先端技術とその周辺

ITなどの先端技術サーベイとそれを支える諸問題について思う事をつづっています。

人工衛星が捉えた中国の新型空母「002型」

2019年05月08日 12時39分09秒 | 日記
 
中国の空母1号である遼寧は長さ300m、最大幅70mだと言うから、そのくらいの大きさの建設物は、今の人工衛星の撮影能力では簡単なものだろう。しかしながら、その映像の解像度、恐ろしく鮮明。北のミサイル実験なんかも、多くの先進国は人工衛星で知っているのだろう。戦争抑止につながればよいのだが。
 
4月に撮影された大型艦船の建造の様子/CSIS/ChinaPower/Maxar Technologies

4月に撮影された大型艦船の建造の様子/CSIS/ChinaPower/Maxar Technologies

香港(CNN) 米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)は8日までに、上海郊外の造船所で建造が進んでいる大型艦船の衛星画像を公開した。中国の次期空母の姿を世界で初めてとらえた可能性があるとしている。

CSISが公開した衛星画像は4月に撮影されたもので、江南造船所の新たな活動の様子をとらえていた。CSISによれば、画像には建造が進む大型艦船の巨大な艦首と艦体部分が写っているという。艦体部分は幅40メートルに達していた。

専門家は、この新造艦の大きさや規模から判断して、「002型」と呼ばれる中国の新鋭空母の可能性が大きいと見ている。

CSISの専門家マシュー・フネイリ氏は、「江南造船所で目撃されたものは、002型の建造に関して我々が予想する内容と一致している」と解説する。

中国が近代化を図った3番目の空母を建造しているといううさわは1年以上前から広まり、昨年11月には国営新華社通信が初めて新型空母の建造に言及していた。

造船所の施設に多くの変更が行われたのが見て取れるという/CSIS/ChinaPower/Maxar Technologies
造船所の施設に多くの変更が行われたのが見て取れるという/CSIS/ChinaPower/Maxar Technologies

米国防総省はこの空母について、2022年にも完成する可能性があると予想する。

中国は現在、空母「遼寧」の1隻を運用しており、同国初の国産空母となる「001A型」は実験航海を行っている。


乙女座のブラックホール撮影に至るまでの研究史

2019年05月08日 01時42分29秒 | 日記

ニューズウィークが、人類の英知が導いたブラックホール初撮影に至るまでの研究史を纏めていたが、相当前から研究者はこのブラックホールの存在に目をつけていたことが分かる。

撮影に成功した超巨大ブラックホールの画像 REUTERS

<巨大ブラックホールの撮影に国際研究プロジェクトが初めて成功......アインシュタインの相対性理論からの長い道のり>

銀河の中心にある超巨大ブラックホールの姿を、ついに私たちは写真で見た。見えざるものを、ついに見たのである。

 

その不思議な写真は、輝くプラズマの発した電波を捉えたもので、光ですら脱出できないブラックホールの境界、いわゆる「事象の地平面=イベントホライズン」を影絵のように写し出していた。

M87銀河にある超巨大ブラックホールの「可視化」は、世界中の200人以上の科学者、エンジニアが協力して各地の高性能な電波望遠鏡多数を連携させた成果だ。ここに至るまでの長い道のりを振り返ってみたい。

まずは1783年にイギリスの天文学者ジョン・ミッチェルが「暗黒の星」の概念を提唱した。極めて密度の高い星では光の粒子でさえ、その重力圏を脱出できない(だから目に見えない)という仮説だ。以来、天文学はずいぶん遠くまできた。

今年1月には、いて座Aスターから電波が放出されている画像が発表された。いて座Aスターは、私たちがいる銀河(天の川)の中心にある超巨大ブラックホールを取り囲む領域だ。その画像はイベントホライズンの9倍の大きさまで捉えていた。

そして今、国際研究プロジェクトのイベントホライズンテレスコープ(EHT)が、地球から5500万光年離れたM87銀河の超巨大ブラックホールのイベントホライズンの画像解析に成功した。ノーベル賞級の功績は、何世代にもわたる発見と洞察のたまものだ。

20世紀初頭にアルバート・アインシュタインが相対性理論を発表してから、科学は大幅に進歩した。1916年には天文学者のカール・シュヴァルツシルトとヨハネス・ドロステが別々に、アインシュタインの方程式によって数学上の特異点を含む解を導き出した。そして20~30年代には、原子物理学者たちがある結論を下した。質量が重くなり過ぎた星は重力崩壊を起こして特異点に至り、その生涯を終えて「凍結する」と。

内部の研究は今も続く

「凍結した星」は、アインシュタイン理論における時間の奇妙な相対性を示している。つまり、崩壊した星を取り囲むイベントホライズンは、外部から観察すると、時間が止まっているように見えるのだ。

その後、特異点の概念は量子力学に取って代わられたが、ブラックホールの表面と内部については今も研究が進められている。

ミッチェルが予見した「暗黒の星」は私たちの銀河に何百万もあると考えられるが、イベントホライズンは小さ過ぎて観測できなかった。仮に私たちの太陽が崩壊してブラックホール化した場合、そのイベントホライズンは直径3キロ程度だ。

超巨大ブラックホールの形成については諸説あるが、ブラックホールは「宇宙空間に開いた穴」ではなく、物質だ。

72年にはロバート・サンダースらが、私たちの銀河の中心にある物質は太陽の約100万個分の質量を持つと計算した。78年までにはウォーレス・サージェントらが、M87銀河の中心にある物質の質量は私たちの太陽の50億倍と推定していた。

そして95年には日本の三好真らが、M106銀河の中心にあるブラックホールを電波干渉法による観測で確認した。

今日では、私たちの銀河に近い銀河系にある約130の超巨大ブラックホールが、その周辺にある星やガスの公転速度と距離によって確認されているが、その中心部で起きている重力崩壊の様子までは観測できていなかった。

地球から観測できる範囲で一番大きく見えるのは私たちの銀河とM87銀河なので、今回の国際プロジェクトはこの2つの銀河に絞って観測を続けた。

そしてついに、M87銀河のブラックホールのシルエットを捉えることに成功した。大変な快挙だ。ブラックホールは時間をものみ込むらしいが、人類の想像力と英知、意志の強さ、そして科学的な予測の力も驚異的な自然の力なのである。