映画食い倒れ。

~映画は人生のデザートです~

個人的覚え書きのため、たまにネタばれありです。

「The Mighty Celt (原題)」

2008年02月16日 | 映画~ま~
2005年のイギリス映画。アイルランドを舞台に、少年とグレイハウンド(犬)の交流、家族の形、IRA…といろんな題材が程よく描かれている作品。

ダナルはケンネル(犬舎)で働く14歳で母親と二人暮し。犬舎ではグレイハウンドの繁殖とドッグレースで戦うための訓練が行われている。経営者のジョー(ケン・スコット)は、一匹のグレイハウンドを使い物にならないと殺そうとするが、ダナルはその犬の素質を見抜き引き取る。ダナルの世話や訓練の甲斐があり、犬はメキメキとその素質を開花させ、レースで勝ち続ける。ドッグレース、ケンネルに潜伏しているIRAの戦士たち、不在だった父親(ロバート・カーライル)の出現、経営者ジョーの仕打ち・・・。

大掛かりな映画ではなく、どちらかと言うとテレビ映画のような規模のもの(BBC製作だから実際そうかもしれないけど)だけど、その規模だからこそ堪能できる物語だと思う。

そしてキャスティングがよい。小ぶりの作品だけれども、一流の俳優人の起用で映画が締まっている。特にケン・スコットは抜群。冷酷で金に汚い、黒いバックグラウンドを持ったジョーを見事に体現。

ロバート・カーライルが出ている、と言うだけでなんか安心して映画を選んでしまう私。どうしようもない内容のものには出ていないイメージなので。独特の存在感もあり安心のブランドでもある(私にとって)。

主演の男の子も、犬に対する愛情がひしひしと伝わってくる演技がとてもよかった。


・・・といいつつこの映画、舞台がアイルランドなだけにすべてアイルランド訛りの英語なのです。見ていて話はもちろんわかるのだけど、私のこの映画での会話の理解率0.01%でした(こらっ!)。でも楽しめます(ほんとか?)。ぜひ字幕つきでお楽しみください。英語わかる方は関係ないと思いますが。

日本ではDVDも出てないかもしれませんが、機会があったらぜひ。小ぶりな良作です。


おすすめ度:☆☆☆★



「モンスターインロウ ~Monster in Law~」

2008年02月16日 | 映画~ま~
ジェニロペ。またもやってくれました。『イナフ』に続いて、こちらでもやってくれちゃいました。

2年ほど前にテレビ東京系の「Showbiz カウントダウン」で紹介されていて、見るのを楽しみにしていたのだけど…見事に期待を裏切ってくれました。

何がって?ジェニロペの演技力です。以前『シティオブエンジェル』でのメグ・ライアンのがっかりについて書きましたが、おそらくそれを超えています。ジェニロペ演技下手と言うより、演技できてません。映画の冒頭から、あまりの驚きに彼女から目が離せず、物語なんかどうでもよくなり、映画見るのを途中でやめました。本当に耐えられないくらいひどかった。

そして映画も厳しいわ。嫁姑問題の話なんだけど、もうちょっとお互い知恵を絞ったいじめ方を見せてほしかった、個人的には。欧米での嫁姑問題ってあんまり映画では見たことないような気がするし(舅婿はあるような気がするけど…「ミートザペアレンツ」とか)楽しみだったんだけどなぁ。かなりあからさまで、幼稚園の子供のけんかを見ているよう。80年代のコメディーのような・・・『ローズ家の戦争』とかそんな感じ。

そして姑役のジェーン・フォンダ。以前『ジョージア・ルール』を紹介したときに、ジェーン・フォンダを「名優」と書きましたが・・・撤回させていただいてよろしいでしょうか? 確かに芸暦は長いし、俳優一家フォンダ家ですが・・・なんか・・・品がない(爆)。役柄のせいもあるかもしれないけど、それでもなんか違う。

この映画を見て、以前みた『イナフ』を思い出したのですが、ジェニロペの演技力相応の映画だったんだと納得できました。あのくらいの有り得なさが、ジェニロペには合っているんだ、と。


これ、嫁姑問題で悩んでいる人には痛快な面白さかもしれません。でも私は好きじゃない。


おすすめ度:★






「クローバーフィールド~Cloverfield~」

2008年02月07日 | 映画~か~
クローバーフィールド・・・なんて素敵な名前。名前だけ聞いてたら、豊かな緑の草原を舞台にした美しい自然を楽しめる映画なのか、と思ってしまいそうです。しかしこれ、パニック映画です。

ニューヨークはマンハッタン。日本への転勤が決まったロブのサプライズパーティーでにぎわう一室。彼へのプレゼントにと、彼のビデオカメラで参加者たちのコメントを集めている友人。そこへ突然大きな地震が!外に出てみると、近くのビルが爆発!!!いったい何が起っているのだ?

『アイアムレジェンド』を昨年末に観に行ったときにこの映画のトレーラーが上映されていたのですが、「またパニック映画かよ!また何かのウィルスですか??」くらいに思っていたのですが、これがどうしてなかなかよいです。

話の内容は何にも新しいことはないのだけど、映像がすべて素人が(ロブの友人)自分たちのおかれている状況を記憶するという趣で撮影されたものなので、臨場感がものすごいです。ただ、気持ち悪くもなります。手ぶれすごいから。『ブレアウィッチ・プロジェクト』(未見)と同じで、この雑さのある映像だからこそ、更に恐さが増す。パニック映画として、大成功だと思います。

別れた恋人を救うため、自分勝手に動き回るロブ。もちろん仲間、巻き添え。仲間は自分の意思でついていったから仕方ないけど。日本人として驚くのが、これだけ地上がパニック(地響き、銃撃戦、モンスターによる地震)になっているのに、地下鉄に非難すること。地震の時は地下にいてはあかんでしょ?地上に出ないと危険ですやん?いや、まぁ怪獣いるから地上も危険なんだけどさ。地下のほうがそういう意味では安全なんだけどさ。

あと、ヘリコプターで救助されたはいいけど、怪獣に落とされるのよ。墜落です。でもね、操縦士以外みんな生きてるのよ。意外にけろっとしてる。これには驚いた。映画だけどさ。劇場からも「え?生きてるの??」っていう失笑や声が上がってたもん。いいんだけどね、別に。

エンディングに関しては、「残念」とか「中途半端」という意見が多いようだけど、私はよかったと思う。見つけてきた映像を見ている、という感覚は面白いなと思った。それに、あの内容では解決の仕様がないから。『クローバーフィールド』ってこの映像のコードネームなんだってね。今知りました。でも何でだろ。

見ている途中、「あーーー、ゴジラ(見たことないけど)やな、これ。多分何倍も恐いけど」と思っていたら、この作品は『ゴジラ』をリスペクトして作られたとのこと。だからロブの転勤先は日本だったのね。やたら日本びいきな感じだったのよ。それに、映画見てから聞いたんだけど、あの怪物は9.11が原因で生まれたものらしい。ゴジラは原子爆弾だったよね、確か。なるほどーーー。あとね、怪物が宮崎映画に出てきたのに似ているような気がするんだけど、それが何なのか思い出せません。

この映画で一番の活躍は、主人公ロブではなく、ビデオカメラを回し続けた友達(ふとっちょ・名前忘れた)です。よくぞ映像を撮り続けた!



おすすめ度:☆☆☆☆




「シティオブエンジェル ~City of Angels~」

2008年02月05日 | 映画~さ~
いやーーー、参った。私の完敗…そう、この映画を見ようとした私の選択が失敗の元。

マギー(メグ・ライアン)は有能な心臓外科医。手術中に成功するであろうと思われていた患者が亡くなってしまう。セス(ニコラス・ケイジ)は死者の魂を天に導く天使。セスは手術室でマギーに恋をする。

もう、何から挙げていきましょうか…。ではマギーから。メグ・ライアンが有能な外科医には全く見えない、というのがそもそもまずい。役の設定だから、その役柄を演じることで観客を映画に引き込んでいかなければならないのに、メグはメグにしか見えない。医者にも見えなければ、まして才能があるようにも見えない。外見がかわいすぎるから?とも思ったけど、たぶんちがう。ほかにも外見が美しすぎる人やかわいい人は大勢いるけど、こんなに映画にのめりこめないことってなかなかない。明らかに、メグの力不足。演技力がない。彼女の映画でよかったものって、『恋人たちの予感』しか思い出せないんだけど…。

ニコラス・ケイジ演じるセスにも無理はあるんだけど、メグよりは断然まし。いや、比べたら失礼に当たるかも。

そして、一番致命的なのが、映画の内容。話の展開。天使が人間と恋におちる・・・それは結構。映画のベースとしては過不足なし。そもそも、これリメイクだしね。そら映画としてベースがしっかりしてなければわざわざリメイクしませんから。オリジナルである『ベルリン・天使の詩』は見たことがあるのだけど全く覚えていないので比べようがないのだけど、『シティオブエンジェル』に関しては、話の展開よくない。よくないというか、不快。マギーの事故がとにかく不快。もっとほかに見せ方があるだろう!事故は事故でもさ・・・、ありゃないわ。セスが同僚(?)の天使と、ものすごい交通量の道路にある交通標識に腰掛けて話をする、とか。天使だから…といわれればそれまでなんだけど、天使だからってあんなうるさいところで話しなくても。しかも毎回毎回。ちょっとコじゃれた演出(なのか?)がすべて裏目。もしかして、舞台がLAって言うのがそもそもミス???

でもさ、全く同じ内容だったとしても、もしほかの監督が撮っていたら、ほかの俳優が演じていたら、多分全く違ったものになっていたと思う。例えばマギーの死にしても、撮り方によってはもっと「人生の無情さ」を表現することができたと思うんだけど(だとしてもあの事故は酷い…しつこい?)。

キャラ設定がとにかく弱い。マギーの婚約者(恋人)とか、全く印象に残らないし、何の障害にもなっていない。マギーの有能さも全く感じられない。ネスカフェのCMのメグと映画のメグと何が違うのかわからない。というか違わない。演じ切れてない。無理やりよかったところをあげるとすれば、元天使を演じたデニス・フランツかなぁ。彼が唯一の救い…いや、救いきれてないんだけど。

1998年の映画で、全米1位だったらしいわ。わからんもんです。たしか90年代後半って、ハッピーエンドの映画少なかったな。それにしても!!!なのです。
正直、この映画を見てメグ・ライアンが嫌いになりましたとも。



おすすめ度:・・・・・無理。



「箪笥 ~A Tale of Two Sisters~」

2008年02月03日 | 映画~た~
箪笥・・・すごいタイトルだな~、と公開当時ちょっと衝撃でした。しかもポスターは血まみれの女の子2人と正装の両親。なにがどうして、このタイトルなんだろう、と。アジアのホラー映画のタイトルって、結構直接的というか端的な表現のタイトルが多くて、私は以前『鬘(かつら』というのを見たことあります。確かに鬘に関する話なんだけどさ。

ホラー映画が苦手な友達から、「これはホラーというよりかわいそうな話」と聞いていたのですが…確かにかわいそうなんだけど、やっぱりホラーだと思います。かわいそうな要素があればホラーではなくなるというわけではないと思うし。そうなると『呪怨』や『リング』もかわいそうな話が根底にあるものね。


二人姉妹と父親と継母の関係を軸に描かれた話。

継母の登場シーンからのキレた、声を聞いているものを意味もなくイラつかせる棘のある甲高い声はものすごいです。この演技はすごい。

彼女たちが住む家もものすごくて、壁という壁がすべて花柄。これがものすごく威圧的。Su-mi(スミ・長女)の部屋なんか、強烈な花柄の壁紙にこれまた黄色ベースの強いチェックのカーテン。個性のぶつかり合いで落ちけるわけがない家。この花柄の壁には何か意味があったのかな。ただセンスがないだけではなくて、心のそこから何か意味があってほしいと思うほど強烈です。

継母からの嫌がらせを受けながら、必死で継母を恐がる妹を守ろうとする姉スミ。映画中盤までは、継母と姉妹の関係を軸にそれを浮き出すように映画は進みます。また、ところどころに映画の結末を示唆するヒントもありますが、私はそのヒントの意味に気づかず。「ん?なんで??」という不思議な矛盾が、実は鍵になっていたり。

そしてお父さんのダメダメぶりが、いらいらさせるのよね~。「この父親は!!!」と本気でむかつきます。

韓国人女性(女優)の透明感、芯の強さ、はかなげな美しさとは間逆の威圧感は本当に独特で、これはこの人たちにしか出せないなぁ、と感心する。

姉妹の演技もうまい。お姉さんのスミの、敵意むき出しの表情や、そうかと思えは妹への愛に満ちたやさしい表情。

この映画、かなり複雑で見終わった後も「え?納得できないんだけど…」という部分がかなり残ります。私は先に観ていた旦那に聞いて納得できましたが(そういう旦那も、映画を見終わった後にいろいろサイトで調べたらしい)。欧米の映画と違ってすべてを解説するのではなく、行間を読む、空気から察する、というのがこの映画には必要とされるようです。見ている観客もそれができないと消化不良。私はできなかったので(殴)、消化不良でしたが、解説をしてもらって納得。深い話です。実はそれでもわからない部分はあるのですけど(あーぁ)。例えば彼女たちが住む家自体が呪われている、というような台詞もあるのだけど、私には家というよりやはり人間関係が原因であるようにしか見えないんだよな~。

先ほど日本のサイトの映画評を見てみましたが、あまりよい評価ではありませんでした。この点数は「消化不良」が関係しているのではないかな、と思います。すばらしい内容だけに、もったいないです。実はかなり作り込まれた、秀作だと思います。



おすすめ度:☆☆☆☆