PIAFUL♪

ピアノを愛する私の・・・独断と偏見による
その時々の旬な話題?を気紛れに~♪

私はここにいるよ、忘れないで・・・

2005-06-06 | book
「ぜひ大人に読んでほしい本」 として、「お母さん、この本読
んで」 「先生、読んでみて」 と、子どもたちが薦める本…。

『ハッピーバースデー』 著者 :青木和雄 ・吉富多美

不登校、差別、いじめ、虐待、命と死という重い題材をテーマにした一冊。
カウンセリングに訪れる子どもたちの思いを紡いで書かれているので、子どもたち
のリアルな日々が映し出されている。うまく言葉にできない自分の思いを本の中に
探し当てるのかも知れない。だからこそ自分の身近な大人たちへ手渡している!?

「ああ、あすかなんて、本当に生まなきゃよかったなあ。」 自分の思い通りに成長し
た長男に比べ、できの悪い娘あすかに容赦ない言葉を浴びせる母静代。しかし、
静代の見せかけの鎧は、職場の年若い上司なつきによって徐々に剥がされていく。
愛に飢え、愛を求めて彷徨う母娘の再生の物語。

静代があすかに投げつける 「生まなきゃよかった」 「消せるのは声だけ?姿も消し
てみたらどうなの」 という言葉は、毒のついた棘です。存在を否定され、深く傷つい
たあすかは声を発することができなくなり、祖父母の家で心の休息をとることに…。

「怒る時は思いっきり怒れ。悲しい時は思いっきり泣け。じいちゃんが受け止めよう」
祖父の深い愛に包まれ、受容され、あすかは自分の存在への自信を持ち始める。

ある日、小学生の頃の静代の日記を見つけたあすかは、静代の心の痛みに涙す
る。静代もまた存在を忘れられた子どもだったのだ。
あすかは静代の痛みを自分のこととして受け止める。誰にでも弱さがあり、過ちを
犯す可能性を持っているのだということを、あすかは知る。

人は人と関わって、いくつもの殻を破り成長していく。人は変われる。固くて狭い価
値観を粉砕され、あすかの両親も変わった。

「私はここにいるよ、忘れないで・・・」 そんな、子どもたちのささやきが聞こえる本。
幅広い年齢層の方に読んでほしいって思った。特に、親になられる前の方たちに!