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『ゲキxシネ五右衛門ロック』『The Musical AIDA』など、ミュージカルの話題作に出演の青山航士さんについて。

All That Jazzとデキセドリン

2007-08-24 | ROCKIN' Broadway
 和央ようかさんコンサート『ROCKIN' Broadway』で演奏された"All That Jazz"。同タイトルの映画(79)と、ボブ・フォッシーのミュージカル『シカゴ』のオープニングを思い出します。『シカゴ』については今までも少し書いた事があるので、今日は映画の方に寄り道です
 この映画の主人公ジョー・ギデオンはフォッシー自身をモデルにし、他の登場人物も実在の人たちをベースに作られたキャラクターだということは発表当初から言われてきました。最近映画化された『ドリームガールズ』の81年公演の演出・振付をしたフォッシーのライバル、マイケル・ベネットもJohn Lithgowとして登場しています。そのうえ映画の決め台詞"It's show time, folks!"を言うたびに映し出される薬のビンに書かれた住所"61 West 58th Street"は、番地こそ違え、フォッシー自身の住所だったそうです。
 錠剤の名前はデキセドリン(通称スピード)、アメリカ空軍が疲労した兵士の士気を高めるために処方していると言われている薬で、さまざまの副作用があるそうです。ブロードウェイの第一人者として数々のヒット作を生み出す一方、フォッシーの私生活は安らぎの少ないものだったといわれています。心身ともに疲れ果てながら朝一番に薬を飲み、鏡を見て"It's show time!"と笑ってみせるジョー・ギデオン。その物語を飾る"All That Jazz"を、『シカゴ』ではヴェルマ役が強烈な媚薬のように歌い上げます。フォッシーが自分の全てを投げ出し捧げた「舞台」の化身のような女性でなければこの曲は似合わないかもしれません。スポーツ報知のサイトにアップされた、ガウンを脱ぎ捨てた和央さんの一瞬の姿は「化身」のオーラ充分ですね。
 ブロードウェイは傍で漏れ聞くだけでもあまりにもシビアなので、日本のショービジネス界の舞台の化身は、もう少し慈愛に満ちていてくれるといいなあ、と思います。出演者の方たちの"It's show time"の瞬間は、どんな表情なのでしょうか。
 


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