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狼と香辛料 幻の第7話とDVD販促手法

2008-04-02 18:25:37 | 漫画・アニメ
今期唯一見ていたアニメ、「狼と香辛料」をようやく見終わりました。ロレンスにいいようにもてあそばれるホロのかわいさは異常。

この作品、全13話なのですが、テレビでは12回しか放映されませんでした。第7話にあたる話はDVDのみに収録されるそうです。

これは当然DVDを買わせるための手法なんでしょうが、今までにもあったのかどうか知りませんが(放送の都合で話数が飛ばされたビバップみたいな例はありましたが)、上手い方法だと思いました。
今回はこの手法について少し考えてみたいと思います。

まずはじめにおさえておかないといけないのは、昨今の深夜アニメの状況です。普通のテレビ番組とは違い、深夜アニメでは、基本的にアニメ製作側がスポンサーから資金を調達し、テレビの枠をテレビ局から買って放映します。そして、スポンサー料とDVD等の売り上げで制作費をまかなうわけです。(正確な情報ではないです。しかしDVD等の売り上げで成り立っているのはガチ)
つまりテレビ放映はDVDの販促であり、DVDの売り上げをいかに上げるかがポイントなのです。大々的にテレビで放映するわりに、DVDを購入する一握りのひとたちからの収入で成り立っている、いびつといえばいびつな構造です。

さて、そこで「狼と香辛料」の放送されなかった第7話です。
この第7話は、DVDで見るしかない。とはいえ5000円以上もするDVDを買わなくても、レンタルショップで借りて見れば済む話です。動画共有サイトで見てもいい。もちろんそこまでするなら見なくてもいいという人が大半でしょう。しかしここでは、そういう人は相手にしていないのです。

もともとテレビ放映を見ているたくさんの人の中で、DVDを買う可能性のある人は一握りです。その中でも、放っておいてもDVDを買う人と、買うか買わないかの境界線上にいる人たちがいます。
第7話が対象としているのは、この境界線上にいる人たちです。もともと母数が少ないわけですから、この人たちを少しでも取り込めれば大勝利というわけです。

さてその効果はとりあえず3つ…

まず第一に、少しでもきっかけを与えることができます。「一度見たからどうせもう見ないけど買うか…どうするか…」という人でも、見ていない話があるんだから購買意欲は増します。また、第7話の入った巻だけ買うというわけにはいかないのがコレクター魂というものでしょう。一巻売れるということは、全巻売れます。(DVDなんてコレクションの世界ですよね)

次に、優越感が得られます。「どうせみんなテレビで見てるんだよな」というところから抜けて、買った自分だけが見られる話があるという優越感は購買意欲につながります。最近は特典映像や本編のクオリティーアップ、ランドセル付属などのオマケが付くDVDが多いですが、みんなが見られなかった「本編」が見られる(所有している)というのは大きいでしょう。

ただこれはやりすぎると批判を浴びる危険性をはらんでいます。作品を中途半端なところまで放映して続きはDVDで、という「あのね商法」なんてのもありました。しかし今作では1話~6話、8話~13話がまとまった話であり、未放送の第7話はインターミッション的なショートシナリオなので、見なくても問題がないようになっています。視聴者と喧嘩しないことが商売上大切なこともちゃんとわかっているので好感が持てます。

最後に話題性です。「放映されていない話がある」という話題性で、作品を目立たせることができます。大量にある深夜アニメの中で、少しでも目立つことは大切です。(もちろん追従して同じ手法をとるアニメが増えればそこまでですが)

どれも些細なことであり、どれほどの効果があるかは分かりませんが、境界線上にいる人達の背中を、ちょっとだけ押してあげることが大切なのではないかと思います。これでこの作品のDVD売り上げが伸びたら、今後同じ手法が増えていく可能性もあって、それはそれで…困るのですがw

もちろんこれらは小細工の域を出るものではなく、DVDが売れるためには作品自体が面白いことが大前提だということだけ付記しておきます。(ガンダムみたいに名前だけで売れるものもありますが…)

ちなみに僕はDVD買わない人なので、こういう手法の対象外にいる人間です…。レンタルするか、ニコ動で見れれば…。(映画のDVDなら買うんですけど、アニメDVDはやはり値段が…)