フラワーガーデン

ようやく再会したハルナとトオル。
2人の下す決断は?

受難の花婿

2006年02月09日 21時39分29秒 | 第12章 逡巡編
女三人寄れば姦しい(かしましい)とは正にこのことだ。


テーブルに飾る花
椅子を飾る布キレ
食事
テーブルクロス
司会者
音響&照明
介添え
招待状
席札etc・・・


次々とテンポ良く出される課題を女共が嬉々としてこなして行く様はさながらプリティ・ウーマンだ。
オレはソファに体を沈め、リチャード・ギア宜しく「適当に決めてくれ」と手を回転させる。

ほぼオフクロとハルナの母親の希望が反映された披露宴プランが出揃った頃、入社6年目だと言う中堅ホテルマンが電卓を弾き出す。

「端数は当ホテルでサービスさせて頂きますとして・・・・・・」

有り難うございますと二人の母親は頭を下げる。

「487万円でございます」

オレは危うく口に含んだばかりのコーヒーを噴き出しそうになった。

よ、よんひゃくはちじゅうななまんえん!!


どこにそんなカネがあるんだよ!と口をパクパクさせながら立ち上がるオレを、オフクロはキッ!と睨みつけ、
「それで宜しくお願いします・・・・・・」
と、きっぱりとした口調で答えると、深々と頭を下げた。


オレはハルナとオバサンがトイレと言って中座した時、オフクロの肘を突付き、小声で話し掛けた。

(オフクロ、幾らなんでも487万円は高すぎだって!)
(安いくらいよ!3月と言ったら急過ぎてどこも埋まってるのよ!夜の挙式でも出来るだけマシよ。男だったら文句言わないの!!)
(でも・・・・・・それに、オフクロに悪いよ)
(・・・・・・何が?)
(金、出させるなんてさ)
(いつ出すっていったのよ)
(へ?今・・・・・・)

「出世払いに決まってるでしょー!しっかり勉強して、とっとといい医者になって、老後の資金、宜しくね!!」





・・・・・・オレはオフクロの底ヂカラを見たような気がした。



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