腐れゲー道

プレーしたゲームの感想文を、ダラダラと粘着質に綴ります。

龍が如く0 ~誓いの場所~(PS4版)

2024年06月20日 00時51分37秒 | PS4ゲーム感想文
【ハード】PS4
【メーカー】セガ
【発売日】2015年3月12日
【定価】4180円(現物 新価格版)
【購入価格】2334円(新品)
【プレー時間】126時間


龍が如く、大好きである。ガッツリとシリーズに入り込んだのは、今より4年前の「3」からだろうか。単純に、めっちゃ面白くてハマりまくった。
今更PS3でやるという重みもゲームの面白さが全部ぶっ飛ばした。そして、龍が如くはシリーズ作が多い。そらもうめっちゃ多い。呆れるくらい多い。
なら俺が取るべき道は一つだった。取り敢えず既プレーの「1・2HD」を再プレーにてトロコンを達成、後はガンガン続きをプレーしていくのだ。
……と言っても我がゲー道は龍が如くのみで構成されているわけではない。またそればかりやってると飽きの心配もある。適切なペースを守ってやろう。
そこで「年に2本ずつ」というペースを想定した。これくらいなら十分やれるし、近年は続編発売ペースも落ちてきてるから、いずれ追いつけそうだ。
この予定をそれを2021年、2022年と守った。順調順調。ハマり度も毎回ほぼ最高レベルで、そういう意味でも非常に順調。もう龍が如く大好き。
……が、2023年は、結果として「維新!」一本のみで終わってしまった。いややる気は超あったんだけどね。この年は色々と。他シリーズも停滞したし。
そんな去年の借りは、2024年に返していくしかない!! 今すぐだ、今すぐ始めるんだ!! ……と元日に決意、速攻パッケージを開封し、開始した。
モノはもちろん、維新の次作「龍が如く0 ~誓いの場所~」である。2年前にシリーズを現物版で一気に確保した際、買っておいたPS4版だ。
これで俺の正月休みはバリバリだぜ! とばかりにまた桐生ちゃんに憑依させてもらうのだった。……直後に能登地震が発生し、色々落ち込んだ。はぁ。

さて、龍が如く0。今作はシリーズの中でも際立って評価が高い。今も世間的に概ね「シリーズ最高傑作」とされている。……まぁ敢えて断言しよう。
このことはプレー前、いやそれこそ9年前の発売当時から耳にしていた。それも好評の要素には「ストーリー」があるようなのだ。龍が如くの!!!
龍が如くと言えば、その場その場のイベントは迫力も臨場感も抜群だが、通しで物語を見ると「これ名越さん成り行きで作ってないか?」と思うほどだ。
そのツッコミ引力は「逆転裁判」に勝るとも劣らない。俺は龍大好きだが、物語を肯定的に捉えたことは殆ど無い。なのに……0の物語は最高、と?
いや最高はあくまで「シリーズで」だな。龍が如くとしては最高だ、と。しかしそれでも非常に興味を引かれる話だ。プレーが実に楽しみだった。

また今作は0の数字が示す通り、初代より前の時代を舞台にしている。常に現実と同じ時間軸を進んでいた龍世界が、ここで初めて逆行を試みた。
してその舞台は、ズバリ1988年、通称「バブル」と呼ばれたあの超好景気時代である。……いやぁ、この設定は。非常に目の付け所がいいと思う。
今の日本にとって、全てが明るかったあの頃は良くも悪くも伝説的に語られている。現実にあった夢のような時代。非常にフィクションの題材向きだ。
また龍が如くの題材としても非常に向いている。なんたってあの時代の金儲けの代表格と言えば土地転がし、そしてそれに絡む地上げ行為である。
現実にあの時代はヤクザが大活躍したらしい。……そうして表の世界で調子こきすぎた結果、数年後には暴対法の整備で痛烈な反撃を食らうのだが。
まとにかく、2005年設定から始まった龍が如くだが、過去を描けるならこんなに適した舞台はない。日本の絶頂は龍が如くにとっても絶頂だった。え?
ちなみに俺自身もこの時代は経験しているが、まだガキだったから好景気のことなど全然実感出来なかった。別に親が小遣い増やしてくれたこともない。
親からそんな浮いた話を聞いたこともない。唯一、親父の持ってたゴルフ会員権が4500万円まで値上がりして「怖いな」と言ってた記憶がある。
ただそれも売りはせず持ち続け、後々売った時には100万かそこらだったらしい。まそんなもんだ。当たり前だが、誰もが金に狂ってたわけじゃない。
大半の人間は今と同じただの勤め人で、多少金回りは良かったのかもしれんが、普通に働いて生きていたのだろう。タクシーに札ビラとか誇張だよ多分。
俺にとっては金の話より、ファミコンを中心にしたゲーム文化、ジャンプを中心にした漫画文化の隆盛が思い出される。いやぁ、いい時代だったよ。
あの時代もクリエイターの方々はただ只管にモノを作っていたのだ。夢中でファミコンやってジャンプを読み耽ったバブル時代を永遠に忘れない。


前置きが(いつも通り)長くなった。ゲーム開始。まずは恒例のタイトルムービーだ。そこで流れる今作のテーマソングは、ズバリ「バブル」である。
歌うは「湘南乃風」なるグループ。正直俺は知らなかった。今までの龍が如くはOPに大御所を連れてきていたが、今作では方針変更をしたらしい。
まぁ大御所だとどうしても頭下げる形になり、「一緒にテーマソングを作りましょう」とは言い辛いだろうからな。しかし湘南乃風なら?
タイトルからも自明だが、この歌は今作のために作られたようだ。それも恐らくみっちりと打ち合わせをして。はい、とてもいい歌に仕上がっている。
歌に合わせて流れるムービーも高揚感を煽ってくれる。若き日の桐生ちゃんと真島、彼らが暴れた狂乱の時代は、確かに存在した架空の世界。
プレー前の空気はバッチリだ。尚今作はまず桐生編を2章やり、次に真島編を2章、以下繰り返しという構成になっている。完全にダブル主人公制だ。
どちらかと言うとやはり桐生に軸が行ってるように感じたが、それも些末な話で、真島編にも手抜きは一切感じなかった。どちらのファンも納得だろう。
さて、まずは桐生ちゃんだ。なんと20歳!!! ……のくせに角刈りで煙草咥えて声はいつもので、正直あんま変わってない印象。
特に声はなぁ……20歳ならもっとチャラチャラしい雰囲気でいいと思うだが……それだとこのヤクザオブヤクザの物語には合わんか。うーん。

そんな感じでゲームを開始したわけですが……面白いですねぇ!! 何本やっても、龍が如くは面白い。俺は速攻で今作にどっぷりハマっていった。
システム的には「いつもの」である。今作は維新から僅か1年後に発売されている。龍が如くは早い旨いいつもの、が売りなのだ。……言い過ぎかな?
いつも通りやることだらけで歩けばイベントに当たる街。そして評判通り……シナリオが良い! いやまだ笑うな怺えるんだ。「先が気になる」だ。
今までも整合性はともかく先が気になる作りには定評があったが、今作もその点はバッチリだ。何故こうなった。あれは誰だ。今後どうなるんだ。
早く先に進めたくて仕方ない。しかしミニゲームやサブイベントがそれを阻む!! 嗚呼どうすりゃいいんだ、と幸せな悲鳴が神室町と蒼天堀に響く。
龍が如く最新作(当時&今の俺にとって)として全く不足のない出来である。またしても名越さんの大勝利。新天地での生活どうすか。中華金旨いすか。

今作で初っ端から強烈に叩きつけられるのは「怖さ」である。何の怖さ、って? お前龍が如くを何だと思ってんの? ヤクザの怖さに決まってんだろ。
そう、ヤクザの怖さ。龍が如くは外伝以外ずっとヤクザ界を舞台にしていたんだから、当然その描写にも拘っていた。旧作にも怖いキャラは一杯いた。
だが今作はその辺にいきなり磨きが掛かったと言うか、明らかにレベルが上っていて本当に驚いた。まずは堂島組の幹部3人衆である。ヒィイイイイ。
この時代、桐生の立場は堂島組の下っ端だった。彼はシノギの一環として金融屋の取り立て代行をやっており、ある男から暴力をもって金を回収した。
それはこの時代のヤクザなら何もおかしくないこと。……だが、翌日の朝、その男が殺人事件被害者として報道される。しかも銃殺されたとのこと。
全く身に覚えのない殺人容疑に動揺する桐生は、堂島組から呼び出しを受ける。上は既に事態を把握していたのだ。そして素直に桐生を疑っている。
ここでかの堂島幹部3人「久瀬」「阿波野」「渋澤」が初登場するわけだが……いやもう、圧巻。名越さんスゲーと思った。ヤクザ度120%。
3人には例によって俳優のモデルがいるのだが、それぞれがVシネマで名を馳せた強面、素でヤクザ顔である。龍が如くで整えたら、怖さ7割増し。
更に声も当然その俳優が担当しているのだが、このレベルがまた驚くほど高かった。だからもう、まだ最序盤なのに小便ちびるほどビビりまくり。
いや凄い。イベントで怖さを感じたことはあっても、なんつーかそこにいられるだけ、空気が既に怖いってのはシリーズでも初めてのことだった。
やはりバブルはヤクザが最も輝いていた時代なのか。なんかそういう方向で解釈してもしっくり来る。……龍が如くはフィクションですよ? はぁ。

一方、真島編も負けてはいない。こちらは「佐川」という近江連合のヤクザが序盤から登場し、真島のお目付け役として終始彼を監視する。
佐川の態度は飄々としていて、真島を「ちゃん」付けで呼び、一見ただの軽いノリのおっちゃんである。……しかし当然、その仮面の下の素顔は。
佐川の場合「目」が怖かった。「顔は笑っていても目が笑ってない」は怖い人の表現でよくあるが、佐川はまさにこれ。目が狂ってるんだよ。
意外とこういう「目がヤバい」の表現は難しいと思う。そら誇張ありなら何でも可能だろうけど、龍が如くのようにリアル系のキャラだとね。
うわー本物のヤクザこえーとプレーヤーの誰もが思うことだろう。そして今作では桐生も真島もまだまだ若造、怖い先輩らに翻弄される立場。
鍵となるのは「カラの一坪」と呼ばれる、神室町のたった一坪の土地。堂島組が地上げで周辺の土地を買い上げたが、ここだけが残ってしまった。
周辺のど真ん中に存在するから、ここの権利がないと結局は何も開発が出来ない。しかしこの土地は何故か所有者が不明で、交渉が出来ない。
更に言うと桐生の濡れ衣殺人の現場が、このカラの一坪だった(桐生は知らなかった)。もちろん全ては陰謀だ。桐生は潔白証明のために動き出す。
このように当初は桐生側が物語の軸だが、真島の蒼天堀でももちろん事態は絡む。そう、こちらでは所在不明だったカラ一の所有者が発覚する。
恐ろしい先輩ヤクザ達から直接間接の圧力を掛けられる中、若き二人の次世代ヤクザが金と暴力の時代を必死に駆け回る。うーむ、ドラマチック。
これは確かに、龍が如く史上最高のシナリオだ。整合性も、無論気になる部分はあるが、従来作と比べたらバブルとはぐれの差よ。上手いこと言ってない。
今作は龍が如くシリーズ10周年記念制作だったが、その名に相応しい出来である。俺は10年追ってたわけじゃないが、ファンでよかったよ。ほんま。


……さて。シナリオは良い。とてもいい。しかし龍が如くは読みゲーではない。物語を進めようにも、それを阻む悪い奴が登場するゲームなのだ。
そう、皆大好き大嫌いな、チンピラ達である。今作はフォーマットは何も変わらないので、当然ながら今までと同じく雑魚戦もバッチリとある。
戦闘システムもいつもとあまり変わらず、龍が如く的なアレだ。面白いとは思わんけど、もうずっとこうだから、目を瞑ろうという変な達観がある。
今作らしいのは、敵を殴るとどんどん金を落とすこと。100円200円じゃなく、1万円10万円をだ。無茶苦茶ではあるが、バブルの誇張であろう。
実は今作で一番ぶっ飛んでるのが金の概念で、雑魚敵との戦いで数十万稼げてしまい、中盤に始まるサブ要素だと数億数十億があっと言う間に手に入る。
更にある稼ぎネタを利用すると、兆にまで届いてしまう。どんなんやねん。もちろんそれを桐生ちゃんは持ち歩いている。馬鹿馬鹿しさの極みである。
だがもちろん、金にはゲーム的な意味を持たせている。それはズバリ、成長。今作ではパラメータの強化を金でやるのだ。1億で体力アップ、とか。
……ま、突っ込むな。一応は「自分への投資」とかそんな概念らしいよ知らんけど。うるせーな文句は名越さんに言え。これくらいなら馬鹿OKだろ。
強化を続けていくと必要な金額は跳ね上がる。物語の進行度によって上限が決められているので、サブ要素で稼ぎまくって超強化~は残念ながら無理。
まぁバブルと言えば土地と金であり、その金を強く絡めたいいアイデアと言えなくもない。見よ、金がゴミのようだ! そんな時代があったんだよ多分。

話がややそれた。で、今回のピラ達は金をばら撒いてくれるありがたいお客さん……とも言えない。今作じゃ他に効率的なシノギが幾らでもあるからだ。
寧ろ経験値が廃止され、金で成長ができるんだから、従来以上にピラ戦が無意味になったと言っていい。ああ龍が如くのチンピラ達。哀しき雑魚群。
まぁ達成目録やら何やらと経験値以外の「ゲーム的な意義」はあるから、俺はもちろん文句言わずぷちぷち潰していったけどね。嘘ごめん文句は言った。
ただ今作のピラで非常に良くなってたことが一つある。「桐生(真島)との出会い方」である。……表現がおかしいか。エンカウントの仕方、だな。
従来作では道の真ん中でキョロキョロと桐生を探し、発見したら即座に走り寄ってきて因縁をつけるという、凡そリアリティ皆無の名越的なものだった。
それが今作だと、こちらを発見すると 「ん?」→(間)→「あいつ……」→(間)→「おい待て!!」と走り寄ってくるのだ。これが非常に良かった。
文字で書くだけだと従来と同じに見えるが、発見から行動までにちゃんと「間」があるので、人間の行動としてリアリティを感じられるのである。
もちろん「桐生を発見したからといってなんで走り寄ってくるのか」は相変わらず謎だし不自然だが、それは言うまい。バブルだからだよテキトー。
また今作では物語の展開で何度か「堂島組に追われる」状態になる。その際は、上記のエンカウントの仕方が状況と見事に合致する。
あと維新に続いてピラが集団行動を取るようになり、そのリアリティも増している。「絡まれ方」に関しても、今作はシリーズ最高傑作だ。……褒めてる?

戦闘はいつも通りな感じだが、今回は桐生も真島も「3種類の戦闘スタイルを使い分ける」システムになっていて、結構変わっている。どっちやねん。
「平均型」「パワー型」「スピード型」と言えるスタイルを方向キーで状況に合わせ切り替えて戦っていく。切り替えにコストはなく、自由に可能。
もちろんそれぞれ一長一短なので、場面に合わせ臨機応変にスタイルを変えていくのが攻略となる。……が、やっぱバランス調整には難があった。
具体的には、桐生はパワー型が明らかに強い。攻撃力が一番高い上、このタイプはスーパーアーマーも持ってるので、被ダメも気にせず暴れられる。
また「攻撃していれば自動的に近くの路上武器を拾う」機能を備えているので、ボタン連打してるだけで雑魚戦なんかはほぼ無双できる。強すぎ。
デメリットとしては移動が極端に遅くなるというのがあるが、メリットを潰すほどではない。これは名越さんやっちまいましたね。まぁ名越さんだし。
他の2種も別に弱いわけではないので、気が向いたらテキトーに切り替えて戦った。トロ方面を意識すると、結局どれも極めなきゃならないんだしな。
そしてサブ要素をやり遂げると、第4のスタイル「堂島の龍」が解放される。……いや正史の始まりから17年も前なのにおかしいだろそれは!!
とツッコみたいとこだが、まぁこれは完全にサービス要素なのでよしとしよう。ちなみに別に強いわけではなく、パワー型の方がずっと使いやすい。

真島の方も同様に3スタイルがあり、こちらはスピード型の「ダンサー」が強かった。つってもこちらも他2種が弱いというわけでもないが。
……ただこのダンサースタイルには大きな問題があって……「ボイス」なんだよ。このスタイルは名前の通り、踊るように回転したりして攻撃する。
その際の真島はノリノリで、「ヒャッホー!!」などと叫んで大変楽しそうだ。……それがどんな戦闘でも、なのである。どんな戦闘でも。
そら雑魚戦ならいいよ。龍ピラという文字通り無限に湧いてくる人権のない存在相手なら。けどさ、龍が如くにはボス戦があるのよ。それも頻繁に。
想像してみてほしい。こちらの激情を煽るイベント、挑発してくるボス、怒りのあまり早脱ぎで背中の般若を見せる真島! そして始まるボス戦!
……で、始まったら「ヒャッホーww!!」だよ。そらないよ真島。修羅場でふざけるのは17年後からにしとけよ。今はまだ若いのによ。
まぁそんな感じで、端的に雰囲気ブチ壊しになることが頻繁にあった。あれはないよ名越さん。ちょっと別ボイス入れるだけで全然違ってたのに。
それでもヒャッホー攻撃は強いから頼らざるを得ない。白熱のボス戦は妙な空気で進行していくのだった。やっぱ龍が如くは超一流ではない、な。
真島もサブ要素をやり遂げると「嶋野の狂犬」スタイルが解放される。お馴染みののドスを振り回すアブねースタイルだ。桐生同様強くはないが。
戦闘部分でもダブル主人公の宣言に偽りはなかったと思う。2人分のスタイルがちゃんと作られていた。さすが龍が如く最高傑作である。多分。

龍が如くと言えば寄り道!!! まして舞台はバブル!! 金は有り余ってる!! こらもう遊びまくるしかないやろ!!!
……まぁ寄り道で遊びまくるのは今作に限らずいつものことだが……つまり今作でもたっぷりみっちり寄り道要素を楽しんだ。龍が如く大好き。
今作はサブ要素でもバブル期の世相を出そうとかなり意識していたようで、実際にその時代を知ってる俺にはニヤリするネタが色々あった。
「大人気ゲームを量販店に並んで買った少年がそれをカツアゲされる(を桐生ちゃんが取り戻す)」なんてのはニヤリもニヤリ、最高だった。
まぁ行列が5人くらいしかいなくて、史実とはスケールが全然違っていたが、多くは求めまい。あの狂乱のブームは昭和の宝石として永遠に残る。
また「ポケットサーキット」なるミニ四駆パクリを、かなり本格的なミニゲームとして大々的に採用している。これの気合の入り方には驚いた。
現実同様、モーターやギアをあれこれチューンしてレースに挑戦するのは、龍シリーズ全体でもかなりレベルの高いミニゲームだったと思う。
俺はミニ四駆にはさほどハマらなかったが、当時の雰囲気は知ってる。それを上手くフィクションで再現していた。素晴らしいよ名越さん!
レースだけでなく、「ポケサーファイター」なる大人も登場し、イベント面でも盛り上げてくれる。キャラ的にも面白く、これも当たりだった。
彼がいないと20歳の桐生ちゃんが子供に混じってポケサーに耽るという、さすがに痛すぎる絵面になるからな。重要な存在だよマジで。
……ガキが人っ子一人いない神室町なのに、ここだけいつもガキだらけなのは何なんですか名越さん。あとイベントの時も。唐突にガキ登場。
アサシンクリード共々、扱いに苦労してますねぇ。いや強引に誤魔化してるから苦労はしてないか。ゲーム作りは割り切り。これ真実。多分。

あとテレクラも頑張っていたな。「あの」緊張感やワクワクを見事に(馬鹿馬鹿しく)ゲームで表現していた。……いや俺テレクラやったことないけど。
やったことないけど、当時は嫌と言うほどこの言葉を耳にし、それだけに「どんな遊びか?」と悶々としていた。ある意味35年越しの夢を叶えてくれたよ。
相手の女と話を合わせてその気にさせ、オフで会い、ポワワンする。今と違いやり取りは電話一本、ちょっと拗れればすぐ切られて終わる厳しい世界。
必死で相手に迎合しながら、同時にその肢体を妄想する。ちなみにこの妄想には靄がかかったムービーが入り、かなりエロい。名越さんようやっとる。
そして苦難の末に合う約束を取り付け、いざ現場へ……! ここで謎のランダム要素が入り、それはクソだと思ったが、まぁドキドキ感はあったな。
当たりだとポワワンし、外れても強制ポワワンで体力激減させられたりで、悲喜こもごも。かなり上手いことゲーム化していたと思う。いいセンスだ。
ちなみに期待外れたったミニゲームは、何を隠そうパチンコだ。と言うか、今作にはないんだよ、パチ。パチ屋は当然神室町にゴロゴロあるのに。
これは単純な話、バブル期に流行ったパチ台を再現出来なかったんだろう。俺はそこを頑張ってほしかったのに。手抜きを感じたよ名越さん。
バブル期ならパチンコもまだ遊びの範疇にあったと思うんよね。まぁ俺の印象でしかないが、21世紀以降の悪質極悪違法ギャンブルではなかった。
それなら遊んでみたかったのに。ここ頑張ってたら作品のクオリティがまた一段と上がったのに。マジで。非常に残念でした名越さん。はぁ。


そして最大級のサブ要素。まず桐生は、神室町のあちこちの店のオーナーとなり、大儲けするというもの、名付けて「神室町マネーアイランド」。
最初はちっちゃい店1個を与えられるだけだが、そこの売上を糧に別の店を買収、それを繰り返して桐生会(適当)のシマを広げていく。
また「マネージャー」を充てがうことで店の価値を上げれば、毎度の収入も増える。最初は百万単位の金が、あれよあれよと億から10億単位に。
単にシマを広げていくだけでなく、要所要所でライバルの土地持ちとの戦闘が入る。神室町5人衆とかそんなん。龍が如くらしくて面白い連中だった。
……が、やってることがゲーム本編の土地争奪戦ともろ被りしてるってのがなぁ。本編では10億で大騒ぎしてるのに、こっちじゃそんなんお小遣い。
まぁもちろん、このサブ要素は半分ギャグであり、本編と並べて語るべきではない。……しかし舞台や時間軸は間違いなく並んでいるわけで。
金のことを無視しても、神室町の土地をほぼ独占してる(とされる)連中が存在したら、本編物語の根幹が揺らいでしまうやん。立華不動産どうする。
舞台を本編とあまり絡まない神室町の隅っこにするか、専用エリアを用意してほしかったな。歩き回らなきゃ新規に作る必要はないだろうし。
ゲームとしては馬鹿馬鹿しくて面白かったが、本編との整合性に難があった。……だから龍が如くでそれを気にすんなと。何回言わせんだよ。

一方真島の大型サブ要素は、ずばりキャバクラ運営。旧作にあった似たようなものと違い、今作では主に営業中の采配を頑張ることになる。
自動でどんどん来店する客に、好みの嬢を宛てがい、上機嫌にさせてチップを弾んでもらう。延長を勝ち取ればフィーバー状態で万札が乱れ飛ぶ。
しかし水商売にトラブルは付き物、客が機嫌を損ねて怒ったり、嬢がストレスを溜めて店を休んだりする。真島のオーナーとしての手腕が問われる。
こちらは桐生側と違って扱う金が控え目(つっても一日に億売り上げたりする)だが、札束飛び交うバブリーな世界なのは同じ。酒を飲まずに酔え!
土地転がして儲けるのもいいが、真っ当に働いて大儲けするのもまた楽しい。このサブ要素も当たりだった。シリーズ最高傑作の名に恥じないぜ。
従来作のキャバクラ要素は「嬢との接客練習」という形で使われている。今作はAV女優(多分)から採用されたモデルの嬢が多く、見た目はかなりいい。
特に上原亜衣には驚いた。俺でも知ってる超ビッグネーム(とっくに引退したが)である。……もちろん脱いではくれないけどね! 龍が如くは健全ゲー。
真島編にもキャバクラ経営5人衆みたいなのがいて、そいつらを順番に倒していくことになる。で、倒す度に看板嬢がこちらに寝返ってくれる。
旧作同様、会話で嬢と仲を深めるとイベントが起こり、最後はガッツリ惚れてもらえる。しかし真島の兄さん、ここで純度100%の難聴系を発揮。
6人もの好意に「全く気付いてない」状態で終わった。そらないやろおい。もちろんポワワ~ンもない。上原亜衣とポワワンさせろや名越ぃ!!
今作は「女」の部分は真島に偏ってて意外だった。金は桐生だからバランス取ったのかな。桐生編で何故JK由美を出してやらなかったのか……。

しかし名だたるAV女優が揃ったキャバ嬢達で一番魅力的だったのは、実はモデルがいない「ユキ」だった。最初から在籍している始祖嬢である。
彼女は、良い。顔は普通に可愛く、ドジっ子気味な性格も、それっぽい行動も、接客練習も、各種イベントも、全部良かった。龍史上最高の嬢である。
いや龍史上最高の女と言っていいかもしれん。それくらい好感度高かった。……この子だけがAV女優モデルでないというのが……何とも現実臭い……。
また、桐生編でもそうだが、このキャバ運営モードは「サブキャラの再登用」が良かった。既出サブストーリーに登場したキャラが、再登場するのである。
龍が如くのサブストーリーの登場キャラは、続編で再登場することは多いが、その作中では基本的にいなくなる。でないと色々と面倒になるからな。
しかし今作だと、キャバ嬢として再登場するのだ。例えば「子育てに苦労している未亡人」や「お喋り好きの大阪のオバちゃん」等である。
まぁメイン嬢6人と違って接客練習等はないが、それでもキャラを使い捨てにしていないのは素晴らしい。何気にこれは従来になかったことである。
この未亡人とオバちゃんは俺のお気に入りで、頑張って育てたよ。結果として人気嬢となったから、金もガンガン稼げたことだろう。ええ話や。

そんな感じでこのキャバ運営要素は楽しめたのだが、この要素の根本的な部分には強い不満がある。「キャバクラ運営」というところだ。……それが何?
考えてみろ、今作の時代は1988年だ。この頃は「キャバレー」の時代なのである。実際、今作における真島の立場は「キャバレーGRAND支配人」だ。
本編での立場がキャバレー支配人なのに、サブでやるのがキャバクラ運営……そんなんおかしいやろ。そもそもキャバクラが何故この時代に流行る?
作中でも「キャバレーは下火になってきている、これからはキャバクラだ」てことは語られる。だがあくまで「これから」だ。現時点ではそうじゃない。
なのにサブ要素が始まると、周囲のキャバクラを支配する5人衆が登場する。そこまでキャバクラが広まってたら、さっきの説明と矛盾するだろ!!
客だってキャバクラに慣れきった連中ばかりが来る。嬢の雰囲気や格好もだ。このモードだけ20年近く未来でやってると言っても過言ではない。
本気で「バブルの水商売」をゲームに持ち込むなら、やはりキャバレーにすべきだった。繰り返すが、真島の設定は「キャバレー支配人」なのだから。
遊びとしては面白かったが、ここは「面白ければ何でもいい」ではないと思うのですよ名越さん。設定面では手抜きまくりでヒエヒエでした。はぁ。


サブを終えたら、舞台は再び本編へ(両方並行して進めたけど)。今作は本編も最後まで面白かったと言えるが、後になればやっぱ粗も出てきた。
立華不動産。日本の中心地であれだけの権勢を誇っていながら、神室町に出てきてまだ2年だとか。それで「情報」を駆使して成り上がったとか。
それまでは大阪で暴れてたただの愚連隊。あまりのリアリティのなさに顎外れたよ名越さん。せめて+10年は必要だろうに。最低でも、だ。
立華の部下、尾田。やってることが支離滅裂過ぎて、こいつだけは従来の龍が如くクオリティを強く感じさせたよ。雰囲気だけは一流なのに。
久瀬の兄貴。戦闘回数多すぎだよ。さすがに終盤は怖さも衰えたよ。「ミナミの帝王」ファンの俺は竹内の兄貴ともっと戦いたかったよ。
堂島宗平。初代ではすぐ死んだ分、今回は大親分として大々的に登場しているが、戦うわけではなく、貫禄があるわけでもなく、描写に失敗してるよ。
クズならクズでいいんだけど、だったらなんであんなに皆に敬われてるのかが分からんよ。どこに人を惹きつける魅力があるのか全く分からん親父だ。
風間新太郎。ムショ入り中で殆ど出番はないが、「風間のオヤッさんの筋書き」な展開ばかり。風間の筋書きが如く、だよ。笑えねーよ馬鹿野郎。
渡哲也が大御所だからか、偉人描写がキツすぎである。大体そんな偉いフィクサーならもっと綺麗に方を付けろよ。それじゃゲームにならん? ご尤も。

……まそんな感じで、話が進めば「龍が如くだなぁ……」と思うことも増えた。しかしそれでも、今作の物語はシリーズ最高傑作だったと言えよう。
盛り上がったし、閉じたし、初代への繋がりも最後に綺麗に描かれていた。桐生と真島があの格好を選んだ理由が分かったのはファンとして嬉しい。
……真島はともかく、あれだけ堂島組をグチャグチャにした桐生が復帰するのはやっぱ理解不能だが……残った連中、受け入れる気になれるか?
そもそも桐生が入るべきは風間組だと思うんだがなぁ。この「組内にある組(堂島組内の風間組等)」の仕組みは未だによう分からん。ムズムズする。
だがまぁこれは贅沢な要望のレベルか。ここから初代までのことはプレーヤーが妄想すればいい。一先ずバブルはここで終わったということで。
俺は知らんが、バブルを題材にした物語は世の中に数多くあるだろう。しかしゲームでは今作以外多分ない。それでいて今作はレベルが高い。
「バブル時代を描いたゲーム」としてまさに唯一無二の存在である。恐らく今後もそうなのではなかろうか。うーむ、素晴らしきかな龍が如く0。
この時代を題材に選び、それをこの品質にまで仕上げたことには万雷の拍手を送りたい。俺も仮想ながら「あの時代の大人の世界」を楽しめたよ。
現在の日本は円安と物価高が物凄く、あの頃とは全く違う感覚の時代に入っている。何よりも閉塞感がキツく、未来の見通しは暗いと言うしかない。
今作をプレーしてそれをより実感してしまったのは、良いことなのか悪いことなのか。何にせよ、進むしかないのだ。生きている限り。はぁ。

今作の主人公はもちろん桐生と真島だが、第三の主人公……いや「最も株を上げたサブキャラ」は、もう満場一致でこの男、錦山彰であろう。
錦山。桐生の親友として初代の序盤に登場、即座にえらいことをやらかし、桐生がそれを庇う。10年後、敵になった。なんで!?!?!?!?
いやまぁ敵になるのはいいんだが、そもそも「桐生の親友」としての立場が初代ではあまり見えなかったのよ。桐生自身も当然初登場だったんだし。
その辺は名越さんもよく分かっていたんだろう。だが錦山はもう死んでいる。これからの描写は不可能。彼の物語は終わってしまったのだ。
だが!! 過去ならどうか!? 初代の過去を描く今作では当然錦山も生きている。ここだ。錦山(と桐生の友情)を描写するのはここしかない!!
……で。それはもう、錦山が如くだった。桐生との熱き絆、若い故の半端さ、上の命令に逆らえない弱さ、しかしここ一番で男を見せる強さ……。
もうほんま、高感度爆上げである。今作をプレーして錦山を嫌いになった人はまずいまい。それくらい、錦山が魅力的に描かれていた。
錦お前、本当に親友だったんだな……だったら普通「カズマ」「アキラ」と名前で呼び合うべきだと思うが……お互いに名字呼びて……うーん。
桐生が良くも悪くも20歳なのに普段通り大人びてるから、錦山には余計若々しさを感じた。欲を言えば、二人で遊ぶシーンをもっと入れてほしかったな。
はー。しかし、彼の未来は決まっている。昔「ファイアーエムブレム 烈火の剣」をプレーした際、若きゼフィールとヘクトルにも同じことを感じたな。
描写としては文句なしの出来栄えだったが、今作は昔の話であり、未来は決まっているのである。現実の厳しさを教えてくれる、龍が如く0である。


ゲームをクリアすれば、次はもちろんトロコン道が如くである。俺ぁ龍が如くシリーズ全部トロコンしてっから。抜けなし、100%。んっふっふ。
龍トロは作業(苦痛)も多いが、それもあり達成感は毎度とても高い。総合的には良質トロと言っていいと思う。何よりゲーム自体が超面白いしな。
んで今作のトロは、維新から引き継いだ膨大な埋めネタ、各種ミニゲームのある程度の成績、成長要素……とまぁ分かり易い内容になっていた。
ただし龍が如くらしく、作業量は膨大にある。コツとしては序盤からそれを意識し動き回ることだ。俺は無論トロ前提で最初から色々と行動した。
つっても意識はしたようでしていない。どっちやねん。要は今作を隅々まで遊ぼうとすればいいのだ。それが自然とトロに繋がる。俺はそうした。
クソとしか言い様のないキャットファイトや、やってて気分が悪い金ばら撒き(バブルとは言え金を捨てるのは違うだろう)も我慢してやる。
ディスコやアウトランに苦戦するが練習して何度も再挑戦する。引き継ぎなしの2周目はネット見ながらストーリーを再度味わい進めていく。
気付いた時には、プラチナの勲章が光っていた。これなんだよなぁ。今回は概ね楽しくやれたからその意味でも満足度は高い。
トロの質もシリーズ史上最高……は言い過ぎか。龍がトロ道はまだまだ続く。幾ら集めてもすぐ渇く。満たされはしない。もっともっと、欲しい……っ!


ふー。評判通り、シリーズ最高傑作と言っていい出来栄えだった。物語面の質が上がると、龍が如くはここまでレベルが上がるのだのう。
……だがこれをそうそう望んではいけないことも分かる。今作はバブルが見せた奇跡だったのさ。それは言い過ぎやろ。いやそうかもしれんぞマジで。
ゲームという創作の中で、バブルという終わった時代を体験する……なんつーか二重にも三重にも架空の世界を歩いたという不思議な感じがした。
俺は所謂氷河期世代の人間(ただしこの言葉は嫌い、時代のせいにすんな派)なので、自己の体験はともかく景況感で「いい時代」は全く経験していない。
だからバブル期に生きていながらガキだったことで唸るほどの金に溺れる体験を出来なかったことには、緩い羨望の思いをずっと抱いていた。
今作をプレーし、その今更叶うわけもない願いを成就できた気がする。もちろんフィクションだから多分に誇張されていたが、寧ろそれで良かったんだよ。
下手に本物のバブルに触れてたら、俺の場合踊るどころか落ち込む気がする。あとガチでヤクザと関わってしまって(建築中の)かべのなかにいる、とか。
知らないで良かったんだよ。いやガキとして半端に知ってる、という具合が最高なのかもしれない。俺サイコー! ありがとうファミコンとジャンプ。
ともあれ、俺のバブルはこれで一区切りだ。これからは新たな時代、平成を……数十年飛ばして……令和6年を生きるとしよう。過去は過去、今は今。
桐生ちゃんらも律儀にシリーズとともに歳を食ってるしな。これ何気に非常に珍しい話だと思うんだよ。龍が如くで一番凄いとこかもしれん。
弾けて消えた時代をいくら懐かしんでも戻れない。死んだ人間が生き返らないのと同じように。生きてる俺らは歳を重ねて進んでいくしかない。
比類なく面白く毎度色んな形で現実を叩き込んでくれる龍が如くへのファン度をますます高めて終わり。もう龍が如くだけかもしれん。大袈裟でなく。
面白さに信頼を置けるゲームシリーズがある。こんな嬉しいことはないね。……でも、いつかシリーズやり尽くしたらどうなっちまうんかね。死ぬかね。
はぁ。






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