「エッ500円?」
時々行く本屋さんのレジ横に「踊る大紐育(ニューヨーク)/On the Town」(49年)のDVDがこんな値段で販売されていました。
WSS同様、ジェローム・ロビンズの原案にバーンスタインが作曲した作品なのですが、これはジーン・ケリーとフランク・シナトラの映画として舞台製作途中で映画会社がアイディアを買い取ったもの、振付はロビンズではありません(バレエ版Fancy Freeと舞台版はロビンズ振付)。とはいうものの、この値段でG・ケリーのダンスを見ない手はない、と迷わず買いました♪
DVDにするからってデジタルリマスターしたわけでもなんでもない、レトロな画質なのですが、G・ケリーの氷上をすべるようなステップ、小鳥の戯れのように細やかで生き生きとした3人の女優さんたちのダンス、それだけでも今これに匹敵する作品があるか、と聞かれると答えにつまるほどチャーミングです。3人の女優さんがおどろんぱダンサーズ同様、赤、黄、緑のドレスを着て踊るシーンもあったり、活気にあふれる当時のNYの姿も垣間見ることができて、充実の一枚でした。最後にドタバタもありますが、おかしくて笑う、というより、楽しくて笑わされてしまう、そんな作品でした。
ですがこの作品は単なる娯楽もの、というのではありません。3人の若い水兵が、寄港したNYでのたった一日の休暇を刹那的な恋をして過ごし、翌朝にはまた軍艦にのりこむ・・・。44年のノルマンディー上陸で何千人という戦死者が出たアメリカの不幸な記憶は、兵士である若者のつかのまの恋と、微笑みに包んだ永遠の別れに、胸の締め付けられるような切なさを感じ取っていたようです。日本での特攻隊への想いと似ているのかもしれません。
バーンスタインの日記によると、この映画が発表された49年には、ロビンズはすでに「ウエストサイドストーリー」の着想を得ていたことになります。ただ、当初のユダヤ教徒とカトリック教徒の対立という設定は、あるコメディで既に扱われていたため、見送りになったということです。そして55年に起きた、イーストサイドでの若いギャング団による暴力事件がニュースとして流れたとき、ロビンズは「人種的対立」をテーマに56年の舞台に乗せよう、とバーンスタイン、ローレンツに持ちかけ、あの繁栄の真っ只中にあった大都市で、隅に追いやられている若者の叫びを写し取るべく、急ピッチで製作に入ったのだそうです。いわば「時事ネタ」だったのですが、「ロミオとジュリエット」の原話も実話の脚色だというし、「世話物」と呼ばれる歌舞伎も、江戸時代、さまざまな出来事をとりあげ、当時のワイドショー的な人気を集めていたことを思うと、名作には、生々しい人間の姿がある、ということなのでしょうか。
人が生まれて死んでいく、その間の星の数ほどのドラマを、今という時間で見せてくれる作品、私のアンテナの感度も悪いんですが、なかなか見かけません。通信技術の発達でイヤというほど情報が入ってはきても、(自分の頭が追いつかないし・・・)製作の場では少し時間がたつとなんでも古臭く見えるのかもしれません。でも、WSSでも「ロミオとジュリエット」でも、「踊る大紐育」 でも歌舞伎でも、その時生きている人間が本当に描かれていたら、その作品は独りでに息づいて、時を遥かに越えていく、長い命をもつような気がします。無責任ながら、一観客はそのようなものを一つでも多く見たいなあと思っています。
色々書いたけど、この「踊る大紐育」見ていると単純に青山さんが東京の街で、東京の街を踊っているところが見たくなります。おどろんぱ、今年はお外に行くでしょうか?
時々行く本屋さんのレジ横に「踊る大紐育(ニューヨーク)/On the Town」(49年)のDVDがこんな値段で販売されていました。
WSS同様、ジェローム・ロビンズの原案にバーンスタインが作曲した作品なのですが、これはジーン・ケリーとフランク・シナトラの映画として舞台製作途中で映画会社がアイディアを買い取ったもの、振付はロビンズではありません(バレエ版Fancy Freeと舞台版はロビンズ振付)。とはいうものの、この値段でG・ケリーのダンスを見ない手はない、と迷わず買いました♪
DVDにするからってデジタルリマスターしたわけでもなんでもない、レトロな画質なのですが、G・ケリーの氷上をすべるようなステップ、小鳥の戯れのように細やかで生き生きとした3人の女優さんたちのダンス、それだけでも今これに匹敵する作品があるか、と聞かれると答えにつまるほどチャーミングです。3人の女優さんがおどろんぱダンサーズ同様、赤、黄、緑のドレスを着て踊るシーンもあったり、活気にあふれる当時のNYの姿も垣間見ることができて、充実の一枚でした。最後にドタバタもありますが、おかしくて笑う、というより、楽しくて笑わされてしまう、そんな作品でした。
ですがこの作品は単なる娯楽もの、というのではありません。3人の若い水兵が、寄港したNYでのたった一日の休暇を刹那的な恋をして過ごし、翌朝にはまた軍艦にのりこむ・・・。44年のノルマンディー上陸で何千人という戦死者が出たアメリカの不幸な記憶は、兵士である若者のつかのまの恋と、微笑みに包んだ永遠の別れに、胸の締め付けられるような切なさを感じ取っていたようです。日本での特攻隊への想いと似ているのかもしれません。
バーンスタインの日記によると、この映画が発表された49年には、ロビンズはすでに「ウエストサイドストーリー」の着想を得ていたことになります。ただ、当初のユダヤ教徒とカトリック教徒の対立という設定は、あるコメディで既に扱われていたため、見送りになったということです。そして55年に起きた、イーストサイドでの若いギャング団による暴力事件がニュースとして流れたとき、ロビンズは「人種的対立」をテーマに56年の舞台に乗せよう、とバーンスタイン、ローレンツに持ちかけ、あの繁栄の真っ只中にあった大都市で、隅に追いやられている若者の叫びを写し取るべく、急ピッチで製作に入ったのだそうです。いわば「時事ネタ」だったのですが、「ロミオとジュリエット」の原話も実話の脚色だというし、「世話物」と呼ばれる歌舞伎も、江戸時代、さまざまな出来事をとりあげ、当時のワイドショー的な人気を集めていたことを思うと、名作には、生々しい人間の姿がある、ということなのでしょうか。
人が生まれて死んでいく、その間の星の数ほどのドラマを、今という時間で見せてくれる作品、私のアンテナの感度も悪いんですが、なかなか見かけません。通信技術の発達でイヤというほど情報が入ってはきても、(自分の頭が追いつかないし・・・)製作の場では少し時間がたつとなんでも古臭く見えるのかもしれません。でも、WSSでも「ロミオとジュリエット」でも、「踊る大紐育」 でも歌舞伎でも、その時生きている人間が本当に描かれていたら、その作品は独りでに息づいて、時を遥かに越えていく、長い命をもつような気がします。無責任ながら、一観客はそのようなものを一つでも多く見たいなあと思っています。
色々書いたけど、この「踊る大紐育」見ていると単純に青山さんが東京の街で、東京の街を踊っているところが見たくなります。おどろんぱ、今年はお外に行くでしょうか?