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北方三国志について、そのすべて闇

2024-07-07 12:11:00 | 読書

 北方謙三氏による、1996年から98年まで全13巻で刊行された歴史超大作。
 三国志を題材とした通称『北方三国志』。

 時は後漢末期、184年に黄巾の乱が勃発。
 そこから後漢政権、国家が崩壊し、群雄割拠。

 大志を抱いた劉備、関羽、張飛の三兄弟が乱世を駆ける。
 やがて、国は魏呉蜀という三国鼎立の時代へ。しかし、劉備三兄弟は非業の死を遂げる。

 志を継いだ名宰相・諸葛亮が戦い続けるも、234年、道半ばで力尽く。
 
 小説は劉備が傭兵として身を立て、蜀漢を建国、諸葛亮の死までを描いた作品。

 最近、三国志にハマッてます。
 横川光輝氏の漫画、吉川英治氏の小説を読破し、現在3作品目。

 なんか子供の時、めっちゃハマッて読んでたけど、結局最後まで読んでないよなと。
 大人になった今、改めてちゃんと読んでみようかなと。なんかそういうのが大事なような気がしてきたお年頃w

 てか、この作品読み終わるまでに1年くらいかかりましたねw
 読んだり読まなかったり、何ヶ月か空きながら、最近ブーストがかかって一気読み。

 北方三国志はいわゆる「むせる」みたいな、男の世界観を描いた有名人気作。
 俺も名前は知ってたけど読んだことはなかったんよね。

 横川漫画と吉川小説は、子供の時に途中まで読んでて、今回完読。
 満を持して、北方三国志という新たな三国志ワールドへ踏み込もうと。

 ただ、読み始めたらイメージと違ってびっくりしましたがw

 三国志には晋代の陳寿が編纂、429年に宋の裴松之が補完した歴史書である『正史』。
 陳寿から約千年後、明代の劇作家・羅漢中が書いた物語『三国志演義』。

 まぁ、羅漢中が三国志演義の著者なんかどうなんかホントは謎らしいですが、それは置いといて。
 北方三国志はこの内、正史をルーツとした作品。横川漫画や吉川小説は演義作品。

 何が違うかと言うと、正史は歴史書なんで、事績が端的に書かれてるだけ。事実が書かれてるだけ。
 演義は羅漢中の書いた三国志の二次創作、蜀漢びいき作品。よう誤解される桃園の誓いやらは演義の創作。

 だから、北方三国志は事実を基に描かれてて、事実に話や物語の流れを入れて、登場人物の心情で行間を埋めるみたいな。結構独特な作品やと思いました。

 これがまた評判で言われてるようなハードボイルドとも違う。
 もっと言えば正史作品とも違うような。良く言えばオリジナリティ、悪く言えばちょっとファンタジー寄り。

 北方三国志オリジナルのキャラが結構活躍したり。
 本格的な三国志とは言い難いかな。オリジナル要素がかなり強いんで。

 言うたら、北方氏が現代の羅漢中となって書いた新たな三国志演義、北方演義ですね。
 そういう意図なら納得できる。思ったより重厚感はない。大作のイメージが強かったけど、まぁ、三国志の二次創作として見たら面白い作品でしたかね。気持ちの切り替えが大事。

 でも、個人的には北方三国志のキャラ描写はあんましって感じ。
 マザコン呂布とか。北方氏一推しのキャラらしいけど、俺は微妙に感じた。

 伊籍とか張衛とか、好きなキャラもいるけど。
 特に張衛のフィーチャーされ具合はこの作品最大の魅力w 北方三国志でしか絶対見れないですし、ここのオリ要素は良かった。

 ドM司馬懿も諸葛亮の宿敵としてキャラが立ってたかな。
 李厳の処断も説得力あった。李厳、好きな武将なんで救済があって良かった。

 総合的にキャラの好き嫌いが激しい作品だったな。
 キャラ立ちとしては『蒼天航路』みたいにぶっ飛んでた方が面白いかなとは思った。

 北方三国志は終始淡白です。ただ、その分、生々しい作品ではある。
 正直、中盤あたりはそんな面白くないw でも、物語が折り返して英雄達が死んでいく段へ入ってくと、その死に様が壮絶。

 周瑜の死、関羽張飛劉備が立て続けに死に。
 特に張飛の死が見てられんかった。最愛の妻・董香と息子の張苞が暗殺され。徐々に心が壊れていく様。怖すぎてマジでページがめくれんかったw

 諸葛亮の死も。諸葛亮の活躍はラスト2巻で短いんですが、中身は濃密。
 死に様の描写は丹念で、1〜7巻までは微妙だったけど、8巻から読むの止まらんかった。

 三国志って、ただのバッドエンド作品なのに何でこんなに心を打つのか。
 英雄の死が、読む人に何かを訴えるからか。それだけじゃない気もするけど。

 読み始めは微妙だったけど、読み終えた後の感覚は良い。改めて面白かったです。
 他にも三国志作品は色々あるから、また次の作品を読んでみようかな。

 では、また。
 


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