copyright (c)ち ふ
絵じゃないかおじさんぐるーぷ
英訳短歌version0.01
* 新宮川と北山川の流れが ?!(015)
その日は、24号・168号・42号を通って潮岬に
ゆくつもりだった。
そのため、168号沿いの谷瀬の吊橋にも天誅組跡にも
目移りせず 目的地に向かって
一目散。
この道路は曲がりくねっていて走りにくい。
対向車もかなり多い。
木材運搬のトラックが目につく。
運転手は、私より年配の者が多いようだ。
若者が敬遠する職業の一つなのだろう。
道幅が広くなったり急に狭くなったりもする。
ダムが多いらしく水は奥深く緑を食わえ込んでいる。
初夏。
梅雨上がりの風が爽やかだ。
しかし、全面的に爽快というわけにはいかない。
爽快には違いないのだが、この道に不慣れなため運転に
全神経が食われていたからである。
当然、景色を見ながらのんびり走るというわけにはゆかない。
その日の走りは、かなりハードだった。
潮岬まで行って、その日のうちに引き返さなければならない。
安全のため40km前後で走っている。
事故だけは絶対起こすまいと思う。
これはバイクに乗る最低の決意である。
夏場の走りで乾いた咽喉には麦茶が一番だ。
曲がり道は疲れる。
麦茶で咽喉を潤しながら休み休み走る。
本宮町を少し越えたところで面白い光景に出会った。
川の名前は、このあたりでは、
十津川から新宮川(熊野川)に変わっている。
その新宮川と瀞八丁を抱える北山川とが合流しているところで、
ひと休みすることにした。
麦茶を飲みながら川の流れを見ていると、
新宮川は澄みきった清流である。
また一方の北山川は濁流で如何にも泥水ですという
感じがする。
両川の流れは均衡していて仲良く清流と濁流とが、
お互いの領分を侵すことなく
平行して流れていっている。
どこかずっと先の下流で混流するのだろうが、
目に映る範囲内では、
きちんと棲み分けができているようであった。
タバコを吸ったり軽い体操をしたり目薬をさしたりしながら、
その川の色が2色に色分けされている意外性に、
視線をチラチラ送っていた。
[おもろいなぁ! サヤカよ。Oさんにも見せてやりたいなあ]
そんなことを思っていた。
その時である。
何と!!
二つの川の流れが押し合いをし始めたのだ!
どちらが先に手を出したのか気がつかなかったが、
私が気づいた時は、
新宮川の清流が北山川の濁流を押し上げていた。
北山川も敗けてはいなかった。
押し返している。
新宮川は後戻り。
残った!
残った!
私は、もう行司になった気分。
どちらも敗けるな! ガンバレ! 頑張れ!
手に汗がこもる。
すっごいな! すっごいな!
こんなおもろいもん、一人で見てええんかいなあ?
なあ、サヤカよ!!
返事はない。
10分ぐらい、両川は押しつ押されつの相撲を取っていただろうか。
今はもう静かに流れている。
1万円拾ったような気分。
気持よくその場を離れて、私は潮岬へと急いだ。
168号 新宮川と 押し相撲
瀞八丁の 北山川
ち ふ
この項おわり
註、
短歌の英訳につきましては、
短歌を打ち込んで、(←数テンポ遅れの元電脳人)
検索をかけてみてください。(以下、略すこともあります)
「
くだらない小説を書きてよろこべる
男憐れなり
初秋(はつあき)の風
啄木「一握の砂」
」
絵じゃないかおじさんぐるーぷ
英訳短歌version0.01
* 新宮川と北山川の流れが ?!(015)
その日は、24号・168号・42号を通って潮岬に
ゆくつもりだった。
そのため、168号沿いの谷瀬の吊橋にも天誅組跡にも
目移りせず 目的地に向かって
一目散。
この道路は曲がりくねっていて走りにくい。
対向車もかなり多い。
木材運搬のトラックが目につく。
運転手は、私より年配の者が多いようだ。
若者が敬遠する職業の一つなのだろう。
道幅が広くなったり急に狭くなったりもする。
ダムが多いらしく水は奥深く緑を食わえ込んでいる。
初夏。
梅雨上がりの風が爽やかだ。
しかし、全面的に爽快というわけにはいかない。
爽快には違いないのだが、この道に不慣れなため運転に
全神経が食われていたからである。
当然、景色を見ながらのんびり走るというわけにはゆかない。
その日の走りは、かなりハードだった。
潮岬まで行って、その日のうちに引き返さなければならない。
安全のため40km前後で走っている。
事故だけは絶対起こすまいと思う。
これはバイクに乗る最低の決意である。
夏場の走りで乾いた咽喉には麦茶が一番だ。
曲がり道は疲れる。
麦茶で咽喉を潤しながら休み休み走る。
本宮町を少し越えたところで面白い光景に出会った。
川の名前は、このあたりでは、
十津川から新宮川(熊野川)に変わっている。
その新宮川と瀞八丁を抱える北山川とが合流しているところで、
ひと休みすることにした。
麦茶を飲みながら川の流れを見ていると、
新宮川は澄みきった清流である。
また一方の北山川は濁流で如何にも泥水ですという
感じがする。
両川の流れは均衡していて仲良く清流と濁流とが、
お互いの領分を侵すことなく
平行して流れていっている。
どこかずっと先の下流で混流するのだろうが、
目に映る範囲内では、
きちんと棲み分けができているようであった。
タバコを吸ったり軽い体操をしたり目薬をさしたりしながら、
その川の色が2色に色分けされている意外性に、
視線をチラチラ送っていた。
[おもろいなぁ! サヤカよ。Oさんにも見せてやりたいなあ]
そんなことを思っていた。
その時である。
何と!!
二つの川の流れが押し合いをし始めたのだ!
どちらが先に手を出したのか気がつかなかったが、
私が気づいた時は、
新宮川の清流が北山川の濁流を押し上げていた。
北山川も敗けてはいなかった。
押し返している。
新宮川は後戻り。
残った!
残った!
私は、もう行司になった気分。
どちらも敗けるな! ガンバレ! 頑張れ!
手に汗がこもる。
すっごいな! すっごいな!
こんなおもろいもん、一人で見てええんかいなあ?
なあ、サヤカよ!!
返事はない。
10分ぐらい、両川は押しつ押されつの相撲を取っていただろうか。
今はもう静かに流れている。
1万円拾ったような気分。
気持よくその場を離れて、私は潮岬へと急いだ。
168号 新宮川と 押し相撲
瀞八丁の 北山川
ち ふ
この項おわり
註、
短歌の英訳につきましては、
短歌を打ち込んで、(←数テンポ遅れの元電脳人)
検索をかけてみてください。(以下、略すこともあります)
「
くだらない小説を書きてよろこべる
男憐れなり
初秋(はつあき)の風
啄木「一握の砂」
」