1日1話・話題の燃料

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著書『芸術家たちの生涯』
『ほんとうのこと』
『ねむりの町』ほか

5/9・ビリー・ジョエルの永遠的な美

2013-05-09 | 音楽
5月9日は、『ピーター・パン』の作者、ジェームス・バリーが生まれた日(1860年)だが、米国のシンガーソングライター、ビリー・ジョエルの誕生日でもある。
自分がビリー・ジョエルの名をはじめて聞いたのは、彼のアルバム「ストレンジャー」が発売された1970年代後半だった。一編の映画を観たような気分にさせる、独特の雰囲気をもったタイトル曲「ストレンジャー」は巷で流れまくっていたし、アルバムも大ヒットしていた。外国のアーティストのレコードやCDは、日本ではたとえよく売れたとしても、日本人アーティストと比べれば、ぜんぜんすくないのが相場だけれど、「ストレンジャー」は例外で、当時レコード店へ行くと、「当店の売り上げ総合ランキング・トップ20」などと書いてあって、日本のアイドルや演歌歌手を抑えて、ビリー・ジョエルの「ストレンジャー」が堂々一位に君臨していて驚いたものだった。日本であんなに売れた外国人ミュージシャンは、ほかにノーランズくらいのもではないかと思う。

ビリー・ジョエルは、1949年、米国ニューヨーク州で生まれた。両親はともにユダヤ系で、父親はドイツから越してきた移民だった。
小さいころから母親に言われてピアノを習わされたビリーは、十代の一時期はボクシングに熱中していて、かなり強かったらしい。
ビリーは、高校を中退して、音楽の道一本にしぼった。そうして、22歳のとき、レコード会社と契約し、アルバム「コールド・スプリング・ハーバー」でデビューした。しかし、このデビューアルバムは、レコード会社が元音源のテープの回転速度をまちがえて速くまわし、ビリーの声が本来より半音高い変なレコードになってしまった。そんなことも世の中にはあるのだ。
その後、レコード会社を移ったビリーは、24歳のとき、アルバム「ピアノ・マン」を発表。これが大ヒットとなり、以後、
「ストレンジャー」
「ニューヨーク52番街」
「グラス・ハウス」
「ナイロン・カーテン」
「イノセント・マン」
などの名盤を発表。世界的なシンガーソングライターとなった。

自分はビリー・ジョエルの曲は大好きで、おそらく全部聴いていると思う。そのうちの2曲をピアノで弾き語りできる。CDもたくさんもっている。
ビリー・ジョエルの曲の第一の特徴は、メロディーが美しいことである。とくに1970年代の「ピアノ・マン」「ストレンジャー」「素顔のままで」「オネスティ」など、とても美しい。当時の奥さんに捧げたグラミー賞受賞曲「素顔のままで」など、同時代に流行ったほかのアーティストの曲とあらためて聴き比べてみると、不思議なことにこの曲だけが、まったく古さを感じさせない。ビリーの楽曲は、何十年たっても古さを感じさせない、ある普遍的な「永遠的」とでも呼ぶべき美しさを備えていると思う。
ビリー・ジョエル。まったく、すばらしい才能に恵まれたメロディーメイカーだ。
(2013年5月9日)



●おすすめの電子書籍!

『5月生まれについて』(ぱぴろう)
ビリー・ジョエル、マキャヴェリ、フロイト、クリシュナムルティ、ロバート・オーウェン、ホー・チ・ミン、バルザック、ドイル、中島敦、吉村昭、西東三鬼、美空ひばりなど、5月生まれ31人の人物論。ブログの元になった、より長く深いオリジナル原稿版。

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