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絵じゃないかおじさんぐるーぷ
英訳短歌version0.01
* 中国道でサヤカが ?!(016)
ある金曜日の夜の夢の話である。
サヤカが人間の姿をしていた。
若い時のOさん、そっくり。
とても悲しそうな顔をしていた。
彼女が何故サヤカだとわかったのか?
それは私の目の前で、
バイク姿からOさんにパッと変わったからだ。
[どうかしたの?]
サヤカは何も答えない。
涙を少し貯めて眼をそらしていた。
どうしたのだろう?
私は、どうしていいかわからなかった。
サヤカであるのはわかっている。
けれども、彼女は今は人間の女性だ。
Oさんには似てはいるが、Oさんではない。
違うから、私は迷うのだ。
肩にそっと手を置いて慰めてやりたかった。
彼女が、Oさんなら何のためらいもなく、そうしたであろう。
サヤカは、そのうち私から遠ざかっていった。
右足が痛いのか少し引きずって歩いている。
追っかけようとするが足が進まない。
あまりにも遠くに行ってしまうので、
[おーい]と声をかけようとしたが声がでない。
あーあ、どうしょうもないのかと、心を絞りこんだ時に目が覚めた。
何故あんな夢を見たのだろう。
夢なんていうものは何か現実と関連性を持っていても、
良いはずなのに、思いあたるフシはない。
次の日の土曜日は丹後半島を一周する予定であった。
中国自動車道・舞鶴自動車道(福知山I・C)から、
9号・178号を通って、
時計回りに海岸線沿いに走る予定だった。
天気は秋晴れ。
ツーリングには、もってこいの日であった。
だが、秋の天気は変わりやすい。
ましてや山陰地方までゆくのである。
どう変わるかわかったものではない。
TEL天気予報では曇りはするが、降水確率は30%以下だった。
行くのみ!
中国道に入ってまもなくの時であった。
走りがおかしい。
サヤカのハンドルが微妙に震えるのである。
私はピンときた。
昨夜の夢はこれだったのか。
すぐさまパーキング・エリアにサヤカを止めて点検した。
私は、サヤカが足を引きずって歩いているのを思い出したので、
タイヤをすぐさま疑った。
前は何ともない。
後のタイヤを叩けば少し凹むのであるおかしい。
これぐらいの力でこんなになるはずないのにと思ったので、
入念にチェックした。
クギを拾っていた。
タイヤに釘が深く差し込んでいたのだ。
危ないところだった。
サヤカの夢を見ずにあのまま走っていたらと思うとゾッとする。
西宮インターで降り修理工場を捜した。
朝の9時前だったが、幸いインターのすぐ近くの店が開いていた。
ノーパンクのタイヤなので修理は10分とはかからなかった。
便利になったものだ。
その応急処置で、あと1、000kmぐらいは大丈夫だと、
保証してくれた。
ああ、今日一日は安心だ。
これで丹後半島へ心おきなく行けるぞ。
クギ一本 見落とすミスも 許されぬ
厳しきマシンの 優しさを知る
ち ふ
この項おわり