米内光政が、海軍軍人出身で、
総理大臣まで務めたことは、有名である。
彼は、ロシア語にも堪能であったし、
ドイツ語も読めた。
戦争の前兆が日本を埋め尽くし、
ドイツ、イタリアと三国軍事同盟を結べ、
と、国内世論と海軍少壮士官とが騒いだころ
米内は海軍の要職にあった。
その頃、海軍の若手将校たちが、
ヒトラーの「マイン・カンフ(わが闘争)」(日本訳)を読んで感銘し、
ドイツと手を結べ、と叫んで、
米内の執務室に立ち入った。
ところが、米内は、悠然と
「君たちは『我が闘争』を読んだかねと聞いたね」と、
いきりたつ若手軍人に尋ねた。
彼らは、「もちろんです」と答える。
米内は、おもむろに「我が闘争」の原書を示して、
「この原書に、『日本人は低劣な民族だ』と書いてあるよ、
と言った。
いきり立っていた軍人たちは、
ぐうの音も出ず、
すごすとと退散したそうである。
教養は、無駄にならないものである。
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