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Liberal Days

日々の生活だったり、ライブレポだったり、スポーツの感想だったり、ジャンルを限定せずに色々書きます。

江戸の小判ゲーム

2013-03-10 00:08:03 | 本と雑誌

たまには、まともな内容の日記でも書きましょうか。
物凄く長いライブレポなど、私の日記を評価していただいてありがとうございます。私が文章を書くようになったきっかけである先生が、このたび本を出版されました。

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山室恭子先生は東京工業大学の教授で、中世日本史を主な研究領域としています。大学内での副業的な授業として、理系の人間の中に文章力の種を植え付けようという目的で、文章力養成講座的な「こらむらんど」を開講しています。私はその大学院版の「ドキュメント解析」の出身です。
私は学部時代に先生の歴史の授業を受けたのですが、高校までの暗記科目でつまらなかった歴史が、先生の手にかかると動き出すのが見えまして、本当に感動しました。冗談のように聞こえるかもしれませんが、頭の中で概念が崩れ落ちる音が聞こえました。
歴史の授業とこらむらんどの両方ともに、受講制限がかかったり、競争率が高かったりと学生の間で大人気です。

高校までの日本史の授業で、例えば江戸時代には棄損令で武士の借金がなくなったりだとか、貨幣改鋳で通貨がどんどん悪くなっていったみたいなことを習ったかと思います。比較的インパクトのある項目かもしれませんが、その部分だけがもしかして一人歩きしていませんか、という疑問があります。本の中で、これらの項目がしっかりと綿密に練られた結果で実行されたものである、と語っています。
江戸時代は武士がその他の身分を支配してという、支配-被支配のイメージが強いかと思いますが、先生はそこにゲーム理論を持ち込みました。それぞれの立場の人間が自身の利益が最大限になるように動く、というものなのですが、単純な支配関係には収まらず、協力し合っているという結果が出ています。
当然のことですが、歴史書等に基づいての研究や考察です。この本を読んで、概念が変わる感動を味わっていただきたいと思います。


由佳さんは凡庸で特殊

2010-11-18 22:39:08 | 本と雑誌

ここのところ急に寒くなったように感じます。大きめのコートと、手袋と帽子は引っ張り出しました。もう少し寒くなったらマフラーも準備しようと思います。こんな日には温かい飲み物でほっこりしたいですね。というわけで、

「おいしいコーヒーの入れ方」

は御存知でしょうか。実はこれ、小説のタイトルなんです。しかも直木賞作家の。

「おいコー」と略されることがあるのですが、このセカンドシリーズの第2巻が文庫本になっていたことを最近気付きまして、買い物のついでに購入してきました。物語としては、主人公の勝利(かつとし、と読みます)が諸事情によりいとこの姉弟(かれん、丈)と共同生活を送ることになるところから始まり、勝利とかれんの関係を中心に展開していくのですが、2人の関係がうまくいきそうでいかなくて、という感じでしょうか。小説は苦手という方でも楽しく読める物語だと思います。

作者の村山由佳さんは、デビューした当初は「凡庸の作家」という言われ方をしたことがありました。褒め言葉ではないことは明らかですよね。逆の見方をすれば、世の中に数多く存在する「凡庸」の人々の心に響きやすいともいえると思います。後に「星々の舟」で直木賞を受賞することからも、特殊な才能も持ち合わせていたのだと思います。

村山さんの作品は、女性や風景の美しさの描写が素敵だと思います。作品の中には現実の辛さ、苦しさ、痛みなどが描写されていることもありますが、最終的には癒されています。村山さんが直木賞を受賞する前からファンだったので、受賞した時はうれしかったですね。

もっとも、村山さんの作品を好きになったきっかけとしては、電車の中吊り広告を見てコーヒーがおいしそうとか、大学の研究室に「由佳」さんがいて、岡山の会社に就職したけど元気でやってるのかなとか、本当に些細なことなんですけどね。

私が好きな作品としては、「天使の卵」と「夜明けまで1マイル」です。「天使の卵」は、予備校生の歩太、年上の精神科医の春妃、そして歩太の幼馴染であり春妃の妹でもある夏姫の物語で、純粋であるがゆえのせつなさが描かれています。「夜明けまで1マイルは」、大学生の主人公が、憧れであったマリコ先生との関係が進行していくのと並行して、幼馴染でありバンド仲間である通称「うさぎ」のことが段々気になっていくという青春の物語です。

読書の秋はもうすぐ終わりそうですけど、家でゆっくりとした時間にいかがでしょうか。

村山由佳さんの公式サイト YUKA BLUE

http://www.yuka-murayama.com/


容疑者Xの献身

2008-12-12 21:03:06 | 本と雑誌

現在映画が公開中ですけど、私は小説で読みました。

アパートに母娘2人でひっそりと生活している所に前夫が現れて、執拗に復縁を迫ってくる。身の危険を感じた母娘は、事の弾みで協力して前夫を殺害してしまう。そこに隣の部屋に住む男性が現れ、隠ぺい工作を引き受けただけでなく、警察への対応法も指南する、という展開で始まります。

この事件にふとしたことで興味を持ち、真相を明かしていくのが物理学の准教授で、ドラマや映画では福山雅治さんが演じている人物です。

警察の捜査を撹乱させるために仕掛けられた罠に対して的確に疑問を持ち、真実へと着実に進んでいく過程が作り込まれていて、ラストの展開も凄かったです。根底が覆る感覚を味わえます。

この作品が連載されていた時の題名は「容疑者X」でしたが、改題されたそうです。この作品を読む前は「容疑者」と「献身」がなぜ結びつくのか疑問だったのですが、読んでみて「献身」という言葉の意味を重く感じました。

直木賞受賞作品でもありますので、映画に興味がなくても読んでおいて損はないと思います。


天使の梯子

2008-02-05 23:46:09 | 本と雑誌

久々に小説を読みました。最近では会社の休み時間に読んでたりします。

映画化もされた「天使の卵」の続編ということになるのでしょうか。「天使の卵」が春妃の物語なら、「天使の梯子」はその妹の夏姫の物語です。歩太(幼なじみ)と春妃(姉)の関係を外から見ていた夏姫が、今度は自分が自分が同じような状況になってみて初めて理解できることなどなど、というお話です。

続編が出ることに関して色々意見があったとのことですが、私としては夏姫がかわいそうと思っていたところなので、個人的には続編が出てよかったと思ってます。

村山由佳さんの作品を読んでいると、現実の重さ、辛さ、苦しさを味わってしまうことも多々あるのですが、その中に時折現れる美しさや綺麗さに癒されているという感じがします。直木賞を受賞する前からのファンです。

運命なのか偶然なのか、天使の卵や梯子の舞台となった場所の近くで、私が現在仕事をしています。こういうことってあるんですね。


おいしいコーヒーのいれ方

2007-07-10 23:31:09 | 本と雑誌

何のことだと思いますか?

小説のタイトルなんです。正確には一連のシリーズなのですがね。

私がまだ小説に興味を持っていない頃のことですが、電車の中の広告にこれを見つけまして、

コーヒーがおいしそう、とか思ったり、(普段コーヒーなんて飲まないくせに。しかも飲むとしてもミルクと砂糖は必需品だし。でもなぜか紅茶はストレートで飲めるけど)

岡山に就職した同級生の由佳さん元気かな?

ということを考えていました。内容とまったく関係ないです。

小説って難しい字がずらずらと並んでよくわかんなくて眠い物だと思っていたのですが、全然そんなことはなくて驚きました。高校3年生の勝利(かつとし)が、諸事情あっていとこのかれん・丈姉弟と生活することになるところから始まり、勝利とかれんの関係を中心に物語が進んでいきます。文庫本は9作目となり、年齢を重ねるごとに色々と起きてくるわけでして…

作者の村山由佳さんは後に直木賞を受賞するのですが、自分が好きな作家さんが受賞するのって不思議な感じですよね。少しだけ先見の明があったのでしょうか。

興味のある方はぜひ読んでみてください。