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『笛物語』

音楽、フルート、奏法の気付き
    そして
  日々の出来事など

フルート奏者・白川真理

第141回 音楽家講座in鶴見~甲野善紀先生を迎えて~ 1月28日(火)

2025-01-30 00:37:01 | 音楽家講座・甲野善紀先生を迎えて
いつもよりは、やや少なめの人数でしたが、やはり先生の予言の通りの、濃いひとときとなりました。

20年間やってきた音楽家講座の歴史の中でも、特別な回となったと思います。

いつもは、参加された方のため、またこれから参加しようかと考えてくださっている方のため、何より自分自身の覚書のために、かなり詳細なレポートを書くのですが、今回のことは、私の手による文章になってしまうと、その本質が伝わらなくなってしまう可能性も高いと感じているので、申し訳ありませんが先生のお話は、無記載といたします。

それにこのお話は書いておかないと忘れてしまう、といった類のものではなく、一生忘れられない体験となったので、自身のための覚書を書いておく必要もない。

手の甲を使った先生の技の利きも冴え冴えとした不思議なものでしたが、この進展も先生の心の変化からもたらされたもののようでした。

20年前、少しでもマシな演奏が出来る様になりたい、とお願いした音楽家講座でしたが、フルートの取り扱いの技法だけでなく、楽器を取り扱う奏者自身の心に働きかけることこそが、本質的な飛躍をもたらすということを教えていただいた心地です。

響いているのは楽器だけでなく、奏者の身体も。
身体も楽器の一部です、と常日頃言っているのに、その楽器でもある身体に付随している心に関しては、今あるものでやっていくしかない、というような感覚でした。

でもそうではなく、今は心を掘り下げていくことで、大きな変化があるのは確かだろうなと予感しています。

ただ、私は今回のお話をうかがってからというもの、自身の心を掘り下げ始めるともういたたまれなくなるほどの疲労感と焦燥感が生じ辛い気持ちが増してしまいます。

その結果飛躍的に上手くなるのと、そこからは目をそむけて、のほほんと生きて、その中で出来る限るの演奏で満足して生きていくのと、果たしてどちらが幸せなのか?

特に、健康で動ける残り時間がカウントダウンとなってきた年代となり、その迷いは猶更。

人には人夫々の器というものがあるので、まあ致し方ないとは思うけれど、やはり私は、後者だなあ、と思ったり。

それでも、今日吹いたフルートの音は今までとは全く異なるものでした。

・・考えたくはないのに考えてしまうことになっている・・??


・・・・・・・・・・・・・・
(個別指導)
1.一般・・足に関するひもトレ効果を体験したい

丸紐を足指に巻いて歩く。中々変化したという実感は掴めなかったようだったが、観客からは姿勢と足運びの変化を指摘する声も。





2.フルート・・ポップスはOKで自分の音楽が吹けるが、クラッシックだとだめになる。習って吹くとだめ。フルート以外ではあるが、過去の音楽の怖い先生の記憶がよみがえるからか?自分の中の意識の問題とは思うがなんとかしたい。

丸紐の四方襷で変化。「応援してもらっている気がする」との感想。

甲野先生の御助言・・「何が変わったんだろう?」「アレ?あれ?!」を追求していくことで、自分の中に解放できるかも。



3.ピアノ・・右と左のバランスが悪く交差させて利き手でない左手でメロディーを弾くとき、それが聴こえにくい。また右手が伴奏の時にうるさくなってしまう。

祓い太刀で大きく変化。ばらけていた印象の左右の腕、背中、全身が繋がりひとまとまりになり、良いバランスの演奏に。音色も深まる。

甲野先生の感想「想像していた以上に大きく変わりましたね!」(同感)



4.ドラム・・左手で出す音が右に比べて弱いのをなんとかしたい
スティックで椅子の座面を叩く。

指紐。 本人の自覚はなかったものの、観客側は音色と響きが瞬時に変わったのを感知。




5.サクバット(ルネッサンス・バロック時代のトロンボーン)・・長くて重く、とても疲れて身体が痛くなるのをなんとかしたい。

許可をいただき、甲野先生に実際に構えていただくことに。
「・・なるほど・・確かにこれは相当大変ですね・・」と仰って数秒後、錘を付けることを提案。先生が持っていた手袋に何か(紐?)を詰めたものを後ろ側に下げて再び演奏されたところ、響きが深く音色は明るくなり、楽しそうな流麗な演奏に。あまりの違いに奏者、観客共驚く。


6.一般・・人前でとても緊張してしまうのをなんとかしたい

壁から少し離れて立って前に傾いていく方法を紹介。肩のポジションが落ちると共に喉がひらき、横隔膜も下がり、声の通りが良くなる。表情も明るくなる。
全員でステージに上がり、壁の前に立ち、先生からやり方を教わる。



その後、真剣を使って、鷹取の手の内のビフォーアフター効果も紹介しようとされたところ、既に壁の前に立つやり方で、皆肩が下がっていたせいか、最初から誰も刀を向けられても緊張しなかったので、こちらの検証は出来ないままに。壁立の効果の検証にもなりました。

・・・・・・・
懇親会もしみじみと楽しいひとときでした。

甲野先生、ご参加くださった皆様、ありがとうございました!

2月はお休みで、次回は3月17日(月)です。
どうぞお越しくださいませ。
・・今回、動画ばかり撮ってしまい、先生のお写真が殆どなくすみません。






(告知)第141回音楽家講座in鶴見

2025-01-27 11:43:56 | 音楽家講座・甲野善紀先生を迎えて
いよいよ明日は、甲野善紀先生を迎えての音楽家講座です。
https://www.shouseikan.com/yotei.htm#music

甲野先生のお忙しさは更にとんでもない事になっているご様子ですが、以下ご連絡をいただきました。

(引用開始)
この日は、私が1月9日に体験した 「本当に不思議な話」を行いたいと思います。 18日から名古屋、 関西と回りましたが それぞれのところで、話して、 多くの人に今までにない感じを 味わっていただきました。 まあ、この話は人を選ぶので、 あまり人が来られないかもしれませんし、 かえって 普通は来ない人が来られるかもしれません。 聞いた人の中には 自分の生き方が変わる人もきっと出るでしょう。 そういう種類の話です。
(引用終わり)


広い会場ですので、お申し込みなしでも大丈夫です。
どうぞお越しくださいませ!

 



第140回音楽家講座~甲野善紀先生を迎えて~ 11月28日(木)

2024-11-30 17:17:23 | 音楽家講座・甲野善紀先生を迎えて
風は冷たかったものの、11月末とは思えない程の陽気となりました。

先生の御忙しさは更に増していて、メールの返信だけでも大変なご様子。
早く到着されたのでラウンジにてお仕事を。

でも、昨年よりは、ずっとお元気なご様子でした。

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(お話)
武術というのは「対応の技術」。
スポーツと最も違うのは感覚、意識のあり様を当然の事として探求してきたところ。

身体を上手く使うためには、ここを気にしない。
「集中する」は違う。

自分がどうやっているかわからないような感じ。

「身体も自分の意識に注目されているとうごきにく」

75歳となったが、「技」自体は今が一番出来るようになっている。

(技を紹介、体験してもらいながら)
影観法 
左右を分離してやるほうの左を使わず右を使う
意識をパっと消してしまう
人は予想できる能力を持っているからこそ、普通に電車に乗って人混みをかき分けてここに来られる。
武術はその優れた機能の逆利用
人間は人が動くための事前の情報が必要
それを「ずらす」ことで「術と呼べる程のもの」となる
「津波の原理」・・筋トレ、反復練習では決してもたらされない、全く違う原理
人は人の心が読める

(誰でも出来る立ち上がり方の紹介)稽古人の女性の気付き
殯(もがり)で立つ
左右に脚を開くと重心がいったりきたりするのをクロスすることで重心が整う。

(重ね雲)
階段を虎拉ぎや火焔によって脇腹が脚を助けるやり方でなく、感覚だけで、心法で、とやっていたが、実はその裏が更にあり、階段をこちらに引き寄せて、とやる時の身体の取り扱い方に原因があった。重心が下後ろにがることで脚が出る様に。
これで「謙譲の美徳」をやると相手は足元から崩れる。

・・・・・・・・
(個別指導)
1.肩が痛む
祓い太刀

2.うた
胸紐で響きが増し安定。

3.ピアノ・・ショパンのエチュードで小指が痛くなってしまい、ミスしてしまう。
指紐でミスタッチが減り、響きが変化。



4.肩が痛む
肩、背中周辺への施術でラクに。

5.数年前からの人差し指の引きつりをなんとかしたい。
祓い太刀

6.座骨神経痛で両足が痺れる
(あとで)控室にて施術でラクに。

7.サックス
膝裏を緩めるようご助言。丸紐の四方襷で、息が伸び、響きが増す。

8.横笛(パイプ)・・右が抜けない自覚がありなんとかしたい。
祓い太刀。

9.ピアノ・・力を抜こうとすると却って力が入ってしまう。
自分の中で、自分が力が入ってしまったという事を逆に使って、悪いと思わないで、それを自分の中で任せてみる。
施術と祓い太刀で、響きが深くなる。


10.ウクレレ・・ネックの裏表の指が同時に動いて不安定になる時に苦心しているのをなんとかしたい。

四方襷で精度が上がり、響きが増すのでゆとりが生まれた。


11.フルート(白川)
左親指に大きな石の指輪を付けた時とそうでない時の響きの違いを、どちらが良いか聴いていただきたい。(会場の皆様にも)
馴染みのない、残響少な目の会場(旧奏楽堂)で演奏する時の対応方法は?


指輪による違いははっきりとあるが、どちらがよいかというよりも、好みの問題。
(客席からは指輪在り推しの声多し)

場所に関しては、そこに自分が行った時に、まずどういう感じがするかということが一番大事。何処でやるにしても自分の中でその今ここに居るその中で、何がより自分にとってより納得できる状況なのかを観て求める。その場での存在の仕方がどうするのが悔いが残らないか考える。

何かに向けて準備するということがあるかと思うが、「準備をしている」というその行為もいわば「本番」。
どうすれば、今いる自分がより納得できるかという方法を色々なところから、探し、その納得できることを続けて行く。

つい先のことを思ってしまうが、そうではなくて「今の今」を納得できる自分のありようを追求して「今そこがどうなのか」が自分の中で出て来る答えを探す。



・・・・・・・・・・・

音楽家講座始まって以来の「演奏のビフォーアフターなし」続出ではありましたが、これはこれで、今回の流れの一つと受け止めました。

施術後の血色がよくなり、パっと明るい表情となった皆さまを見ると、「これで良いのだ」と感じられ、故障を治し整えられた心身は音楽に限らず幸せに生きていくための大前提にあることを再認識です。

そのお陰もあり、個別指導希望者は多かったのに、私も受講出来、先生からの貴重で深いご助言を受けることが出来ました。

「その時々の今ある自分をどう見つめられるか」
これを日々思いながら、過ごしていければと思います。

少し早い忘年会も弓の話、火起こしの話と先生の話題はディープかつ多彩で、とても楽しいものでした。




年内の音楽家講座はこれで終了となり、次回は来年1月28日(火)となります。

ご参加くださった皆さま、会場スタッフの皆様、甲野先生、一年間ありがとうございました。

来年もどうぞよろしくお願いいたします!







第139回 音楽家講座 in鶴見~甲野善紀先生を迎えて~ 10月24日(木)

2024-10-26 12:19:45 | 音楽家講座・甲野善紀先生を迎えて
10月も半ば過ぎたというのに、とても蒸し暑い陽気となりました。
ここ数日も、もう暑いのだか寒いのだか、よくわからない毎日。

そんな中、甲野先生は、日本中を駆け巡っておられて、本当にとんでもない御忙しさのはずなのに、以前のような憔悴された感じは一切なく、何かしら突き抜けられたお元気な様子で、これがこの日の一番の嬉しい驚きでした。

おそらく、旅先の様々な出会い、それに伴う技の進展が、先生のエネルギーの源になっておいでなのかな、と思います。

そうした先生の「波」にシンクロしたかのように、私にも大きな進展がもたらされたので、そのご報告。
これも7月2日に口腔内の変化に気付いたからこそなのですが、それ以降導火線に火がついたかのように変化しています。

今回はフルートを吹いている中、もたらされた気付きですが、その状態で声を出してみたところ、大きな変化がありました。

声に響き、奥行き、ボリュームが出るように。

講座開始前に、控室で歌とフルートを検証していただいたところ、どうも、今回のものは、以前先生がみつけられた声帯に関する気付きと同じような働きをしているのでは、とのこと。

そういえばかつて植村泰一先生からも「フルートは声帯ともとても関連があると思う。」と仰っていました。

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(お話と技の紹介)

前よりも基本的な体力や肉体的な衰えはあるが、身体の使い方、技に関しては50代、
60代の頃よりも、今が一番使える。

今の技は特に、感覚、意識、思考といったものが、どういう構造でこうなっているのか?
凄く複雑だ。

よくやろうと思ったり、上がったりという思いをサっと消してしまう技の一つに、2017年暮れに気付いた「影観法(えいかんほう)」というものがあった。

(体験者を相手に技の解説)
相手を突こうとしたときには、こうして払われてしまう。
しかし、相手に触れているところではなく、触れていないところでやると払われない。

(しかしただそうするのでは何も起こらず)意識の有様が違っているのをどう説明したらいいのかがわからない。

人には皆、とても繊細で精妙な能力があり、次に来るであろう力の方向性を把握し先回りし正確に読んでいる。
こうした機能がないと満員電車に乗ったり、雑踏で人をよけながら歩いたりは出来ない。
人間がスムースに動作出来るのは予測できるから。

しかしこの技はそうした予想から外れているから止められない。

クラッシック音楽でメロディーがわかっていても微妙に心地よく予測を外されるから感動する。

この時、意識が全然違うものになる。

何気なくやっていても、意識は何処にあるかわかっている。その意識がパっと飛んだ時は何もないので予測できない。

(自分ではなく)まるで隣の誰かがやっているような感じで、完全に(意識の)スイッチを切っている。
こうしたこと(影観法)は気配に敏感な人程出来ない。
意識を分離させない。
人間は表の意識と裏の意識が絡み合っている。
パっとやっていることを持続させるといろんなことが違ってくる。
そのへんは、どういう人間の構造になっているのか?
出来る様になると、生き方も人生も変わってくる。
何かをやる時の意識のあり様が大切。
ただただ繰り返すだけでは、上達どころか、むしろヘタになるだけ。
どこかで気持ちをパっと転換する。
自分をパトロールするかのように見回っているもの(意識?)があるので、それをどうやって切り替えるか。過剰に働きすぎないようにするか。

(両手で手をもたれた相手を崩す)ただ上げようとする手と反対の手を操作すると地震の津波が伝わるようになる。ただイメージするのとは違う意識の在り方があえい、動きの質が違う。

これとは別に「階段上り」の応用での突きはこうした(意識の)手続きはいらない。
意識のあり様の違い、何かに気付くという大事さ。
「術と呼べるもの」はただただ反稽古では出来ない。
表にある意識をパっと切り替えている。

ネドじゅん、刑務所で講演した曹洞宗の僧侶、伝説の養護学校教員・山元加津子らの話。

人が生きているということは色々なことに対応すること。
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(個別指導)
1.ピアノ
フォーカルジストニアとなり大分回復したが、まだ思う様に右手が利かない。右手のパッセージが速い時、人前で弾く時など、左右のバランスが悪い。

指紐、祓い太刀で、指は軽く、音はふくよかに大きく変化。

2.ピアノ
本番での意識、自我をなんとかしたい。背中がバリバリになっている。

祓い太刀で、大きく変化。

3.ヴァイオリン
前回の受講後大きく変化し、周囲からの評価も上がったとのご報告。
(実際そうでした!)

祓い太刀で更に響きが増す。


4.能管
ナンバ歩きをご指導いただきたい。

膝をのばさない、手をふらない。
現代歩行は踵着地が問題。
クッション性の高いスニーカーはよくない。
「ヌケヌケ症候群」となる場合も。
人の身体は驚くほど精妙で、分厚いコートの上に巻かれたものが丸紐か平紐かを感知するくらい。確実に違いを感知する。
道は実際には硬いはずなのに、足元が柔らかいということで脳が混乱し、身体が理解できなくなり、運動機能そのものがおかしくなる。
裸足が一番。波打ち際の湿ったところを歩く。
具の目歩き
10分かけて45度まわる。「頑張ってやっている」ではなく。
「無構えの構」の稽古は、身体各所がピタっと揃うのが楽しく面白く、いつまでもやっていられる。決して苦労して何かをやる、というのではない。





5.ピアノ

祓い太刀で音に深みと輪郭が。


6.ピアノ
粒がそろわない。

丸紐による四方襷により大きく変化。

7.ウクレレ
肩が痛い。

祓い太刀で、背中が変化し、音が明るく晴々と。


8.ピアノ
身体の節々が痛い

祓い太刀でクリアに変化。

9.うた
喘息が辛い

鎖骨近辺の調整で、より響くように。


10.イタリア歌曲、フルート’白川)
せっかく色々な気付きがあっても、本番での「うまくやってやろう」があると失敗する。
これをなんとかしたい。

祓い太刀
歌、フルート共に変化。

演奏自体は以前よりはマシになったものの、意識はやはり緊張したままで、ベストコンディションではない演奏なのでなんとかしたい。

労宮のツボをへこませる手の内の紹介とその効果を持続させるための方法の紹介。

意識の変容にも結び付くせいか、内心のドキドキが消滅。


時間があったので、追加で個別指導
11.ヒーラー 
先生との対話

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これ程沢山の祓い太刀をされたのは、初めてではなかったか、と思います。
いつもより、丁寧に刀の手入れをされておいででした。

何度も受けている祓い太刀ですが、この日は更に威力が増していて、ズドンという衝撃がきました。

この日最初にお会いした時の先生の清明な印象は、更に増し、自分も含め、受講された方々の響きにもうつっていたような気がします。
懇親会も少人数だったせいかよりディープな話題で盛り上がりました。

翌日のお疲れが心配だったのですが、Xで以下のように仰ってくださっていて、とても安心しました。

(引用開始)
『昨日は朝起きた時どうしようかと思うほど気分も悪く、体調が良くなかったが、昨夜、鶴見であった音楽家講座は、私自身にとっても体の調整になったのか、何かが祓われたのか、今日は昨日とは打って変わった調子の良さ。

一人で剣術の稽古をしたくなって木刀を様々に使ったが「今までこれほど気持ちよく木刀を使えたことがあっただろうか」と思うような動きが出た。』(引用終わり)

ご参加くださった皆様、お手伝いくださったNさん、会場スタッフの皆様、
甲野先生、本当にありがとうございました!

次回は11月28日(木)となり、年内最後の音楽家講座となります。
どうぞよろしくお願いいたします。 白川真理










第138回 音楽家講座in鶴見 ~甲野善紀先生を迎えて~ 9月11日(水)

2024-09-13 22:50:01 | 音楽家講座・甲野善紀先生を迎えて
厳しい残暑の中の開催となりました。

先生は、「こんなことが出来るとは思ってもいなかった」という技が出来る様になったとのことで、とても晴々とした涼やかな表情だったのが印象的でした。


(お話)
今回の技は突然出来る様になった。
通常一般的に武術の技は相手の隙をついてやるものと思われているが、決してそういうものではない。

人間はごく普通の人であってもみな、とても精妙な機能が備わっている。
それを使うのが「技」。

人が生きて行く上で、誰にとっても関係のない世界ではない。
生きているということは「対応」の連続。

武術とは対応の原理

青少年育成のため、とかのものではない。

技とは人間の物凄く精妙な働きを使うもの。
如何に使うか?

クラッシック音楽で感動したりしなかったりは、ほんの僅かな差による。
それを人は感知する。

植芝守平(合気道創始者)はどのような相手でも、断ることなく対戦していたが、
鹿島神流18代の国井善弥との対戦だけは断っていたそうだ。

その国井善弥の技が出来る様になった。
これは、対戦相手がむち打ち症になる可能性のある技。

キャッチボールなどでも、人間は予測しているからこそ捕れる。
プロ野球のバッターが、女子ソフトボールでは打てない、というのも、グルグルと腕を回すピッチングに不慣れで、予測できないから。

80㎝だと思っていた高さが30㎝だったら、飛び降りるタイミングが異なってしまい結果、ショックを受けてしまう。

あらかじめ予測できないと上手く行かない。
だから人間は、物事が起こる前に予測し、準備をする。

その予測をどう外すか・・
(音楽では)心地よく微妙に外されると感動する。

自分が維持してきたものがあって、どう対応するか。


(最新の技を紹介、体験してもらいながら)

(この国井善弥師範の)払うだけで相手が崩れる技は、どう考えても出来るとは思えなかった。(「こうすりゃいいんだ!」の箇所の技)

https://www.youtube.com/watch?v=s8pUXSsI-x0

気配がないまま突然来る。



この技は説明のしようがないものだが、それが以心伝心で、すぐに田島(大義)さんが出来るようになった。

これは、しみじみとした嬉しさがある。
共に語れる者が居るという嬉しさだ。
武術の稽古の意味というのは「お互いが感動できる」ということではないだろうか。

忖度して弟子が受けを取るような世界とは別物。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(個別指導)

1.ピアノ
風邪で発熱した影響で急に左耳が聞こえなくなってしまった。
半分は聞こえているのだけれど、バランスが悪い。
 一週間後が本番なので、なんとかしたい。

 祓い太刀後、脇下、首周辺に手技で調整

(本人談)聞こえ方が変わった。身体が分離する感じがさっきより出来て、自動演奏になった気がする。ゾーンに入った気がする。

(先生)聴力は頸椎4番が関係している。

やはり、それだけの(素晴らしい)演奏が出来るというのは、「そうさせているもの」が色々あって、全てが引き合っている。立体のクロスワードパズルのようなもの。
それは、身体、精神、精霊的何かかもしれない。
  
祓い太刀の後、最初聴こえ方が少なかった側の響きも整い、明るい音色に。
手技での調整後は、より立体的に立ち昇り、響きのみならず、より音楽が語り始めた。
ショパンの言葉を聞いているような気がした。


2.ピアノ
左手の手術後、手の腫れが取れない。
その後、右の手首に力が入るようになった。

祓い太刀の後演奏

(先生)自分のピアノの音に引っ張られるようにして、音がどうしたらよいかと教えてくれるのを聞く。身体の中からやりたくなる動きが出てくる。(伸びをしたくなったり、腕のまわしたくなったり)
自分の中に、信頼関係を持つ。
自分の中に教えてくれるものがある。

ビフォーはなくアフターのみ演奏。
澄んだ水の様な響き。


3.ピアノ
前回やっていただいて、頭痛は治ったのだけれど、力が抜けすぎて、ピアノが弾けなくなったのでなんとかしたい。

先生は「これは今回初めてやるのですが・・」と手技で肩の調整。
確認すると、やはり、国井善弥の払うだけで相手が崩れる技の応用。
その後階段のところで首の調整。

アフターの演奏は別人レベルでの変化。音により深みが。


4.二胡
自分がやろうとしていること、見えていることが食い違って、見えない動きを伝えたい。
身体を敢えて苦しい状態にしてpを出す。
一つの状態の中に揺らぎがあって、「気」を使えと言われている。
楽器を自分と捉えるか、他者ととらえるか?
道具との距離を感覚として捉えたい。
先生の「影観法」に関心がある。


祓い太刀
(先生談)
これは、二胡の特性で、手足がバラバラになっていないと出来ない楽器。
「影観法」はある実況に入ると、それが出来る。
楽器は人を選びますね。


祓い太刀後の演奏を聞かれた先生の感想。
「結界が張られて、そこからそっちに行けなかったですね・・」と感嘆。

1番の方同様に、身体、精神、霊的な何か を考えさせられた演奏。
二胡は特に、霊性が強い楽器と認識。



5.三味線
30秒で右手がぶれてくるのをなんとかしたい。

丸紐の四方襷、指紐で、響きも増し、右手も安定し、別人レベルに変化。


6.うた
肩が上がって力が入るのをなんとかしたい。

祓い太刀

残響が増え、声量も増す。立ち姿も柔らかな印象に変化。


7.ピアノ
腕を痛めて上がらなかった。

祓い太刀?紐?(失念)
(本人談)つまったものが取れた

響きが増して、音楽がより流れ始めた。



8.フランス歌曲
年齢と共に、少しずつ高音が出にくくなってきにたのをなんとかしたい。

胸紐と虎拉ぎで、夜の女王も歌えるようになり大きく変化。

(虎拉ぎによる鎖骨肩周辺の変化)




9.ピアノ
(演奏はなしで)首が痛く、つまりがある。整体や針治療も試みたが今一効果がなかったのをなんとかしたい。

祓い太刀でスッキリされた模様。


10.うた
声の中心が出せない。芯がないのがフラストレーションで、しっくりこないのをなんとかしたい。

胸紐でよりくっきりと。響きが増す。


11.喉と首に払い太刀のリクエスト  

12.ギター
30分すると疲れてきて違和感があるのをなんとかしたい。

丸紐で四方襷

肩が下がって、ギターの響きがやはり別人レベルに。

四方襷の紐のかけ方の左右を間違えない様にとの解説しながら先生談

「人間がホワイトアウトで迷う時はみな左に行くのだそうです」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(感想)

今回も前回同様に、前半の時間を短くしていただき(これはこれでもったいないのですが・・)個別指導の時間を多めに取っていただきました。

毎回充実の音楽家講座ですが、今回はより進化、深化した感がありました。

それはおそらく、甲野先生の大きな進展、国井善弥師範の技に伴う何かがこうした参加者の方々を呼び寄せたのではないかしら?と思えます。

「音楽」における霊性、本来の意味、お役目など、改めて考えさせられた貴重なひと時でした。

講座の後、まず田島さんに「3センチバージョン」というかなり加減していただいた技を受けさせていただいたのですが、それでも瞬時に全身にズンときて、驚きました。
首にもちいさな振動があり、これが大きいとむち打ちなのね、と認識。

そして、打ち上げ会場のエレベーターの前で、やはりかなり加減していただいた先生の技を受けさせていただいたのですが、瞬時に身体の内側に散弾銃の様に細かい粒が飛び散り駆け巡り、といった感じがあり、足元から崩されました。

やはり、この技の「種」は9月1日に中島さんのパーティーの時に受けた出来立てホヤホヤのあの技。

あの時はその衝撃の大きさに驚きましたが、今回は、それが細かくなって全身に。

内側から身体を調整していただいたような感じで、それ以降、とても体調が良いです。

ご参加してくださった皆様、会場の皆様、スタッフのAさん、そして甲野先生、

本当にありがとうございました!