フラワーガーデン

ようやく再会したハルナとトオル。
2人の下す決断は?

暗号文

2006年02月19日 20時50分24秒 | 第13章 思愛編
僕の体は、ミセス・マクダウェルの予言をしっかり受け入れ、クリスマスの晩には病院のベッドで肺炎患者ライフをスタートさせていた。

入院をしたからと言って僕の多忙な日々に変わりは無かった。

病室に専用のホットラインを引き、ランを組んだ。

点滴を打ちながら、増えることはあっても減ることは無い書類の山に埋もれて窒息しそうになった頃、キンケイドがグレイスを伴ってお見舞いにやって来た。

驚いた事に二人はあれから意気投合し20歳の年の差を物ともせず、付き合い始めていた。

「よぉ!トール!お見舞いに来てやったぜ。しっかし、肺炎になるまで仕事をやるなんてなぁ~自己管理がなってないぞ」

グレイスは持ってきた花束を彼から取り上げると、ズボッと花瓶に突っ込んだ。

「ハニー。会うなりお説教なんて、トールが可愛そうよ」
「けどさ、こう言う時でないとこいつは聞かね~から」
キンケイドはグレイスの腰に手を回すと、僕の存在を忘れたかのように、熱烈なキスをし始めた。

グレイスも、「もう、困ったヒトね」とかなんとか言ってキンケイドの肩に手を回すと、
ずーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっと抱き合ってキスをし始めた。


コホン!コホン!!

僕がこれ見よがしに空咳をすると、二人は邪魔するなと言わんばかりの顔をした。

「で、オレに用があるって言ってたけど、何だよ?」
「この記事をワシントン・ポストに載せて欲しいんだけど」

キンケイドはぱっと見ると、絶叫した。
「な、なんだよ!!これ!!」
「暗号」
「これじゃ、何て書いてあるか分かんねーだろぉ!!」
「全米を探して1人でも分かる人間がいればいいよ。この暗号に隠された求人を解読できた人を採用したいんだ」
「けど、お前と作った張本人のフーバー以外は読めねぇんだろ?あの暗号文は」
「時間が無いんだ。だから、この求人を打つんだ。万に一つの可能性に賭けるよ。頼めないか?」

キンケイドはしぶしぶと「一応、載せてみるけど期待するなよ」と言い残して病室を去った。

外はすっかり日が暮れ、夜の帳が下りてきていた。
粉雪がちらつく病院の窓の外を見つめながら、僕は「ハッピーニューイヤー、ハルナ」と呟いていた。



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