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人・トニック

2007年10月05日 | 食べ物
 ジン・トニックという飲み物がある。ジンを指定の炭酸で割ってライムを落とした(あるいは飾った)非常にわかりやすいカクテルである。バーに入る。これを注文する。すると必ずといっていいほど他の店とは全然違う味が出る。無論、カクテルならいずれのカクテルでも店により違う味が出るには相違ない。それはそうだろうが、それでもこのロング・カクテルはやけにストライクゾーンが広い気がする。材料の組み合わせそのものが黄金率のようによくできているのもその一因だろう。さほど酒に詳しくないくせに勝手に憶測すれば。
 不思議なことに、今一つの街にいて、街にある四軒のジントニックが四軒ながらいずれも美味しい気がするのだ。最近さらに五軒目に出会った。
 語弊のないように急いで言い添えれば、ストライクどころか「大暴投」のJ.T.も一度ならず味わってきた。何でもいいというわけではない。おそらく飲み客が思うほど作るに易しくないカクテルに違いない。それでも、許容性が高いと感じるのは、店によってどこでこのロング・カクテルの味をまとめるか、その狙いが、これほど多様なものも少ないと心得るからである。酒にさほど詳しくないくせに。
 ライムの苦味でまとめる店がある。ジンの香りでまとめる店がある。炭酸でまとめる店もある。どの味もそれぞれに味わいがある。私好みの味はあるが、それはそれとして多様性を楽しめる。その場の雰囲気を機敏に汲み取るカクテルでもある。
 結局のところ、マスターの人柄が一番滲み出やすいカクテルだと思う次第である。
 
 それで今夜も何だか知らないが、手始めはジントニックから行こうか。
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