腐れゲー道

プレーしたゲームの感想文を、ダラダラと粘着質に綴ります。

ドラゴンクエスチョン

2023年09月03日 22時07分21秒 | SWITCHゲーム感想文
【ハード】Switch
【メーカー】ゲームミュージアム
【発売日】2021年7月21日
【定価】400円(税込)
【購入価格】100円(DL専売)
【プレー時間】5時間


俺ぁな、ガキの頃は神童と呼ばれてたんよ。ごめんうそ。でもまぁ「デキる子」的に讃えられたこと程度はある。誰でもそうだろうけど。
中でも珠算……そろばんに関しては才能があったのか、近所の珠算塾に入塾して以降、周囲よりかなり早いペースで昇級していった。
今もあるのか知らんが「伝票算」というものがあり、本来は当時の俺の年齢でやるべきじゃないのだが、特例的にやらされていた。
問題の伝票に書かれてる言葉の意味も分からんまま数字だけ見て計算していた。それでも結構いい成績を取れていた、と思う。
なんかの大会に連れて行かれ、優勝したこともある。「あれ、俺なんかやっちゃいました?」だったよマジで。自覚なかったもん。
今思えば、あれは神様がくれた最後の人生プレゼントだった。まそれはともかく、順調すぎた俺の珠算道に、やがて壁が立ち塞がった。
具体的には、1級。この壁が、結局最後まで破れなかった。「準1級」という紛い物は取れたんだけど、そこで力尽きた。
数回試験に挑んで、全部落ちた。そうなると不思議と今まで平然とやれていたレベルの問題にも徐々に躓きが増えていった。
「才能があった」は言いすぎだったごめん。俺はあの頃、一時的に覚醒していたのだ。そしてボーナスタイムは終わり、凡人に戻った。
順調だった頃はずんずん成長する自分が嬉しく、珠算が楽しかった。しかし1級の壁を知ってからはそれも徐々に消え、やがて霧散した。
小学校を5年辺りで珠算塾を止めてしまったのだった。けど今と違って挫折するだけ、頑張っただけ偉かったよ当時の俺。はぁ。

で、珠算からは足を洗ってしまったわけだが、それが無駄だったとは全く思っていない。寧ろ人生で一番役立っている習い事である。
具体的には、暗算だ。珠算はとにかく計算を、それも手を使って行うものだから、やっていれば自然に暗算能力が上がっていく。
その暗算の仕方も独特で、脳内にあるそろばんを弾いて計算する。やってない人には理解不能だろうが、やってる人は全員賛同確実。
俺も、当然現役時代より大幅に衰えたが、今でも二桁の掛け算くらいなら暗算でやれる。それ以上も不可能ではないが、精度が怪しい。
そしてこれは日常生活において非常に役立っている。「電卓があるからそんな能力不要」と言ってる阿呆はスマホを抱いて尊厳死しろ。
軽い計算を頭の中でやれることがどれほど有用か分からんのか。ちなみに仕事でも大いに役立ってるから金になってるとも言える。
ありがとうそろばん、である。ゲームでも、「脳トレ」等では当然大活躍する。シロートと比べてアドバンテージありすぎよ。
そんな俺に、挑戦的なゲームが立ちはだかった。「ドラゴンクエスチョン」である。……なにそれ? まぁSwitchの、安価ゲーさ。
購入理由はゲーム内容じゃなく、タイトルだった。だって明らかにドラクエをパロってるでしょ。それが結構面白く感じたのだ。
なのでパロ系RPGかなと思いきや、何とガチの計算ゲーだという。ほっほーう。それはそれで、なかなか面白そうではないか。
かつて珠算神童と呼ばれた(記憶改竄)この俺、今でも遊びの計算如きで遅れは取らぬ! じゃ開始。あの頃に帰りたい。褒められたい。


キショい栄光を懐かしむ昔語りを長々とやってしまったが、今作自体はシステムは簡素でボリュームも少ない値段相応のゲームだった。
主人公の大魔法使い少女「リン」が住む「サンスリア王国」に、魔物の軍団が来襲。国を愛するリンは防衛のために戦うことを決意。
後は延々と血腥い戦いを続けるのみ。イベントや物語進行的なものは何もなく、さすがにもうちょい作り込めやおいと思った。
ゲームとしては、画面下に城の城壁があり、そこにリン立っている。そして画面上部から魔物の軍団がゆっくり南下してくる。
魔物はどいつも体に数式を貼り付けている。……そういう世界なんだよ。言うまでもなく、この数式を解くのが今作のゲーム性だ。
数式の正解をきちんと入力できればリンから魔法が飛び、魔物にダメージを与える。間違ったり時間がかかって魔物が城壁に到達すると
魔物が城壁を攻撃し始め、そのダメージが一定に達すると敗北、ゲームオーバー。逆に魔物を全滅させると勝利となる。
魔物の来襲はウェーブ制(て言い方で良い?)で、どのステージも2ウェーブ以上ある。終盤は1ステージが長く、気合が必要。
難度は易普難の3段階あり、易であれば小学生でも楽しめると思う。俺珍しく難で行った。さすがにこの業界ではね。プライドあるんで。

では計算結果の入力はどうするのか? 画面の中央にドーンとテンキーが表示されているので、それで入力する。……風情? 知らんな。
しかし見た目はともかくこれの操作性がかなり悪く、単純に一個移動に1回入力する必要があるので、答えの桁が多い場合非常に忙しい。
ここは今作で一番大事な操作部分なのに、何も考えずただテンキーをポンと置くという手抜きっぷりだった。ハッキリ言ってガッカリだ。
敵は大量に迫ってくるが、どの敵を攻撃するか指定する必要はなく、目に入る計算の答えを入力すれば、自動で該当する敵に魔法が当たる。
ちなみに答えが被る敵が複数いれば、自動的に全部攻撃してくれる。答え一桁の序盤だとよく発生する気持ちの良い偶然だった。
一匹一匹攻撃していってもいいが、計算結果を保留し溜め込んでから一気に放つ「コンボ」の要素もある。その際はダメージ等が増える。
コンボは5体まで可能。どんどん計算し5体分の魔法を溜めてコンボを放つ……というのが今作の理想的な攻略だ。俺なら可能。フッフッフ。
もちろん保留中は攻撃が発動されないので、敵はどんどん迫ってくる。そのリスクはあるが、まぁ高難度でなければ大したことはない。
難度・易だと小学生の問題レベルなので、さすがにこれは誰でも解けるだろう。普にすれば、一般人には普通に歯応えが出てくると思う。

さて、後は只管問題を解いてステージをクリアしていくのみ。1ステージを突破すれば次のステージが開放されるというシステムだ。
……で、結局今作は面白いのか? まぁ計算の楽しさは普通にある。あるが……ゲーム性との絡め方は、残念ながら微妙というところだ。
とにかくやることが非常に単調なのよね。ほんまに計算していくだけだから。そういうゲームだからこれ、と言われればその通りなのだが。
放つ魔法は土氷火の3種類あるが、どれも大して変わらず、使い分けの楽しさがない。金を貯めて魔法の強化も可能だが、3段階で終わり。
リン自身に成長の要素はなく、ステージを進めてもイベントの類は一切なく、登場人物やらもリン以外にいない。敵側でさえも、だ。
元が超安価ゲーとはいえ、幾ら何でも彩りがなさすぎるゲームである。計算ゲームのアイデア一発で力尽きたのか? 多分そうだろう。
ステージは1~4までで1エリア、それが4エリアある。つまり計16ステージ。うち4つはボス戦。まぁ値段相応のボリュームである。うーむ。

強い敵だとHPが上がって一撃では倒せなくなったり、掲げる計算が難しくなったりする。足し引きも4つ繋がると結構間違えるからな。
ちなみに間違えても特にペナルティはなく、魔法が発生しないだけ。クリア評価が落ちて貰える金が減るが、まぁ気にしなくていいレベル。
敵の中では唯一「ドラキュラ」だったはず……が非常に厄介だった。ハッキリ言ってボスよりこいつらの方がずっと苦戦した。
何故って、こいつは掲げる問題を頻繁に差し替えしやがるのだ。そんなことをする敵はコイツだけ。それもかなり短い時間でクルクルと。
今作では正解を導いて入力しても即座に魔法が発動するわけではなく、実際にダメージを与えるまでには数秒程度のタイムラグがある。
なのでドラキュラが相手だと、正解魔法をブチ込んだつもりでも相手に当たる頃には問題が差し替えられていて、無効だったりするのだ。
あれはマジで無法な切り替えの速さだと思う。俺でもそう思うんだから、無茶な次元だよ。非常に理不尽で、やってて腹が立った。
一応、問題差し替えの5回に1回くらい、他より長く問題を放置していることがあるので、この時に速攻で解いてブッ殺すのが得策だろう。
奴がいるだけでステージの難度が3倍くらいになるのでほんま厄介だった。逆にそれ以外の敵は全然存在感がなかったのは何とも……ぬぅ。

エリア最後はボス戦で、これはタイマン。そして戦闘システムもボス戦のみのものになり、一風変わった計算戦を楽しめる。……と思う。
ボスは3つの計算式を攻撃として繰り出してくる。それを素早く暗算し「数字の大きい順にボタンを押」せば、ダメージを与えられる。
間違った順で押してしまうと失敗になり、こちらにダメージ。尚今作に回復手段はなく、高難度だと3回ミス程度でゲームオーバー。
かなり厳しそう……だが、実際は表示される問題の難度が低く、そんなに苦戦はしない。さすがにここはマジで高速計算が必須だからな。
完全に正解を出さなくても、例えば「10+9」「20+18」「15+41」が飛んできたら、答えの大きさ順は右中左だとパッと見て分かるはず。
そんな感じで十分勝てる。……雑魚戦も単調だったが、ボス戦は輪をかけて単調だったのは残念。ここだけの特別魔法とか用意しとけよ。
そうしてラスボスを倒せば、何と画面1枚のEDが入って了。「リンは見事ドラゴンを倒して王国に平和を取り戻したとさ」だけ。虚しい。
クリア後はオマケとして+-×÷特化の面を遊べるモード、あと「15?15=30」の符号を当てる遊び(この場合は+)モードが追加される。
……しかし別に面白くはなかった。符号当ては良いオマケだったが、全問正解しても何もないし。とことん低予算ゲーだったなぁ……。


ふぅ。タイトル買いしたが特にドラクエオマージュはなく、期待した計算ゲー要素は薄く、彩りもなく、何かもう一つなゲームだった。
けど何度も言うが今作は低価格ゲー、定価でも400円だ。それなら十分かもしれない。俺が本来思う100円ゲーはこういうものなのだろう。
今作を起動すると、「このゲームを3人の娘(名前も表示される)に捧げる」と表示される。……「バトルプリンセスマデリーン」みたい!
つまり最初から娘たちのためにだけ作ったゲームであり、一般売りは想定していなかったのかもしれない。誰かが介入して結局売ったけど。
それならまぁ納得出来るかな。いやダメだろ、理由はともかく世間に、世界に売ったんだから。そこは平等に商業ゲームとして見ないと。
いいよ数時間遊べたから。それでいい。100円ゲーに多くを求めるな。「こういうものもある」と学べただけでも収穫はあったさ。
星の数ほど現存し、今後さらに他次元の数ほど生まれてくるインディーズゲーは、基本宣伝がないため、話題作でなければまず埋もれる。
今作もぶっちゃけ界隈でも底の底のタイトルだろう。それとタイトルやら計算ネタやらで出会えた、オッケー。それで締めておこう。
自分の計算能力に自惚れることも出来たしね。躊躇いなく最高難度を選んでそれを楽しめるなんて滅多にないよ。フフン。えへへへへ。
比類なき役立ち習い事No.1(当社比)・そろばんを頑張った若き日の自分を称えて終わり。そんなことがあった。そんな頃があったんだ。


……で。ここまで散々自慢してきたマイ暗算能力だが……今回改めて、衰えを痛感しました。全然あかん。3桁の足し算くらいもっとさぁ。
まぁ衰え自体はそれこそ辞めた時から感じていたが、ほんま見る影もないわ。当然だけどね。あれからどれだけ経ってるんだっていう。
ここでなら威張れる(誰にだよ)と思って乗り込んだフィールドで、逆に衰えを痛感。こりゃー惨めだね。惨めにも程があるね。
そしてこの傾向は加速する。アクションでもRPGでも。ただの遊びを遊び以上に捉えてきたことのツケを今後どんどん払わされるのだ。
物凄く憂鬱だねぇ。いやそんな大袈裟な話か? 年取れば衰えるのは人間当たり前なんだから、年相応に受け止めて遊び続ければいいやん。
そうだね。全くその通りだね。でもね。どうしてもね。幻影がね。過去のね。楽しかった頃のね。褒められた時のね。ファンタジーがね!!
はぁ……。





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2 コメント

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Unknown (ミッチェル)
2023-09-04 14:50:32
こんにちは。
いわゆる教育ゲーですね。DSの頃に溢れかえって私もやらされましたが、どこがどう面白いのかは当時よく分からなかったです。(剣だ魔法だ言うても結局やらされるのは漢字の書き取りや計算だし)
クリアおめでとうございます。そろばんを習っていたんですね。今の時代はあるんですかね?計算なんかはしょっちゅう使うだろうし腐らないと思うのでまた評価してもらいたいものです。
「ドラキュラ」の仕様は私なら間違いなくキレてます笑なんかもっとこう楽しくなるような工夫にしてくれればいいのですが、変にイライラさせるだけの工夫で「ほら、どう?新鮮でしょ?難しいでしょ?」みたいにやられると大きな声で叫びたくなります笑
今回の記事も面白かったです。過去の記事も読み直しています。ありがとうございます。
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Unknown (ota)
2023-09-05 01:29:26
ミッチェルさん、こんばんは。

>いわゆる教育ゲーですね。DSの頃に溢れかえって私もやらされましたが、
DSの脳トレヒット後は市場に溢れかえってましたね~w ゲーム業界史上でも有数の二番煎じ大量出現期でした。
今作も正直その頃のレベルのゲームというか、寧ろそれ以下かもしれません。計算のゲーム化はまだ掘る所があると思うのですが……。
そろばんは数字に慣れ親しむのに最適の習い事でした。あれだけはやって良かったと思います。
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