映画食い倒れ。

~映画は人生のデザートです~

個人的覚え書きのため、たまにネタばれありです。

「8マイル ~8mile~」

2008年01月26日 | 映画~あ~
もう6年前なんですね、この映画。試写会が当たったので、公開当時に映画館で観ました。今回はテレビで見ましたが。ほかの映画の試写会と違って、大学生風の男の子が多かったんだよね。そしてエンドロールも皆最後まで観てた。いや、観てたというより音楽を聴いていたんだと思うけど。

8マイルはデトロイトにある道路の名前で、この道路を境に南側に貧困層、北側に中産階級と分かれている。この映画はエミネムの自伝的映画といわれている。もちろんエミネムのことを詳しく知っているわけではないので詳細はわからないけど、12歳までデトロイトに住んでおり、ショウビズ界へは映画のようなMCバトルコンテストにいくつも出場してきたというから、こういう世界を本当に見てきたんだろうなこの人は。

とにかくエミネムの演技に驚かされる。本当に自然。彼が前面に出ているのではなく、かなり抑えた演技をしているのがいい。今はかなり体重が増えてしまって見る影もない感じだけど、この映画の時期のエミネムはかなりかっこよかった。傍若無人な振る舞いや過激なパフォーマンス、歌詞で頂点に上り詰めた人だけど、この人の顔ってとても神経質そうなんだよね。インテリっぽいというか。彼が紙に歌詞を書きとめているシーンなんかは、思わず引き込まれてしまう。もしそんな人が乗り合わせたバスにいたら、見入ってしまうんじゃないか。

母親役のキム・ベイシンガーの落ちぶれぶり(もちろん演技)も見事。ただ、どんなに落ちぶれてもスタイルがいい。しょうがないよね、これは。だってスターだから。欧米の映画を見て感心するのは、もとがどんなにきれいな女優さんでも役のためにはみすぼらしくも汚くもとことん演ずるところ。日本の映画でいまいち物語に入り込めないのは、どうやったって美しく写すから。『フラガール』のなかの富士純子はすばらしかったけど。

とにかく圧巻は、ジミー(エミネム)がMCバトルで宿敵を倒すシーン。このエミネムが本当に本当にかっこいい。ラップの内容を理解できたら、もっと楽しめるはずだけど、残念ながら無理でした。イギリス人にもよくわからないらしい。

友達にはラビットと呼ばれているジミー。このネーミングはうまいなぁ、と思う。ニット帽をかぶり、神経質そうな目をぎょろりとさせているジミーは、繊細でか弱い白兎に見える。そしてエンディングテーマの『Lose Yourself』。抜群です。この曲のよさが、映画のイメージや質を格上げさせているとさえ思う。

ブリタニー・マーフィー演じるモデルを夢見る女の子はニューヨークへ行くことになったけど・・・いったいどんなモデルになるというのだろう。確かに細いけどさ。



おすすめ度:☆☆☆★



「タイタンズを忘れない ~Remember the Titans~」

2008年01月23日 | 映画~た~
4.5年前に弟がレンタルで借りてきて一度観た覚えがあるので、2度目です。といっても初めて観たときの印象はというと…「アメリカ的泣ける映画」。ちょっと斜めから観ているかんじだったのですが、今回は素直に楽しめたと思います。実話をもとに…ってどこまでが実話かわからないくらい脚色をすることがあるのですが、それを考え始めたらアメリカ映画は楽しめませんね。反省。

さて内容はといいますと、黒人差別が色濃く残る1971年のヴァージニア州の田舎町。アメリカ公民権運動の高まりの下、この田舎町でも白人学校と黒人学校が統合され、その高校のアメフト部のコーチに黒人のブーン(デンゼル・ワシントン)がやってくる。アメフトを通して人種の壁を越え始める選手たち、そして彼らの活躍を通して町の人たちも変わっていく。


いやー、デンゼル様はいい仕事なさるわ。何を見てもはずれがない。あ、『ペリカン文書』は未だに最後まで見れてないけど(面白さがわからない)。どんな役も演じきる。いや、もう演じているようには見えない。デンゼル・ワシントンであることは間違いないのだけど、それぞれの映画の中で全くの別人に見えるところがすごい。だって、この映画のデンゼル様と『インサイドマン』のデンゼル様が同一人物だとは思えないでしょ!?私、興奮しすぎでしょうか?


原作も読んでいないし、本当にどこまで実話に基づいているかわかりませんが、映画としてのキャラ設定は抜群でした。

チームのキャプテンの男の子もよかったわ。無駄なカッコよさ(見た目)がなくて、アメフトやってなければあんなかわいい彼女できないだろ!…とスポーツの強い学校ではよく見られるパターンを見事に体現。監督ジェリー・ブラッカイマーはそこまで計算してたのか!ほんと、運動一筋で脳みそも筋肉でできてそうな外見なんだけど、こいついい奴やわ。あんまり威厳がないところも高感度アップの要因やね。

チームを風通しをよくしたのは、カリフォルニアからの転校生のサンシャイン。映画のなかでは飄々としていて都会的な香りがして、女の子にも人気な設定なんだけど、登場シーンの彼は見ごとにダサい。ええ~っ!?っていうくらい垢抜けない。髪を切ってよかったね。そしてなぜか太極拳をたしなむところがまたカリフォルニアちっくでよい。突然キャプテンにチューしたり、ちょっと不思議ちゃんだけど、それがまた男臭いアメフト部に新鮮だったり。

当初いざこざの絶えなかったタイタンズのメンバーを、デンゼルは「ゲティスバーグの戦い」の戦場に連れて行く。1863年、南北戦争の趨勢を決めたといわれる最も重要な戦いの地で、高校生たちは何を感じたのだろう。100年前の戦争と同じようにいがみ合っている自分たち。黒人差別(奴隷解放)のために7000人以上が亡くなり眠っているこの地を訪れた彼らにとって、大きなターニングポイントになったに違いない。


考えさせられたのは、被差別側として弾圧されてきた黒人たちの心の強さ。ブーンコーチの精神力の強さはどこから来るのだろう。現在の心理学の実験でも、周囲に「劣っている」と言われたりすると、本来の力が出なくなってしまったり、自分を卑下したりするようになることが実証されている。当時のアメリカでは(いや、きっと今もあるだろうけど)黒人差別は当たり前。その空気の中でチームをまとめ、士気を高め、自らの家族を守り、黒人社会からの期待も背負い・・・この人のメンタルの強さ、自分の気持ちをコントロールする力の源は何なのだろう、と。

ヴァージニア州というと、南部に入るんかな。今もアメリカは、南部地域のほうが黒人差別は強い(昔ほどあからさまではないけど)。7年前にノースキャロライナ州に行ったときに聞いたエピソードを思い出しました。そこの知り合い(日系アメリカ人)が高校に進学するときのこと(1997年)。中学には白人も黒人も大勢いて皆仲良くしていて、通常高校への進学は自分たちが住んでいる地域の学校へ行くため、皆同じ高校に通うはずだったのだが、いざ高校に行ってみるとそこには黒人の同級生しかいなかったらしい。白人の学生は、黒人学生とは別の学校へ行くため皆引越しをしたそう。
表立った差別はなくても、心のどこかには潜んでいる。この出来事は、ほんの今から10年前。タイタンズの話は1971年、約40年前。ゲティスバーグの戦いは140年前。根本的には何にも変わっていない、ということなのかな。

タイタンズが試合前に行うダンスが、ものすごくかわいいです。リズムには乗ってるけど、動物の本能が出ているような。アメリカ人のこういう鼓舞の仕方って独特よなぁ。オリジナリティーがあっていいわぁ。



おすすめ度:☆☆☆★



「1408号室 ~1408~」

2008年01月22日 | 映画~さ~
ジョン・キューザック主演のホラーファンタジー・・・なのか?スティーブン・キングの小説『1408』の映画化です。この映画全く知らなくて、ある日だんなが職場でDVDを貰ってきたので偶然観ました。

このタイトルもそうだしジャケットのデザインのせいでもあると思うんだけど、まさか現代の話だったとは。「1408」って、「1408年」のことかと思ってました。だからといって1408年に何があったのかなんて知りませんがね。

「1408」というのはホテルのルームナンバーで、ジョン・キューザック演じるマイクが泊まる部屋なんです。マイクは、幽霊の出るホテルや呪われた場所などを取材しているライター。そのマイクのもとに、「この部屋には絶対に入るな」というメッセージが書かれた絵葉書が届きます。それがニューヨークにあるドルフィンホテルの1408号室。過去に56人もの死者が出ているこの部屋に、何とか潜入したのだが・・・といった話です。

サミュエル・L・ジャクソンもホテルの支配人として登場しているのだけど、私個人の好みを言わせていただくと、どうしてこのキャスティングだったのか不思議。ジョンもサミュエルも。マイク(ジョン)がこの部屋で大変な目にあう様子を見ている間、どうも志村けんのバカ殿様のコントを見ているような気がして仕方がなかったんだよね。決して映画の出来が悪いわけではないので、バカ殿の夏休みスペシャルとかで必ず出てくる幽霊に追いかけられるようなコントの出来が良いのかもしれない。
アイラインのしっかりしたジョンの目とか、どことなくバカ殿に似てるし。あ、私、ジョン・キューザックのことが単に好きでないだけなのか?


ジョン・キューザックでなくてジョニー・デップだったら?・・・もう少し物語りに深みが出たような気がするんだけどなぁ。サミュエルも、別にあの役にあんな大物(灰汁強め)を使わなくても良いような気もするし。原作を読んでないからキャラ設定はわからないけどさ。でもジョンである必要はない。

設定がニューヨークで、名前がドルフィン・ホテル。何でだろう。その辺の謎解きは特に用意されていなかったなぁ。もしかしていろいろ考えすぎですか?





おすすめ度:☆☆ 時間つぶしにどうぞ。



****追記(2008年11月15日)****

2008年11月22日から日本で劇場公開されるようですね。お客さん、入るんか?

「ロミーとミッシェルの場合 Romy & Micheles High School Reunion」

2008年01月19日 | 映画~ら~
ミラ・ソルヴィーノと先日観た『P.S.I Love You』にも出演していたリサ・クロドーの主演のコメディー。

1997年の公開で、私がこの映画を初めて観たのはたしか2000年。すでにテレビシリーズ『フレンズ』は日本でも放送されていたのだけど、私は見ていなかったので、この映画で初めてリサ・クロドーを知りました。なんかものすごく個性的な顔だな~、と。

LAで暮らすロミー(ミラ)とミッシェル(リサ)のもとに、高校の同窓会があるとの知らせが。しかし高校ではどうも浮き気味だった二人は、これを機に同級生たちをあっといわせようとビジネスで成功したと嘘をつくことを思いつく。しかし簡単にそんな嘘は見破られ・・・。

スタイルの良いブロンド二人組がすごした、いけてない高校時代の回想シーンはかなり無理があってそこがまた面白い。同窓会でシンディー・ローパーの「Time After Time」をバックに踊ったダンスの素晴らしいこと!中学の体育でやった創作ダンスを思い出したわ。

この映画を楽しむポイントは、二人に共感すること(できるのか?)、そして二人をかわいいと思うこと。ものすごく無理な設定なんだけど、「頑張れ!」といいたくなってしまう二人のキャラがとにかくいい。いじめっ子の女の子がまた、「あーー、こういう奴いるわ~」と心底憎たらしく思えてしまう。

最後はハッピーエンドで終わるのだけど、自身の洋服のお店を持った二人の「Have a Romy and Michele Day!」「それいいわね。」という台詞が頭から離れません。どこまでもマイペースで自分の好きなものに正直な二人の女性を応援したくなる作品。

だからといって女性を応援するような内容では全然なくて、とにかくコメディー。日本では絶対にあたらないような、B級映画です。でもアメリカではファンサイトもあるくらい、そこそこ人気があったよう。そういえば、最近ミラ・ソルヴィーノ見ないなぁ。



おすすめ度:☆☆☆☆ 

「P.S.アイラブユー ~P.S. I Love You~」

2008年01月14日 | 映画~は~
ヒラリー・スワンク主演のコメディー、『P.S.I Love You』観てきました。コメディーであることは知っていたのだけど、詳しい内容はぜんぜん知らないまま観てきました。中身のない恋愛ドタバタコメディーだろうと、期待せずに行ったらこれがなんともすばらしい!!!見事なエンターテイメント映画でした。

ヒラリー・スワンクというと、オスカーを獲った『ボーイズドントクライ』や『ミリオンダラーベイビー』のように、ずっしりと重く暗いイメージが強くて、彼女にコメディーができるのか?と正直思ってました。もうこれは、「さすがオスカー女優!」と拍手を送りたくなるくらい抜群でした。

主人役のジェラルド・バトラーって、『300』の人だったのか!もう、この人のアイルランド訛りの英語がセクシーったらない。アメリカ女性がメロメロになるのもうなづける。洗練されたかっこよさではないのだけど、純朴で暖かくてかわいらしさのあるこの役に、彼は本当にぴったりでした。

脇を固める役者たちも豪華。キャシー・ベイツ、リサ・クドロー(「フレンズ」)、ジーナ・ガ-ション、ハリー・コニックJr。リサの演技で映画のコメディー度もテンポも格段に底上げされていて、見事な縁の下の力持ち。ジーナ・ガーションって、セクシー映画にしか出ない気がしていたので、彼女の配役は新鮮でした。ただ、ハリーがこの映画の中ではいまいち垢抜けていなくて、私には終始「板尾創路」にしか見えませんでした。


日本での公開は今年の秋。昨年12月にアメリカで公開されて、イギリスでは1月4日から。マスコミの票はぜんぜん高くないのだけど、私はかなり気に入りました。DVDでたらほしいくらい。いや、もう一度映画館に行きたいくらい。



おすすめ度:☆☆☆☆☆




****** 追記 *******
『P.S.アイラブユー』の日本での公開が決まったようですね。
2008年の10月18日から公開らしいわよ。ほんとにお薦め!!!
(2008年8月10日)

「イナフ ~Enough~」

2008年01月13日 | 映画~あ~
公開当時、先に観た友人から「観ないように」と忠告されていた作品。その忠告がずっと脳裏に焼きついており、「どんなに酷いんだ?」と逆に気になっていた作品。だからといってもともと見たかった作品でもないし、レンタルしてまで観ようとも思わないし…と思い続けて数年。テレビで放送されました。これは観るしかないでしょう!!!



…私の友人は、誠に正しかったわ。これにお金を払って映画館の大画面で観た日には、胸糞悪くなるどころか、生気を吸い取られて目眩がしそう。あ、だから友人は忠告してくれたのね!私の場合は「駄作」であることを知ってみていたから、友人が言うほど酷いのかの確認作業のような鑑賞。

いやーーー、それにしても酷かったわ。想像を超える酷さで、逆にすがすがしかったけど。

DVをテーマにしていると聞いていたので、社会派なのかと思っていたら、映画の中では何も解決されないし、何の問題提起もされていない。そもそも社会派じゃないから仕方ないけど。「目には目を」。それだけ。ハムラビ法典。

それにしても、ジェニロペの男は友人を使ってまで結婚にこぎつけたわけだけど、どうしてそこまでして彼女でなくてはならなかったのかなぁ。ナゾ。

DV男からの逃れ方、特に初めに警察にもシェルターにも助けを求めなかった彼女の行動も謎だし、男の裏社会とのつながりも、彼女の復習の方法も、トレーニング期間の短さも・・・すべてが謎。



それから最後に、日本版のキャッチコピーっていうの?よくわかんないけど、ポスターとかDVDのパッケージに書いてあるやつ。これがさ、もう脱力物なんだわさ。

『お前を心から愛しているよ。だから傷つけずにはいられないんだ。』


こらーーーーーーーーっっっっっ!!!!!!!!!


これがそもそも間違っとるだろっっっ!!!!!!!だんなはジェニロペのことなんか、愛してないっつーの。この間違い文章は、日本でのDVに対する理解度をそのまま表しているのか?いやー、怖いね。映画の酷さも怖いけど、こういうこと平気で書いちゃうのも恐い。誰、このコピー考えたの? おすぎ? 商業的理由だろうけど、こういう誤解を与えるような表現はあかんよ。日本のプロモーションも問題大有りやね。


ジュリエット・ルイスの場末のはすっぱ役、はまってたわ。




おすすめ度:・・・無星。みないように。


「愛と青春の旅立ち ~An Officer and a Gentleman~」

2008年01月11日 | 映画~あ~
久しぶりに観たわ~。若きリチャード・ギアの目がつぶらなことっっ!!!目だけ見ていると、たまにジョシュ・ハートネットにも見えてきました。ちなみに親友役はマット・デイモンを思い起こさせます。

空軍士官学校のトレーニングを受ける若者たちを軸に、軍人としての成長はもちろん、友情、恋愛など盛りだくさんの内容。映画の要素が全部入っています。


初めて観たのは15年くらい前だったと思うけど、こんなに突っ込みたくなるような映画だったのかなぁ・・・。時代の移り変わりで、昔のことが滑稽に見えたり、そもそも文化の違いというのもあるんだろうけどさ。それにしても・・・。

アメリカの軍隊トレーニングって、こんなにぺちゃくちゃ自由にしゃべったり、大声で笑ったり、車やバイクを乗り回して女をホテルに連れ込んだり(同意の上ですが)、上官にたてついたりできるものなのでしょうか。「お前ら、何しに来たんだ?」と。そら、映画だからね。こういうのがないと話も展開しないかもしれないけど、それにしてもひどいんだよね。ビリーズ・ブートキャンプのほうが厳しそうに見えちゃったりもします。こんなやつらの面倒を見なくてはならないなんて、鬼軍曹がかわいそうになる。

ギアがアスレチックトレーニングで新記録をかけて挑戦していたのに、苦戦しているクラスメートを助け、記録そっちのけで一緒にゴール!クラスメイト感動!!のシーンがあったけど、実際それってどうなの?、と。私が助けられた側だったら、つらすぎるわ。自分のせいで新記録でなかった、とか。助けてくれるのなら、いったんゴールしてから折り返してほしい・・・私、わがままですか?


こういう映画に恋愛は付き物だけど、学校周辺に住むポーランド移民の貧しい女性たちの、何とかして将来のエリートたちに近づき、この生活から脱出しよう、という背景が面白い。そんな女の野望のために、純粋なオクラホマ・ボーイは人生を狂わされてしまうのだけど。この女たちの、他力本願振りは見事やわ。


いちいち、「ありえへん」と失笑してしまうのだけど、結局最後まで観てしまったのは、映画として観客を引き込む魅力があるということなのかな。



おすすめ度:☆☆★(この映画で心から感動する人とは、ちょっと友達になりたくない私)

「ヒストリーオブバイオレンス ~History of Violence~」

2008年01月10日 | 映画~は~
善良な市民がある日突然強盗に襲われ、勇敢にも戦い居合わせた人々を救ったことから、彼の秘密の過去が暴かれてしまう。


映画前半で描かれる、彼の家庭の円満ぶりは思わずうらやましくなるほど。妻が突然チアリーダーのコスプレで現われ、主人のトム(ヴィゴ・モーテンセン)をベッドに押し倒すシーンは、彼が暴力とは無縁どころか、夫婦関係も奥さんに手綱を握られているくらい気の優しい男…という印象がうまく伝わります。

しかし前半に比べ秘密が暴かれていく後半の、緊張の意図が切れたような展開には少々がっかり。悪役の外見が、子供向けのヒーロー物を見ているのかと錯覚するくらいわかり易過ぎて笑えます。

ひ弱キャラだった息子が豹変してしまうのは、父親への不振が起爆剤となっているのか、それとも切れてしまったのか。もしくはDNAなのか?もしかして重要なシーンカットされてた?(←ケーブルテレビの放送を見たので…)

そうそう、映画の冒頭シーンの長回しなのだけど、物語を始める上でのかませ犬である強盗を映し出すことで何か特別なヒントが隠されているのか、と思ったのだけど。「長まわし」という手法でインパクトつけたかっただけなのかなぁ。あそこだけ独特の空気をかもし出そうとしていたように感じたので、その効果が後に生きてくると思ってましたが、特に意味はなかったよう。


主人公ヴィゴ・モーテンセンの「切れ者」ぶりは、役柄ではなく人間としての存在レベルから漂ってきたのでネットで調べてみたら・・・

なるほど。役柄では隠しきれない頭の回転のよさがありました。本当の切れ者って、においのように自分のインテリジェンスを空気中に放出してしまうのかしら。


世間はかなり高評価だったけど、期待しすぎたのか私にはあんまり。



お勧め度:☆☆★

「ボーン・アルティメイタム ~Bourne Ultimatum~」

2008年01月09日 | 映画~は~
昨年11月に鑑賞。結局2作目の『ボーン・スプレマシー』を観ずに劇場へ行きましたが、十分楽しめました。3時間と長い作品ですが、飽きずに楽しめたのはテンポよく物語が展開されているから。


前半はCIAを撹乱するために、ヨーロッパ各地をあちこち移動します。画面に出てくるのは、大都市の主要駅だったりするので、なんだか大学生バックパッカーのたびを見ているような気分にもなります。ヨーロッパを電車やバスで旅行したことある人は、ちょっとテンション上がりそう。「この街、今度行ってみたいな」という見本市にもなります。(いや、ならないけど)

後半は、このシリーズの核心へ。ボーンとCIAとのやり取りもですが、CIA内部の人間模様も加わり、話に多様性を与えています。

主演のマットがハーバード出身、というのもこの映画をよい意味で押し上げているような気もします。いや、必ずしも高学歴である必要はないのだけど、インテリ顔、もしくはインテリな雰囲気を十分にかもし出せる何かがないと、納得できません。たとえばトム・クルーズとか・・・。


話の内容のみならず、ひょっこりとダニエル・ブリュールが出ていたり、とキャスティングも面白かったです。



お勧め度:☆☆☆☆

「幸せのルールはママが教えてくれた~ジョージア・ルール~」

2008年01月04日 | 映画~さ~
カリフォルニア育ちで自由奔放な孫娘レイチェル(リンジー・ローハン)が、アイダホに住む祖母(ジェーン・フォンダ)の家にやってくる道すがらから物語が始まる。

祖母が暮らすのは、アイダホの田舎町。町を歩けば皆が顔なじみで、誰もが言葉を交わす。ファッションも態度も、レイチェルのすべてがこの町では浮きまくる。

いつもたてつくレイチェルを、母親はもてあまし、どう接していいのかわからずお手上げ状態だったが、レイチェルの態度には深い理由があった。


名優ジェーン・フォンダとの共演を果たしたリンジー・ローハン。名優と並んでも遜色のない、若手の仲でもずば抜けた演技力を持つ彼女の才能を堪能できる作品。

母娘三代の、同性だからこそ難しい関係を軸に、それぞれの想いがうまく描かれています。また、特にレイチェルの台詞が彼女のキャラをうまく生かしたもので、とてもいい。嫌がらせをする女の子たちに「あんたの彼氏と寝るわよ!!」とすごんだり。それぞれの性格や悩みを、2時間で明確に描き出している点には感心。

日本では劇場公開はなく、DVD発売のみのよう。この映画の一般的な評価はかなり悪いようだけど、私はそんなに悪くないと思う。ただ、お金を払って映画館で見たいかといわれれば…DVDで十分。それより何より、日本語の題名『幸せのルールは~』って…。興行的に成功する気が全く見られない。『ジョージア・ルール』で何か問題でもあるんか?

ジェーン・フォンダのたるみのない顔(お直し済)や二枚目役なのに、いまいち魅力的ではない男の子など、見所満載。





お勧め度:☆☆☆