たまには、まともな内容の日記でも書きましょうか。
物凄く長いライブレポなど、私の日記を評価していただいてありがとうございます。私が文章を書くようになったきっかけである先生が、このたび本を出版されました。
山室恭子先生は東京工業大学の教授で、中世日本史を主な研究領域としています。大学内での副業的な授業として、理系の人間の中に文章力の種を植え付けようという目的で、文章力養成講座的な「こらむらんど」を開講しています。私はその大学院版の「ドキュメント解析」の出身です。
私は学部時代に先生の歴史の授業を受けたのですが、高校までの暗記科目でつまらなかった歴史が、先生の手にかかると動き出すのが見えまして、本当に感動しました。冗談のように聞こえるかもしれませんが、頭の中で概念が崩れ落ちる音が聞こえました。
歴史の授業とこらむらんどの両方ともに、受講制限がかかったり、競争率が高かったりと学生の間で大人気です。
高校までの日本史の授業で、例えば江戸時代には棄損令で武士の借金がなくなったりだとか、貨幣改鋳で通貨がどんどん悪くなっていったみたいなことを習ったかと思います。比較的インパクトのある項目かもしれませんが、その部分だけがもしかして一人歩きしていませんか、という疑問があります。本の中で、これらの項目がしっかりと綿密に練られた結果で実行されたものである、と語っています。
江戸時代は武士がその他の身分を支配してという、支配-被支配のイメージが強いかと思いますが、先生はそこにゲーム理論を持ち込みました。それぞれの立場の人間が自身の利益が最大限になるように動く、というものなのですが、単純な支配関係には収まらず、協力し合っているという結果が出ています。
当然のことですが、歴史書等に基づいての研究や考察です。この本を読んで、概念が変わる感動を味わっていただきたいと思います。