platea/プラテア

『ゲキxシネ五右衛門ロック』『The Musical AIDA』など、ミュージカルの話題作に出演の青山航士さんについて。

ポーズとポーズの間

2005-11-27 | うたっておどろんぱ!
ダンス雑誌って発行部数は多くないので、うなづいてもらえるかどうか分らないのですが、たとえばダンスマガジンなんかに掲載されている写真を見て「わ~、かっこいい」と目を奪われ、期待でいっぱいになって実際に観にいくと、「・・・こんなもんなのかな」と少し幻滅する事があります。そんな時(カメラマンが優秀だということもあるのでしょうが)、やはり「ポーズ」は「ダンス」のごく一部でしかないのだなあ、と思います。考えてみれば、一瞬ポーズを真似するだけなら、とくにダンスを習っていなくても、いいセンいってる~、と自分ひとりが思う程度にはきめられるものもありますよね。

 やはりダンサーの素晴らしさは一つの形からもう一つの形へと変化する、その間にぎっしりと詰まっているような気がします。初めてこの目で見たロシアのバレリーナの人間のものとは思えないような柔らかな腕の動きは今でも鮮明に記憶に残っていますが、それを忠実に再現してくれる写真、映像には未だに接したことがありません。スローで好きなだけ何度でも見られるDVDプレーヤーが登場したときには感激のあまり、愛情をこめた名前をつけようと思ったぐらいですが、それでも立体で、その場で見るということ以上に、ダンスの素晴らしさを教えてくれるものは生まれないだろうとよく思います。

 で、「おどろんぱ」、ここのところ「影」を多用していて、ETV教育番組共通の御題なのかしら、とも思いますが、ただでさえ動画という平面にはめられている(ように私には見えてしまう)ダンサーズがさらにひらべったくなってしまい、寂しいです~。「うたって」はどこに? というぐらいに、とくに音楽に同調することもなくポーズの連発、これは別の「おにいさんとおねえさん」の領域のような気がするのですが。

 でも、そんななかでも青山さんはやっぱり真似できないポーズを決めてくれるのでした。チアリーダー、『ボーイ フロム オズ』の"Love Crazy"を思い出すような弾けっぷりですね~。また、あの高いリフトは、前にもファンサイトのほうに書いたことがありますが、ボヤルチコフ版『くるみ割り人形』の一番の見せ場で王子と金平糖の精がきめるものと同じ大技です。前半やわらかく弧を描いていたのと同じ腕とは思えない力強さ。この表現の幅の広さは男性ダンサーの魅力ですよね~。そういえば、そろそろバレエ界は『くるみ』の季節です。こればかりは小さなお子様OKの公演も多いので、おどろんぱファンも、ポーズとポーズの間を直に味わっていただきたいな。