最近アップ率が悪くスローテンポになってきていましたが、
今回のアップで300回になります。
毎日更新している方にとっては、300回なんてあっという間なのでしょうが、
私にとっては、努力の結集でありまして、思いは募るものがあります。
今後も、スローテンポですが400回目指して生きていきたいと思ってます。
そして300回を記念し、子供向けの童話を書いてみました。
・・・・・・・・・ のんちゃんのたから ・・・・・・・・・・・
やまおくの ちいさなむらは、ながいよるに つつまれて ねていました。
つきあかりだけが、 ぼんやりと ねているやまを てらしていました。
すると、カサコソ カサコソ カサコソ
あやしげな おとが しています。
のんちゃんは、 そのおとに めをさましました。
「ねーねー はなちゃん おきてー カサコソって へんなおとが するのよ。」
いとこの はなちゃんに こえを かけたけれど、 はなちゃんは、 おきてくれません。
のんちゃんは、ふとんから はいだし ひとりで おとのするほうに いきました。
カサコソと おとがしているのは、おじさんが 『カイコのこや』といっていた ほうからです。
『カイコのこや』には、いくつものたながあり たなのうえには、はっぱが はいっていました。
のんちゃんが、のぞくと おとはぴったっと とまってしまいました。
のんちゃんは、いきをとめて じーっとしていたら
またはっぱのなかで、 カサコソと おとを たてはじめました。
ちいさな むしたちが、 はっぱのなかで おとをたてて いるのでした。
のんちゃんは、 そのむしたちをみて めを かがやかせました。
「ねー あなたたち そこでなにを しているの?」
むしたちは のんちゃんのこえに おどろき はっぱのかげに ワサワサ にげていきました。
すると すこし おおきな むしが、 ソロソロと はっぱの あいだから かおを だして、
「おまえこそ なんだよ!! 」と、おこったように いいました。
「 あっ ごめんなさい わたしはのんちゃんよ。
おとうさんと おかあさんが、いそがしいので、いとこのいえに あずけられたの。
さみしくて ねむれなかったの、そうしたら カサコソと おとがしたので、 きて みたのよ。」
「そうかー だったら わしたちの ことは、 わからないなー」
「あなたたちは、 なに?」
すると すこし ちさなむしが、
「ぼくたちは カイコだよ こうして よなかに はっぱを いっぱい たべて、
えいようを たっぷり つけているんだよ。」
「へー でも、えいようを つけて どうするの?」
こんどは、ちょうろうらしき カイコが めんどうくさそうに
「りっぱな まゆに なるためなんじゃー」
「まゆになって どうするの?」
「まゆとはなー しろいたまに なるんじゃがな、そのたまから
きぬいとが できるんだよ きぬいとは のんちゃんが きている ふくになったり するんじゃ。」
「そうなんだーでも まゆになったら あなたたちは どうなるの?」
すると ちょうろうのカイコが こまったようすで、
「わしらは いそがしいのじゃー」といって、はっぱのなかに もぐって いきました。
「あーまって~」 のんちゃんは ちょうろうのカイコを、おいかけました。
すると、のんちゃんのからだは みるみる ちいさくなって、
はっぱのなかに はいって しまったのです。
「あれ~、わたしはカイコに なってしまったの?」
すると、ちいさなカイコが、
「おい、はやく はたらかないと りっぱなまゆに なれないぞー」
のんちゃんはいわれるままに、はっぱをたべはじめました。
ワッセッ ワッセ パクパク ドントコ ドントコ パクパク
「もうおなかが、いっぱいだよ~」
それでも、まだまだ たべつづけなくては なりません
のんちゃんは くるしくなって にげだしたくなりました。
でも カイコたちは
ワッセ ワッセ パクパク ドンドコ ドンドコ パクパク
もんくもいわずに たべつずけていました。
ちょうろうのカイコが おおきなこえで
「わしらは りっぱなまゆになって りっぱなきぬいとをつくるんだー
がんばれ がんばれ」
ワッセ ワッセ パクパク パクパク ドンドコ ドンドコ パクパク
のんちゃんは おとうさんと おかあさんを おもいだし ちょっぴりさみしく なっていましたが、
カイコさんが げんきに はたらいている すがたで ゆうきをもらい
のんちゃんも、いしょうけんめい たべつづけました
ことりのこえで のんちゃんは めをさましました
おひさまが きらきらと やまのみどりをてらして あさがきました。
「のんちゃん こっちさきてみんちゃー(こっちにきてごらん)」
おじさんが おおきなこえで のんちゃんを よびました。
「ほら、まゆってしんねべー(しらないだろう)」
おじさんは、しろくて キラキラひかる おやゆびのような
かたちをした まゆを みせてくれました。
それは、しろい ほそい いとが かさなって、 さわるとすべすべしました。
たいようの ひかりで、 プリズムの ようにきれいでした。
「りっぱな まゆになって よかったね。」
のんちゃんは たいようにまゆをかざして かいこさんに 、
ゆうきをもらった おれいを いいました。
おじさんは のんちゃに まゆをくれました。
のんちゃんは ちいさなはこにいれて、 たからものにしました
そして、 はこを ときどきふって、 カラカラとなるおとを きくと
あの ふしぎなよるのことを、 おもいだしました。