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絵じゃないかおじさんぐるーぷ
英訳短歌version0.01
* 竜野の赤とんぼ文字(019)
赤とんぼの里が見たかった。
兵庫県・龍野市は赤とんぼのふるさとでもある。
私の故郷へ帰る途中で、赤とんぼの里への誘いが、
たびたび目に入って気になっていた。
ふるさとを離れて、20年以上になるのに帰るというのは
不適当だろう。
行くと言った方がいいのかも知れないのだが・・・
私は、バイクには乗るが普通車の方はペーパー・ドライバーだ。
自信が無いのでハンドルは握らないことにしている。
その為、いつもOさんの運転する助手席でふんぞり返っている。
足を前に投げ出しているので、
とてもだらしない格好に見えるらしい。
これは私の知恵だ。
ZIが悪い。
事務で座り続けの仕事をしているせいだろう。
これは職業病だと思っている。
奈良の自宅から四国の故郷へゆくのには、約350km、
7ー8時間はかかる。
まともな姿勢で座っていたら、即、ZIが悪化する。
だから、そんな座り方をして、Oさんから
「みっともないから止めなさい」といつも足を叩かれるが、
一向に気にしないし、
直しもしない。
私の既得権の一つだ。
その日は、サヤカを運転して一人で行った。
人に乗せて貰うより、自分で運転して好きな所へ行けるのは、
喜びの一つであろう。
太子・龍野バイパスから、179号を中国自動車道の山崎I・Cの方
に向かって、少しゆけば、「赤とんぼ」の歌碑が立っている
公園がある。
初秋の3時すぎである。
サヤカを歌碑の近くに止めて、
文学の小径や哲学の小径を一人歩いた。
人通りは少ない。
赤とんぼがチラチラ行き交う。
ジュ遠亭がひっそりと佇んでいた。
薄曇りのせいか瀬戸内海ははっきり見えない。
サヤカの所に引き返し国民宿舎「赤とんぼ荘」に向かった。
きらびやかな馬車に出会う。
そこで結婚式を挙げた2人を乗せて巡り歩いているのだ。
赤とんぼ荘のなかの売店でOさんのお土産に
名産の薄口醤油を買った。
前の広場からは龍野の夕暮れ景色が見えた。
もう夕方である。
その時であった。
赤とんぼが、どこからとなく数百匹も現われたのだ。
数10m先でひしめきあっている。
おおーっ! あれは!
[ようこそ、いらっしゃい]
[ ゆうやけこやけの あかとんぼ ]
何と!
赤とんぼが、うす赤くそまりつつある夕空に、
トンボ文字を書いてくれているのだ。
それも、歌詞を一小節ずつ。
ありがとう、トンボ君たち。
赤とんぼ 夕暮の空に 群れなして
歓迎文字の ディスプレイ
ち ふ
この項おわり