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「そいつ」はいつも、空からやってくる。 |
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みかけは、ネコジャラシにそっくりだ。見分けがつかない。 |
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だが、植物ではない。超小型の兵器なのだ。
遙か彼方の銀河系から、異星人が送り込んでくるのだ……。 |
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「そいつ」がひとたび起動すれば、地球上の生物は、ほんの数週間で絶滅してしまう。 |
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私はふとしたことから、この恐るべき兵器の秘密を知った。
だから必死で、「そいつ」を破壊した。
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だが最近は、おむの奴にまかせている。 |
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今の人類の科学では、「そいつ」の正体を解明することは、できないだろう。
だから、カメラの若造にも知らせていない。 |
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おむの奴にも、何も知らせていない。
知らせても、かえってパニックに陥るだけだからな。 |
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「そいつ」が空からやってくると、おむの奴は、喜々として破壊する。
しくじることはない。奴にとっては、気晴らしの遊びに過ぎないのだ。 |
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地球の命運は、この一匹の猫に懸かっているわけだ。
考えてみれば恐ろしいことだが……。
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しかし、平和とか安寧とかいうものは、そもそも本質的に、そのように危ういものなのかもしれん。
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今日も、いつものように、「そいつ」がやってきた。 |
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そして、いつものように、おむの奴が、「そいつ」を破壊した。
こうして、今日も、地球は無事だった。 |
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この秘密を知っているのは、私だけなのだ……。 |
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知らなかった
感謝
それはそうと、あれってショボイ顔かなあ?