【ハード】PS3
【メーカー】コーエー(発売当時)
【発売日】2009年5月28日
【定価】5040円
【購入価格】110円(中古)
【プレー時間】30時間
俺は無双が好きである。かなり好きと言っていい。ふと「無双がしたいな」と思うことも多い。……夢想じゃなくて。それはもうやり過ぎて飽きた。
世の中から随分遅れて「ガンダム無双」より入り、以後北斗、ドラクエ、ゼルダ、ワンピースと主にコラボ系の無双を多数楽しんできた。
一方で放置していた本家にも「真・三國無双5」にて突入。……5はシリーズではかなり異色の作品だと後で知ったが、それでもかなり面白く遊べた。
ずっとコンプレックスだった(アホか)「三国無双をやったことない」を解消出来たことも俺の中では大きかった。……では、次はどうする?
実はこれは5をやった時点で決めていた。そらそうだろう。選択肢はこれしかない。「真・三國無双5 Empires」である。5の外伝的タイトルである。
俺は、それこそ20年以上ずっと疑問を抱いていたのだ。「無双がどういうゲームかは分かるけど、エンパって何なの? どういうゲームなの?」と。
本編は無双、明快。「猛将伝」はシナリオとキャラを追加したアペンド作、これも明瞭。だがエンパの内容がよく分からない。想像が出来ない。
「無双にコーエーお得意のシミュレーション要素を足したゲーム」とどこかで見たが……そんな強引というか豪華なことが、本当に出来るのか?
この疑問だらけのエンパイアーズ、謎を解くにはやってみるしかない。ある意味では本編より待望していた機会だ。割とワクワクし、プレー開始。
ちなみに本編からのセーブデータ引き継ぎ等はない。それもあって今作はPS3版にした。今作はPS3版でもトロフィーあるしね。ここ非常に重要。はぁ。
ぬぅ。「無双のアクションとコーエーお得意のSLGを組み合わせたゲーム」……これをそのまま想像すると、非常に高度なものになる。
エンパは基本的に本編の流用で作る外伝作なはず。それが本編以上に凝ったゲームになるものなのか? それが可能なら本編でやってるのでは?
……といった俺の疑念は、やっぱ正しかった。そんな凝ったゲームを外伝作で作れるわけがない。エンパは、ぶっちゃけ、大したことなかった。
大したことないは失礼かな。「SLG要素が大したことない」としよう。……これでも失礼か。けどまぁ、少なくとも深い思考なんて全く要らんよ。
今作は、エンパとは実際どういうゲームなのか? まず無双本編では魏呉蜀の3勢力があり、天下の覇権を争っているという世界設定があった。
そしてそのどこかに所属するキャラを使い、天下統一を目指すシナリオを進めるというのが基本だ。呂布ら独立勢力もあるけど、これは例外。
で、エンパではというと……3勢力に属することも可能ではあるが、別に必須ではない。自ら勢力を立ち上げることが可能だったりするのだ。
そこからは史実を殴りながら「自分だけの天下統一史」を作っていく。細かく分けられたエリアを一つずつ支配下に治め、領土を広げていく。
どこの攻め入るか、誰と手を結ぶかといったところに一応戦略性があるから、これがSLG要素なのだろう。だが実際のところ、その辺は殆ど関係ない。
隣の領土をどうやって手に入れるか? 言うまでもなく無双戦だ。ここは普通に無双であり、今作でも結局は一番重要なのは戦闘部分である。
戦闘で勝てるならSLGなどテキトーで全く問題ない。非常に緩いゲームであった。……これでええんかと思うほどに。正直、大きく期待外れだった。
まぁそんな本格的で良いものなら、外伝じゃなく本編でやるのが筋だしな。今作はあくまで無双本編の素材を使ったSLG要素ありゲー、である。
長年正体不明だったエンパの実態を知れたことは嬉しかったが、同時に現実を知って悲しかった。夢のゲーム、やってみれば現実そのもの。はぁ。
今作のSLG要素なんてオマケのようなもので、ハッキリ言って面白くもない。では今作の、エンパの売りとは何なのか!? それはあれだ、自由度だ。
ゲームの自由度というか、歴史の自由度だな。さっきも書いたが、今作では3勢力に加担することはもちろん、自ら旗揚げして新勢力にもなれる。
そこからの天下統一方針も自由。先にどこを滅ぼすか、好きに決めていい。史実? これゲームなんで。概要だけ貸して頂ければいいんですあはは。
なのでまず、選べる主人公キャラが非常に多い。3勢力の有名人に限る必要がないからだ。恐らく三国志に登場したキャラは軒並み登場させている。
とにかく物凄い数のキャラから主人公を選べる。……名前が読めないから俺は最後までテキトーに選んだ自分のキャラの名を覚えられなかったが。
またキャラ数は物凄いけど、一人ひとりに顔やセリフが用意されているわけではなく、流用の嵐。本編5に出てきたモブキャラの流用ばかりだった。
濃い三国志ファンが「こいついるの!? 使えるの!?」とテンション上がっても、流用でガッカリ……になりかねない。その辺は期待しちゃいかん。
ただ「どのキャラでも天下を取れる」のは間違いない。その意味では非常に夢があるゲームだ。自分なりの三国志イフを持つ人にはたまらんだろう。
そうした自由度を実現した代わりに、ゲームはとにかくテキトー、ふわふわしている。何も考えず隣り合う領地に戦争しかけていれば事足りる。
他勢力からの寝返り要請や異性キャラとの結婚といったイベントも一応あるが、全部共通イベントで、キャラ個別に用意されているものは多分ない。
そこはあれだ、妄想で補うのだ。薄い代わりにとにかく自由な今作は、三国志好きの妄想力を試されるゲームである。……俺は当然無理だったが。
その自由さは強烈で、例えば関羽を選んで即在野(独立勢力)に下り、劉備に戦争しかけるなんてことも可能。その後劉備を配下に加えることも。
そう、今作には「在野に下る」という超無責任なコマンドも存在する。つまり「や~めた!」とチームから抜けるのだ。一人で勝手に。幹部が。
なので劉備(蜀の大将)として開始し、即座に在野に下りて、呉国に士官するなんてことも可能。その後は蜀に戦争仕掛けるんだよ当たり前だろ!!
無茶苦茶である。出鱈目としか言い様がない。しかしその全てが今作では可能。もちろん細かい描写まではないが、そこは妄想で補うのが正しい姿。
……出鱈目が過ぎて最早三国志の体を成してない気がするが、よう分からん。まぁファンタジー三国志たる無双だから許せるイフゲーなのだろう。
無双部分については、「いつもの無双」である。これは「本編5とは違う」とも言える。あの特徴的な連舞システムにかなり手が加えられていた。
「面白いけど超絶説明不足」だった無双5はかなりユーザーに評判が悪かったらしい。なので5エンパは何も考えずにやれる従来無双に近い、と思う。
具体的には小攻撃・大攻撃・無双乱舞のアレだな。本編はもちろん、コラボ無双でも採用している、極めて標準的な伝統的システムである。
細かく言えば違うのだが、そこまで意識しなくてもいい。緩いゲームなので。武器強化やスキルもテキトーにやっていてもさほど問題はない。
俺自身は従来無双も好きだから別に問題はない。本編5のシステムを捨てちまうのは惜しいと思うが、そこはコエテクの判断なのだからしゃーないな。
無双自体の難度はいつも通りな感じだし、難度変更も自由に可能。俺はいつも通り普通で始めたが、手応えを求めて途中から「難しい」で通した。
苦戦することは殆どないが、能力や兵士数といったパラメータをちゃんと育てないと敵が鬼のように固くなり、時間制限的に厳しくなる。
今作は敵兵がどんどん追加されるので、適度に減らせるだけの能力がないと、延々拠点制圧が出来ずにゲームが進まなくなってしまう。
また無双の常として味方は何の役にも立たないので、今作でもあっちこっちへ右往左往縦横無尽の活躍をしないと勝利は覚束ない。
……総大将が戦場の全方位に走り回って敵を殲滅していく……ほんま、改めて考えるとどんだけ狂ったゲームなんだ。無双が大好きである。
ゲームの難度は低いが、育成はやっておかなければならない。まぁこれくらいは当然だな。つっても意識するほど稼ぎが必要なわけではないが。
本編5にはなかった要素として、「兵站線」というものがあり、自軍本陣から敵の本陣まで、エリアが線上に繋がっていないとボスが出現しない。
なので開始直後に敵本陣に特攻するという超脳筋プレーは不可能となっている。これはまぁ理に適ってるとは思ったが、やや面倒臭いとも思った。
SLG部分と違い、無双部分は「普通に面白かった」から特に文句はない。なんだかんだで無双は楽しい。続編塗れになったことも頷けるというものだ。
ゲームの目的は、隣地の占領を延々と続け、最終的に全領土を手にすることである。つまり天下統一。……なのか? 三国志の用語はよく知らない。
一応シナリオとして「黄巾の乱」「官渡の戦い」等が用意されているが、やることも登場キャラも殆ど同じだから俺には違いが分からなかった。
プレーは1ヶ月単位で、やりようによっては10年とか平気で経過するが、キャラの見た目が変わったりはもちろんしない。緩くてテキトーなのである。
天下統一後にはEDムービーが用意されているが、キャラを差し替えただけの共通ムービーで、最後までテキトーであった。しゃーない、予算内だ。
ここで面白いのが、「最終的に天下を取ればいい」は、正確に言うと「天下を取る勢力に属していればいい」であることだ。自分でやる必要はない。
そう、今作では遂に「人任せ無双」が可能なのだ!! 王とは手じゃなくアゴを動かすものだ!!! ……ま、戦場では従来通り一人百役だが。
どういうことか? 今作では毎月のように隣地に戦争を吹っ掛けまくるわけだが、実は放置も可能。攻め込まず様子を見て時間を進められる。
そして大陸には自軍以外の3勢力もあり、それぞれが争っている。彼らの勢力争いも同時に進行していくわけだ。で、それを放置にて傍観し続ける。
すると段々情勢が固まってきて、やがて勝ち勢力が台頭する。遂には「1領地持ちの俺VS残る領地全部持ちの他勢力」という絶体絶命状況になる。
そこで、システムを発動する。「在野に下りる」である。放置の果に大ピンチに陥ったら、大将がさっさと国を捨てるのだ。腐れ外道にも程がある。
更に、今作では在野に下りた後、どこかの勢力に士官することが可能。つまり? ……そう、他の領地全部持ちに士官するのだ。断られることはない。
そしたらあら不思議、さっきまでと逆で、【残り1領地の雑魚軍VS他の領地全部持ちの俺の(属する)勢力】となる。物凄いゲームだ。震える。
後は簡単、残った1領地に戦争を仕掛けて勝てば天下統一完了である。マジでこれが可能なのよ。それどころか一番効率の良い攻略法だったりする。
……しかし延々放置するのはさすがにつまらんし、細かいイベントを飛ばし続けるのも面倒だ。なのでお手軽ではあるが1回やって飽きてしまった。
やはり天下は自力で取ってこそでしょう。まぁ面白かったけどね、放置裏切り攻略。今作、地味に狂気ゲーだよ。頭おかしなるで、素で。
一つのシナリオをクリアすれば、ある程度能力を引き継いだ状態で別のシナリオを始められる。そして同じことを繰り返せば、コンプも簡単。
今作はトロフィーも非常に簡単で、全シナリオ制覇と全キャラ使用(1マップやるだけでいい)をすればほぼ完了。トロコンもほぼ同時にやれた。
……うーむ、なんて楽なゲームだ。まぁいい加減に進めすぎて兵力が激減すると、戦闘難度が一気に上昇してしんどくなったりもしたが、その程度だ。
真面目にプレーしていれば殆ど負ける要素がない。そもそも負けても再起可能だしな。難度設定を上げれば歯応えが出るが、その必要性がない。
本編5は最高難度絡みの実績もあり、結構苦労したもんだ。ラストの英傑大集合(敵として)はマジで手が震えるくらい緊張したのを覚えている。
無双は爽快感がある一方、味方の無能さから来る強い煩わしさがあり、また高難度モードでは他ゲーに引けを取らないレベルの難しさもある。
無双を知らん奴は総じて【無双=頭空っぽでやる草刈り】と思い込んでるから話にならん。……実は自分も昔はちょっと思ってましたごめんなさい!!
無双高難度モードで敵に瞬殺される怖さは強烈だよ。「あっ」と言う間に体力ゲージがガン減りし、ゲームオーバー。そして全ては最初から。
まぁ中途セーブしまくればそうでもないんだが、そこは愛嬌。……けど今作にそういうのは皆無。トロ条件にないから上げる理由が何もなかった。
無双の爽快感は普通にあったが、なんだか平坦だったという印象だ。淡々無双。SLG部分は平坦である一方、狂気はビンビンだったのになぁ。
グラフィックや音楽は概ね本編5の流用、なのかな? 見覚え・聞き覚えのあるものばかりで新鮮味はない。低予算流用ゲーここにあり、である。
そういや「エディットモード」が搭載されていて、自分で顔や体型を決めたオリジナル武将を戦わせることが出来る。……全っ然魅了を感じない。
知ってるキャラを触って楽しむのが三国志じゃないんかよ。そこにオリキャラ登場させてどうする。……いや、三国志ファンは実はこれやりたいのか?
まぁ他ゲーであってもキャラメイクが嫌いな俺にこんなのが響くわけはなかった。オリキャラは100人も保存できるらしい!! ……要らなすぎる。
三国志愛の強い人なら、オリキャラとオリ展開を好き放題やりまくれる神ゲーになったのだろうか。……それはさすがに訴求対象が狭すぎる気がする。
特に三国志に思い入れがない俺には、無双部分が普通に面白いだけの緩ゲー、悪く言えばテキトーゲーだった。ババゲーでないだけマシ、かなぁ……?
ふぅ。感触はもう一つ……いやふたつ……三つ……くらいだったが、20年来の謎だった「無双エンパとは?」を体験にて知れたからよしとしよう。
無論、全てのエンパがこうではないだろう。無双本編も似てるようで各タイトルで色々と違う。当たり前だな。ゲーム業界はそんな甘くないよ。
で、次は当然「真三國無双6」になる。既に(中古投げ売りで)確保している。それも本編・猛将伝・エンパと3本とも!! うほー。
またしても俺のPS3が唸りをあげる時が来るのか……最高だな。6はPS3円熟期の作品、色々と品質が上がっていると想像出来る。楽しみだ。
三国だけでなく、ワンピースの2やドラクエ無双2、アルスラーンにガンダムにオロチにスターズまで持ってる。やりたい無双てんこ盛りで大変だ。
更に言えば、この前勢いで「戦国BASARA」を大量購入してしまった。う、裏切り者じゃぁあ!!! ごめんな。でも俺はこの道で天下を取るんだ。
今作の感触は悪かったのに、無双のイメージは全然落ちてない。寧ろ俺無双好きだなぁと再認識できた。こんないいもんやらない手はないだろう。
そんなシリーズの未プレー作がまだたんまり手持ちにある……たまらんね。頭空っぽ草刈りゲーが面白い。文句ある? だからそれは言うなって。
比類かなりあるけどどれも面白いからオッケー気味な無双シリーズを好きになって終わり。ゲーム倦怠期? 無双をやれ。北方謙三さんが言ってたよ。
……ただ、近年の無双は……勢いが、完全に……なぁ。この非常事態に、ファンを公言しながら中古旧作でキャッキャしてる男の人って……。
まぁ実際ロクでもないと思う。けど俺のゲー道こんなもんさ。……コエテクがNINJA GAIDEN新作を出さないことへの意趣返しじゃい! アホか。はぁ。
拍手を送る
【メーカー】コーエー(発売当時)
【発売日】2009年5月28日
【定価】5040円
【購入価格】110円(中古)
【プレー時間】30時間
俺は無双が好きである。かなり好きと言っていい。ふと「無双がしたいな」と思うことも多い。……夢想じゃなくて。それはもうやり過ぎて飽きた。
世の中から随分遅れて「ガンダム無双」より入り、以後北斗、ドラクエ、ゼルダ、ワンピースと主にコラボ系の無双を多数楽しんできた。
一方で放置していた本家にも「真・三國無双5」にて突入。……5はシリーズではかなり異色の作品だと後で知ったが、それでもかなり面白く遊べた。
ずっとコンプレックスだった(アホか)「三国無双をやったことない」を解消出来たことも俺の中では大きかった。……では、次はどうする?
実はこれは5をやった時点で決めていた。そらそうだろう。選択肢はこれしかない。「真・三國無双5 Empires」である。5の外伝的タイトルである。
俺は、それこそ20年以上ずっと疑問を抱いていたのだ。「無双がどういうゲームかは分かるけど、エンパって何なの? どういうゲームなの?」と。
本編は無双、明快。「猛将伝」はシナリオとキャラを追加したアペンド作、これも明瞭。だがエンパの内容がよく分からない。想像が出来ない。
「無双にコーエーお得意のシミュレーション要素を足したゲーム」とどこかで見たが……そんな強引というか豪華なことが、本当に出来るのか?
この疑問だらけのエンパイアーズ、謎を解くにはやってみるしかない。ある意味では本編より待望していた機会だ。割とワクワクし、プレー開始。
ちなみに本編からのセーブデータ引き継ぎ等はない。それもあって今作はPS3版にした。今作はPS3版でもトロフィーあるしね。ここ非常に重要。はぁ。
ぬぅ。「無双のアクションとコーエーお得意のSLGを組み合わせたゲーム」……これをそのまま想像すると、非常に高度なものになる。
エンパは基本的に本編の流用で作る外伝作なはず。それが本編以上に凝ったゲームになるものなのか? それが可能なら本編でやってるのでは?
……といった俺の疑念は、やっぱ正しかった。そんな凝ったゲームを外伝作で作れるわけがない。エンパは、ぶっちゃけ、大したことなかった。
大したことないは失礼かな。「SLG要素が大したことない」としよう。……これでも失礼か。けどまぁ、少なくとも深い思考なんて全く要らんよ。
今作は、エンパとは実際どういうゲームなのか? まず無双本編では魏呉蜀の3勢力があり、天下の覇権を争っているという世界設定があった。
そしてそのどこかに所属するキャラを使い、天下統一を目指すシナリオを進めるというのが基本だ。呂布ら独立勢力もあるけど、これは例外。
で、エンパではというと……3勢力に属することも可能ではあるが、別に必須ではない。自ら勢力を立ち上げることが可能だったりするのだ。
そこからは史実を殴りながら「自分だけの天下統一史」を作っていく。細かく分けられたエリアを一つずつ支配下に治め、領土を広げていく。
どこの攻め入るか、誰と手を結ぶかといったところに一応戦略性があるから、これがSLG要素なのだろう。だが実際のところ、その辺は殆ど関係ない。
隣の領土をどうやって手に入れるか? 言うまでもなく無双戦だ。ここは普通に無双であり、今作でも結局は一番重要なのは戦闘部分である。
戦闘で勝てるならSLGなどテキトーで全く問題ない。非常に緩いゲームであった。……これでええんかと思うほどに。正直、大きく期待外れだった。
まぁそんな本格的で良いものなら、外伝じゃなく本編でやるのが筋だしな。今作はあくまで無双本編の素材を使ったSLG要素ありゲー、である。
長年正体不明だったエンパの実態を知れたことは嬉しかったが、同時に現実を知って悲しかった。夢のゲーム、やってみれば現実そのもの。はぁ。
今作のSLG要素なんてオマケのようなもので、ハッキリ言って面白くもない。では今作の、エンパの売りとは何なのか!? それはあれだ、自由度だ。
ゲームの自由度というか、歴史の自由度だな。さっきも書いたが、今作では3勢力に加担することはもちろん、自ら旗揚げして新勢力にもなれる。
そこからの天下統一方針も自由。先にどこを滅ぼすか、好きに決めていい。史実? これゲームなんで。概要だけ貸して頂ければいいんですあはは。
なのでまず、選べる主人公キャラが非常に多い。3勢力の有名人に限る必要がないからだ。恐らく三国志に登場したキャラは軒並み登場させている。
とにかく物凄い数のキャラから主人公を選べる。……名前が読めないから俺は最後までテキトーに選んだ自分のキャラの名を覚えられなかったが。
またキャラ数は物凄いけど、一人ひとりに顔やセリフが用意されているわけではなく、流用の嵐。本編5に出てきたモブキャラの流用ばかりだった。
濃い三国志ファンが「こいついるの!? 使えるの!?」とテンション上がっても、流用でガッカリ……になりかねない。その辺は期待しちゃいかん。
ただ「どのキャラでも天下を取れる」のは間違いない。その意味では非常に夢があるゲームだ。自分なりの三国志イフを持つ人にはたまらんだろう。
そうした自由度を実現した代わりに、ゲームはとにかくテキトー、ふわふわしている。何も考えず隣り合う領地に戦争しかけていれば事足りる。
他勢力からの寝返り要請や異性キャラとの結婚といったイベントも一応あるが、全部共通イベントで、キャラ個別に用意されているものは多分ない。
そこはあれだ、妄想で補うのだ。薄い代わりにとにかく自由な今作は、三国志好きの妄想力を試されるゲームである。……俺は当然無理だったが。
その自由さは強烈で、例えば関羽を選んで即在野(独立勢力)に下り、劉備に戦争しかけるなんてことも可能。その後劉備を配下に加えることも。
そう、今作には「在野に下る」という超無責任なコマンドも存在する。つまり「や~めた!」とチームから抜けるのだ。一人で勝手に。幹部が。
なので劉備(蜀の大将)として開始し、即座に在野に下りて、呉国に士官するなんてことも可能。その後は蜀に戦争仕掛けるんだよ当たり前だろ!!
無茶苦茶である。出鱈目としか言い様がない。しかしその全てが今作では可能。もちろん細かい描写まではないが、そこは妄想で補うのが正しい姿。
……出鱈目が過ぎて最早三国志の体を成してない気がするが、よう分からん。まぁファンタジー三国志たる無双だから許せるイフゲーなのだろう。
無双部分については、「いつもの無双」である。これは「本編5とは違う」とも言える。あの特徴的な連舞システムにかなり手が加えられていた。
「面白いけど超絶説明不足」だった無双5はかなりユーザーに評判が悪かったらしい。なので5エンパは何も考えずにやれる従来無双に近い、と思う。
具体的には小攻撃・大攻撃・無双乱舞のアレだな。本編はもちろん、コラボ無双でも採用している、極めて標準的な伝統的システムである。
細かく言えば違うのだが、そこまで意識しなくてもいい。緩いゲームなので。武器強化やスキルもテキトーにやっていてもさほど問題はない。
俺自身は従来無双も好きだから別に問題はない。本編5のシステムを捨てちまうのは惜しいと思うが、そこはコエテクの判断なのだからしゃーないな。
無双自体の難度はいつも通りな感じだし、難度変更も自由に可能。俺はいつも通り普通で始めたが、手応えを求めて途中から「難しい」で通した。
苦戦することは殆どないが、能力や兵士数といったパラメータをちゃんと育てないと敵が鬼のように固くなり、時間制限的に厳しくなる。
今作は敵兵がどんどん追加されるので、適度に減らせるだけの能力がないと、延々拠点制圧が出来ずにゲームが進まなくなってしまう。
また無双の常として味方は何の役にも立たないので、今作でもあっちこっちへ右往左往縦横無尽の活躍をしないと勝利は覚束ない。
……総大将が戦場の全方位に走り回って敵を殲滅していく……ほんま、改めて考えるとどんだけ狂ったゲームなんだ。無双が大好きである。
ゲームの難度は低いが、育成はやっておかなければならない。まぁこれくらいは当然だな。つっても意識するほど稼ぎが必要なわけではないが。
本編5にはなかった要素として、「兵站線」というものがあり、自軍本陣から敵の本陣まで、エリアが線上に繋がっていないとボスが出現しない。
なので開始直後に敵本陣に特攻するという超脳筋プレーは不可能となっている。これはまぁ理に適ってるとは思ったが、やや面倒臭いとも思った。
SLG部分と違い、無双部分は「普通に面白かった」から特に文句はない。なんだかんだで無双は楽しい。続編塗れになったことも頷けるというものだ。
ゲームの目的は、隣地の占領を延々と続け、最終的に全領土を手にすることである。つまり天下統一。……なのか? 三国志の用語はよく知らない。
一応シナリオとして「黄巾の乱」「官渡の戦い」等が用意されているが、やることも登場キャラも殆ど同じだから俺には違いが分からなかった。
プレーは1ヶ月単位で、やりようによっては10年とか平気で経過するが、キャラの見た目が変わったりはもちろんしない。緩くてテキトーなのである。
天下統一後にはEDムービーが用意されているが、キャラを差し替えただけの共通ムービーで、最後までテキトーであった。しゃーない、予算内だ。
ここで面白いのが、「最終的に天下を取ればいい」は、正確に言うと「天下を取る勢力に属していればいい」であることだ。自分でやる必要はない。
そう、今作では遂に「人任せ無双」が可能なのだ!! 王とは手じゃなくアゴを動かすものだ!!! ……ま、戦場では従来通り一人百役だが。
どういうことか? 今作では毎月のように隣地に戦争を吹っ掛けまくるわけだが、実は放置も可能。攻め込まず様子を見て時間を進められる。
そして大陸には自軍以外の3勢力もあり、それぞれが争っている。彼らの勢力争いも同時に進行していくわけだ。で、それを放置にて傍観し続ける。
すると段々情勢が固まってきて、やがて勝ち勢力が台頭する。遂には「1領地持ちの俺VS残る領地全部持ちの他勢力」という絶体絶命状況になる。
そこで、システムを発動する。「在野に下りる」である。放置の果に大ピンチに陥ったら、大将がさっさと国を捨てるのだ。腐れ外道にも程がある。
更に、今作では在野に下りた後、どこかの勢力に士官することが可能。つまり? ……そう、他の領地全部持ちに士官するのだ。断られることはない。
そしたらあら不思議、さっきまでと逆で、【残り1領地の雑魚軍VS他の領地全部持ちの俺の(属する)勢力】となる。物凄いゲームだ。震える。
後は簡単、残った1領地に戦争を仕掛けて勝てば天下統一完了である。マジでこれが可能なのよ。それどころか一番効率の良い攻略法だったりする。
……しかし延々放置するのはさすがにつまらんし、細かいイベントを飛ばし続けるのも面倒だ。なのでお手軽ではあるが1回やって飽きてしまった。
やはり天下は自力で取ってこそでしょう。まぁ面白かったけどね、放置裏切り攻略。今作、地味に狂気ゲーだよ。頭おかしなるで、素で。
一つのシナリオをクリアすれば、ある程度能力を引き継いだ状態で別のシナリオを始められる。そして同じことを繰り返せば、コンプも簡単。
今作はトロフィーも非常に簡単で、全シナリオ制覇と全キャラ使用(1マップやるだけでいい)をすればほぼ完了。トロコンもほぼ同時にやれた。
……うーむ、なんて楽なゲームだ。まぁいい加減に進めすぎて兵力が激減すると、戦闘難度が一気に上昇してしんどくなったりもしたが、その程度だ。
真面目にプレーしていれば殆ど負ける要素がない。そもそも負けても再起可能だしな。難度設定を上げれば歯応えが出るが、その必要性がない。
本編5は最高難度絡みの実績もあり、結構苦労したもんだ。ラストの英傑大集合(敵として)はマジで手が震えるくらい緊張したのを覚えている。
無双は爽快感がある一方、味方の無能さから来る強い煩わしさがあり、また高難度モードでは他ゲーに引けを取らないレベルの難しさもある。
無双を知らん奴は総じて【無双=頭空っぽでやる草刈り】と思い込んでるから話にならん。……実は自分も昔はちょっと思ってましたごめんなさい!!
無双高難度モードで敵に瞬殺される怖さは強烈だよ。「あっ」と言う間に体力ゲージがガン減りし、ゲームオーバー。そして全ては最初から。
まぁ中途セーブしまくればそうでもないんだが、そこは愛嬌。……けど今作にそういうのは皆無。トロ条件にないから上げる理由が何もなかった。
無双の爽快感は普通にあったが、なんだか平坦だったという印象だ。淡々無双。SLG部分は平坦である一方、狂気はビンビンだったのになぁ。
グラフィックや音楽は概ね本編5の流用、なのかな? 見覚え・聞き覚えのあるものばかりで新鮮味はない。低予算流用ゲーここにあり、である。
そういや「エディットモード」が搭載されていて、自分で顔や体型を決めたオリジナル武将を戦わせることが出来る。……全っ然魅了を感じない。
知ってるキャラを触って楽しむのが三国志じゃないんかよ。そこにオリキャラ登場させてどうする。……いや、三国志ファンは実はこれやりたいのか?
まぁ他ゲーであってもキャラメイクが嫌いな俺にこんなのが響くわけはなかった。オリキャラは100人も保存できるらしい!! ……要らなすぎる。
三国志愛の強い人なら、オリキャラとオリ展開を好き放題やりまくれる神ゲーになったのだろうか。……それはさすがに訴求対象が狭すぎる気がする。
特に三国志に思い入れがない俺には、無双部分が普通に面白いだけの緩ゲー、悪く言えばテキトーゲーだった。ババゲーでないだけマシ、かなぁ……?
ふぅ。感触はもう一つ……いやふたつ……三つ……くらいだったが、20年来の謎だった「無双エンパとは?」を体験にて知れたからよしとしよう。
無論、全てのエンパがこうではないだろう。無双本編も似てるようで各タイトルで色々と違う。当たり前だな。ゲーム業界はそんな甘くないよ。
で、次は当然「真三國無双6」になる。既に(中古投げ売りで)確保している。それも本編・猛将伝・エンパと3本とも!! うほー。
またしても俺のPS3が唸りをあげる時が来るのか……最高だな。6はPS3円熟期の作品、色々と品質が上がっていると想像出来る。楽しみだ。
三国だけでなく、ワンピースの2やドラクエ無双2、アルスラーンにガンダムにオロチにスターズまで持ってる。やりたい無双てんこ盛りで大変だ。
更に言えば、この前勢いで「戦国BASARA」を大量購入してしまった。う、裏切り者じゃぁあ!!! ごめんな。でも俺はこの道で天下を取るんだ。
今作の感触は悪かったのに、無双のイメージは全然落ちてない。寧ろ俺無双好きだなぁと再認識できた。こんないいもんやらない手はないだろう。
そんなシリーズの未プレー作がまだたんまり手持ちにある……たまらんね。頭空っぽ草刈りゲーが面白い。文句ある? だからそれは言うなって。
比類かなりあるけどどれも面白いからオッケー気味な無双シリーズを好きになって終わり。ゲーム倦怠期? 無双をやれ。北方謙三さんが言ってたよ。
……ただ、近年の無双は……勢いが、完全に……なぁ。この非常事態に、ファンを公言しながら中古旧作でキャッキャしてる男の人って……。
まぁ実際ロクでもないと思う。けど俺のゲー道こんなもんさ。……コエテクがNINJA GAIDEN新作を出さないことへの意趣返しじゃい! アホか。はぁ。
拍手を送る
エンパはエンパで楽しいですけど、シミュレーション要素は雰囲気を楽しむレベルのものっていう感じでしたね。
その緩さが無双と合ってるとは思いますが。
ストーリーに沿わなくていい分、自由度を楽しめるのはおっしゃる通りですね。
自分だけの最強軍団とか推し軍団とかを作れるのも売りな気がしますね。
キャラエディットについては自分はotaさんと同じく好みでないですが、プレイ動画とか見てるとキャラクリだけで何時間も使って自分のキャラを作る事を楽しむ人達もいるみたいなので、いろんな考え方があるんだなぁ、と思ってます。ピクミン4なんかでもキャラエディット制になりましたね。
BASARAは無双をかなりギャグっぽくしていて独自の味を出していたのがだんだんシリアスをやり出して、どうにもどっちつかずになっていった印象ですが、名作だとは思うのでまた感想も楽しみにしてます!
FF16の感想とかも待ってます!
>その緩さが無双と合ってるとは思いますが。
もうちょっと凝ったものにしてほしいと思いますが、一箇所でもそうするとゲームの複雑さが跳ね上がるんでしょうね。
そういった事情は想像できるんですが、それにしても極端にユルユルだったなぁとw
>プレイ動画とか見てるとキャラクリだけで何時間も使って自分のキャラを作る事を楽しむ人達もいるみたいなので、いろんな考え方があるんだなぁ、と思ってます。
そう、結局キャラメイクが今も色んなゲームで採用されてるのは、それが支持されてるからですよね。……分からん。なんでやねん。
俺は【嫌いだから真面目に作らない→クリアすれば(下手すればプレー中でも)全く覚えてない】んですが、好きな人はゲーム毎にどんなキャラか覚えてるのかな。
>BASARAは無双をかなりギャグっぽくしていて独自の味を出していたのがだんだんシリアスをやり出して、どうにもどっちつかずになっていった印象ですが、名作だとは思うのでまた感想も楽しみにしてます!
おお、そうですか。単純に日本の戦国時代の方が親しみやすいとも思うので、こっちはこっちで楽しみです。
コエテクと切磋琢磨して相乗効果でジャンルを盛り上げてくれれば最高だったんですが、あんまそうはならなかったようですね……。
>FF16の感想とかも待ってます!
あぅw いつになるか……。
7,8年前に。
そのときにエンパはじめてやりましたが個人的に全然楽しくなかったのでそれ以外で一度もやってません
シミュレーション要素は薄いし、独自イベントもほぼなく、無双パートもランダム生成っぽく感じて爽快感がなく虚無すぎました
スキマを想像して主体的に楽しもうとしないとダメなんでしょうね
あ、確保してます。あと無印7もPS3版を持ってます。いつやるのかは不明。
>シミュレーション要素は薄いし、独自イベントもほぼなく、無双パートもランダム生成っぽく感じて爽快感がなく虚無すぎました
あ~……そうなんですか。7エンパもそんな感じとは……つまりエンパはそういうもの、ということなんですかね。
基本的に本編の流用作であることは可としても、さすがにもうちょっと緩いファンも遊べるものにしてほしいですね。
2まで→無双フォロワー
3以降→ライトなデビルメイクライ
とWiiPS3時代にシリーズのゲームデザインが劇的に変質したシリーズなので3以降の作品に触ってotaさんがどういう感想持たれるのかこっそり楽しみにしております……w
DMCで不満を持たれていた部分は概ね緩くなっていると思うんですが、差し合いよりもコンボの気持ちよさに重きを置いたデザインがどう受け入れられるかなあ、と
ええええ!?!?! ……途中から独自路線を採るとしても、「カプコンなりの無双」だと思ってました。まさかDMC方向に行ってるとは……。
なるほど、コンボが重視されてるわけですね。うううむ、なんか怖いけど、DMCほどガチガチではないはずなので、やってみたくはありますね。
実は今XBOX360版の「北斗無双」にどっぷりハマってたりしまして(他にやるゲーム幾らでもあるやろ!!)、改めて無双の魅力を実感しております。
三国にコラボにBASARA、まだまだ未プレーの無双系がたんまりあってニンマリです。無双はいいですな。旧作ばっかやってるのはコエテクに申し訳ないのですが……。