アンドリュー・ロイド・ウェバーが『ビューティフル・ゲーム』は特定の人物の物語ではない、と話している記事を目にして、改めて1981年のハンガーストライキで亡くなったIRA戦士に関するページをいくつか読んでみました。
先日の記事で紹介した"gettyimages"Web siteで、優しそうな笑顔が掲載されているボビー・サンズは、『ビューティフル・ゲーム』の舞台となったベルファストの町で’54年に生まれました。7才の時に、プロテスタントの暴力によって彼の一家は住まいを追い出されてしまいます。
ゲットーに抑留され、差別を受けながらも、少年時代はまだ最悪の状態ではなかったようです。『ビューティフル・ゲーム』でも櫻井翔さん演じる主人公ジョンがアマチュアのサッカー・チームに所属していますが、ボビー・サンズもプロテスタントとカトリックの入りまじるチーム'Star of Sea'でプロになることを夢見る少年でした。
以前チラシに紹介されていた、妻子を残してハンガーストライキに身を捧げた方はジョー・マクドネルという方で、サンズは独身でしたので、ウェバーの言うとおり、作品の登場人物はアイルランドの人々の人生を複合させてつくられたもののようです。
ボビー・サンズの妹によると、当時はプロテスタントとも普通に交友があり、ボビー自身、カトリックの友達ともプロテスタントの友達とも出かけていたといいます。それを終わらせたのが、68年にまたもや起きたプロテスタント過激派による暴力・迫害事件です(『ビューティフル・ゲーム』の設定は69年)。ボビー・サンズは14才でした。それまで一緒に遊んでいた友人が、家族を家から追い出す手助けをしていたとも彼女は語っています。『ウエストサイドストーリー』でもそうでしたが、これから大人になる、という感受性の高い時期の出来事で、彼の心にどれだけの傷がついたか、想像に難くありません。
チラシにある拳銃は、『ビューティフル・ゲーム』のなかでどのように登場するのでしょうか。ボビー・サンズの人生では72年、18才のとき、滞在先の家庭で4丁の拳銃が見つかったことで所持の疑いがかけられ、彼は政治犯として逮捕・投獄されます。76年、22才で釈放されたものの、6か月後には再逮捕。ある家具工場で爆発事件が起き、その周辺に3人の仲間と車に乗っていた彼は、そこに1丁のリボルバーがあったというだけで、爆発事件への関与は認められなかったのに、14年の禁固刑を課せられるのです。
そして、刑務所内での激しい拷問、懲罰房での監禁や食事を与えないなどの虐待、トイレ、シャワールームでの侮辱などに抵抗する日々の末、81年3月1日、アイルランドの完全独立と自由を訴えるハンガーストライキを開始しました。
当時のイギリスはサッチャー首相の時代でしたが、彼の願いは聞き届けられることなく、5月5日、刑務所内で餓死。仲間のFrancis Hughes, Raymond McCreesh, Patsy O'Haraらも後を追って絶命します。gettyimagesの写真が伝えるように、ベルファストの街には怒りの暴動がおきました。それでも変わらなかった、その哀しみと無念は25年の歳月を超えて胸に迫ってきます。
日本では櫻井翔さんが主演ということで、たくさんの若い方がこの作品に触れることになりますが、これから母親になられる世代の人たちが観ることは、ウェバーもベン・エルトンも好ましいと思っているのではないでしょうか。もちろん青山さんを『うたっておどろんぱ!』で知った小さな子どものいるお母さん達も、作品が待っている観客なのだと思います。遠方のかたなど出かけるにはいろいろと無理が必要かもしれませんが、ぜひ一度、青山さんが今度の舞台で何を表現するか、一人でも多くの方に見ていただきたいな、と思っています。
先日の記事で紹介した"gettyimages"Web siteで、優しそうな笑顔が掲載されているボビー・サンズは、『ビューティフル・ゲーム』の舞台となったベルファストの町で’54年に生まれました。7才の時に、プロテスタントの暴力によって彼の一家は住まいを追い出されてしまいます。
ゲットーに抑留され、差別を受けながらも、少年時代はまだ最悪の状態ではなかったようです。『ビューティフル・ゲーム』でも櫻井翔さん演じる主人公ジョンがアマチュアのサッカー・チームに所属していますが、ボビー・サンズもプロテスタントとカトリックの入りまじるチーム'Star of Sea'でプロになることを夢見る少年でした。
以前チラシに紹介されていた、妻子を残してハンガーストライキに身を捧げた方はジョー・マクドネルという方で、サンズは独身でしたので、ウェバーの言うとおり、作品の登場人物はアイルランドの人々の人生を複合させてつくられたもののようです。
ボビー・サンズの妹によると、当時はプロテスタントとも普通に交友があり、ボビー自身、カトリックの友達ともプロテスタントの友達とも出かけていたといいます。それを終わらせたのが、68年にまたもや起きたプロテスタント過激派による暴力・迫害事件です(『ビューティフル・ゲーム』の設定は69年)。ボビー・サンズは14才でした。それまで一緒に遊んでいた友人が、家族を家から追い出す手助けをしていたとも彼女は語っています。『ウエストサイドストーリー』でもそうでしたが、これから大人になる、という感受性の高い時期の出来事で、彼の心にどれだけの傷がついたか、想像に難くありません。
チラシにある拳銃は、『ビューティフル・ゲーム』のなかでどのように登場するのでしょうか。ボビー・サンズの人生では72年、18才のとき、滞在先の家庭で4丁の拳銃が見つかったことで所持の疑いがかけられ、彼は政治犯として逮捕・投獄されます。76年、22才で釈放されたものの、6か月後には再逮捕。ある家具工場で爆発事件が起き、その周辺に3人の仲間と車に乗っていた彼は、そこに1丁のリボルバーがあったというだけで、爆発事件への関与は認められなかったのに、14年の禁固刑を課せられるのです。
そして、刑務所内での激しい拷問、懲罰房での監禁や食事を与えないなどの虐待、トイレ、シャワールームでの侮辱などに抵抗する日々の末、81年3月1日、アイルランドの完全独立と自由を訴えるハンガーストライキを開始しました。
当時のイギリスはサッチャー首相の時代でしたが、彼の願いは聞き届けられることなく、5月5日、刑務所内で餓死。仲間のFrancis Hughes, Raymond McCreesh, Patsy O'Haraらも後を追って絶命します。gettyimagesの写真が伝えるように、ベルファストの街には怒りの暴動がおきました。それでも変わらなかった、その哀しみと無念は25年の歳月を超えて胸に迫ってきます。
日本では櫻井翔さんが主演ということで、たくさんの若い方がこの作品に触れることになりますが、これから母親になられる世代の人たちが観ることは、ウェバーもベン・エルトンも好ましいと思っているのではないでしょうか。もちろん青山さんを『うたっておどろんぱ!』で知った小さな子どものいるお母さん達も、作品が待っている観客なのだと思います。遠方のかたなど出かけるにはいろいろと無理が必要かもしれませんが、ぜひ一度、青山さんが今度の舞台で何を表現するか、一人でも多くの方に見ていただきたいな、と思っています。