1日1話・話題の燃料

これを読めば今日の話題は準備OK。
著書『芸術家たちの生涯』
『ほんとうのこと』
『ねむりの町』ほか

11月30日・マーク・トウェインの跳躍

2019-11-30 | 文学
11月30日は、『ガリバー旅行記』を書いたジョナサン・スウィフトの誕生日(1667年)だが、文豪マーク・トウェインの誕生日でもある。トム・ソーヤーの生みの親である。

マーク・トウェインは、1835年、米国ミズーリ州のフロリダで生まれた。本名は、サミュエル・ラングホーン・クレメンズ。父親は雑貨店の経営者だった。
サミュエルが12歳のころ、父親が借金を残して没した。サミュエル・クレメンズは、印刷工見習いになり、10歳年上の長兄が出版をはじめた新聞を手伝った。
17歳のときに印刷工として、ニューヨークやフィラデルフィア、セントルイスなどで働いた後、ミシシッピー川を上り下りする蒸気船の運転手の資格をとり、船を先導する水先案内人になった。
後に彼のペンネームとなった「マーク・トウェイン」は「水深二尋」という意味の船乗り用語で、二尋は約3・66メートルを表す。この深さが、蒸気船が座礁しないぎりぎりの水深だという。
南北戦争時の従軍をへて、クレメンズは30歳のときに、ニューヨークの週刊誌にユーモア小説を発表した。『その名も高きキャラヴェラス郡の跳び蛙』という短編がそれで、これが好評を呼び、以後、彼は新聞の編集をしながら、小説や旅行の紀行を書くようになり、しだいに文名は高まった。
40歳のころ『トム・ソーヤーの冒険』、45歳のころ『王子と乞食』、50歳のころ『ハックルベリー・フィンの冒険』を発表。世界的に知られた米国の文豪となった。
アメリカ反帝国主義連盟のメンバーとして、米国のフィリピン併合に反対した後、 1910年4月に、コネチカット州レディングで没した。74歳だった。

『ハックルベリー』を読んだときの感動は忘れられない。まさにいっしょにミシシッピーの大河をいかだで下る旅をしたような、大きな感動だった。ヘミングウェイが、
「すべての現代米国の文学は、マーク・トウェインが書いた一冊の本『ハックルベリー・フィンの冒険』からきている」
と言ったのも、もっともだとうなずける。米国文学の大地にはたくさんの高峰がひしめいているけれど、やはり『ハックルベリー』である。

マーク・トウェインは、本が売れたので、お金持ちになったけれど、一方で彼は発明好き、製品開発好き、事業好きで、新しいタイプライターや印刷機の開発、あるいは出版社経営に注ぎ込んで、お金をなくし、ばくだいな借金も負ってしまった。
いまのお金で8百万ドル(8億円)くらいの私費を事業に投入して、失ったというから、さすがに大作家は、やることが大きい。
それで、借金返済のために彼はハワイ、フィジー、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、インドといった国々を講演旅行してまわった。
トウェインの話は、目茶苦茶におもしろく、大好評だったらしい。

マーク・トウェインの名ジョークで、いちばん好きなのは、これである。
「禁煙はこの世でもっともかんたんなことだ。わたしはもう何千回もやった」
(2019年11月30日)



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