日曜日の夕刻に街を散歩したら、見事な藤棚に出くわした。道路から玄関まで咲き乱れていて、この家に訪ねてくる人はずいぶん頭を下げなければいけないだろう。それからまたたらたらと歩いた。何人かの人に往き合った。猫にも出会った。人は必ず眼をそらすと思った。猫は必ず眼を向けると思った。不思議である。歩き疲れたころに寿司屋についた。贅沢するために歩いたのである。歩いたからと言って勘定が安くなるわけでもないから、あまり理屈に合わない。寿司屋でしこたま飲んでから歩いて戻る頃には、人も猫も藤棚も宵闇のどこかに消えていた。
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