腐れゲー道

プレーしたゲームの感想文を、ダラダラと粘着質に綴ります。

ポリー・ロール ~ザ・ローリング・バグ~

2021年06月28日 01時18分46秒 | SWITCHゲーム感想文
【ハード】switch
【メーカー】HOF Studios
【発売日】2019年10月31日
【定価】1050円(DL専売)
【購入価格】105円
【プレー時間】8時間

【switch】【インディーズ系(定義は知らない)】【DL版100円投げ売り】……最近の俺のブームだ。実にロクでもないが。

switchは5年目に入った今も物凄い販売台数で世間を驚かせているが、個人的にはソフトの充実っぷりの方に驚愕している。
ぶっちゃけ、今やswitchのソフトを全部把握してる人は誰もいないと思う。ユーザーはもちろん、任天堂の担当者であっても。
それくらい多いし、日々増えていってる。……ちゃんとマリオクラブチェックとかやってんの? もう時代が違うのかな。
その中でも「インディーズもの」は一大ジャンルとして大量に供給されている。目立たないがswitchにとって大事な存在なはず。
「戦いは数だよ」という名言がある。名言か? まぁ数が多いことは正義だ。しかも今なら、質もある程度保証されている。
アタリやファミコンの時代ならソフトの粗製乱造が問題になったが、ゲームが成熟した現代はそもそもそういうのは生まれない。
つまり「十分遊べるゲームが溢れている」わけで、ほんま天国とはこのことかと思う。……何故これで幸せになれない? ぬぅ。

そしてインディーズもののもう一つの特徴が、「頻繁にある激安セール」だ。1000円くらいのタイトルなら80%オフも普通。
ジュース一本レベルで十分遊べるゲームを買える。ある意味タダゲーより狂ってると思うが、喜んで良い現実だ。多分。多分。
ジョイドリによる悪感情で任天堂ソフトを買う気がしない(決めてるわけじゃないが)俺にとって、switchの大黒柱になってる。
特に100円とか120円とか、それこそジュース気分でポチってしまう。現代は「安物買いの銭失い」が当て嵌まらないからな。
ただ先述のように俺はswitchタイトルのことを殆ど把握してない上に値段買いだから、ソフトの中身はほぼ知らずに買ってる。
一応軽くググる程度のことはするが。ちなみに多人数プレーを売りにしてるものは基本避ける。惨めなもんやな。
で、やっと本題だが、今作「ポリー・ロール」もそうして手に入れた。1050円が9割引で105円。消費税5%が懐かしい。
switchそろそろ動かそうと思い、幾つかある安価ソフトの中からテキトーに選んで開始。……ま、これも縁よ。これでいい。

さてゲームだが、まず販売サイトを見てほしい。ちなみに公式サイトは存在せず、実質ここが公式だ。これがインディーズか。
ポリー・ロール ザ・ローリング・バグ
簡素ながら今作の説明が書かれている。公式サイトがないからこれが「公式情報」のほぼ全てだ。凄い時代になったもんだ。
それはさておき、俺はこの説明文の一箇所に結構な衝撃を受けたのだ。それが今作を手に取った理由の一つでもある。

・4~10時間のプレイタイム

これだ。どうよこれ。「クリアまで100時間以上!」等、長さを誇る売り文句はよくある。でも数時間の表記を俺は初めて見た。
ゲームにおいて数時間で終わるとなると、普通は「短い、ボリューム不足」と受け取られる。だが今作は安価なインディーズだ。
これは寧ろ「短時間で『終えられる』ゲームを安価に提供します」という売り文句なのかもしれない。……いや、実に斬新である。
以前、今作以上に低ボリュームな「神巫女」をプレーしたが、想定プレー時間の表示はなかった。まぁ価格から察したが。
製作者は、恐らく今作に対し「プレーヤーの心に残る一本になってほしい」といったクリエイターらしい志を持ってない。
4~10時間楽しんで貰えれば、後はアンインスコールして忘れてくれてもどうでもいい。そんな風に思っているのではないか。
スナック菓子のように食べ捨てられることを最初から想定されたゲーム。……というのは歪んだ想像だろうか。うーむ。
もちろん製作者の真意は分からんが、何気ない「4~10時間のプレイタイム」という表記が俺には衝撃的だったのだ。かしこ。
ともあれプレー開始。近年よくある懐かし系2D横スクアクションである。本当に数時間で終わるのか? 終わるんだろうな……。


プレー開始。速攻驚かされた。これ「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」やないか!! 無論メガドラ版である。丁度30周年である。
主人公のポリーロール君……でええんかな? は、副題から察するに虫なのだろう。販売サイトの絵はソニックと似ていない。
しかしゲーム中の立ちポーズはほんま、まんま。明らかにオマージュ、を飛び越えてパックリ行っちゃってる。凄いや。
更にポリー君のアクションは、ジャンプとスピンダッシュ。ジャンプは自動で回転アタックになる。これらもソニックまんま。
アクションだけでなくステージも、バネジャンプやリフトの作りが「おぇおぇ」と声が漏れるほどにソニック。ええんかこれ。
いやー、完全に開き直ってますな。緩かった20世紀でもなく、同人でもないのに、今現役のハードで堂々とこれを出すとは。
なかなかどうして、軽い安価ゲーと思いきや、今作には驚かされまくりである。……必ずしもいい意味ではないが。うーむ。

ただ、パニック(パク+ソニック)なのは見た目やアクション、ギミックだけで、プレー感覚はかなり違っていた。
ソニックはスピード感を売りにしたゲームで、実際それはあるのだが、そのために全体的に雑なゲームになっていた。と思う。
ステージを駆け抜ける快感が売りと言っても、ただ駆け抜けられたらゲームにならない。敵や仕掛けによる邪魔が必要だ。
だが邪魔が増えると今度はスピード感がなくなる。初期ソニックはそのジレンマが大きな問題で、俺の不満点でもあった。
そこに行くと今作はソニックぽくありながら落ち着いたプレーになるゲームで、爽快と停滞のバランスが取れていると感じた。
ソニック的でありながら、過度にスピード方向に偏らせない。この判断はナイスだ。おかげで「普通に面白く」なっている。
今作は最初から最後まで、特筆すべきことはないけど、実に普通に楽しめるゲームだ。恐らくこれが最大の賛辞になると思う。
まぁ、全てのゲームが志高くある必要はない。それだけ業界が成熟したってこったな。つまらないよりはよほどいいし。はぁ。

さて、ゲームはステージクリアー型の2Dアクションである。右に進んで行けばゴールがあるから、それに入ればOK。
もちろん道中には敵や針や穴が待ち受けている。今作はHP制で、最初は3つ。敵の攻撃なら2回までは耐えられるわけだ。
ステージに落ちている宝石を10個集めればHPが1回復する。結構多めに落ちているので、丁寧に集めて行けば安心な設計だ。
そしてクリアー以外の目的として、各ステージに3つある大宝石集めがある。隠されていて、入手すればマークが点灯する。
単なる収集アイテムではなく、ある程度の数がないと先のステージが開放されないようになっている。……これ、マリオやん。
そうなのだ。ステージ中の3つのアイテムやそれによって進路が開放されることは、比類なき最近のマリオを彷彿とさせる。
ちなみにステージはマップ移動で選択するようになっており、これはマリオまんま。ワールドが区切りになっているのも同じ。
見た目や動きがソニックなら、システム部分はマリオだった。いやはや、これまた驚かされた。結構凄いゲームかも。知らん。

今作は単純に「ソニックとマリオのいいとこ取り」と言えるかもしれん。俺はそれを好ましく思った。それで面白くなってたし。
もちろん悪く言えばパクリゲーだが、そこはインディーズ割引で考える。……ええんかそれで? 知らんて。俺のせいじゃない。
ただ、「基本」はそうでも、コースやボス戦はちゃんと自分たちで作っている。当たり前だな。今作はちゃんとオリジナルだ。
よう考えたらこの程度の模倣、ゲームの歴史を考えれば何も悪くない。志が低いダメ模倣じゃなく、弁えてやってるしな。
ソニックアクションでマリオ的なゲームを遊ぶのは普通に面白かった。また言うまでもなく、大宝石は全部集めることにする。
コースクリアーだけなら殆ど何も考えず右に行けばいいだけだが、大宝石は割と巧妙に隠されていて、真面目に探す必要がある。
スナックでありながら、ガムの要素もある。ちゃんとしたゲームだ。……これで名もなき100円ゲーか。不思議な時代だ……。

ゲームに特筆すべきことはあまりない。淡々と進められてそれを楽しめる。大宝石を取り逃しても再挑戦で探せば問題なし。
今作は残機の概念がなく無限にやり直し可能だが、中間ポイントがないので再開は常に最初から。これは意外とシビアだった。
また再開が即座に行われるので、例えばコーヒーを口に入れるといった数秒の休憩を挟む余裕がない。実に現代的で忙しい。
普段はそれでも構わんが、時間制限のある一部ステージでは「ちょっと間を入れろよ」と思った。まぁ些細な不満である。

パワーアップは、道中にあるアイテムにて「針無効バリア」「宝石引き寄せ磁石」等の効果を得られる。そしてこれらは永続。
一度取ればステージをクリアーしても残るので非常に使い勝手が良い。……が、ダメージを受ければ一瞬で霧散。儚い夢だった。
また予備保存が不可能で、別のパワーアップを取れば強制的に上書きされる。マリオのアイテムほど使い勝手が良くはない。
そして大宝石入手には特定パワーアップが必須なことも多いのだが、一度ダメージを受けて霧散しても再取得は不可能。
この場合、一旦ステージを出るしかない。特定パワーアップ必須はいいとして、再取得は出来るようにすべきではなかったか。
大宝石を探すのは楽しかったが、特定パワーアップを無くしてしまい、ステージに入り直す行為はなんか美しくないと思った。
この点は全編無難に楽しめた今作で唯一の不満点かもしれない。時限で再取得可能でも別にバランスは変わらんと思うんだがな。

難度は、序盤は鼻歌ながら、徐々に難しくなっていく理想的な作り。終盤は大宝石集めになかなかの手応えがあった。
ステージの中には例外的にHP最大値アップアイテムを取るのが目的のものが幾つかあるのだが、これがかなり難しい。
他と違って制限時間がある上に仕掛けが嫌らしく、苦戦した。ちなみに今作は残機の概念がなく、やり直しは無限に可能。
HPアップは必須ではないが、上げる前提のバランス(多分)なので取ってくべきだ。単純にコンプリートしたいしね。
そしてゲームも後半に入ると、難度も本気を出してくる。ステージは厄介でボスは強く、大宝石の隠し場所はより巧妙になる。
と言っても所謂高難度ゲームではなく、「楽しく苦しめる」範囲に落ち着いている。この辺もマリオ的と言えるのかな。
寧ろ近年のマリオのクリア後要素ほど難しくはない。それでいて頑張らないと突破できない。理想的な調整だと思う。
ちなみに今作は何気にワールドの数が多く、同じ数だけボスがいるので、つまりボス戦が多かった。これにも結構驚いた。
数が多いけど流用はなく(多分)、どのボス戦も面白い。かつ後半に行くほど難しくなるというこれまた理想的な調整。
ボス戦の充実っぷりは今作で一番良く出来ていると言えるかもしれん。褒めすぎか。でも予想外に楽しめたよ。
ラスボスを倒せばゲームクリアー。残念ながらクリア後の要素はない(多分)が、規模的にしゃーないだろう。
アクションも大宝石集めも、実にしっくり来る難度調整だった。今作で一番良く出来ていると言えるかも。褒めすぎか……。

物語は……あるのかな? 副題から主人公が虫くんで、ボスに蜘蛛とかがいたから、そういった感じだろう。知らん。
終盤に一つだけ、仲間の虫を救出するステージがあったから、それが目的だったのかもしれん。まぁ正直どうでもよかろう。
しかしゲームタイトルに「バグ」とは、なかなかやるね。尚、俺のプレー中にバグは一切発生しなかった。そらそうやな。
グラフィックは、所謂懐かしドット絵風味がよく出ている。コンセプト通りに作られているのは間違いない。これでいい。
音楽もゲームに合っている。特にHPアップアイテムステージの曲は耳に残った。サウンドテストがないのが残念。
それくらいは安価ゲーでも用意できると思うし、クリア後のおまけで用意してほしいのだが……それでも望みすぎかのう。
超安価ゲー「神巫女」にはクリア後サウンドテストがあったし、サントラがサブスク屋に上がってるので、今でもたまに聴く。
それだけで「ゲームの残り度」が格段に違うんだけどな。DL小規模タイトルだからクリア後の起動(鑑賞)が気楽に可能だし。
ま、製作者の判断だからしゃーない。ゲームが溢れる昨今、「せめてBGMを残す」ことは非常に意義があると思うんだがな。


ふぅ。ゲームは大宝石を全部集めた上でクリアーした。クリア後要素は特にないし、これで完全にやり切ったと言えるだろう。
……では、例のプレー時間はどうだろうか。ジャジャジャン!! 8時間!! と出ました。まぁ表示はないから概算だけど。
大宝石に拘らずクリアーに邁進すればもう数時間は短くなるだろう。逆に大宝石集めに苦戦すればもう数時間は伸びそうだ。
つまり「4~10時間」という販売ページの表記は非常に正確な見積もりだったということだ。……うーん。何となく切ない。
俺はもちろん自主的に今作をプレーしたし、大宝石探索やボスの倒し方なんかも全部自分で考えてやった。面白く遊べたよ。
でもそれが全部製作者の想定通りだったとすると……まぁ別に悪いことではないかもしれんが……微妙な気分になるね。
俺はいつも言ってるが、ゲームとは「お釈迦様の掌の上で納得ずくで遊ぶこと」だ。その管理具合が製作者の腕の見せ所だ。
今作はゲーム中に管理を感じさせることはなく、つまり優れた掌を作っていたわけだが、何と販売文句でそれを壊してくれた。
こんなケースは初めてである。……いや、公言してないだけで、他ゲーも同じだろう。気付かぬ間抜けはプレーヤーだけ。
いや、それでええんやけどな。俺は望んでお釈迦様に遊ばせてもらってるんや。それでええんよ。……けど、なぁ。うーむ。

今作に関しては、恐らく続編等は出ないだろう。製作チームやどこの国のゲームなのかは知らんが、何となくそう思う。
一本スパッと作って安価で売って完了。プレー時間も客の生活を圧迫するようなことはまるでない、極めてお手軽なもの。
それでいてテキトーなゲームではなく、偉大な過去作をパ……参考にキッチリ遊べるゲームになっている。うううむ。見事。
俺としても100円で買えて8時間十分面白いゲームを楽しめて、文句などあろうはずがない。……けど胸に燻る一抹の虚しさ。
しかし俺は実際今作を8時間でやり終え、次のゲームへ移っていく。スナックなゲームは既に役目を終えた。これが現実。
ゲームを明確に「消費」していく形になったのはいつからだろうか。もう思い出せないが、仕方ない。それだけ数が多いから。
一本終えたら次の一本へ。そうしなければ罪ゲに溺れてしまう。だから短時間で終わるよう管理されたゲームは寧ろありがたい。
そうなんだよな。それでいい。比類なく計算されたインタラクティブ娯楽・テレビゲームへの愛を改めて深めて終わり。
俺がゲーオタであることは変わってないし変える気もない。一本一本、丁寧に消費していこう。それでいいのさ。それでいい。

……以前は「永遠に遊べるゲーム」なんてのを想像し、求めたこともあったがな。そんなの夢物語だし、あっても困るしね。
わちゃわちゃと不安定だった時代を経て、ゲーム文化はすっかり成熟した。成長から安定へ。んで最終的には、死?
いやいや。人じゃあるまいし。ゲームは続くよどこまでも。それをプレーする人がどうかは知らんけどな。そっちは有限だから。
はぁ。






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2 コメント

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Unknown (Unknown)
2021-07-20 23:30:39
ota様こんにちは
更新ありがとうございます
otaさんの文章楽しみにしております。
otaさんが紹介したゲームは買えればすぐに買います、
買えなくても全て覚えております。

switchのタイトルを全て記録している方がいます
https://twitter.com/naetoru60
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1MqRXKqDSnFfqDG3NSVZaCey2f7D_uZ9WZ9GjC42EX6Q/edit#gid=4514792

既にご存知かとは思いますが何かお役に立ちたかったのでお許し下さい。
返信する
Unknown (ota)
2021-08-01 00:18:50
>ota様こんにちは
こんばんは。返信が遅れまして誠に申し訳ないです。少し旅に出ていまして。いや嘘ですが。
この過疎ブログ(最近マジで激減してまして)を少しでも楽しんでもらえてるならこんな嬉しいことはありませぬ。

>switchのタイトルを全て記録している方がいます
すげぇええ!!! いや全然知りませんでした。リストにはビビりました。いい情報ありがとうございます。
……で、発売予定のものを含めれば、全部で3500以上あるみたいなんですが……えぇえええゑゑゑえぇえぇ……。
改めてとんでもない時代だと思いました。俺は死ぬまでに触れられるゲームはあと何本なんだろうなぁ……。
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