手を開いて制止するベルボーイの手前で車は止った。
冷や汗を拭いながら車から降り、回転扉の向こう側から出てきたホテルの従業員に謝った。
「いえ、お客様がご無事で何よりでした」
・・・・・・危なかった。
ともあれ、車を地下駐車場に入れると熟睡しているハルナを「着いたぞ」と揺り起こした。
オレはハヤル気持ちを抑え切れず、半分夢の中のハルナを抱き抱えると、全速力でホテルの中を駆け抜けていた。
息を弾ませながらフロントに立ち、キレイなお姉さんに「いらっしゃいませ」と祝福の微笑を投げ掛けられたその時だった。
「和人!遅かったじゃない!」
にこやかに手を振りながら声を掛けてきた中年オバサン二人にオレはギョッとなった。
「お、オフクロに(ハルナの)おばさん?!何で、こ、ここに?!」
「決まってるじゃない。ハルナちゃんに頼んでお前をここに連れ出してきて貰ったのよぉ」
・・・・・・オレの野望は瞬殺された。
それから、オフクロは何か喋りながらオレの腕を引っ掴んで説教部屋へと連行した。
だが、脱力し切ったオレの耳にはオフクロの声なんか届きゃしなかった。
「だいたい、あんたがしっかりしないからハルナちゃんが退学するハメに・・・・・・」
放心状態のオレだったが、耳だけは、「退学」の二文字を聞き逃さなかった。
「ちょっと、待て!オフクロ、『退学』って何だよ!」
「・・・・・・あんた、ハルナちゃんから聞いてなかったの?」
オレは首を横に振ると、オフクロの両肩に手を置いて、真剣に尋ねた。
「タイガクッて、学校を辞める事だよな?!」
「それ以外の何の意味があるのよ」
「・・・・・・聞いてない、ンですけど・・・・・・」
「だからね、これくらいしてあげたって罰が当たんないわよ」
「はっ?!何の話だよ?????」
常々思うが女ってのは何でこう話が噛み合わない生き物なんだ?!
自分勝手なことをつらつら喋りながら話しの落としドコロをつけて、無理矢理相槌を打たせる戦法にオレは数々の疑問を抱きつつも、頷いていた。
だが、この「退学」については話は別だ。
「ハルナが退学って・・・・・・」
そういい掛けた時、説教部屋の目の前にある白いカーテンがすっと開き、中からは真っ白な服に身を包んだハルナが恥かしそうに裾を持ちながら出てきた。
あの肩に掛かる位だった髪が上に上げられ、しかも真っ白な花まで持って、薄いヒラヒラの長い布を頭に乗っけている・・・・・・。
「どう、・・・・・・かな?」
ハルナははにかみながら手元の真っ白な花で顔を隠した。
オレは世界一呆けた顔でハルナに見惚れていた。
そして、「はぁっ!!」と忘れていた呼吸を始めると、この服が「ウェディングドレス」と呼ばれるシロモノであることを思い出した。
「かずにぃ?似合うかな?」
不安そうな顔でゆっくりと一週するハルナの初々しい花嫁姿を見て、オレは思ったんだ。
・・・・・・自己破産しちゃいけねぇ!って。
恋に夢中なあなたに♪アルファポリス
楽しい小説を読みたい貴方へ
冷や汗を拭いながら車から降り、回転扉の向こう側から出てきたホテルの従業員に謝った。
「いえ、お客様がご無事で何よりでした」
・・・・・・危なかった。
ともあれ、車を地下駐車場に入れると熟睡しているハルナを「着いたぞ」と揺り起こした。
オレはハヤル気持ちを抑え切れず、半分夢の中のハルナを抱き抱えると、全速力でホテルの中を駆け抜けていた。
息を弾ませながらフロントに立ち、キレイなお姉さんに「いらっしゃいませ」と祝福の微笑を投げ掛けられたその時だった。
「和人!遅かったじゃない!」
にこやかに手を振りながら声を掛けてきた中年オバサン二人にオレはギョッとなった。
「お、オフクロに(ハルナの)おばさん?!何で、こ、ここに?!」
「決まってるじゃない。ハルナちゃんに頼んでお前をここに連れ出してきて貰ったのよぉ」
・・・・・・オレの野望は瞬殺された。
それから、オフクロは何か喋りながらオレの腕を引っ掴んで説教部屋へと連行した。
だが、脱力し切ったオレの耳にはオフクロの声なんか届きゃしなかった。
「だいたい、あんたがしっかりしないからハルナちゃんが退学するハメに・・・・・・」
放心状態のオレだったが、耳だけは、「退学」の二文字を聞き逃さなかった。
「ちょっと、待て!オフクロ、『退学』って何だよ!」
「・・・・・・あんた、ハルナちゃんから聞いてなかったの?」
オレは首を横に振ると、オフクロの両肩に手を置いて、真剣に尋ねた。
「タイガクッて、学校を辞める事だよな?!」
「それ以外の何の意味があるのよ」
「・・・・・・聞いてない、ンですけど・・・・・・」
「だからね、これくらいしてあげたって罰が当たんないわよ」
「はっ?!何の話だよ?????」
常々思うが女ってのは何でこう話が噛み合わない生き物なんだ?!
自分勝手なことをつらつら喋りながら話しの落としドコロをつけて、無理矢理相槌を打たせる戦法にオレは数々の疑問を抱きつつも、頷いていた。
だが、この「退学」については話は別だ。
「ハルナが退学って・・・・・・」
そういい掛けた時、説教部屋の目の前にある白いカーテンがすっと開き、中からは真っ白な服に身を包んだハルナが恥かしそうに裾を持ちながら出てきた。
あの肩に掛かる位だった髪が上に上げられ、しかも真っ白な花まで持って、薄いヒラヒラの長い布を頭に乗っけている・・・・・・。
「どう、・・・・・・かな?」
ハルナははにかみながら手元の真っ白な花で顔を隠した。
オレは世界一呆けた顔でハルナに見惚れていた。
そして、「はぁっ!!」と忘れていた呼吸を始めると、この服が「ウェディングドレス」と呼ばれるシロモノであることを思い出した。
「かずにぃ?似合うかな?」
不安そうな顔でゆっくりと一週するハルナの初々しい花嫁姿を見て、オレは思ったんだ。
・・・・・・自己破産しちゃいけねぇ!って。
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