和州独案内あるいは野菜大全

第一回奈良観光ソムリエであり、野菜のソムリエ(笑)でもある者の備忘録のようなもの。文章力をつける為の練習帳に

難問珍問 つくってみた

2009年12月31日 | 奈良検定その他検定
 奈良検定の二級試験は奈良への呼び水として、奈良の面白さを多くの人に知ってもらうものとしてハードルは下げた方が良いのでしょうが、そこからは難しくあってほしい、個人的にはソムリエは10パーセント以下の合格率が望ましいと思います。その試験で自分が合格できたかは受けてみないと分かりませんが、やり甲斐はあるのだとは思います。
 まあそんなことはさて置いて、検定の問題が悪いという指摘も良く目にしましたが、その意見にも半ば同意しつつも、ではどんな問題なら納得するのか、良問か愚問かを決める基準はつまるところ各個人の恣意では意味が無いとか、試験なんだから落とす事を考えながら問題を作る必要もあるんじゃないかと、色々考えてしまいこの手の議論に結論は無いのだと思います。
 だったら試しに自分で問題を作ってみればいいのでは?自身の実力の程が如実に表れるのは面白いものです。いくつものジャンルのなかで、特に初っ端の地理関係は落とし穴なのではないでしょうか。県外の方は馴染みが無く、県内者も歴史や寺社ならともかく、地理なんぞ何となく知ってる程度でわざわざ勉強しようとは思いません。
 ということで、一助になればと易難様々ありますがどれも少しばかりひねって作ってみました。奇問だと嗤うか愚問だと罵るか、良問だと嘆息するかは見た方の判断に委ねます。

問1 奈良にある四つの山のうち標高が一番低いものはどれか
①御蓋山
②耳成山
③畝傍山
④天香具山

問2 奈良県の四箇所の観測点のうち気温の年較差が最も大きいのはどこか
①奈良
②五条
③針
④風屋

問3 大台ケ原で大雨が降っているにも拘らず大和平野では全く雨が降らない事を指して何というか
①大台残し
②国中忘れ
③背降り
④奥山ながれ

問4 大和川に流入する支流の内、一番流域面積の大きいのはどれか
①佐保川
②初瀬川
③飛鳥川
④葛城川

問5 大和川支流の並びとして正しいのはどれか
①東より初瀬川・寺川・米川・飛鳥川・曽我川・葛城川・高田川の順
②東より初瀬川・米川・寺川・飛鳥川・曽我川・葛城川・高田川の順
③東より初瀬川・寺川・米川・飛鳥川・曽我川・高田川・葛城川の順
④東より初瀬川・米川・寺川・飛鳥川・曽我川・高田川・葛城川の順

問6 大和や各地で発展した田畑輪換法は特に大和では何と呼んだか
①つなぎ
②くるり
③じゅず
④からけ
 
問7 奈良盆地にある池で、今は廃絶した池として正しいものを選べ
①蛙股池
②和珎池
③剣池
④益田池

問8 環濠集落で有名な稗田郷が優先的に水利権を持っていた溜め池はどれか
①勝間田池
②広大寺池
③白川溜池
④平尾池




答え合わせ
問1 2が正解
①御蓋山 297m ②耳成山 139m ③畝傍山 199m ④天香具山 152mで香具山よりも耳成山の方が低いという定番のひっかけ問題。

問2 2が正解
五条は夏はフェーン現象によって温度が上がり、冬季は金剛おろしで寒くなる。南部の下北や風屋まで行くと、海風の影響で気温が下がりにくくなります。針は県下の最低気温を出す観測地ですが、夏も涼しいので年較差は小さくなる。

問3 3が正解
吉野の山間部では大和を人に見立てて、脊梁山脈の台高山地をその人の背中にあてる、そこに降る雨ということで背降りという。

問4 1が正解
どうしても初瀬川が大きいと思いがちですが、佐保川140平方キロと初瀬川117平方キロで、布留川を含んでも佐保川のほうが流域面積は大きい。

問5 1が正解
大和川は中世以降、自然河川を南北方向に、等間隔になるよう付け替えた歴史があります。流出する土砂が堆積し天井川化した河川を再生し、十分でない降水量を利用するための苦肉の策ですが、条里制地割と同じく、古代の奈良時代にではなく荘園化が進んだ中世に行なわれた点は意味深いことです。

問6 4が正解
一般にはまわしと呼ばれますが大和ではからけと呼びました。水稲作を本毛、その後の裏作を裏毛と呼ぶ二毛作から派生した田畑輪換なので空毛(からけ)と呼ばれた訳です。

問7 4が正解
和珎池は現在の広大寺池にあたり剣池は今は石川池と呼ばれる。古代にあったとされる益田池や磐余池など無くなった池も多い。

問8 2が正解
広大寺池は和珎池とも呼ばれ、稗田郷を潤す水がめとして開発された、記紀にも記述が見られる由緒の古い溜池。広大寺池から稗田集落までは結構な距離があり、途中に幾つかの集落があるが優先権は無い。
  
         広大寺池の西堤下にある分水樋は三つに分かれて下流に水を送る
  

本当に全く関係ない話ですが、まさか大晦日にこんな大荒れの天気になるとは、数少ないハウスのビニルが吹き飛んでしまいました。今年最後の更新がこんな事になるなど台風並みの風は雨が無いだけに本当に恐ろしい。                

ソムリエ試験の感想

2009年03月27日 | 奈良検定その他検定
 しつこいようですがこれで最後のソムリエ試験考察にしたいと思います。確実にいえることは記述式の採点が非常に甘く点けられているであろうことです。自分はマークで46点なので記述で34点取れた計算になります。40点問題で6点分しか間違っていないことになり、自分で確認できた誤字の3点を除くと3点しか引かれていませんが流石にそれはおかしいしありえない。
 講習会では文章の構成の美しさで2点分の加除があると言っていましたが、この結果を見る限りそれは考慮されていないようです。まあ文章の美しさなんて主観を採点にどう反映させるんだって話ですが、予想以上に採点が甘かったであろうことはわかります。
 それに記述式の解答欄の書き方も講習会と試験当日では違うなど、どうも来村先生(余りよく存じ上げなかったのですが)と他の監修者との間に多少の認識のずれがあったのかと思います。新進気鋭の先生らしい勢いのある講習会で参加者の意気込みと相俟って白熱した面白い講習でしたが、キトラのことを書いた著書は余り面白いとは思えませんでしたすみません、読み手の実力がついていけてないだけかもしれませんが、四百字問題といい記入方法といい少し先走り空回り気味だったのではないでしょうか。
 公式ガイドブックが読み辛いだの記述に偏りがあるだのよく耳にしますが、これは来村先生が仰られていたようにあれもこれもとなると事典になってしまうのでしょう。元より一冊で済む訳もなし、面的に網羅している「奈良県の歴史散歩上・下」や時代的に特に中世以降に詳しい「新版奈良の歴史」等を猟渉し互いに補完しながら纏めていけば良いだけです。あと「奈良市史」を読んでみるのも良いかもしれません。奈良検定ですから奈良県の問題が出題されるのは当然ですが、奇妙な事に奈良市に限定した問題も出題される傾向があるからです。

 ソムリエ試験の要点は、マークシートをとにかく15問以上正解するようにがんばる。そして記述式3問は規定字数を必ず埋めること。これだけで合格の可能性はあります。
 記述式に限って考えると、特に重要なのが下書きをなるべくしない事ではないでしょうか。時間との勝負のなか馬鹿丁寧に下書きをするよりも、二百字問の選択したお題のキーワードを4個とそれをまとめる核になる言葉を書き出して文章にすれば良いでしょう。文章の美しさうんぬんは採点の対象になっていないと考えるなら、5個のキーワードに言葉を肉付けして箇条書きにするだけでも良いはずです。
 
 ということで奈良検定の話は終了としたいと思います。ありがとうございました。

  
                           奈良太郎

奈良観光ソムリエ検定(奈良検定)

2009年03月25日 | 奈良検定その他検定
 いよいよ奈良検定ソムリエの結果発表が始まりました。合格された方はおめでとうございます。残念ながら不合格だった方は捲土重来で来年がんばってほしいものです。
 私はようやく長い検定生活に終止符を打てそうです。十二月頃の切羽詰まった状況にならないと重い腰を上げれない学生時代からの悪い癖が祟り、二級一級と不本意な点数をたたき出してきましたが、終わってみればそれもいい思い出かと。それとやれ京都検定の猿真似だの、内容が駄目だのと散々な言われようの奈良検定ですがやっぱり初代のソムリエのメンバーに成れたことは少しは誇りに思っても良いのではと思います。情報も少なく試験の形式も未知数の状態で良くやった方かもしれません。

 愚痴を言うなら入り口は広く、出口は狭くしてもらいたい。今年は二級一級が全体的に易しくなった感がありますが、ソムリエはもう少し難しくしてください、お願いします。受かったから言う訳じゃなく合格率高すぎでしょう常考。
 特に記述式は四百字問題を止めてもいいのではないでしょうか。京都検定との差別化を意識する余りに訳の解らない設問になってませんか?以前にも書きましたが自由裁量が多すぎて試験問題の体を為してない。更に四百字問題は五題から一つ、二百字問題も五題から二つを選べるなんて、選択の余地が有りすぎて少しヤマをかければどこかしらかすりそうです。大体ヤマが当たる試験なんて試験じゃありませんよ。もし今回竹林院の解説しか選択肢が無かったら自分は確実に落ちた自信がありますが、試験ってのはそんなものだと思いますし、それで文句を言うなんてことは考えもしません。
 それにこの検定は奈良の知識を問うものなのかガイドとしての能力を問うものなのかが主催者側にブレがあるように見受けられるのですがどうでしょう。知識があってもそれを他者に伝えるには自分の中で余程噛み砕いていないと伝えられないでしょうからガイド云々は重要な事だと思いますが、最初は全然そんな事は言ってなかった様な気がします。自分はガイド能力(他人への伝達能力)がかなり低いという自覚があり、それ故にここで文章を書いて自分の考えをまとめる糧にしているのですが分かり辛い所があればすみません。
 それにしても検定事務局の素っ気無さは予想どうりですね、ペラペラの合格証一枚だけとは。封筒を見た瞬間は落ちたのかと思ってあせってしまいましたが、カードらしき感触で安堵しました。

 個人的には別に殊勝な事を言うつもりは無いのですが、この検定を通して自分が如何に奈良の事を知らないか、まだ行ったことの無い所が本当にたくさん有る事を改めて気付かされました。これからは奈良検定の勉強中に興味を持ったことや疑問に感じた事を時間に追われることなく学んで行きたいと思っています。特に万葉集、続日本紀を読み込んでおきたいし、寺社特に仏像をもう少し掘り下げたい。そして自分の言葉で語れる位にはなりたいなと。まあ、仕事上のことでやらなければならない問題が山積みなので趣味の事はなおざりにせざるを得ないでしょうがね。 
 
ここも奈良検定の終了を機に色々改編をしました。
 
 
                   二級のカードは捨ててしまったようです

雑感

2009年01月16日 | 奈良検定その他検定
 今回で初の最上位資格のソムリエが誕生するにもかかわらず、さして盛り上がりを見せることも無く終わった感のある検定ですが、総括としての雑感を書いて私もこの話題を終わりにしたいと思います。数ヶ月のブランクのあとの怒涛の更新と本人は感じており元のペースに戻ります。
 まず、マークシートの30問は確かに難しく、一問2点の配点が合否を左右するのでしょう。これが60問一点問題だったらどうなったでしょう?
 難しいとは言え解けるものは解ける、当たり前のことです。答えがあやふやでもソムリエを受験される方なら大抵の問題は2択に絞り込めたのではないでしょうか。
 例えば問27 正月のランジョウを野迫川では何と呼ぶか?
は正月の行事がオコナイと知っていれば、後はハナタバリと言う聞きなれない、でもいかにもありそうな語感の言葉の2つに絞れます。後はカンですかね
 問29 奈良奉行溝口信勝はいつ鹿の角伐りを始めたか?
はズッコケてしまいました。中坊から土屋そして溝口の流れ、特に角伐りとのからみで溝口は覚えていても、まさか何時始めたかを問われるとは、うーん流石です
 問題選定に不満も多いでしょうが、うちの母親は「そういうのが答えられるからソムリエじゃないの?」と言っておりました。仰るとおりですハイ。ただ、あくまでも問題として解けるのであってガイドの能力とは本質的に異なるものなんですよね。

 記述式の問題については、昨年末にあった試験対策の講習会で四百字の記述問題の概要を知らされた時はただ呆然とするばかりでしたが、同時にこれはサービス問題になってしまうのでは?と思いました。その印象は試験を終えても変わりません。つまり、書き手の自由裁量が大きすぎて試験問題の体をなしてないのです。ちょうど喩えるなら出席さえしていれば単位がもらえる一般教養の試験問題みたいなものです、分かりにくいか?
 二百字問題は厳密な加点、減点方式ですが、フリーハンドの問題はそうはいかず、とりあえずマスを埋めた段階で20点を与えて、そこから誤字や意味の曲解を減点していく減点方式しか採点者は採点できないのではないでしょうか?まあ分かりませんけどね。
 とにかく平均年齢の高い紳士淑女の皆さん「この問題は無効だ」などと余り熱くならずにいてほしいものです。理屈も屁理屈もこねすぎるとみっともないですから。

 と言うことで写真も山辺で見かけた雑な泥壁の小屋で本文とは何の関係もございません。