腐れゲー道

プレーしたゲームの感想文を、ダラダラと粘着質に綴ります。

Agent A ~偽装のパズル~

2022年04月30日 11時51分33秒 | SWITCHゲーム感想文
【ハード】Switch
【メーカー】YAK
【発売日】2019年8月29日
【定価】1500円(DL専売)
【購入価格】100円
【プレー時間】7時間


先日「ゼノブレイド3」の発売日が発表された。9月予定と言っていたのに、何と前倒し、7月29日に。おお。これは偉い。
ゲーム業界において発売予定日は守られれば褒められるくらい「よく延びる」ものだ。前倒しはかなり珍しいケースと言える。
つっても今は良くも悪くも修正パッチ配信が可能だから、死ぬ気でデバッグをやる必要性はなくなったがな。そら甘えるよねぇ。
まいい。突然の発売日発表にツイッタが騒ぐ中、俺は別の数字に驚かされていた。価格だ。定価8700(DL版、込)円。マジで!?
まぁ「高い」とは言わないでおこう。現代ゲームを、まして大作RPGを作る以上、開発費が嵩むのは俺にだって想像出来る。
ただそれでも「従来の任天堂感覚」だと、高い。言ってるやん! 5800、いや6800円基準と思ってた。それを二段階飛ばしてる。
俺はもう5年くらい任天堂の新作を買ってないから、その間に基礎価格も上がったってことか。そっか。無論、それは自由だ。
売り手には好きな値段を付ける権利が、買い手にはそれの可否を選択する権利がある。誰も悪くない。無論、拒否する俺も。
Switchで高いゲームはやる気にならん。残念ながら俺はもうその方向性で固まった。でもゲームはする。激安DLタイトルで。
既に幾つかプレーし、手応えも良かった。安っぽい部分は当然あるが、「低品質ゲームで我慢している」感覚は全く無い。
これは強がりではないのだ。「何故100円でこんなにゲームを楽しめるのか?」は自分でも不思議でならんが、事実なのだ。
俺のswitch激安DLゲー道はまだまだ続く。だってまだまだゲームがあるから。……ええんかこれで? 答えは神の味噌汁。ぷ。

で、今回は「Agent A ~偽装のパズル~」である。例によってセール100円購入だ。ゲーム内容を知らずに値段買いした。
今作は頻繁に100円セールをやっていて、20220430現在もその最中である(5/15まで)。君も何も考えずクリックしたまへ。
タイトルからしてパズルだから、多分そこを楽しめると思った。あとお姉さんが目立つからラブコメも望めるかな、と。えへ。
1年くらい寝かせていたが、Switch活発化計画のために引っ張り出してきた。100円だし。そこ関係ある? あるんだよ俺には。
尚、今作はオーストラリア制のインディーズゲームらしい。へー。色んな国でゲーム作られてるなぁ。ほんま、広がったもんだ。
と言ってもローカライズはキッチリなされており、日本語にもさほど違和感はなかった。問題なく遊べるゲームである。
音声や細かいシステムがない分ローカライズが楽で、故に世界展開がしやすいというのもインディーズの長所だな、多分。

さて今作、どういうゲームか。基本的には「同級生」タイプの旧式アドベンチャーである。……例えが古すぎる?
うーむ。この手のゲームは「何系」と呼ぶのが正しいのかなぁ。要は虫眼鏡カーソルで画面全体を捜査するタイプのADVだ。
【調べる→机】といった固定行動ではなく、調べたいなら自分でカーソルをそこへ動かす。自由度が高く、一方で面倒臭い。
またこの手のゲームは「どのオブジェクトに意味があるのか?」が分かり難く、それに気付かないと詰まってしまいやすい。
だが今作は意図してなのか予算の都合かグラフィックは非常に簡素で、調べられる対象が少ない。その殆どが必須オブジェだ。
正直フリーカーソルにした意味をあまり感じない。まぁコマンド体系を作るより、こっちの方が制作が楽だったのだろうな。
同級生等の旧カーソル式では「意味のないオブジェクトを選んで反応を楽しむ」という遊びもあったが、今作にそれは殆どない。
良くも悪くも反応のあるオブジェクトがほぼ全て必須の対象だからな。古いシステムながら、懐かしの遊びは楽しめなかった。
で。オブジェクトが少ないなら迷うことが無くなり、難度が低いのではないか? と思うかもしれんが……実際はそうではない。
たっぷりくっきり、困らせてくれるゲームである。それはもちろん謎解きであり、タイトルにもあるパズルであり。はぁ。

ぬぅ。システムは非常に簡素で、序盤を少しやればすぐ全貌を掴める。元々ホゲ(?)らしいし、複雑さは何もない。
その場その場の謎を解いて仕掛けを動かせば必ず先に進める。消耗品や時間制限もなく、今作に「ハマり」は存在しない。
概要だけ聞くと現代的にヌルそうな難度に思えるのだが……実際は、旧作風にガチだった。少なくとも甘い調整ではない。
まず思ったのが、今作は「部屋が多い」ことだ。その時点で行ける場所が多く、となれば選べるオブジェクトも当然多い。
謎解きで必要になるアイテムも各所にバラ撒かれている。「今この画面だけに集中すればいい」ということがない。
つってもメモが必要なほど要素が多い訳ではないが、逆にテキトーな記憶に頼っていると泥沼にはまるバランスでもある。
各部屋(各画面)での謎と現在持ってるアイテムをキッチリと把握する。それが今作の攻略になるだろう。まぁ基本だよなこれ。
アイテムの使用には発想力も求められ、例えば鍵なら使用箇所は自明だが、ハンマーなら何を壊すかは少し考える必要がある。
今作は非常に多くのアイテムが登場するが、複数の使い道があるものは一切ない(多分)。故に使用箇所は全て決まっている。
これは優しさ(易しさ)と取るべきだろうな。ちなみに正しく使ったアイテムは消えるので、後腐れに悩むこともない。
……ハンマーやドライバーは捨てずに持っとけよと何度も思ったが。実際、後になって使えそうな場面いっぱいあるし。
まぁそれは言うまい。とにかく「全てのアイテムに固有の使い道」「絶対にハマりはない」を念頭にプレーすれば問題ない。
だがアイテムは、次のエリアで必要(今は不要)てのも多いので、「今これを使うはずだ」という思い込みは罠にもなる。
結局は「よく考える」しかない。いつの時代も変わらない謎解きの基本がそこにある。……同級生にはなかったけど。はぁ。

そうして頭を捻って謎を解き、一歩一歩ゲームを進めるのは……面白いね。いつの時代も、何度やっても面白い、ゲームの基礎。
世の中、ゲームをやってる人は多くいるが、一方で「ゲームを卒業した」人も多くいる。昔は盛んにやってたが、今は全然、と。
そういう人達は、今作のようなゲームに触れても「昔よくやったけど飽きた」になるのだろうか。俺にはその感覚が分からん。
だって、こういうのは人間が根源的に面白く感じるもんだろ。飽きるわけがない。寧ろ時間を置いたらより楽しく感じるのでは?
まぁ時間は有限だから、他に面白いことあるならそっちに行くのは分かるが。……そうなのかな。それならしゃーない。知らん。
俺はゲームで生を潰す人間なので、今作のような存在があるだけで、死ぬまで遊べることが分かる。……遊べてしまうことが。
人間、謎があれば(可能かどうかは別として)解きたくなる。そしてゲームの謎は解けるように作られてる。事前に知ってる。
だから挑んでしまうし、実際に解けてしまうから、快感に包まれ、また次の謎に行ってしまう。実に自然だ。人間だもの。
今作が100円だとかシステムが古いとか、そういうのは些末な話なのである。人間なら普遍的に面白く感じるものなのだから。
全く、「勝ち」ジャンルだよなぁ。ズルいとさえ思う。ただもちろん、文句はない。だって面白いから。全てに勝る肯定である。

謎の難度は、最初から割と高めと感じた。ただ逆に後半に難しくなることもない。常にじっくり考えていれば必ず解ける。
クリア後に今作の感想を軽く漁ったら、「難度は低い」と書いてるものしか見かけなかったが……俺は難しかったです、はい。
この手のゲー謎は、難しさ云々より「気付き」が大事だ。そういう意味では、変に考え込むと間違った道を進んで危険である。
手持ちのアイテムと画面にあるオブジェクトをよく見て、それぞれの使い方や動作を考え……いや、想像する。
一応虱潰し作戦も通用するが、その時にやれることはかなり多いから非現実的だし、何よりそれじゃ面白くない。
よく見て、よく考えて、よく発想する。さすれば必ず「カチリ」がある。ゲームで鍵を入れて回す時の効果音、いつも最高だね。
また詰まることは多いが、一つの詰まりを突破すると、そこから一気にトントン拍子で謎解きが捗ることも多い。
この時のジェットコースター感は、本当にたまらない。直前まで詰まりまくっていた鬱憤を吹き飛ばす、脳汁大放出イベント。
読み系謎解きゲーの醍醐味である。BGMで盛り上げてくれるわけではないが、逆転裁判の曲でも流してみたくなるね。


物語。まずタイトルの「エージェントA」とは、今作主人公のことである。仕事はスパイというか調査員というか、そんな感じ。
何となくダンディな中年を連想してしまうし、言動もそれっぽいが、実は本人の立場については一切言及がない。性別さえも。
一人称視点なので外見ももちろん描かれない。ここまで謎な主人公も珍しい。ただ、寡黙ではなく、独り言は大好きな模様。
今作は誰かと会話することがほぼなく、ゲーム中の文章は大半がAの独り言だ。オブジェクトを調べれば、何かしら言ってくれる。
先述のようにローカライズは良好で、彼(まぁ男ではあると思う)の軽妙な独り言は地味な今作を少しは盛り上げてくれる。
で。じゃあA氏の目的は何なのか? そこで登場するのがタイトル画面に出ている美女、エージェントルビーである。
敵側のエージェントであるルビーがこちらの仲間を狙っているので、組織はAに彼女の捕縛指令を出したのだった。
Aは早速ルビーの家に乗り込むが……そこは仕掛けだらけの奇怪な建物だった。どうも彼女の罠に嵌められたようだ。
閉じたガラス扉の向こうで手を振るルビーを追い詰めるべく、Aはその類稀なる頭脳と行動力を全開放するのだった……。

とまぁ、要はルビーとの追いかけっこである。例えるならこちらが銭形、ルビーがルパン(&不二子)のような立ち位置だ。
つってもプレーヤーことAは銭形と違ってコメディキャラではないから、少しずつパズルを解き、ルビーを追い詰めていく。
……今作は一応現代劇のはずだが、こんな仕掛けだらけの建物をどうやって作ったのか……まぁリアリティは考えるな。
また、「60年代をテーマにしている」と販売ページに書かれているが、携帯電話が登場したりして、結構テキトーだった。
途中で一つ衝撃的な事実が判明する!! ……が、正直読めてたから衝撃は受けなかった。キャラ少ないゲームだしね。
ルビーは追いかけっこの末に追い詰めることになるが、別にラブコメはなく、ここも残念。洒落た大人のゲームにしてくれよ。
ルビーは有能ぶってるが実は間抜けで、最後もなんか締まらなかった。あれはもうちょっとカッコ良くすべきだったと思う。
Aが掴んだ情報を味方のエージェントBに送ることで物語は終わる。つまり続編の匂いがするのだが……まぁポシャったのだろう。
謎さえ作れれば幾らでも続編は出せるが、謎作りだって簡単じゃないからね。そらそうだ。解くことの100倍難しい。

グラフィックは、これはもう簡素というか手抜きというか、「オブジェクトを認識しやすくするための絵」だった。
故に分かりやすくはあっても全く綺麗ではない。ならばセンス良く見せてくれればと思うが、それもなかった。
今作はレトロADVオマージュゲームだから、敢えてそれ風にしたのかな。まぁ安価ゲーでグラフィック不満は禁句だ。我慢しよう。
音楽は特筆すべきものはないが、各仕掛けを解いた時の効果音は、プレーヤーの喜びを増すことに大きく寄与していると思う。
カチリ、カチャリ、ガタンと仕掛けが動く喜びは、この手のゲームが好きなら誰でも共感できるはず。今作にもバッチリあるよ。
特に鍵開けカチャリ音は、リリンの生み出した文化の中でもかなり上位に入るのではと思う。現実でもあの音好きだろ、皆?
人生とは鍵開けである。と言うとそれっぽい。あやふやな道徳やら愛やらと違い、合致した鍵は「正しい」からね。それっぽい。


ふぅ。短時間ながら結構苦戦した。けど負けずに頭を捻ってちゃんと自力でクリアーできた。謎解きゲーを堪能。満足である。
またしても100円ゲーでガッツリ遊べたのう。プレー時間は短いが、その手軽ささえも安価ゲーの売りになるところがある。
そしてさっきも書いたが、こういう「根源に訴える」ゲームに、俺が飽きることは恐らくない。次も似たようなゲームにハマる。
安価ゲーは安価故に現代的な豪華さを纏えないから、昔ながらの根源訴求ゲーになりがちだ。言ってしまえば、新鮮さがない。
だがそれが「つまらない」ではないから困ったもんだ。要は、古ゲーのレプリカを差し出せば、ゲーオタは楽しめてしまうのだ。
人間はとにかく飽きる生き物だが、手を変え品を変えられると、意外と飽きない。複雑なのか単純なのか、変な生き物だ。
あーもうゴチャゴチャうるせー。古さも新しさも、マンネリも斬新さも引っくるめて「面白い」が正義。それでいいんじゃね?

今のとこ絶賛ばかりだが、いずれ100円ゲーに「さすがに古すぎ」「〇〇まんまで価値を感じない」と思うことも出てくるはず。
また、金と時間を投下し常に進化を目論んでいる最新ゲーを蔑む気ももちろんない。新作供給が止まればゲーム業界は終わりだ。
色々あっていいし、色々やっていこう。最近は多すぎる選択肢に困ることばかりだが、この世界、基本的に多様さは正義である。
今は「オールドスタイルだがやれば十分面白い安価ゲー」はゲームの多様さの一角を締める存在だ。少なくとも俺にとっては。
比類な……いや寧ろ旧作に倣った作りだけど、面白いから文句はない、人の興味の根源を揺さぶる謎解きゲーを肯定して終わり。
目の前に台座と3つのくぼみ、意味ありげな文章……どう? 想像するだけでウズウズするだろ? 俺達ゃそう作られてるのさ。
嗚呼ゲームの謎は楽しいな。必ず正解があるから。大抵の思考努力が報われるから。……何一つ解けやしない、現実と違ってね。
はぁ。






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