモロコシの味は将に果物そのものの美味しさです。特にスーパースイート種のいくつかは生食が断然美味しいと思わせる程の濃厚な味をしているものです。
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スイートコーンはイネ科のC4植物で強日射の条件下でも効率良く光合成を行なえる優れた性質を持ち、吸肥力も強いので畑に溜まった余分な肥料分を吸収してくれるクリーニングクロップとしての役割を果たしながら美味しい果実を生産する一石二鳥の有り難い野菜です。加えてイネ科作物は連作障害を軽減すると言われ、輪作体系に組み込むと良いとされていますし、その残渣の葉稈は土に漉き込めば格好の有機物の補給になります。
そんなスイートコーンは数ある野菜の中でも有数の美しさを持っていると思います。光沢のある葉は大きく広がり、太くたくましい茎稈は品種によっては二メートル近くに成長してやがてその頂点に雄穂を出穂させます。根元ではわき芽とタコ足のような気根がその大きな図体を支えるためにしっかりと地面にくさびを打ち込みます。
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一番高いところに出る雄穂は傘のように折りたたまれた棹を開き、風の吹くのに任せて花粉をこれでもかと放出しますがその下部に成る雌穂の絹糸抽出は3日から5日のずれが有り自家受粉をなるべくしないように出来ています(結局自家受粉するんですが)。雌穂の絹糸はその一本一本が子実の一粒ずつに繋がっており、受粉が上手くいかなかった時は歯抜けの未充実な果実になってしまいます。
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そして雌穂の繊細さは絹糸の名の通り金色の絹の糸そのものです。とは言えそれも受粉を果たすまでの束の間の美しさで、受粉が完了すると次第に絹糸は萎びて茶色味を帯びてしまいます。はかない美しさはやがて子実へと移り、プリプリとはち切れんばかりに充実した黄金の実は噛み締めると甘く濃厚な汁が溢れます。