京都 洛北の時計師 修理日記

時計修理工房「ヌーベル・パスティーシュ」京都の洛北に展開する時計修理物語。
夜久野高原で営業再開しました。

時計師の京都時間「67ろくな時間」

2016-07-28 09:20:51 | 時計修理

7月28日木曜日。
「電池交換1000円!」の店頭POPを見て「大阪の電池交換は800円やで~!300円でやるところもあるしこのお店はわざわざ自分の店が高いですよ~。と言っているようなもんや~。」とわざわざ忠告してくれた。
私はニコニコと聞き流しています。
(ほ~!工房でやっているブルガリ、カルティエ、エルメスはたまたジェラルド・ジェンタまで800円でやってくれる店があるにゃら教えてほしもんだ!)と心の中で思う。
「あっ!これは私のところではできませんよ~!」とニクソン、ディーゼルの修理迷子。大阪からのお客さんが多いのもこの工房の特徴です。

 日本一の時計修理センターを目指した会社の管理者でした。数はヨドバシ、ビックに負けたか?それでも年間3億円の売上を上げていた部門のトップをやっていました。
その会社が清算されたことでアフターサービスの工房を作ったことは今まで書いてきた。
 私が扱ってきた電池交換料金すべて1000円の理由です。
お客様の中には「先生!」と慕って呼んでくれる人もいるし田舎のぼけたおっちゃん扱いする人など様々だ。ボケオヤジに大阪の価格を教えてあげようというこんな親切な人もいる。
 
修理先で断られてしまい止まったまま放置されてしまう結果、電池からの液漏れでさらに高額な費用がかかる事になる。「電池の抜き取り無料、電池交換1000円」とPOPに書いてあるのです。
大阪の修理業者さんと価格競争しているわけではありませんよ~。

写真はブルガリ。
電池交換風景です。電池カバーが無事に付いています。ブルガリへ電池交換依頼で出すとブルガリ修理下請け業者が電池カバーを抜く。そのかわりSR621SWから626の少し大き目の電池を入れてくるといううわさがある。真実は不明です。
時折電池カバーが抜かれた修理品が来ることがある。ユーザーも修理業者も藪の中!いつの間にか電池カバーが抜かれている。
写真のブルガリは購入後私の工房で電池交換を繰り返しているのでカバーはそのままです。

昨日、京都御所に行ってきました。

9時15分で67番目のカードを渡された。
入り口には10名以上の人たちが手荷物検査をやっていました。警備体制は満足いく安心感です。
順路を歩くと清掃用のリアカーを見つけた!小さな籠の中にコンパクトに収まられた道具たちに長年の知恵がある。しばらく足を止めて監査していた。知恵やね~!

写真のように拝観客はまばらに見える。広大な敷地を人がポツポツと歩いています。
それだけで色彩空間に感激します。
今までの特別公開のような展示物はない。華道関係者の作品もなく、襖絵のまえにはガラス戸が閉まっています。
そのガラスが揺らいだように見える手作り作品なのだ。これも珍しい!

空には邪魔な高層建築物は一切見えない。
東本願寺・枳殻邸から見える京都タワーは残酷な風景ですが御所は期待を裏切らないのだね~。

雨上がりの御池庭の緑が鮮やかです。

彫金も菊のご紋です。以前菊のご紋のロレックスを修理したことがあったがさすがに手が震えた。失敗したら一切時計の仕事から手を引く覚悟で向き合いました。
縁台の手すりは木材を曲げて作られています。この角度をそろえて均一に曲げる手法に感激します。

御所になかにポツンとある井戸、陰から垣間見えた襖絵。
昔から心が貧相になったら御所にきていました。
ここに来れば垣根の組みひも一本でも私よりはるかに苦労してきた職人の歴史が詰まっています。
「おいらより67ろくでもないと他人から馬鹿にされた人生を送ってきた職人さんたちへ!私一人だけでも感激していると67時間も浮かばれると思う。」

「おっちゃん!時計電池交換1000円は高すぎとちゃうかぁ~!」の一言でへこむオヤジなのじゃ~。






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