庭のフットライトと会話をする。庭と言っても猫の鼻下程の小庭、フットライトは当然ながら太陽光発電のホームセンター安値量産型だが、ウィスキーのストレートをくゆらせながらの春の夜のフットライトと二人きりの小庭は、さほど悪くない。
私「私にはまだ力がありますか」
フットライト「・・・・・」
私「力があったとして、私にはその力を出せますか」
フットライト「・・・・・」
私「それとも、私がまだ出したことのない力がこの体のどこかにあったりしますか」
フットライト「・・・・・」
私「そうですか────そうですよね。さて。どれだけのことを、あと私は、学ぶ必要がありますか」
フットライト「・・・・・」
私「はい。ごちそうさま」
さほど悪くないとは言ったが、フットライトとの会話は、もちろん、さほど盛り上がりもしない。グラス半杯分のウィスキーをあおった後で、冷えた体を温めに、私は家人たちの待つ家の中に戻っていった。
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