和州独案内あるいは野菜大全

第一回奈良観光ソムリエであり、野菜のソムリエ(笑)でもある者の備忘録のようなもの。文章力をつける為の練習帳に

大荒れの日

2010年12月31日 | Weblog
 こういうのをフラグを立てるというのでしょうか?年が終わるその最後の日までまとめのような事を言わないほうが良いみたいですね。28日にも凄い風が吹き、30日からは風と雪の荒れた天候が続いています。盆地から東山中を見渡せばうっすらと雪化粧の山並みが見えるなんて、どこの雪国なんだと思ってしまいます。さあ今度はハウスが雪の重みに耐えられるのかという心配が出てきました。
 
 
 


 本年最後に少し凝ったものを作る予定でしたが、製菓材料を揃えられなかったので原点ともいえるチーズケーキを作ってみました。初めて作った菓子がこのチーズケーキだったのですが、当時はスフレやベイクドといった違いも余り知らないままに作っており、後になってスフレを作っていたことを知りました。まあまあ美味しくはあるけどもあまり特徴のないものだったと思います。
 今回のものは配合を少し変えたとはいえ流石にプロのレシピらしくとても美味しい、濃厚な中身の詰まったベイクドチーズケーキをアーモンドの香りがするサブレ生地で土台に敷き詰め、上面にも散らして焼いたものです。少し空気が入ったのか焼成中に膨らんで萎んでしまいました。型を一回り大きなものにして薄く伸ばしたほうが良いのかも知れません。ねっとりとリッチなチーズとぽろぽろと崩れる少し塩気の効いたサブレ生地のコントラストは絶妙で、これなら人に食べさせても絶賛してもらえると思います。
  
 

大風の日

2010年12月25日 | Weblog
 まだ本年はあと少し残っていますが、12月3日は恐らく今年一番の強風が吹き荒れた日になったと思います。流石にもうこれは胃が痛くなるレベルではなく、足が震える程でした。と思ったらこのクリスマス寒波から年末まで相当荒れた天気が続きそうな感じです。ただ、それでも3日の風は頭一つ抜けていたということと、劇的であったためなのだと思います。

 前日の好天は、夜には打って変わって天気が崩れ雨が降り出しました。朝方には雨は上がりましたが、天気予報では低気圧が急速に発達するというので警戒はしていました。ただ、東日本で発達するものがどれ位影響があるのかは良く分からないというのが実際のところで、この時勘違いしたのは既に前線は通過して、それに引っ張られるようにして西風が強まるのだろうと思い込んでいたのです。
 朝6時の段階で14℃というこの時期にはありえないような暖かさも前触れだったのだと思います。南からの湿った空気が吹き込み太陽も顔を覗かせる中暖かい空気の塊が形成されていたのでしょう、それが1時を過ぎた頃に通過したと思われる寒冷前線によって一気に押し上げられ、積乱雲となって暴風と雷雨が襲ってきたのだと思われます。
 季節の変わり目ということでは4、5月頃の前線通過と季節真逆で同じ状態な訳で、ポカポカ陽気の時に寒冷前線が通過する場合は天候が一変してすごい風が吹くものなのは周知の事です。 ただ、この日の強風が他のそれと異なったのは、雑木に付いていた枯葉が一気に宙に舞うという、きっと傍から見ると綺麗な景色だったと思うのですが、もうそれ所ではなくひたすらオロオロとするばかりでした。半時間ほど非常に強い風が続き、ようやく収まってきたので少しほっとして気を抜いていたら、4時頃からまたぞろ風が強まって以降、終日強い風は止むことがありませんでした。

 ハウスの補強もある程度しているので、以前の棟が暴れるような惨状は無かったのですが、精神的にとても疲れた一日でした。ハウスは必要不可欠なものですが、こういうことがあるとどうしても色々考えてしまいます。中には五十棟や百棟近く保有している人も珍しくなく、そういう方々はどんな風に思っているのか聞いてみたいものです。


 ということで、違う日にやった今年一番目のベーコン作りを気分転換に貼っておきます。

安かったのでオガライトを使おうと思ったら、これは薪の代りなんだという事に気付いた。

吊り下げるためのフックを打つ

一時間ほど熱乾燥させ

今回は桜のチップのみで燻してみる

約四時間、ウッドよりもきつく燻されたはず。これで1kだが物足りない感じがする、一塊で1~2キロを三つは余裕で吊るせるので本当はそうする方が効率が良い。

 優劣ではなくこの自家製ベーコンが市販のものと何が違うのかというと、市販のものでは最近は少ないらしいが酷いのは燻液をかけただけのものがあるらしく、一般的には燻製室を通して燻してはいても表面が色づく程度なので最後に加熱殺菌処理をしているようなのです。そうするとベーコンというより塩気のきついハムに近いのではないでしょうか?
 去年は左程思わなかったのですが、シンプルなベーコンエッグの美味しい事と言ったら数日間は舌に記憶が残り、あぁまた食べたいなと思うくらいだったのには驚きました。昨年とは全く逆の評価になった訳で、それはクリームシチューを何度か作ってみると、自家製ベーコンだけがバランスを欠いていて、市販の無塩せきベーコンの方が美味しく感じたことにも言えます。
 焼く、あるいは炒めるまではとても良いのですが、煮込むとなると深く燻して硬く締まったベーコンは合わないのかも知れません。これまではポトフゥがきっと一番美味しいだろうと想像していましたが、考え直さないといけないかもしれません。脂身の状態の良いバラを一時間ほど軽く燻したものと、小振りの栗ジャガ、玉ねぎ、人参にセルリ辺りと一緒に煮込んでみたいものです。
 

大和の伝統野菜 その二 片平あかねと今市かぶ

2010年12月09日 | 野菜大全
 
                     片平あかねと今市カブ(未熟)
 以前に大和野菜の「大和真菜」を紹介して以来、随分間が空いてしまいましたが今回は「片平あかね」です。山添村の片平地区に受け継がれてきた片平あかねはカブの一種で、根が染まったように、いや葉っぱも含めて全体が真っ赤に色づくためにそう呼ばれています。
 名張川に沿って所在する片平集落は百戸に満たない無いような集落で、田畑は限られた河岸段丘上や傾斜地に張りつくようにあるに過ぎません。近年においては基盤整備の手も加えられているのかも知れませんが、いずれにせよ一集落でのみ受け継がれてきた種というのはかなり珍しく貴重なものなのでしょう。
 ただ、片平あかねというのは奈良県が主体となって行った大和野菜の発掘と認定作業の結果生まれたとでも言いましょうか、つい最近までは単に「日野菜」として市場に出荷していたに過ぎなかったのです。日野菜を名乗るには姿は似ていても色の付き具合からすればかなり無理が有る気もしますが、全国的に名の通った日野菜のほうが荷がさばき易かったのでしょう。野菜の系統や見た目からしても日野菜の流れを汲んでいるのは確かで、片平から日野への道筋は上野を経て現在でも容易にたどれます。その道を通って種がもたらされ、片平の地で変異したものが代々受け継がれて固定化したのだと思います。
 
日野菜と片平あかね(未熟)

 地野菜に良く言われることに、その土地でなければ上手く育たないというのが有ります。片平あかねも片平地区でしか真っ赤にならないと言われましたが、流石にそれは無いだろうと思っていました。地元の人としては、種が外部に流失するのを防ぎたいという思いがあり、地元ブランドを守りたいが為の発言しょうが、アントシアニンによる発色が主な要因なので気温が関係していると考ていました。ところが、いざつくってみると明らかに本場片平のものに比べて赤色が薄い。特に葉っぱがもっと燃える様な赤色をしているはずなのに明らかに色が薄いと言わざるを得ない、まだ寒さが本番ではないので結論は出せませんが、ほんとうに土質が関係しているのかも知れません。もし仮にそうだとすると、数ある在来種の野菜の中でもかなり特殊な部類に入ると思われ、そう言えば焼畑で作る温海カブも根が赤いタイプなので、それと同じ原因で根が赤いならば片平地区はアルカリ性の土壌なのかでしょうか?
 うちで育てたカブは片平地区ではないので、正確に言うと片平あかねを名乗らない方が良いのだとは思います。が、まあ恐らく来年辺りには「飛鳥あかね」の名前で一般に種子が販売されていることだろうと思いますので、それまではこのままにしておきます。

 このカブは肉部より葉茎部が大きいのも特徴で、現在のカブのトレンドである葉茎部がコンパクトなものとは対照的と言えそうです。甘酢漬けなど肉部と茎部を一緒に漬ける場合はやはり葉茎部のボリュームがあるほうが良いのですが、大根と同じくカブの葉は水分の蒸散が激しくて著しく品質を落としかねない為に、新しい品種ほど葉軸部は背丈が低くなっています。
 今市カブも最近の白カブ品種と比べればかなり葉軸部が高く、葉も薄く破れ易いのですが、片平あかねの葉茎部は更にその上を行くと言った感じの大きさです。品種改良が進んだ日野菜と比べてみると如何に片平あかねの背丈が高いかが良く分かると思います。と言っても下の写真は一ヶ月ほど生育に差が有る為、正確とは言い難いものですので
 


 
 こちらが今市カブ(中カブ)です。葉がかなり大きく、それにしても写りが良かったのか暖緑色で美味しそうな葉っぱじゃないですか?目にまぶしいほど白い肉部と共に調理し甲斐があるってものです。

以前の大和真菜について