映画食い倒れ。

~映画は人生のデザートです~

個人的覚え書きのため、たまにネタばれありです。

『Spencer(原題 スペンサー)』

2021年12月22日 | 映画~さ~
2021年 イギリス・アメリカ・ドイツ・チリ映画




2021年12月に映画館で鑑賞。


この映画を一言で説明するなら、「サイコスリラー」だと思いました。

ドキュメンタリーや自伝映画ではなくとも、実在の人物をある程度の史実に基づいて描いた作品を「サイコスリラー」と説明しなければならないのは、ある意味とても悲しいものです。


ダイアナ妃の皇族としての生活、葛藤、苦しみ、人間関係などを描いた作品です。



スペンサーとは、ダイアナ妃の旧姓です。
プリンセスと、そうではない本当の自分(スペンサー)、素の自分の間での葛藤を表すのに良いタイトルだと思います。




主演のクリスティン・スチュアートはアメリカ人ですが、イギリス人のダイアナ妃を演じています。


彼女の英語の王室アクセント、すごく良かったです。



一般的に、アメリカ人がイギリス人役を演じるのはとても難しいと言われています。その理由の一つは英語のアクセント。
関西出身でない俳優が頑張って関西弁を話そうとしているようなもので、どうしても不自然になってしまう事が多いのです。逆に、関西出身の方が訛りなく標準語を話すように、イギリス人がアメリカ訛りで演じることは多々あり、違和感も少ない傾向があります。



クリスティンが今回話していたのは、「王室英語」です。

イギリス人が話す英語を一般的には「イギリス英語」といいますが、実はイギリスには標準語が存在しません。ですから、皆が皆それぞれの「訛り」があります。イギリスの王室の方たちが話す英語は「クイーンズイングリッシュ」(王室英語)といわれる独特の話し方。もちろん練習をして習得することは可能ですが、王室の者以外がこの英語を話すことはありません。話してはいけないわけではありませんが、多分「だいぶ変わった人」扱いされます。苦笑




その独特の王室英語発音ですが、クリスティンはすごくうまかったと思います。


そして、ダイアナ妃独特の話し方をしっかり表現していました。
さらにいうと、ダイアナの立ち振舞、走り方も本当にそっくり。



かなり独特な話し方なので、慣れない人が聞くとかなりわざとらしく感じるかもしれません。


しかし、ダイアナ妃の話し方って実際にこんな感じでした。







皇室という独特の「社会」で、皇太子妃という特殊な立場に立たされた彼女の人生。


この映画は、皇室批判ではなかったと思います。(今のイギリスのロイヤルファミリーに対する批判は大いにある)



長い歴史を持つ皇室ですから、風習も常識も異なります。
そこに溶け込んでいける人たちも大勢います。その存在自体が良い悪いというのがポイントではなく、さらにチャールズ皇太子の裏切りやカミラの存在、自分の子供時代など(映画では描かれていませんが、ダイアナは父親、義母と確執があった)の様々な背景により自分が自分でいられる場所をなくして行った一人の女性の姿を描いている作品です。




ちなみに、公開時は上のポスターが多く使われていましたが、こちらもいいですね(初めて見た)。






日本では、2022年公開だそう。

個人的には、ハリーとチャールズ役は、もう少し外見がにている人が良かったな、と。





おすすめ度:☆☆☆☆

2020年ベスト。

2021年12月08日 | 年間ベスト

2019年に見た映画の一覧が見当たらないので、先に2020年をご紹介。



・天気の子(2019年 日本)
・君の名は(2016年 日本)
・言の葉の庭(2013年 日本)
・千年女優(2001年 日本)
・きみに読む物語(Notebook, 2004年 アメリカ)
・泣きたい私は猫をかぶる(2020年 日本)
・ユーロビジョン歌合戦 〜ファイア・サーガ物語(Eurovision Song Contest: The Story of Fire Saga, 2020年 アメリカ)
・ワンダー 君は太陽(Wonder, 2017年 アメリカ)
・アロハ(Aloha, 2015年 アメリカ)
・雲の向こう、約束の場所(2004年 日本)
・聲の形(2016年 日本)
・奇蹟の輝き(What Dreams May come, 1998年 アメリカ)
・マレフィセント2(Maleficent: Mistress of Evil、2019年 アメリカ)
・BFG: ビッグ・フレンドリー・ジャイアント(The BFG、2016年 イギリス・アメリカ)
・マトリックス(The Matrix、1999年 アメリカ・オーストラリア)
・ラフ・ナイト 史上最悪! ?の独身さよならパーティー(Rough Night、2017年 アメリカ)
・ダンプリン(Dumplin'、2018年 アメリカ)
・アイ アム マリス(I Am Maris: Portrait of a Young Yogi、2018年 アメリカ)
・アンソニー・ロビンズ -あなたが運命を変える(Tony Robbins: I am not your Guru、2016年 アメリカ)
・ワン・オブ・アス(One of us、2017年 アメリカ)
・レディー・ガガ:Five Foot Two (Gaga : Five Foot Two、2017年 アメリカ)
・恋人まで1%(That Awkward Moment、2014年 アメリカ)
・スティーブ・アオキ I’ll Sleep When I Dead(I’ll Sleep When I Dead、2016年 アメリカ)
・ゲームチェンジャー:スポーツ栄養学の真実(The Game Changer、2019年 アメリカ)
・マイストーリー(Becoming、2020年 アメリカ)
・ミニマリズム: 本当に大切なもの(Minimalism: A Documentary about the important things、2016年 アメリカ)
・フェアウェル(Farewell、2019年 アメリカ)
・ザ・シークレット(The Secret、2006年 アメリカ)
・クインシーのすべて(Quincy、2018年 アメリカ)
・これからの人生(The Life Ahead、2020年 イタリア)
・ダイアナ妃の告白(Diana in her own words、2017年 イギリス)
・思いやりのススメ(The Fundamentals of Caring、2016年 アメリカ)
・Dolapo is Fine(原題、2020年 イギリス)
・彼女が目覚めるその日まで(Brain on Fire、2016年 アメリカ・カナダ)




【その他、テレビドラマ】

・クイーンズ・ギャンビット(The Queen's Gambit、2020年 アメリカ)
・After Life/アフター・ライフ(2019年 イギリス)
・I May Destroy You(原題、2020年 イギリス)





2020年は、34本の映画を鑑賞しました。
通常の半分くらいかもしれません。

映画から長らく遠ざかっていた時期で、この年の前半は『天気の子』以外は観ていなかったと思います。



また、日本のアニメ映画を多く観た年でもありました。
これは『天気の子』を見た影響も強かったと思います。そのくらいこの作品は私にとって印象が強く、日本のアニメ映画の美しさ、深さ、アニメだから表現できることなど、あらためて気付かされました。そこで、これまでに観たことのある作品、旧作新作を含めて何本か観てみました。





そして、ワタシ的2020年ベスト5。



第五位 レディー・ガガ:Five Foot Two

ガガのドキュメンタリーです。
この年はドキュメンタリーも多く観たのですが(そう言えば、テイラー・スウィフトのも観た気がする…)、この作品は「結構正直だな」と感じたのです。

「ドキュメンタリー」と銘打っていても、人が作った作品なのでそこには撮る側の視点や思想、思考がどうしても入ります。「ドキュメンタリー=真実」では決してない。そして、最近の特にセレブリティたちを扱ったものに関しては、マーケティング要素が強く人の共感を引くための「長い広告」である場合も多々あります。

このガガの作品もそうした側面が皆無とは言いませんが、他のセレブの作品に比べると「これは映さないほうが好感度が上がるのでは?」と思うような場面もいくつか観られたのです。アーティストとしての気難しさ、エゴ。それは、プロとしてのこだわりといえばそうなのかもしれません。しかし、思い通りに行かないフラストレーションを人にぶつけるような場面もあり、人としては一般的には非難される側面でもそのまま作品に残したところに、彼女の覚悟や自分をそのまま受け入れる、人にどう見られてもこれが自分(だから何をしても良いということではなく、自分にマイナス面があることも認めるという意味)という姿勢が逆に彼女の大きさを垣間見せていたように思いました。




第四位 アンソニー・ロビンズ -あなたが運命を変える

こちらもドキュメンタリーです。
これは、トニー自身というよりは、彼の「仕事、役割」に主に焦点を当てています。簡単に言うなら「ライフコーチ」。しかし、彼のスケールはその言葉にはとどまらず、イベントはさながらロックコンサートのよう。アメリカだからこそできる形体かなとも思います。実はわたしは彼と似たような業界で仕事をしているのですが、正直個人的にはこの「ショー」には参加したくない(苦笑)。しかし、それは彼のやり方を批判しているのではなく、自分にはストレスが掛かりすぎるので向かないのでは…といこと。逆に言うと、自分にとっては「ありえない」方法でもこれに救われる人たちが大勢いるということ。多くの人々が救われ、突き動かされ、自分の足で立って再び歩き始める様は、自分が参加したいかどうかはさておき、人が人生を舵を大きく切っていく方法は一つではなく、すきな方法を取ればいいということを学ばされた気がしました。

また、自信家で身体も大きく、ズバズバと人を斬っていくのが彼のスタイルですが、その根底には情熱と人に対する大きな愛があるように思いました。




第三位 マトリックス

2020年のベスト5ですが、1999年の作品がランクインです。
いつか観なければいけないと何度もチャレンジしたのに、挫折を繰り返した作品です。もともとSFに対しての苦手意識が合ったのも理由の一つかもしれませんし、内容を理解するのがとても難しかったというのもあります。2時間半の作品ですが、わからない部分は毎回停止をし、旦那に説明を求め、一つ一つ理解しながら観進めて行ったため、結局3時間以上かかりました。笑

しかし、「観なければいけない」と感じていた理由がわかりました。
それは、映像の面白さだけではなく、なんと言ってもその内容の深さ。
いまさらですが、本当に観てよかった。




残りは2作品ですが、どうしても順位をつけることができなかったため、双方を一位とさせていただきます。



第一位 ユーロビジョン歌合戦 〜ファイア・サーガ物語

映画を見ながらここまで本気で爆笑したことってなかったかもしれません。
ユーロビジョンというのはヨーロッパの国別対抗歌合戦のことです。実際に行われているイベントなのですが、ただの歌唱コンテストではなく、得点獲得には国の情勢、立場、他の国との関係、歴史、経済状況など深く政治が絡んでくるといういわくつきのイベントです(苦笑)。本気で勝ちを取りに来る国もあれば、私が住むイギリスのように全くもって勝つ気のない国もあります。

この映画の素晴らしいところは、このコンテストの独特の雰囲気(胸焼けするような大げささ、わざとらしさなど…これが人気の秘密でもあったりしますが)をしっかりと描ききっているところ。それだけでも充分に私のベスト1に手が届くくらいの完成度でした。しかし、さらに感心したのは、これがアメリカ映画であるということ。ユーロビジョン文化を知らないアメリカ人が、ここまで異文化のイベントやそれを楽しむヨーロッパ人たちの視線を理解して描ききっているのは、正直信じられないレベル。

実は、この映画が好きすぎて、この年に2回観ました。笑
今後何度も見返しては、毎度爆笑するのだと思います。




第一位 天気の子


もう一つの第一位は、こちらの作品。ユーロビジョンとは全く種類の違う映画ですが、私にとってはとても大切な一本となりました。こちらは映画館で鑑賞したのですが、嗚咽するほどに泣いたのはこの作品が初めてかもしれません。そのくらいに、鑑賞時の自分には強烈なメッセージのある作品でした。自分に与えられた能力を認めること、それを人のために使うこと。しかし人のために自分を犠牲にできるのか。そしてそれは正解なのか。もしかしたら、この作品で言いたかったのはそういうことではないのかもしれません。しかし、私にはこの部分が一番響きました。

ユーロビジョンと違って、こちらは今後繰り返し観たいか…と言われると、そうではないかもしれません。

しかし、今後の人生で長らく忘れることがないであろう一本となりました。









2018年ベスト。

2021年12月08日 | 年間ベスト
アメブロへの引っ越しを試みたのですが、やっぱりこちらで続けることにしました。




こちらの記事は、アメブロに2019年11月10日 に掲載したものです。




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2019年もそろそろ佳境に入りましたが、まだ更新していなかった2018年に見た映画のリストを掲載しておこうと思います。



*新作のみならず、何度も見ている映画も入っています。





・ダンスウィズウルブズ(Dance with Wolves、1990年 アメリカ)

・昼顔(2017年 日本)

・湯を沸かすほど熱い愛(2016年 日本)

・しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス(Maudie、2016年 アイルランド・カナダ)

・ライフ!(The Secret Life of Walter Mitty、2013年 アメリカ)

・シェイプオブウォーター(The Shape of Water、2018年 アメリカ)

・宵花道中(2014年 日本)

・ヤング・アダルト・ニューヨーク(While We’re Young、2014年 アメリカ)

・ロブスター(The Lobster、ギリシャ、仏、アイルランド、蘭、英)

・さざなみ(45 Years、2015年 イギリス)

・フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法(The Florida Project、2017年 アメリカ)

・JIMI:栄光への軌跡(Jimi: All is by myside、2013年 イギリス・アイルランド)

・犬ヶ島(Isle of Dogs、2018年 アメリカ)

・ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール(God Helps the Girl、2014年 イギリス)

・胸騒ぎのシチリア(A Bigger Splash、2015年 イタリア・フランス)

・Monsieur Lazhae(原題、2011年 カナダ)

・リリーのすべて(The Danish Girl、2015年 イギリス・アメリカ)

・The Silent Child(原題、2017年 イギリス)

・しあわせはどこにある(Hector and Search for Happiness、2014年 イギリス)

・セレンディピティ(Serendipity、2001年 アメリカ)

・SPY/スパイ(Spy、2015年 アメリカ)

・Dina(原題、2017年 アメリカ)

・ネバーランド(Finding Neverland、2004年 イギリス・アメリカ)

・ぼくたちの奉仕活動(Role Model、2008年 アメリカ)

・ノーザン・ソウル(Northern Soul、2014年 イギリス)

・ブレックファスト・クラブ(The Breakfast Club、1985年 アメリカ)

・小悪魔はなぜモテる?( Easy-A、2010年 アメリカ)

・デンジャラス・バディ(The Heat、2013年 アメリカ)

・もののけ姫(2001年 日本)

・パッション(Passion、2012年 フランス・ドイツ)

・ゲスト(The Uninvited、2009年 アメリカ)

・いま、輝くときに(The Spectacular Now、2013年 アメリカ)

・Being Blacker(原題、2018年 イギリス)

・ペントハウス(Tower Heist、2011年 アメリカ)

・君の名前で僕を呼んで(Call Me by Your Name、2017年 米、ブラジル、伊、仏)

・ある過去の行方(Le Passe、2013年 フランス)

・戦場のピアニスト(The Pianist、2002年 仏、独、ポーランド、英)

・フレンチ・ラン(Bastille Day – The Take、2016年 イギリス・フランス・アメリカ)

・アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル(I, Tonya、2017年 アメリカ)

・40歳からの家族ケーカク(This is 40、2012年 アメリカ)

・レディ・バード(Lady Bird、2017年 アメリカ)

・オーバー・ザ・ブルースカイ(The Broken Circle Breakdown、2012年 ベルギー)

・グレイテスト・ショーマン(The Greatest Showman、2017年 アメリカ)

・天空の城ラピュタ(1986年 日本)

・クコリコ坂から(2011年 日本)

・カサブランカ(Casablanca、1942年 アメリカ)

・クワイエット・プレイス(A Quiet Place、2018年 アメリカ)

・ムーンライト(Moonlight、2016年 アメリカ)

・パディントン(Paddington、2014年 イギリス)

・Mother’s Day(記憶にすら残っていない…苦笑)

・素晴らしき哉、人生!(It’s a Wonderful Life、1946年 アメリカ)

・コンスタンティン(Constantine、2005年 アメリカ)

・ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣(Dancer、2016年 イギリス)

・LUCY/ルーシー(Lucy、2014年 フランス)

・シザーハンズ(Edward Scissorhands、1990年 アメリカ)

・ジョイ(Joy、2015年 アメリカ)

・アナと雪の女王(Frozen、2013年 アメリカ)

・きっと、星のせいじゃない(The Fault in Our Stars、2014年 アメリカ)

・Always at the Carlyle(原題、2018年 アメリカ)

・万引き家族(2018年 日本)

・カメラを止めるな!(2018年、日本)

・オーシャンズ8(Oceans 8、2018年 アメリカ)

・ベイビー・ドライバー(Baby Driver、2017年 イギリス・アメリカ)

・ボヘミアン・ラプソディ(Bohemian Rhapsody、2018年 イギリス・アメリカ)

・Katie said Goodbye(原題、2016年 アメリカ・フランス)

・ビューティフル・マインド(A Beautiful Mind、アメリカ)

・エンジェルウォーズ(Sucker Punch、2011年 アメリカ)

・Bros:After the Screaming Stops(原題、2018年 イギリス)

・ロミオとジュリエット(Romeo+Juliet、1996年 アメリカ)









全、69作品。



以前に比べると、映画への熱量が下がっているように感じていたのですが、意外と見ているものだなと。







通常はベスト5を選ぶのですが、今あらためて見返してみると、とてもじゃないけど5つに絞れない!





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2021年12月8日追記


数年ぶりにこちらのアカウントを確認しました。
しばらくこのブログから遠ざかっていたのですが、また気まぐれに更新したいなと思っています。


2018年に鑑賞した映画を今あらためて振り返ってみると、かなり当たり年だったように思います。
それはこの歳の新作という意味ではなく、私が見た映画画という意味ですが。

数年たった今も印象に残っている作品が多い年でした。