【ハード】ドリームキャスト
【メーカー】NECホームエレクトロニクス
【発売日】1998/12/23
【定価】5800円(税抜き)
【購入価格】980円(税込)
【プレー時間】15時間くらい
今から18年前。日本では、ある中年男が不思議なブレイクを果たし、連日テレビCMで話題を振り撒いていた。
名を湯川英一(ひでかず)という。……と言っても伝わらんから、役職で書こう。「湯川専務」である。
湯川氏は当時、セガの専務に就いていた。つまりリアル専務である。決して架空設定ではない。
その男が、セガの新ハード「ドリームキャスト」のCMシリーズに出演し、様々なやり方で「弄られ」た。
もちろん湯川氏は俳優でも何でもなく、役職以外はただのオッサンだ。だがその前代未聞の起用と自虐が大いに受け、大ブレイク。
若手イケメンジャニーズ「滝沢秀明」氏との競演が、またいい味を出していた。全く見事な仕掛けである。大したもんだ。
……その仕掛け人こそ、後にAKBで天下を取る「秋元康」氏である。いや氏はもうとっくに天下を取っていたのかもしれないが。
しかしDCは立ち上げ時に歩留まりが悪く、満足に生産できなかった。その為需要を満たせず、やがて湯川ブームも終わる。
生産体制が整った頃にはすっかり落ち着いていて、後はもう「最後のセガハード」として生きる道が残るのみだった。
秋元氏はその後「後藤喜男」にて湯川ブーム再現を狙ったが、これは企画を完遂せず終了、氏もセガを去った。
全ては90年代末に見た「ドリーム」てとこだな。セガは夢を投げかけてくれたのさ。何にせよ、昔の話だけどね。はぁ。
そんな話はあまり関係なく。11月27日、それは比類なきセガ最後のゲーム機・ドリームキャストの発売日である。
俺は毎年、こういう「ゲーム機の誕生日」を意識する。死ぬほどキモい。まぁ自分の好きなハードに限られるけどな。
そして誕生日なんだから、やはりお祝いをしたい。ゲーム機へのお祝い? そんなのプレーする事以外にあり得ないだろう。
だから毎年、ハード誕生日には何かをプレーしようと思うのだが……大人の事情というカスの言い訳にて、大概スルーされる。はぁ。
まぁ年に一度と言っても、1年なんてあっと言う間だかんね。いちいち祝ってたらキリがない。そもそも目出度いんか? クッ。
俺が年を取る毎に、ゲーム誕生日の扱いもおざなりになってきた。新しいものが増え続ける以上、ある程度は仕方ないことだが。
しかしDCの放置っぷりはヤバい。何と2012年「サクラ対戦」以降やってない。本来は毎年サクラシリーズやるつもりだったのに。
そんなキモい危機感を覚え、去年の11月27日、久々にDCソフトをプレー開始した。モノは「セブンスクロス」である。
ロンチから約1ヶ月後に発売され、DCの年末商戦を背負ったタイトルである。嘘である。殆ど誰も知らないままに消えていった。
無名っちゃ無名だが、湯川専務のおかげでDCが一番盛り上がっていた時期のタイトルだけに、名前はしっかり覚えていた。
んでDCが終わった頃、980円新品を発見して何となく購入。十数年前かな。もう覚えてないや。
やり残しが気になってたタイトルなので、今回選定した次第である。去年11月27日に、キッチリとプレーを開始した。
……はい、放置。いつものこと。約1年が経過し、「このままじゃダメだ!」と心を入れ替えて再開した次第である。はぁ。
しかし放置には理由があった。まぁこのゲーム、実に難しい。難度が高いのではなく、「難解」なのだ。
プレー前、当然説明書を読んだ。……よう分からん。プレー開始、やはりよう分からん。再度説明書を読んだ。またもよう分からん。
「複雑」ではないと思う。コマンドが多いとか、要素が絡みまくってるとか、そういうことはない。今現在は概ね理解出来てる。
だが「取っ付きの悪さ」は凄まじいレベルである。これもインターフェースが悪いというべきかなぁ。恐ろしいほど、分からない。
俺は感想を書く際、ゲームシステムの説明めいたものも一応並べる。今回もそれをやる。……が、多分誰も理解出来ないだろう。
説明書読んでも分からんのに、俺の説明で伝わるわけがない。まぁ今現在このゲームに興味のある人がいるとも思えんが。はぁ。
今作の難解さを生む原因の一つは、英語だ。今作はセーブ画面等のごく一部を除き、表記が英語なのである。
「TELEPORT」「EVOLUTION」「FORD」「PROTEIN」……等々。知ってる単語もあるが、知らんものも多くあった。
文字情報が多いゲームではないので大きな障害にはなってないが、それでも激しい疎外感と重みを感じる。馬鹿に厳しいゲームだ。
変なゲームではあるが別に洋ゲーな雰囲気でもないのに、何故こんな余計な壁を築いたのだろう。実に無駄な敷居だと思う。
まぁ英語はいい。最悪調べれば事足りる。本題はもちろん、システムそのものである。ほんっとーに、分からんかった。
まず今作はどういうゲームか? 「ある星に原生物状態で誕生し、進化し、生態系の上を目指す」というものである。
単細胞時代は、もちろん何も出来ない。だが少し動き回って植物を食えばその状態はすぐ終わり、やがて「オリジン」になれる。
オリジンでは微力ながら戦闘能力を身に付け、他生物と戦えるようになる。開始から約10分、ここからがゲームの始まりだ。
……じゃあ、説明するよ。読む必要なんてないけど一応な。オリジンのままでは糞弱い。だから当然、成長する必要がある。
今作では敵を倒すと「EVP」が得られる。EVOLUTION POINT、「進化値」だ。一般的に言う経験値みたいなもんだな。
EVPを一定値溜めると、セーブポイントでもあるモノリス石版(仮)にて「EVOLUTION」が可能になる。そう、進化だ。
んでここからなんだが……進化を選ぶと、「EDIT」画面が表示され、そこには10×10のマスが用意されている。
プレイヤーはこのマスに、自由に絵を描く。……いや、字でも何でもいいけど。とにかく、10×10内に何かを描くのだ。
そして決定。……すると、描かれた絵により上昇値が導き出され、パラメータがアップする。EVPを使ってこれを繰り返す。
絵を毎回一から描くのが大変なら、20回分までは履歴が保存され、それを呼び出せばその時のままの絵を再現可能だ。
……で。「描いた絵によりパラ上昇値が導き出される」と言われても、その根拠はどこにあるんだ? 答えは人工知能、AIである。
AI。比類なき「ドラクエ4」がゲーム業界に取り入れ、同時に比類なきザラキ狂が「AIはアホ」という認識をユーザーに植え付けた。
そんなAIを今作も導入している。役割は、ユーザーが10×10に描いた絵から、上昇するパラメータを決定することだ。
ゲーム開始当初は、このAIは何の情報も持ってない。だから最初は出鱈目入力になるが、そのうちAIが「入力傾向」を覚えるらしい。
マスの左ばかり塗っているとか、円形だとか、そういうのを判断するのだろう。それにより、AI様が上昇値を決定する。
このAIの思考を見切り、効率的にパラメータを上げていくのは今作のゲーム性なんだろうが……はい、もちろん、ワケワカリません。
そもそも10×10マスを埋めるのが非常に面倒臭く、楽しい作業じゃない。凝った絵を描けばいい数字を貰えるってわけでもないし。
だから殆どのユーザーは結局テキトー入力になるだろう。無論俺もそうなった。それが不正解というわけでもないんだから仕方ない。
実際、この思考放棄出鱈目方針でも「まぐれ当たり」は結構出て、ゲームは進められた。その辺はちゃんと調整してある。多分。
……だが、出鱈目でも通用するが故に、「AIなんて本当に搭載してたのか?」レベルで無意味な存在だったことも事実である。
製作者は新ハード・DCで何かカッチョええことやってみたかったんかな。でもやるならちゃんと面白さに繋げてくれんと……。
そして、この絵描き行為の意義は、パラメータアップだけではない。「進化パーツ取得」というもう一つの目的があるのだ。
今作のプレーヤーキャラは「HEAD」「BODY」「ARM」「LEG」の各部分を、「パーツ」として好きに入れ替え可能なのだ。
最初のオリジンは全てレベル1パーツだが、EVOLUTIONの結果により、新たなパーツを入手出来る。もちろんAIの機嫌に委ねられるが。
パーツレベルは30まである。パッケ裏には「81万通りの進化が可能!」と書いてあるが、要するに30の4乗通りということだ。
パーツを変えればパラメータはドカンと上がり、使える魔法や攻撃手段、移動可能な地形が増えるといったメリットがある。
もちろん見た目も変わる。パーツには「INSECT」「LIZARD」「MONKEY」等の種類があり、それっぽい外見に切り替わる。
が、変更はパーツ毎、である。つまり「頭は昆虫、体はトカゲ、腕は猿、足は魚」なキャラにすることも可能。クリーチャーだ。
同種のパーツで統一すればボーナス能力を会得出来るが、そう都合よくは揃わないので、基本今作はクリーチャー操作のゲームだ。
どんなパーツを取得出来るかは、とにかくランダム、じゃなくてAI様の機嫌次第。彼の思考を読めれば勝ちだが、まぁ無理だろう。
出鱈目入力で、突然ハイレベルパーツをゲット出来たりするので、そこに妙な快感と面白さはあった。これでいいのかな。うーむ。
取得パーツは重複することもあり、その際は何も起こらない。また生成パーツのレベルが高いほど、パラメータアップも大きくなる。
なので、良いパーツを作れる絵を発見したら、それを何度も繰り返せば、新パーツは得られないもののパラはガンガン上げられる。
……言ってること、伝わるかな? ちなみに「百聞は1プレーに如かず」とも言えない。やってみても分からんだろうから。はぁ。
まだ終わらない。AIさんの意に沿えば、突然変異的に高LVパーツを入手できる。レベル3の頃にいきなり15のものが来たりする。
が、すぐそのパーツに変更可能とは限らない。今作には「栄養素」というパラメータもあり、変更にはこれを満たす必要があるのだ。
栄養素には「水」「タンパク質」「ニューロバイオ」等がある。パーツ毎に決められた量の栄養を持ってないと、変更は不可だ。
栄養は、敵を倒し「捕食」することで得られる。捕食つっても敵の死体に触れるだけで、「カリッ」という咀嚼音と共に終わる。
敵によって得られる栄養は決まっているので、必要なものを持ってない敵だと、幾ら倒してもパーツ変更には至らない。
そしてハイレベルパーツは大抵入手し難い栄養を必要とするので、取得は出来ても装着は随分先になったりする。
非常に変なゲームだが、バランスは一応考えてるんだなと思った。一応RPGを名乗ってるしね。うーん……。
ちなみに今作にゲームオーバーはなく、戦闘で負けるとゲーム開始地点にオリジン状態で戻される。
この時は上がったパラメータは据え置きなものの、栄養素をゴッソリ減らされるので、元の状態に戻るのは非常に大変。
特に中盤以降、戦闘死のペナルティは非常に重いことになる。死なないように気をつけ、死んだらリセット。ゲームだからね。
成長システムについてはこんなとこだ。伝わるだろうか。いや誰も興味ないのは分かってんだけどね。やれやれ。
では難解なシステムを一先ず理解したとして、ゲームを進めることにしよう。システム掴んだんだからもう大丈夫なはずだ。
……すると始まる、本当のセブンスクロス。それは恐ろしく単調なゲームであった。最初から最後まで、ずっとやること同じ。
とにかく敵を倒し、捕食し、EVPと栄養を溜める。EVPが溜まったら進化でパラメータアップとパーツ集め。以上。
古いゲームとは言え、90年代末である。それでこの単調さはちょっとどうなのか。「淡々とした面白さ」と言うにも無理がある。
この単調さは、戦闘システムの淡白さから来ている。成長システムと打って変わって異常にシンプル、そしてつまらない。
リアルタイムコマンド戦闘(?)な感じで、フィールドを歩く敵を射程範囲に捉えたら、遠・近の距離に合わせて攻撃ができる。
もちろん相手の反撃もある。基本的にお互いが攻撃を繰り返すだけで、HPを0にすれば勝ち。EVPを得られ、死骸に触れて捕食。
距離の概念があるからヒット・アンド・アウェイが可能なのかと思いきや、どの敵も非常に動きが速いのでそれはまず不可能。
殆どの戦闘が、単なる殴り合いと化す。攻撃だけで防御や回避の概念がなく、一対一。深みなんて欠片もない。呆れる。
一応「魔法」の概念はあり、炎冷気風といったお馴染みの属性攻撃を出せるんだが……こちらも殆ど意味がなかった。
今作は戦闘バランスがキツいわけじゃなく、大抵の雑魚敵は1~2撃で倒せる。だから魔法が多少強力でも、メリットが少ない。
魔法はMPを使用するからそれも気にしなきゃならんし。もっと言えばコマンドを選ぶのが面倒臭い。回復魔法だけでいいよ。
敵には弱点属性等の設定はあるようだが、画面上には一切の情報がなく、知りたかったら自分で調べるしかない。やってられるか。
更に、今作の敵は所謂「モンスター」ではなく、普通の動物だ。蟹や魚や鳥や猿と殴り合いをする。もちろん無言で。
その光景は非常にシュールであり面白いが、慣れるとこれも退屈でしかない。文字情報をくれよ。俺は寂しいよ。
大体、敵は野生動物のはずなのに、明らかにこちらが強い状態でも何故無謀な攻撃を繰り出してくるのか。おかしいだろう。
こちらの強さに合わせて敵が逃げる「MOTHER2」のような調整が欲しかったな。そうすれば随分リアリティが増したであろう……。
雑魚を倒し経験値(EVP)と金(栄養素)を貯め、能力と装備(パーツ)を強化していく……まぁ一般的なRPGと同じっちゃ同じだ。
今作は非常に単調ながらも「やればやっただけ強くなる」ことが可能なので、結構頑張れた。成長の実感は何よりも嬉しいものだ。
雑魚敵が強いと感じたら、弱い敵で稼ぎを重ねれば、やがて強い奴にも勝てるようになる。原始的なゲームの快感、これでいい。
この成長要素と戦闘バランスが割と良かった……と言うか納得できるものだったから、単調さにもめげず意外と楽しめた。
やることは本当に延々繰り返しで、他のゲームならとてもじゃないが許せないが、今作には何故か許容できる空気がある。
舞台設定が良かったのかな。そう、ここは本当の意味で弱肉強食な自然世界。大事なのは強さだけ。演出も装飾も何もない。
淡々としているのも当然っちゃ当然なのだ。ゴチャゴチャ余計な贅肉を付けた人間界じゃないんだから。愛も悲しみもない。
……ま、それが素晴らしいとは言わんが、単調さを緩和してくれる効果はあった。ゲームの作り方も色々やね……。
難解なシステムは一応理解、戦闘バランスは十分行ける! ……が、「マップ」これには耐えられんかった。俺には無理。
単純に非常に広く、自然界だから案内板のようなものは当然なく、それ以外にも目印になるようなオブジェクトが殆ど無い。
更にマップ表示システムがなく、分かるのは北と南だけ。3Dゲームだからマッピングも実質不可能。これは早々に諦めた。
実は今作の攻略本を持っていて、システムが分からんからそこはじっくり読んだのだ。……で、結局全部頼ることにした。
俺は自分が無理と感じたらそこは割り切る。攻略サイトと違って攻略本だと寧ろ喜ばしい気もするし。いやマジで。
あと今作、3Dゲームなのに、移動が十字キーなんだよ。DCはアナログスティックあるのに何故こうなんだと言うしかない。
十字キーで3Dゲームの移動をやると、指が痛くて仕方ない。こんなんじゃ探索なんてやる気になれん。これも大きかった。
マップはだだっ広いだけで、出入り口以外には殆ど何もない。もうちょっと歩き回る意義を用意してほしかったな。
ちなみに攻略本には戦闘面でのことも色々載ってたが、そこは参照せず、全部力技で通した。その方が効率的だからね。
ゲームは「無脊椎」「魚類」「両生類」といった種別のエリアに分けられていて、下から順番に攻略していく。
そしてエリアの最後にはお約束のボスがいる。……無論、自然生物だ。イモムシやマンタ、トノサマガエル等だ。マジで。
ボスは強大だが、やることは雑魚と同じくただの殴り合い。雑魚に負けないレベルなら、まぁ普通に勝てる。
そして次のエリアに向かう。……お気づきかもしれんが、今作には「イベント」の類が全く無い。ただ倒して進んでいくだけ。
こんなRPGは他にあるまい。舞台が舞台だから淡白なのはしゃーないかもしれんが、これはやり過ぎ、いややらなすぎであろう。
無論ゲームの目的も世界に何が起こっているのかも分からない。自然の摂理として進めてはいるが、頭の疑問符が消えることはない。
……そんな時、4つ目のエリアで、初めてムービーイベントが発生! 「謎の天使(?)が生物達を殺しまくる」というものだった。
この時点では意味不明である。同様のイベントはその後のエリアでも続いた。ちなみにそれ以外のイベントはマジで皆無である。
謎が謎のまま、パーツは充実し強くなった。そして6つ目、最後となる「哺乳類エリア」にて、とうとう天使と対決することになる。
天使を倒すと、人工の建物を発見。これに入り、端末を操作すると……とうとう、とうとう明かされた。今作の全てが。
開始時の設定とセーブ・ロード以外で日本語の文字情報が初めて登場するシーンでもある。全くケッタイなゲームである。
この端末から得られる情報は、今までの意味も意義も不明な戦いの謎を全て明かしてくれる衝撃的なものだった。
まぁ何となく予想は出来たけどな。……で、俺はこれを全て書き記した。自動で進んでいくから、スマホで撮影して少しずつやった。
せっかくだからここに残しておこうと思う。クリアー済みの人には有用だが、未プレーの人には致命的なネタバレなので注意。
今更このゲームを新たにやる人なんてまずいないけどな……。
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◆第三次世界大戦(2006年)
2006年、地球温暖化により溶け始めていた南極の氷塊から、人類に致命的ダメージを与える殺人ウイルス(DPX-α)が大量に発生。ウイルスによる最初の犠牲者が確認されてから、1週間で約10億人もの人類が死滅した。
このウイルスの特徴として、その感染速度の速さ、強さが挙げられ、南極が発生源であるにもかかわらず、全世界で死傷者が同時多発的に発生。(現時点でも原因不明) この特徴ゆえ、発生源の特定が遅れてしまった事と、このウイルスの構造及び特徴が2002年に某国で開発されていた生物兵器と酷似していた為、核兵器を保有する各国は状況がつかめぬままその報復手段として、核兵器を使用。人類は最終核戦争に突入した。
来るべき生物兵器攻撃及び放射能対策用に、各国で建造中だった地下避難施設(シェルター)で事態が把握されたのは、ウイルスが発生したと思われる日から起算して約1ヶ月後であった。この時既に地上は人類史上類をみない壊滅的ダメージを受け、第三次世界大戦は、突入と同時に終結宣言すらないまま消滅した。
◆生存者統合PROJECT始動(2015)
かねてから様々な災害(バイオハザードを含む)に対応可能な地下避難施設を建設していた一部の有識者達は、ウイルスの発生をいち早く察知し、核戦争が始まる前にそこに避難することで被害を最小にすることができた。
このプロジェクトは、その有識者らにより組織されたメンバーが、世界中の地下施設を含む全人類の生存者の確認及びその救助と、核戦争後の地球環境の調査活動を目的とし、開始された。
◆中央政府設立(2030年)
生存者統合PROJECT始動から5年後、地下施設を含む全世界中の生存者が約60万人である事が判明。但し、生き延びた人類のほとんどが、ウイルスや放射能のダメージを受けており、全く障害のない生存者は皆無であった。また、地上には未だ放射能が蔓延し、人類には生存困難な状態である事も報告された。あれだけ強力だったウイルス(DPX-α)も、この頃には影を潜めていた。
2015年には生存するすべての人類が共存していくために一か所に集められた。ここに中央政府構想が持ち上がった。だが、全ての地下避難施設が万全な状態ではなかった事が災いし、その後も生存者人口は加速度的に減っていった。実際に中央政府を設立した2030年には、生き残った人類はわずか35847人を残すのみとなっていた。
◆人類再興対策チーム発足(2035年)
2030年、中央政府の設立以来、生き残ったわずかばかりの人類はさらに地下を開拓し再興を目指したが、20世紀までに蓄積された環境破壊と核による衝撃が原因とされる度重なる地殻変動により、200年後に地下施設の全てが崩壊する事が中央政府の調査により判明。
人類の存亡の為、我々化学者を中心とするグループと、科学者を中心とするもう1つのグループにより、それぞれの見地から人類存続の為の研究が開始された。
◆人類再興方針決議(2040年)
対策チーム発足から5年後。当化学者チームより「SEVENTH CROSS PROJECT」が、科学者チームにより「EARTH REVIVE PROJECT」が提出され当時生存する全人類22,517人により審議された。
結果は、7割以上の賛成を取り付けた科学者チームの「EARTH REVIVE PROJECT」が可決された。
しかし、数百年単位の復興期間が必要な「EARTH REVIVE PROJECT」に賛同できない当研究チームでは、このような事態を想定し秘密裏に当研究所を確保、家族、関係者を含む1,126名で地下施設を放棄し、当研究所に移住。「SEVENTH CROSS PROJECT」を独自に遂行するに至った。
◆EARTH REVIVE PROJECT(2041年)
第三次世界大戦の数十年後には、わずかではあるが小型の動植物の存在が確認された。研究開始当初の2035年には、放射能やウイルス等の影響で異形ではあるが、
・無脊椎動物
・魚類
・両生類
・ハ虫類
・鳥類
・哺乳類
の区分も確認され、それぞれのエリアにわかれ繁殖、独自の進化を始めだした。この流れと同時に比例する形で、環境汚染も回復の兆しが見え始めている。
これにより、地球の生態系の復興が地上の環境汚染の回復につながる事は明白で、このまま人類が地球上で何らかの方策を用いて生存を続けることは、自然回復しようとしている地球の生態系を食いつぶし続けることになりかねない。そこで人類は「大型宇宙船」を建造し、衛星軌道上でコールドスリープ状態を保ちつつ、宇宙から地球の自然回復を待つという選択をする事が得策と判断。それと同時に、地球の生態系正常化を促進するために、生物達が放射能による突然変異やウイルスの影響により地球を汚染したり、生態系を狂わすような動植物にならないよう危険因子を補足する「監視艇」と、それらを消去する為に第三次世界大戦時の遺物である「バイオノイド」技術を応用した「ネオ・バイオノイド」を開発、地球の生態系復興を補助しつつ、人類生存可能な環境になる500年後を待つという計画である。
このプロジェクトは、大型宇宙船の建造及び監視艇、ネオ・バイオノイドの完成に29年を要し、2070年から実行に移された。
◆SEVENTH CROSS PROJECT(2100年)
当研究チームの人類存続研究プランとして立案。方針決議では別チームの「EARTH REVIVE PROJECT」が採用されたが、「EARTH REVIVE PROJECT」実行後も、当研究所にて研究を続行、2100年に実行に移し現在も進行中。
【計画概要】
様々な可能性を模索した結果、地上環境の自然回復を待つのでは時間がかかりすぎる為、「人類を汚染された地球環境に適応可能な生物に進化させる」計画。
【計画手順】
人のDNAを基に、進化が速く、さまざまな環境に合わせて、突然変異を起こしやすい「実験用の原生生物」を多数作成し、地上に放つ。そしてそれらが微弱な段階で他の生物に捕食されたりせずに「人類」に近い高等霊長類まで進化しやすいように、地上で唯一再生を始めた、6つの生物エリアを順序よく移動、転送させる。これらのコントロールを行いながら、転送時にはその生物の進化状態の確認・DNA補正も行う。
最終的に「人類」と互換可能なDNA構造の高等霊長類になった時点で、その生物のDNAから環境適応能力部分を採取し、人類の精子と卵子のDNAに組込むことにより、次の世代から、いかなる環境変化にも適応可能な別人類へと進化することになる。
だが、このプロジェクトによる新型高等霊長類の生存確率は81万分の1であり、そのため元の原生生物には、遺伝子操作により改良を加えられた「生体特殊能力」が組み込まれた。皮肉なことにこのテクノロジーは、放射能により異形と化した生物群より採取したDNAを研究した結果、生み出されたものである。
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なななんと、「セブンスクロス」とは人類生存計画で、プレーヤーはそのために送り込まれた生体テスターだったのだ!!!
しかもセブクロ計画はボツ扱いされたのに、一部の連中が勝手に実行したという。最低やんけ。民主主義に反してやがるな。
あの天使は、地球上の危険因子を排除するバイオノイドだったのだ。……特に倒す必要ないやん。ごめんつい。
あー……何と言うか、20世紀末らしい設定やね。陳腐っちゃ陳腐だが、何せゲームを終盤まで進めてからやっと明かされた「真相」である。
読んだ時は結構衝撃を受けた。単調で何の情報もないゲーム展開が生きたな。製作者がここまで計算してたなら、見事にやられたわ。
で、つまりプレーヤーはセブンスクロスプロジェクトを完遂したわけだ。現れた科学者達は成果を喜び、DNAを採取しようとする。
……そこに、お約束の謎の地震が発生。震源は南極である模様。研究所はブッ壊れ、科学者達は死に、計画全ポシャ。はっはっは。
するとその震源から何故かマンモスがやってきて、コイツがラスボスとなる。悪意はないだろうが、敵は敵。倒すしかないわな。
少し話は戻るが、実は今作はマルチEDである。3種類あるらしい。そうでなくても終盤だし、セーブデータを複数残そうとした。
……が。DCのメモリーカードことビジュアルメモリは、容量が僅か128kbしかない。初代PSと同じである。4年遅れなのに。
そして今作は、メモカ1枚に一つしかセーブできないという最低仕様なのである。200ブロック中172を使用する。ええ加減にせぇよ。
ちなみにビジュアルメモリはミニ画面とボタンが付いてるせいか、1個2500円もした。マジええ加減にせぇよと言いたくなる価格だ。
俺は別のメモカ(非純正)も持ってるが、当然他ゲーのデータもある。追加のセーブデータのための空き容量は確保できなかった。
一応トゥルーっぽいルートを通ったが、他の2つも気になるところだ。せめて最終セーブから分岐できるようにしてくれよぅ……。
で、俺の見たEDでは、鍵が「LV30パーツを4種揃えること」なのだ。その形態で天使を倒せば、フラグが立つ。
そしてそのLV30パーツの名は……「MAN」なのである。人間だ!! あっはっはっは、これを知った時は大笑いしたわ。
顔は普通の成人男性で、なかなかイケメン。4種をMANにすると完全に人間。ただしフルチン。描写はないけど。あっはっは。
この状態で天使との対決に入ると、フィールドに謎の女性が登場する。格好は「原始人」のそれで、毛皮を纏っている。
実によう分からんが、彼女はセブンスクロス計画で送り込まれた別の原生物の成れの果て、なのだろうか?
彼女を助けると、露出狂のプレーヤーに毛皮のパンツを作ってくれる。ありがとうございます。コイツ、アホなんですよ。
そこから最終マンモス戦を勝ち抜き、当面の危機は去った。だが研究所は壊滅し、セブンスクロス計画はもうどこにもない。
プレーヤーはどうするのか? 隣の彼女がそっと寄りかかってきた。そして、EDスタッフロールが始まる……。
まぁそういうEDだった。新たなアダムとイブかな。ハッピーとは思えないが、これも一つの結果であろう。
……だが、例の端末文書を読んだなら、一つ忘れてないだろうか? そう「EARTH REVIVE PROJECT」での生存者である。
彼らはコールドスリープに入り、数百年後の環境適正化を待っている。ED後も、まだ宇宙のどこかに存在するのだ。
スタッフロール後、ムービーが入る。ちなみにここはプリレンダでかなり美麗だった。この品質でもっと見たかったな。
EDから数百年後(多分)、集落が出来るレベルに新人類は増え、原始的ながら平和な生活を送っていた。
そんな時、空に謎の宇宙船が表れる。そう、旧人類だ。それを見上げる長老らしき老人。恐らく、言い伝えがあるのだろう。
そこでゲームは終わる。「第三次世界大戦に何の武器が使われるかは分からんが、第四次は石と棒であろう」と表示して。
アインシュタインの名言だな。実にスッキリしないEDだが、今作にはこれで良かったようにも思う。うーむ……。
現実では半分絵空事である「全面核戦争」を、妙にリアルに感じた。起こる可能性は低いが、モノはある。起こり得るのだ。
もし起これば、間違いなく人類は終わる。……忘れちゃぁいかんよなぁ。世界はそんなもんを抱えて動いているのだ……。
グラフィックは、DC初期のフルポリゴンということで、まぁお察しだ。もうちょい頑張ってほしかったかな。
音楽は、ゲームがゲームだから、殆ど環境音に近く、耳に残るようなものではない。ボイスもなく、音は寂しいゲームだ。
あ、一つ象徴的な音が。今作の序盤は「浅瀬」でしばらく稼ぐことになるんだが、浅瀬最強の敵が「蟹」なのだ。
蟹は生まれたばかりのオリジンだと一撃で倒される超強敵で、序盤は蟹から逃げて只管パラメータ上げに励むしかない。
で、逃げることは可能なんだが、蟹は追ってくるのだ、どこまでも、どこまでも。その執拗さにはマジで震え上がるほどだ。
その蟹の足音が「ザッザッザッザ」というもので、序盤の恐怖の対象である。逃げても逃げても聞こえるザッザッザッザ……ひぃい。
これはホント印象に残る音だった。ネットで軽く検索したら、セブクロについて語ってる人は皆蟹のこれに触れていた。あっはっは。
ふぅ。正直中身は薄いゲームなんだが、感想書くと長くなったな。少しはDCに報いることが出来たかな? アホか。
今作を発売した「NECホームエレクトロニクス」は、PCエンジンとPC-FXの発売元である。……この世代ではソフト専になったんだな。
だがヒット作を生めず、程なくしてDC市場からも消えてしまった。詳しいことは分からんが、ここにも何かドラマがあったんだろう。
今作のプレーは、NECに報いることにもなっただろうか。……だからアホか。今更ンなこと言ってどうする。意味ねーよ。
全ては過去のこと、20世紀のこと。ゲームの進化と変化について行けなくなった会社が潰れ、対応できた会社が生き残る。
命を取られるわけではないが、それは厳然たる生存競争。厳しいもんやで。もちろん今もそれは変わらず続いている。
屍は本来腐敗して消えていくもんだが、ゲームは残り続け、後年の物好きに利用されたりする。「屍を拾う者」が時々いる。
それがいいことなのかは分からんけどな。いや、迷惑か。成功できなかったんだから、静かに死なせてくれってな。
ごめんよ、でも、今の俺がプレーし、色々なことを感じたよ。面白い部分もあったよ。セブンスクロス、無意味じゃなかったよ。
比類なき生存競争の敗者に哀悼と感謝を表明して終わり。敗者がいなきゃ勝者も存在出来ないんだよ。誰だって、存在価値はあるさ。
……まぁそんな綺麗事は置いておいて、勝者になりたいね。いやならなきゃね。敗者なんて無価値だから。言ってること違うし!?
はぁ。
web拍手
【メーカー】NECホームエレクトロニクス
【発売日】1998/12/23
【定価】5800円(税抜き)
【購入価格】980円(税込)
【プレー時間】15時間くらい
今から18年前。日本では、ある中年男が不思議なブレイクを果たし、連日テレビCMで話題を振り撒いていた。
名を湯川英一(ひでかず)という。……と言っても伝わらんから、役職で書こう。「湯川専務」である。
湯川氏は当時、セガの専務に就いていた。つまりリアル専務である。決して架空設定ではない。
その男が、セガの新ハード「ドリームキャスト」のCMシリーズに出演し、様々なやり方で「弄られ」た。
もちろん湯川氏は俳優でも何でもなく、役職以外はただのオッサンだ。だがその前代未聞の起用と自虐が大いに受け、大ブレイク。
若手イケメンジャニーズ「滝沢秀明」氏との競演が、またいい味を出していた。全く見事な仕掛けである。大したもんだ。
……その仕掛け人こそ、後にAKBで天下を取る「秋元康」氏である。いや氏はもうとっくに天下を取っていたのかもしれないが。
しかしDCは立ち上げ時に歩留まりが悪く、満足に生産できなかった。その為需要を満たせず、やがて湯川ブームも終わる。
生産体制が整った頃にはすっかり落ち着いていて、後はもう「最後のセガハード」として生きる道が残るのみだった。
秋元氏はその後「後藤喜男」にて湯川ブーム再現を狙ったが、これは企画を完遂せず終了、氏もセガを去った。
全ては90年代末に見た「ドリーム」てとこだな。セガは夢を投げかけてくれたのさ。何にせよ、昔の話だけどね。はぁ。
そんな話はあまり関係なく。11月27日、それは比類なきセガ最後のゲーム機・ドリームキャストの発売日である。
俺は毎年、こういう「ゲーム機の誕生日」を意識する。死ぬほどキモい。まぁ自分の好きなハードに限られるけどな。
そして誕生日なんだから、やはりお祝いをしたい。ゲーム機へのお祝い? そんなのプレーする事以外にあり得ないだろう。
だから毎年、ハード誕生日には何かをプレーしようと思うのだが……大人の事情というカスの言い訳にて、大概スルーされる。はぁ。
まぁ年に一度と言っても、1年なんてあっと言う間だかんね。いちいち祝ってたらキリがない。そもそも目出度いんか? クッ。
俺が年を取る毎に、ゲーム誕生日の扱いもおざなりになってきた。新しいものが増え続ける以上、ある程度は仕方ないことだが。
しかしDCの放置っぷりはヤバい。何と2012年「サクラ対戦」以降やってない。本来は毎年サクラシリーズやるつもりだったのに。
そんなキモい危機感を覚え、去年の11月27日、久々にDCソフトをプレー開始した。モノは「セブンスクロス」である。
ロンチから約1ヶ月後に発売され、DCの年末商戦を背負ったタイトルである。嘘である。殆ど誰も知らないままに消えていった。
無名っちゃ無名だが、湯川専務のおかげでDCが一番盛り上がっていた時期のタイトルだけに、名前はしっかり覚えていた。
んでDCが終わった頃、980円新品を発見して何となく購入。十数年前かな。もう覚えてないや。
やり残しが気になってたタイトルなので、今回選定した次第である。去年11月27日に、キッチリとプレーを開始した。
……はい、放置。いつものこと。約1年が経過し、「このままじゃダメだ!」と心を入れ替えて再開した次第である。はぁ。
しかし放置には理由があった。まぁこのゲーム、実に難しい。難度が高いのではなく、「難解」なのだ。
プレー前、当然説明書を読んだ。……よう分からん。プレー開始、やはりよう分からん。再度説明書を読んだ。またもよう分からん。
「複雑」ではないと思う。コマンドが多いとか、要素が絡みまくってるとか、そういうことはない。今現在は概ね理解出来てる。
だが「取っ付きの悪さ」は凄まじいレベルである。これもインターフェースが悪いというべきかなぁ。恐ろしいほど、分からない。
俺は感想を書く際、ゲームシステムの説明めいたものも一応並べる。今回もそれをやる。……が、多分誰も理解出来ないだろう。
説明書読んでも分からんのに、俺の説明で伝わるわけがない。まぁ今現在このゲームに興味のある人がいるとも思えんが。はぁ。
今作の難解さを生む原因の一つは、英語だ。今作はセーブ画面等のごく一部を除き、表記が英語なのである。
「TELEPORT」「EVOLUTION」「FORD」「PROTEIN」……等々。知ってる単語もあるが、知らんものも多くあった。
文字情報が多いゲームではないので大きな障害にはなってないが、それでも激しい疎外感と重みを感じる。馬鹿に厳しいゲームだ。
変なゲームではあるが別に洋ゲーな雰囲気でもないのに、何故こんな余計な壁を築いたのだろう。実に無駄な敷居だと思う。
まぁ英語はいい。最悪調べれば事足りる。本題はもちろん、システムそのものである。ほんっとーに、分からんかった。
まず今作はどういうゲームか? 「ある星に原生物状態で誕生し、進化し、生態系の上を目指す」というものである。
単細胞時代は、もちろん何も出来ない。だが少し動き回って植物を食えばその状態はすぐ終わり、やがて「オリジン」になれる。
オリジンでは微力ながら戦闘能力を身に付け、他生物と戦えるようになる。開始から約10分、ここからがゲームの始まりだ。
……じゃあ、説明するよ。読む必要なんてないけど一応な。オリジンのままでは糞弱い。だから当然、成長する必要がある。
今作では敵を倒すと「EVP」が得られる。EVOLUTION POINT、「進化値」だ。一般的に言う経験値みたいなもんだな。
EVPを一定値溜めると、セーブポイントでもあるモノリス石版(仮)にて「EVOLUTION」が可能になる。そう、進化だ。
んでここからなんだが……進化を選ぶと、「EDIT」画面が表示され、そこには10×10のマスが用意されている。
プレイヤーはこのマスに、自由に絵を描く。……いや、字でも何でもいいけど。とにかく、10×10内に何かを描くのだ。
そして決定。……すると、描かれた絵により上昇値が導き出され、パラメータがアップする。EVPを使ってこれを繰り返す。
絵を毎回一から描くのが大変なら、20回分までは履歴が保存され、それを呼び出せばその時のままの絵を再現可能だ。
……で。「描いた絵によりパラ上昇値が導き出される」と言われても、その根拠はどこにあるんだ? 答えは人工知能、AIである。
AI。比類なき「ドラクエ4」がゲーム業界に取り入れ、同時に比類なきザラキ狂が「AIはアホ」という認識をユーザーに植え付けた。
そんなAIを今作も導入している。役割は、ユーザーが10×10に描いた絵から、上昇するパラメータを決定することだ。
ゲーム開始当初は、このAIは何の情報も持ってない。だから最初は出鱈目入力になるが、そのうちAIが「入力傾向」を覚えるらしい。
マスの左ばかり塗っているとか、円形だとか、そういうのを判断するのだろう。それにより、AI様が上昇値を決定する。
このAIの思考を見切り、効率的にパラメータを上げていくのは今作のゲーム性なんだろうが……はい、もちろん、ワケワカリません。
そもそも10×10マスを埋めるのが非常に面倒臭く、楽しい作業じゃない。凝った絵を描けばいい数字を貰えるってわけでもないし。
だから殆どのユーザーは結局テキトー入力になるだろう。無論俺もそうなった。それが不正解というわけでもないんだから仕方ない。
実際、この思考放棄出鱈目方針でも「まぐれ当たり」は結構出て、ゲームは進められた。その辺はちゃんと調整してある。多分。
……だが、出鱈目でも通用するが故に、「AIなんて本当に搭載してたのか?」レベルで無意味な存在だったことも事実である。
製作者は新ハード・DCで何かカッチョええことやってみたかったんかな。でもやるならちゃんと面白さに繋げてくれんと……。
そして、この絵描き行為の意義は、パラメータアップだけではない。「進化パーツ取得」というもう一つの目的があるのだ。
今作のプレーヤーキャラは「HEAD」「BODY」「ARM」「LEG」の各部分を、「パーツ」として好きに入れ替え可能なのだ。
最初のオリジンは全てレベル1パーツだが、EVOLUTIONの結果により、新たなパーツを入手出来る。もちろんAIの機嫌に委ねられるが。
パーツレベルは30まである。パッケ裏には「81万通りの進化が可能!」と書いてあるが、要するに30の4乗通りということだ。
パーツを変えればパラメータはドカンと上がり、使える魔法や攻撃手段、移動可能な地形が増えるといったメリットがある。
もちろん見た目も変わる。パーツには「INSECT」「LIZARD」「MONKEY」等の種類があり、それっぽい外見に切り替わる。
が、変更はパーツ毎、である。つまり「頭は昆虫、体はトカゲ、腕は猿、足は魚」なキャラにすることも可能。クリーチャーだ。
同種のパーツで統一すればボーナス能力を会得出来るが、そう都合よくは揃わないので、基本今作はクリーチャー操作のゲームだ。
どんなパーツを取得出来るかは、とにかくランダム、じゃなくてAI様の機嫌次第。彼の思考を読めれば勝ちだが、まぁ無理だろう。
出鱈目入力で、突然ハイレベルパーツをゲット出来たりするので、そこに妙な快感と面白さはあった。これでいいのかな。うーむ。
取得パーツは重複することもあり、その際は何も起こらない。また生成パーツのレベルが高いほど、パラメータアップも大きくなる。
なので、良いパーツを作れる絵を発見したら、それを何度も繰り返せば、新パーツは得られないもののパラはガンガン上げられる。
……言ってること、伝わるかな? ちなみに「百聞は1プレーに如かず」とも言えない。やってみても分からんだろうから。はぁ。
まだ終わらない。AIさんの意に沿えば、突然変異的に高LVパーツを入手できる。レベル3の頃にいきなり15のものが来たりする。
が、すぐそのパーツに変更可能とは限らない。今作には「栄養素」というパラメータもあり、変更にはこれを満たす必要があるのだ。
栄養素には「水」「タンパク質」「ニューロバイオ」等がある。パーツ毎に決められた量の栄養を持ってないと、変更は不可だ。
栄養は、敵を倒し「捕食」することで得られる。捕食つっても敵の死体に触れるだけで、「カリッ」という咀嚼音と共に終わる。
敵によって得られる栄養は決まっているので、必要なものを持ってない敵だと、幾ら倒してもパーツ変更には至らない。
そしてハイレベルパーツは大抵入手し難い栄養を必要とするので、取得は出来ても装着は随分先になったりする。
非常に変なゲームだが、バランスは一応考えてるんだなと思った。一応RPGを名乗ってるしね。うーん……。
ちなみに今作にゲームオーバーはなく、戦闘で負けるとゲーム開始地点にオリジン状態で戻される。
この時は上がったパラメータは据え置きなものの、栄養素をゴッソリ減らされるので、元の状態に戻るのは非常に大変。
特に中盤以降、戦闘死のペナルティは非常に重いことになる。死なないように気をつけ、死んだらリセット。ゲームだからね。
成長システムについてはこんなとこだ。伝わるだろうか。いや誰も興味ないのは分かってんだけどね。やれやれ。
では難解なシステムを一先ず理解したとして、ゲームを進めることにしよう。システム掴んだんだからもう大丈夫なはずだ。
……すると始まる、本当のセブンスクロス。それは恐ろしく単調なゲームであった。最初から最後まで、ずっとやること同じ。
とにかく敵を倒し、捕食し、EVPと栄養を溜める。EVPが溜まったら進化でパラメータアップとパーツ集め。以上。
古いゲームとは言え、90年代末である。それでこの単調さはちょっとどうなのか。「淡々とした面白さ」と言うにも無理がある。
この単調さは、戦闘システムの淡白さから来ている。成長システムと打って変わって異常にシンプル、そしてつまらない。
リアルタイムコマンド戦闘(?)な感じで、フィールドを歩く敵を射程範囲に捉えたら、遠・近の距離に合わせて攻撃ができる。
もちろん相手の反撃もある。基本的にお互いが攻撃を繰り返すだけで、HPを0にすれば勝ち。EVPを得られ、死骸に触れて捕食。
距離の概念があるからヒット・アンド・アウェイが可能なのかと思いきや、どの敵も非常に動きが速いのでそれはまず不可能。
殆どの戦闘が、単なる殴り合いと化す。攻撃だけで防御や回避の概念がなく、一対一。深みなんて欠片もない。呆れる。
一応「魔法」の概念はあり、炎冷気風といったお馴染みの属性攻撃を出せるんだが……こちらも殆ど意味がなかった。
今作は戦闘バランスがキツいわけじゃなく、大抵の雑魚敵は1~2撃で倒せる。だから魔法が多少強力でも、メリットが少ない。
魔法はMPを使用するからそれも気にしなきゃならんし。もっと言えばコマンドを選ぶのが面倒臭い。回復魔法だけでいいよ。
敵には弱点属性等の設定はあるようだが、画面上には一切の情報がなく、知りたかったら自分で調べるしかない。やってられるか。
更に、今作の敵は所謂「モンスター」ではなく、普通の動物だ。蟹や魚や鳥や猿と殴り合いをする。もちろん無言で。
その光景は非常にシュールであり面白いが、慣れるとこれも退屈でしかない。文字情報をくれよ。俺は寂しいよ。
大体、敵は野生動物のはずなのに、明らかにこちらが強い状態でも何故無謀な攻撃を繰り出してくるのか。おかしいだろう。
こちらの強さに合わせて敵が逃げる「MOTHER2」のような調整が欲しかったな。そうすれば随分リアリティが増したであろう……。
雑魚を倒し経験値(EVP)と金(栄養素)を貯め、能力と装備(パーツ)を強化していく……まぁ一般的なRPGと同じっちゃ同じだ。
今作は非常に単調ながらも「やればやっただけ強くなる」ことが可能なので、結構頑張れた。成長の実感は何よりも嬉しいものだ。
雑魚敵が強いと感じたら、弱い敵で稼ぎを重ねれば、やがて強い奴にも勝てるようになる。原始的なゲームの快感、これでいい。
この成長要素と戦闘バランスが割と良かった……と言うか納得できるものだったから、単調さにもめげず意外と楽しめた。
やることは本当に延々繰り返しで、他のゲームならとてもじゃないが許せないが、今作には何故か許容できる空気がある。
舞台設定が良かったのかな。そう、ここは本当の意味で弱肉強食な自然世界。大事なのは強さだけ。演出も装飾も何もない。
淡々としているのも当然っちゃ当然なのだ。ゴチャゴチャ余計な贅肉を付けた人間界じゃないんだから。愛も悲しみもない。
……ま、それが素晴らしいとは言わんが、単調さを緩和してくれる効果はあった。ゲームの作り方も色々やね……。
難解なシステムは一応理解、戦闘バランスは十分行ける! ……が、「マップ」これには耐えられんかった。俺には無理。
単純に非常に広く、自然界だから案内板のようなものは当然なく、それ以外にも目印になるようなオブジェクトが殆ど無い。
更にマップ表示システムがなく、分かるのは北と南だけ。3Dゲームだからマッピングも実質不可能。これは早々に諦めた。
実は今作の攻略本を持っていて、システムが分からんからそこはじっくり読んだのだ。……で、結局全部頼ることにした。
俺は自分が無理と感じたらそこは割り切る。攻略サイトと違って攻略本だと寧ろ喜ばしい気もするし。いやマジで。
あと今作、3Dゲームなのに、移動が十字キーなんだよ。DCはアナログスティックあるのに何故こうなんだと言うしかない。
十字キーで3Dゲームの移動をやると、指が痛くて仕方ない。こんなんじゃ探索なんてやる気になれん。これも大きかった。
マップはだだっ広いだけで、出入り口以外には殆ど何もない。もうちょっと歩き回る意義を用意してほしかったな。
ちなみに攻略本には戦闘面でのことも色々載ってたが、そこは参照せず、全部力技で通した。その方が効率的だからね。
ゲームは「無脊椎」「魚類」「両生類」といった種別のエリアに分けられていて、下から順番に攻略していく。
そしてエリアの最後にはお約束のボスがいる。……無論、自然生物だ。イモムシやマンタ、トノサマガエル等だ。マジで。
ボスは強大だが、やることは雑魚と同じくただの殴り合い。雑魚に負けないレベルなら、まぁ普通に勝てる。
そして次のエリアに向かう。……お気づきかもしれんが、今作には「イベント」の類が全く無い。ただ倒して進んでいくだけ。
こんなRPGは他にあるまい。舞台が舞台だから淡白なのはしゃーないかもしれんが、これはやり過ぎ、いややらなすぎであろう。
無論ゲームの目的も世界に何が起こっているのかも分からない。自然の摂理として進めてはいるが、頭の疑問符が消えることはない。
……そんな時、4つ目のエリアで、初めてムービーイベントが発生! 「謎の天使(?)が生物達を殺しまくる」というものだった。
この時点では意味不明である。同様のイベントはその後のエリアでも続いた。ちなみにそれ以外のイベントはマジで皆無である。
謎が謎のまま、パーツは充実し強くなった。そして6つ目、最後となる「哺乳類エリア」にて、とうとう天使と対決することになる。
天使を倒すと、人工の建物を発見。これに入り、端末を操作すると……とうとう、とうとう明かされた。今作の全てが。
開始時の設定とセーブ・ロード以外で日本語の文字情報が初めて登場するシーンでもある。全くケッタイなゲームである。
この端末から得られる情報は、今までの意味も意義も不明な戦いの謎を全て明かしてくれる衝撃的なものだった。
まぁ何となく予想は出来たけどな。……で、俺はこれを全て書き記した。自動で進んでいくから、スマホで撮影して少しずつやった。
せっかくだからここに残しておこうと思う。クリアー済みの人には有用だが、未プレーの人には致命的なネタバレなので注意。
今更このゲームを新たにやる人なんてまずいないけどな……。
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◆第三次世界大戦(2006年)
2006年、地球温暖化により溶け始めていた南極の氷塊から、人類に致命的ダメージを与える殺人ウイルス(DPX-α)が大量に発生。ウイルスによる最初の犠牲者が確認されてから、1週間で約10億人もの人類が死滅した。
このウイルスの特徴として、その感染速度の速さ、強さが挙げられ、南極が発生源であるにもかかわらず、全世界で死傷者が同時多発的に発生。(現時点でも原因不明) この特徴ゆえ、発生源の特定が遅れてしまった事と、このウイルスの構造及び特徴が2002年に某国で開発されていた生物兵器と酷似していた為、核兵器を保有する各国は状況がつかめぬままその報復手段として、核兵器を使用。人類は最終核戦争に突入した。
来るべき生物兵器攻撃及び放射能対策用に、各国で建造中だった地下避難施設(シェルター)で事態が把握されたのは、ウイルスが発生したと思われる日から起算して約1ヶ月後であった。この時既に地上は人類史上類をみない壊滅的ダメージを受け、第三次世界大戦は、突入と同時に終結宣言すらないまま消滅した。
◆生存者統合PROJECT始動(2015)
かねてから様々な災害(バイオハザードを含む)に対応可能な地下避難施設を建設していた一部の有識者達は、ウイルスの発生をいち早く察知し、核戦争が始まる前にそこに避難することで被害を最小にすることができた。
このプロジェクトは、その有識者らにより組織されたメンバーが、世界中の地下施設を含む全人類の生存者の確認及びその救助と、核戦争後の地球環境の調査活動を目的とし、開始された。
◆中央政府設立(2030年)
生存者統合PROJECT始動から5年後、地下施設を含む全世界中の生存者が約60万人である事が判明。但し、生き延びた人類のほとんどが、ウイルスや放射能のダメージを受けており、全く障害のない生存者は皆無であった。また、地上には未だ放射能が蔓延し、人類には生存困難な状態である事も報告された。あれだけ強力だったウイルス(DPX-α)も、この頃には影を潜めていた。
2015年には生存するすべての人類が共存していくために一か所に集められた。ここに中央政府構想が持ち上がった。だが、全ての地下避難施設が万全な状態ではなかった事が災いし、その後も生存者人口は加速度的に減っていった。実際に中央政府を設立した2030年には、生き残った人類はわずか35847人を残すのみとなっていた。
◆人類再興対策チーム発足(2035年)
2030年、中央政府の設立以来、生き残ったわずかばかりの人類はさらに地下を開拓し再興を目指したが、20世紀までに蓄積された環境破壊と核による衝撃が原因とされる度重なる地殻変動により、200年後に地下施設の全てが崩壊する事が中央政府の調査により判明。
人類の存亡の為、我々化学者を中心とするグループと、科学者を中心とするもう1つのグループにより、それぞれの見地から人類存続の為の研究が開始された。
◆人類再興方針決議(2040年)
対策チーム発足から5年後。当化学者チームより「SEVENTH CROSS PROJECT」が、科学者チームにより「EARTH REVIVE PROJECT」が提出され当時生存する全人類22,517人により審議された。
結果は、7割以上の賛成を取り付けた科学者チームの「EARTH REVIVE PROJECT」が可決された。
しかし、数百年単位の復興期間が必要な「EARTH REVIVE PROJECT」に賛同できない当研究チームでは、このような事態を想定し秘密裏に当研究所を確保、家族、関係者を含む1,126名で地下施設を放棄し、当研究所に移住。「SEVENTH CROSS PROJECT」を独自に遂行するに至った。
◆EARTH REVIVE PROJECT(2041年)
第三次世界大戦の数十年後には、わずかではあるが小型の動植物の存在が確認された。研究開始当初の2035年には、放射能やウイルス等の影響で異形ではあるが、
・無脊椎動物
・魚類
・両生類
・ハ虫類
・鳥類
・哺乳類
の区分も確認され、それぞれのエリアにわかれ繁殖、独自の進化を始めだした。この流れと同時に比例する形で、環境汚染も回復の兆しが見え始めている。
これにより、地球の生態系の復興が地上の環境汚染の回復につながる事は明白で、このまま人類が地球上で何らかの方策を用いて生存を続けることは、自然回復しようとしている地球の生態系を食いつぶし続けることになりかねない。そこで人類は「大型宇宙船」を建造し、衛星軌道上でコールドスリープ状態を保ちつつ、宇宙から地球の自然回復を待つという選択をする事が得策と判断。それと同時に、地球の生態系正常化を促進するために、生物達が放射能による突然変異やウイルスの影響により地球を汚染したり、生態系を狂わすような動植物にならないよう危険因子を補足する「監視艇」と、それらを消去する為に第三次世界大戦時の遺物である「バイオノイド」技術を応用した「ネオ・バイオノイド」を開発、地球の生態系復興を補助しつつ、人類生存可能な環境になる500年後を待つという計画である。
このプロジェクトは、大型宇宙船の建造及び監視艇、ネオ・バイオノイドの完成に29年を要し、2070年から実行に移された。
◆SEVENTH CROSS PROJECT(2100年)
当研究チームの人類存続研究プランとして立案。方針決議では別チームの「EARTH REVIVE PROJECT」が採用されたが、「EARTH REVIVE PROJECT」実行後も、当研究所にて研究を続行、2100年に実行に移し現在も進行中。
【計画概要】
様々な可能性を模索した結果、地上環境の自然回復を待つのでは時間がかかりすぎる為、「人類を汚染された地球環境に適応可能な生物に進化させる」計画。
【計画手順】
人のDNAを基に、進化が速く、さまざまな環境に合わせて、突然変異を起こしやすい「実験用の原生生物」を多数作成し、地上に放つ。そしてそれらが微弱な段階で他の生物に捕食されたりせずに「人類」に近い高等霊長類まで進化しやすいように、地上で唯一再生を始めた、6つの生物エリアを順序よく移動、転送させる。これらのコントロールを行いながら、転送時にはその生物の進化状態の確認・DNA補正も行う。
最終的に「人類」と互換可能なDNA構造の高等霊長類になった時点で、その生物のDNAから環境適応能力部分を採取し、人類の精子と卵子のDNAに組込むことにより、次の世代から、いかなる環境変化にも適応可能な別人類へと進化することになる。
だが、このプロジェクトによる新型高等霊長類の生存確率は81万分の1であり、そのため元の原生生物には、遺伝子操作により改良を加えられた「生体特殊能力」が組み込まれた。皮肉なことにこのテクノロジーは、放射能により異形と化した生物群より採取したDNAを研究した結果、生み出されたものである。
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なななんと、「セブンスクロス」とは人類生存計画で、プレーヤーはそのために送り込まれた生体テスターだったのだ!!!
しかもセブクロ計画はボツ扱いされたのに、一部の連中が勝手に実行したという。最低やんけ。民主主義に反してやがるな。
あの天使は、地球上の危険因子を排除するバイオノイドだったのだ。……特に倒す必要ないやん。ごめんつい。
あー……何と言うか、20世紀末らしい設定やね。陳腐っちゃ陳腐だが、何せゲームを終盤まで進めてからやっと明かされた「真相」である。
読んだ時は結構衝撃を受けた。単調で何の情報もないゲーム展開が生きたな。製作者がここまで計算してたなら、見事にやられたわ。
で、つまりプレーヤーはセブンスクロスプロジェクトを完遂したわけだ。現れた科学者達は成果を喜び、DNAを採取しようとする。
……そこに、お約束の謎の地震が発生。震源は南極である模様。研究所はブッ壊れ、科学者達は死に、計画全ポシャ。はっはっは。
するとその震源から何故かマンモスがやってきて、コイツがラスボスとなる。悪意はないだろうが、敵は敵。倒すしかないわな。
少し話は戻るが、実は今作はマルチEDである。3種類あるらしい。そうでなくても終盤だし、セーブデータを複数残そうとした。
……が。DCのメモリーカードことビジュアルメモリは、容量が僅か128kbしかない。初代PSと同じである。4年遅れなのに。
そして今作は、メモカ1枚に一つしかセーブできないという最低仕様なのである。200ブロック中172を使用する。ええ加減にせぇよ。
ちなみにビジュアルメモリはミニ画面とボタンが付いてるせいか、1個2500円もした。マジええ加減にせぇよと言いたくなる価格だ。
俺は別のメモカ(非純正)も持ってるが、当然他ゲーのデータもある。追加のセーブデータのための空き容量は確保できなかった。
一応トゥルーっぽいルートを通ったが、他の2つも気になるところだ。せめて最終セーブから分岐できるようにしてくれよぅ……。
で、俺の見たEDでは、鍵が「LV30パーツを4種揃えること」なのだ。その形態で天使を倒せば、フラグが立つ。
そしてそのLV30パーツの名は……「MAN」なのである。人間だ!! あっはっはっは、これを知った時は大笑いしたわ。
顔は普通の成人男性で、なかなかイケメン。4種をMANにすると完全に人間。ただしフルチン。描写はないけど。あっはっは。
この状態で天使との対決に入ると、フィールドに謎の女性が登場する。格好は「原始人」のそれで、毛皮を纏っている。
実によう分からんが、彼女はセブンスクロス計画で送り込まれた別の原生物の成れの果て、なのだろうか?
彼女を助けると、露出狂のプレーヤーに毛皮のパンツを作ってくれる。ありがとうございます。コイツ、アホなんですよ。
そこから最終マンモス戦を勝ち抜き、当面の危機は去った。だが研究所は壊滅し、セブンスクロス計画はもうどこにもない。
プレーヤーはどうするのか? 隣の彼女がそっと寄りかかってきた。そして、EDスタッフロールが始まる……。
まぁそういうEDだった。新たなアダムとイブかな。ハッピーとは思えないが、これも一つの結果であろう。
……だが、例の端末文書を読んだなら、一つ忘れてないだろうか? そう「EARTH REVIVE PROJECT」での生存者である。
彼らはコールドスリープに入り、数百年後の環境適正化を待っている。ED後も、まだ宇宙のどこかに存在するのだ。
スタッフロール後、ムービーが入る。ちなみにここはプリレンダでかなり美麗だった。この品質でもっと見たかったな。
EDから数百年後(多分)、集落が出来るレベルに新人類は増え、原始的ながら平和な生活を送っていた。
そんな時、空に謎の宇宙船が表れる。そう、旧人類だ。それを見上げる長老らしき老人。恐らく、言い伝えがあるのだろう。
そこでゲームは終わる。「第三次世界大戦に何の武器が使われるかは分からんが、第四次は石と棒であろう」と表示して。
アインシュタインの名言だな。実にスッキリしないEDだが、今作にはこれで良かったようにも思う。うーむ……。
現実では半分絵空事である「全面核戦争」を、妙にリアルに感じた。起こる可能性は低いが、モノはある。起こり得るのだ。
もし起これば、間違いなく人類は終わる。……忘れちゃぁいかんよなぁ。世界はそんなもんを抱えて動いているのだ……。
グラフィックは、DC初期のフルポリゴンということで、まぁお察しだ。もうちょい頑張ってほしかったかな。
音楽は、ゲームがゲームだから、殆ど環境音に近く、耳に残るようなものではない。ボイスもなく、音は寂しいゲームだ。
あ、一つ象徴的な音が。今作の序盤は「浅瀬」でしばらく稼ぐことになるんだが、浅瀬最強の敵が「蟹」なのだ。
蟹は生まれたばかりのオリジンだと一撃で倒される超強敵で、序盤は蟹から逃げて只管パラメータ上げに励むしかない。
で、逃げることは可能なんだが、蟹は追ってくるのだ、どこまでも、どこまでも。その執拗さにはマジで震え上がるほどだ。
その蟹の足音が「ザッザッザッザ」というもので、序盤の恐怖の対象である。逃げても逃げても聞こえるザッザッザッザ……ひぃい。
これはホント印象に残る音だった。ネットで軽く検索したら、セブクロについて語ってる人は皆蟹のこれに触れていた。あっはっは。
ふぅ。正直中身は薄いゲームなんだが、感想書くと長くなったな。少しはDCに報いることが出来たかな? アホか。
今作を発売した「NECホームエレクトロニクス」は、PCエンジンとPC-FXの発売元である。……この世代ではソフト専になったんだな。
だがヒット作を生めず、程なくしてDC市場からも消えてしまった。詳しいことは分からんが、ここにも何かドラマがあったんだろう。
今作のプレーは、NECに報いることにもなっただろうか。……だからアホか。今更ンなこと言ってどうする。意味ねーよ。
全ては過去のこと、20世紀のこと。ゲームの進化と変化について行けなくなった会社が潰れ、対応できた会社が生き残る。
命を取られるわけではないが、それは厳然たる生存競争。厳しいもんやで。もちろん今もそれは変わらず続いている。
屍は本来腐敗して消えていくもんだが、ゲームは残り続け、後年の物好きに利用されたりする。「屍を拾う者」が時々いる。
それがいいことなのかは分からんけどな。いや、迷惑か。成功できなかったんだから、静かに死なせてくれってな。
ごめんよ、でも、今の俺がプレーし、色々なことを感じたよ。面白い部分もあったよ。セブンスクロス、無意味じゃなかったよ。
比類なき生存競争の敗者に哀悼と感謝を表明して終わり。敗者がいなきゃ勝者も存在出来ないんだよ。誰だって、存在価値はあるさ。
……まぁそんな綺麗事は置いておいて、勝者になりたいね。いやならなきゃね。敗者なんて無価値だから。言ってること違うし!?
はぁ。
web拍手
その気持ちに従われた方がよろしいかと思います……。
当時、PS1からDCに世代が代わって
水中のリアル、綺麗さに感動したものです。
DNAを模した成長システムも、法則のようなもの
を発見すると楽になるので楽しめました。
最終的には人間になるのですが、その前の
レベルの宇宙人?的なキャラの方が強か
ったような気がします
>水中のリアル、綺麗さに感動したものです
当時の次世代ハードで「水」の表現は性能の見せ所でしたね。俺は今作の水場、蟹の印象ばっか残ってますがw
>DNAを模した成長システムも、法則のようなものを発見すると楽になるので楽しめました
意欲的なシステムではありますが、ちょっと荒っぽすぎた気もします。クリーチャー作ってゲラゲラ笑うのは楽しいですが。
確かに人間の前段階の方がパーツは強力でしたね。説明書にあるカッコいいやつを作れなかったのはちょっと心残りです。
ひたすら半魚人で殴りまくった記憶しか残ってない
プレー動画見たらカニの恐怖思い出した。
このゲームって、ストーリーあったんだな…
>このゲームって、ストーリーあったんだな…
ストーリーは結構面白いと思います。謎まみれの展開が続いて最終盤に一気に明かされるのは熱い。
新ハードDreamcastとほぼ同時に発売されたものの、グラフィックやシステムを含め、出るのが早すぎたゲームと思ってます。