「勝つための秘策」
~大手術は成功。
が、しかし、余命は短期間!
使命的野心達成をいかにして・・!!~
敗戦から70年、いまだ、ひとつとして政治的根本問題を解決できない主権国家に悖(もと)る廃頽堕落の中央政界に対しての怒りと危機感は頂点に達してた。
そして遂に裕樹をして”待った無しの局面が今、己自身が一気に天下を執らない限り未来永劫に日本は変わらない。
其れまでは朽ち果てる訳には参らぬ!”との使命と覚悟を改めて硬く決意させた。
国家国民が勇気とプライドを取り戻す為に第一に着手すべきと、従来から主張してきた自論が、<<北方領土返還こそ、戦後政治の総決算!>>となって、闘病当初から今日までにその実現に向けての方途と切り口を病床にて絶えず模索し続けてきた。
更にその為には、平和ボケの自己保身と政治ごっこのみに終始,まさに、稚拙と陳腐極まった危機感無き、既成政治家・政党に依る無能政治家国家に堕した日本。
存命中に之を一変させる必要を憤怒の念を以って痛感。
命が奇跡的に残存したこの機を逃すことなく、先ずは「真の新党結成」からの着手が急務であることを確信するに至った。
西川攻(さいかわおさむ)の小説
☆小説「孤高」
29
--闘うはわれひとりなり--
世界的名外科医として今や父剛造医師をも超える、おしも押されぬ存在にまで成長した滝川遼子在籍の総合大学病院特別室に早朝3時45分、一本の直通電話がかかってきた。
「遼子先生、只今西園寺さんの手術は無事完了しました。」「え、こんなお時間までっ!・・先生、先生・・(”西園寺さん助かったのよ、お母様”)先生・・、大変お疲れのところ・・ほんとうに・・本当にありがとうございました」電話の主は裕樹の主治医・長曾我部からであった。
彼は遼子が最も尊敬する医学部の先輩であった。
これが縁で彼女の純粋でひたむきな要請により裕樹の癌治療の状況を遠隔操作の術を使ってつぶさに連絡を密にしていた。
快方と社会復帰を叶えさせるべく互いに持てる優秀な外科医としての知見・能力を駆使し尽力を尽くしあってきた仲であった。
吉報の電話を耳にした瞬間、亡き母、雪乃への想いがよぎり遼子には込みあがるものがあった。
「約束どうり遼子はお母様の敬愛する西園寺さんの命をお救いすることができましてよ。後はお母様の番よ、確(しっか)り西園寺さんの飛躍をお祈りして見守っててくださいね。
いよいよ不可能を可能とする西園寺さんが行動できる最後のチャンス到来ですもの!大丈夫・・私、政治活動面からもお力添えをさせていただく覚悟はできてますから・・・。」
素質的因子が全く同じ恰(あたか)も一卵性双生児の如く裕樹への思いの深さ強さは雪乃から遼子に確実に引き継がれていた。
”事実は小説より奇なり”30年前に裕樹が、
偶然出会った「☆天使のような天才少女(小説孤高)」遼子が雪乃の娘であったこと、彼女がいまや、名女性外科医として三、四回目の癌再発摘出手術の成功に大きく関わっていたことは全て秘密裏に進められていた。
従って、雪乃が既に亡くなっていることすら・・などなどのことどもなど一切、其のとき未だ裕樹は知る由もなかった。
次回は、「勇気と誇りある国家国民への道」です。
西川攻(さいかわおさむ)でした。
平成27年2月22日