3月のコンサートの詳細です。
3月27日(土)
2台のピアノの午後 「春の祭に寄せて -ルーセルの午後-」
近代フランスを代表する作曲家の一人、アルベール・ルーセルの二大傑作をご紹介します。
「喚起」は、ルーセルが若き日に海軍士官として訪れ、後に新婚旅行で再訪したインドの印象(エローラ石窟寺院、ジャイブール、ガンジス河畔ベナレス)を音楽で描いたものです。
「春の祭に寄せて」では、光り輝く祝祭の情景が描かれています。
いずれも作曲家自身の編曲した2台ピアノ版でお届けします。
開場 13:15 開演 13:30
会場:月島ピアノアートサロン
地図:http://www.piano-art-salon.co.jp/map.html
入場料 大人 2000円 小学生以下 500円
アルベール・ルーセル
喚起(Evocationd) 作品15
1. 洞窟に隠れた神々
2. 薔薇色の街
3. 聖なる河のほとりで
春の祭に寄せて 作品23
<作曲者による2台ピアノ版>
****
私たちがこの2台ピアノの演奏会を始めたときは、まさか100回を超える日が来るとは思いませんでした。「30回くらいで記念のCDが出せたらいいよね」などと話していたものです。
第1回目は宣伝にも時間とお金をかけて、音楽雑誌を通じて招待券を配ったりもしました。でも、招待券でお見えになった方は演奏中に「寝る、食べる、しゃべる」が揃っていて、招待券の配布は1度で止めることにしました。曲ごとにアナウンスをして、作品の紹介をしたり、感想をお願いしたりもしていました。
外国人向けの英語のチラシを作ったり、日本在住の外国人向けの雑誌や新聞、外国人の多く集まるスーパーの掲示板も使って宣伝をしましたが実際にいらしたのは大勢で見えた一家族だけ。その方たちはとても感激をしてくださいましたが、チラシ代の元も取れないので数回で頓挫。
さまざまな媒体に宣伝を載せましたが「私はクラシックをかじっているのですが、2台のピアノで一体何をするんですか?そんな作品があるのですか?」とある新聞社の方に真剣に聞かれたこともありました。
コンサートも10回を超えた頃になかなか集客数が伸びないので「どうして集客のことを真剣に考えないのかわからない」とか「“ラ・ヴァルス”やラフマニノフの“組曲”を取り上げたら、もっとお客さんが来てくれますよ」と、それまで取り上げた全ての作品やプログラムの意図を全否定される言葉を言われたこともあります。
いずれの言葉もその方なりの思いを込めて仰っていただいたこととでしょう。「今日演奏された作品の楽譜のコピーをください。著作権があって手に入らないからどうしてもコピーが欲しいのです」と演奏の感想の言葉もなく言われたこともあります。もちろん、著作権を遵守して丁重にお断りしました。それ以上に残念な出来事も言葉も対応もあり、世の中は理不尽なことがまかり通ることも学びました。
もちろん否定的な言葉だけではなく、「このコンサートを開いてくださってありがとうございます。集客数なんて関係ありません。音大出身者でない方がこのような企画を実現されたことは素晴らしいことです。私自身の音楽感の軸を揺るぎないものに出来ました」「自分が聴きに行った会場でこんなに感動しているのに、集客が少ないことなんかを嘆かれるとがっかりしますよ」などとこちらが恐縮してしまうような嬉しい言葉も数え切れないほど言われてきました。
本邦初演も世界初演も早い段階でいくつかの作品で実現をしたので、今は「弾きたい作品」「聴いてほしい作品」を取り上げています。このまま活動を続けても全ての作品を演奏できるわけではないほど世界中に優れた作品が存在することも認識しています。どの回も企画の意図をきちんと持って、取り上げる作品と季節感なども考慮して、演奏順にも意味があります。
こうした私たちの意図を的確に汲んでくださったのはやはり作曲家と演奏家を兼ね備えたご本人とそのご家族の言葉でした。ある時にどうしても外国の図書館で急いで入手したい作品があり、無理を承知で欧州の作曲家のご家族に手配をお願いしようと連絡を取ったのですが、先方はたまたまお留守でした。
後日「メールをいただいたときに留守にしていて、返事が間に合わなくてごめんなさい。もちろん、あなたたちのことだから代わりの作品を見つけて演奏会は無事に終わったことでしょう」と状況をしっかりと把握されたお返事をいただき感激したこともあります。
他の要素も書き始めたらきりがないほど存在しますが、ある回から「なるべく宣伝費用はかけずにその分楽譜入手の費用にまわそう」と決意を固めました。インターネット上での無料の媒体を利用する割合が増えたこともこのような考えの後押しをしてくれました。
コンサートの回数が70回を超える頃は、世界中から連日のように楽譜の情報が届き、月に3回とか、毎週とか、連続のコンサート開催を余儀なくされる事態となってしまいました。本番よりもそのための準備が整っただけで安堵感に包まれたものでした。どの作品にも思い入れがあり、楽譜の見つけ方、届き方、作曲家や音楽家とのやりとり、初めて演奏して響いてきた音に感激してそれまでの苦労が報われた瞬間の喜びなど、言葉だけでは伝えきれないことが私たちのこれまでの活動を支えてくれました。
2009年春、整理することが出来ないほどさまざまな方向性があったこれまでの出会いが一つのところに集まったかのように、その時まで縁のなかった音楽団体や出版社との知己を得て、連弾ピアノ、2台ピアノのエッセイの執筆や楽譜の出版、そして2010年には海外でのコンサート開催までも実現することが出来ました。来年には活動を始めて10周年になるのでこれまでの出来事がそれこそ走馬灯のようによぎります。録音機器の不具合があって開演までの調整に必死だった回、ピアニストの交通事故、そのためのコンサートの中止と延期でお客様に2度も会場に足を運んでもらったこと、リハーサル中に会場に入ってきてしまったお客様、帰りのエレベーターで不満を言われてたお客さまがいたよ、と偶然同乗した知人に後で教えてもらった話などなど。
もちろん10周年を迎えられたからといってゴールにたどり着くわけではありません。満足することなく活動を続けたいと思います。
この文章を読んで私たちの活動の意図や優れた2台ピアノ作品への興味を掻き立てられた方々にはぜひ実際に演奏を聴いていただきたいと思います。
これまでの演奏作品はHPをご覧ください。
http://www16.ocn.ne.jp/~pccpiano/
社団法人全日本ピアノ指導者協会(ピティナ)での連載エッセイ
http://www.piano.or.jp/report/01cmp/pcc_duo/
3月27日(土)
2台のピアノの午後 「春の祭に寄せて -ルーセルの午後-」
近代フランスを代表する作曲家の一人、アルベール・ルーセルの二大傑作をご紹介します。
「喚起」は、ルーセルが若き日に海軍士官として訪れ、後に新婚旅行で再訪したインドの印象(エローラ石窟寺院、ジャイブール、ガンジス河畔ベナレス)を音楽で描いたものです。
「春の祭に寄せて」では、光り輝く祝祭の情景が描かれています。
いずれも作曲家自身の編曲した2台ピアノ版でお届けします。
開場 13:15 開演 13:30
会場:月島ピアノアートサロン
地図:http://www.piano-art-salon.co.jp/map.html
入場料 大人 2000円 小学生以下 500円
アルベール・ルーセル
喚起(Evocationd) 作品15
1. 洞窟に隠れた神々
2. 薔薇色の街
3. 聖なる河のほとりで
春の祭に寄せて 作品23
<作曲者による2台ピアノ版>
****
私たちがこの2台ピアノの演奏会を始めたときは、まさか100回を超える日が来るとは思いませんでした。「30回くらいで記念のCDが出せたらいいよね」などと話していたものです。
第1回目は宣伝にも時間とお金をかけて、音楽雑誌を通じて招待券を配ったりもしました。でも、招待券でお見えになった方は演奏中に「寝る、食べる、しゃべる」が揃っていて、招待券の配布は1度で止めることにしました。曲ごとにアナウンスをして、作品の紹介をしたり、感想をお願いしたりもしていました。
外国人向けの英語のチラシを作ったり、日本在住の外国人向けの雑誌や新聞、外国人の多く集まるスーパーの掲示板も使って宣伝をしましたが実際にいらしたのは大勢で見えた一家族だけ。その方たちはとても感激をしてくださいましたが、チラシ代の元も取れないので数回で頓挫。
さまざまな媒体に宣伝を載せましたが「私はクラシックをかじっているのですが、2台のピアノで一体何をするんですか?そんな作品があるのですか?」とある新聞社の方に真剣に聞かれたこともありました。
コンサートも10回を超えた頃になかなか集客数が伸びないので「どうして集客のことを真剣に考えないのかわからない」とか「“ラ・ヴァルス”やラフマニノフの“組曲”を取り上げたら、もっとお客さんが来てくれますよ」と、それまで取り上げた全ての作品やプログラムの意図を全否定される言葉を言われたこともあります。
いずれの言葉もその方なりの思いを込めて仰っていただいたこととでしょう。「今日演奏された作品の楽譜のコピーをください。著作権があって手に入らないからどうしてもコピーが欲しいのです」と演奏の感想の言葉もなく言われたこともあります。もちろん、著作権を遵守して丁重にお断りしました。それ以上に残念な出来事も言葉も対応もあり、世の中は理不尽なことがまかり通ることも学びました。
もちろん否定的な言葉だけではなく、「このコンサートを開いてくださってありがとうございます。集客数なんて関係ありません。音大出身者でない方がこのような企画を実現されたことは素晴らしいことです。私自身の音楽感の軸を揺るぎないものに出来ました」「自分が聴きに行った会場でこんなに感動しているのに、集客が少ないことなんかを嘆かれるとがっかりしますよ」などとこちらが恐縮してしまうような嬉しい言葉も数え切れないほど言われてきました。
本邦初演も世界初演も早い段階でいくつかの作品で実現をしたので、今は「弾きたい作品」「聴いてほしい作品」を取り上げています。このまま活動を続けても全ての作品を演奏できるわけではないほど世界中に優れた作品が存在することも認識しています。どの回も企画の意図をきちんと持って、取り上げる作品と季節感なども考慮して、演奏順にも意味があります。
こうした私たちの意図を的確に汲んでくださったのはやはり作曲家と演奏家を兼ね備えたご本人とそのご家族の言葉でした。ある時にどうしても外国の図書館で急いで入手したい作品があり、無理を承知で欧州の作曲家のご家族に手配をお願いしようと連絡を取ったのですが、先方はたまたまお留守でした。
後日「メールをいただいたときに留守にしていて、返事が間に合わなくてごめんなさい。もちろん、あなたたちのことだから代わりの作品を見つけて演奏会は無事に終わったことでしょう」と状況をしっかりと把握されたお返事をいただき感激したこともあります。
他の要素も書き始めたらきりがないほど存在しますが、ある回から「なるべく宣伝費用はかけずにその分楽譜入手の費用にまわそう」と決意を固めました。インターネット上での無料の媒体を利用する割合が増えたこともこのような考えの後押しをしてくれました。
コンサートの回数が70回を超える頃は、世界中から連日のように楽譜の情報が届き、月に3回とか、毎週とか、連続のコンサート開催を余儀なくされる事態となってしまいました。本番よりもそのための準備が整っただけで安堵感に包まれたものでした。どの作品にも思い入れがあり、楽譜の見つけ方、届き方、作曲家や音楽家とのやりとり、初めて演奏して響いてきた音に感激してそれまでの苦労が報われた瞬間の喜びなど、言葉だけでは伝えきれないことが私たちのこれまでの活動を支えてくれました。
2009年春、整理することが出来ないほどさまざまな方向性があったこれまでの出会いが一つのところに集まったかのように、その時まで縁のなかった音楽団体や出版社との知己を得て、連弾ピアノ、2台ピアノのエッセイの執筆や楽譜の出版、そして2010年には海外でのコンサート開催までも実現することが出来ました。来年には活動を始めて10周年になるのでこれまでの出来事がそれこそ走馬灯のようによぎります。録音機器の不具合があって開演までの調整に必死だった回、ピアニストの交通事故、そのためのコンサートの中止と延期でお客様に2度も会場に足を運んでもらったこと、リハーサル中に会場に入ってきてしまったお客様、帰りのエレベーターで不満を言われてたお客さまがいたよ、と偶然同乗した知人に後で教えてもらった話などなど。
もちろん10周年を迎えられたからといってゴールにたどり着くわけではありません。満足することなく活動を続けたいと思います。
この文章を読んで私たちの活動の意図や優れた2台ピアノ作品への興味を掻き立てられた方々にはぜひ実際に演奏を聴いていただきたいと思います。
これまでの演奏作品はHPをご覧ください。
http://www16.ocn.ne.jp/~pccpiano/
社団法人全日本ピアノ指導者協会(ピティナ)での連載エッセイ
http://www.piano.or.jp/report/01cmp/pcc_duo/