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「ひとつお前に、頼みがある」 |
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「はい。何でしょう?」 |
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「私のために、『まごころ』を見付けてくれ……」 |
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「え……? まごころ、ですか……?」 |
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「うむ。すぐ近くにあるはずだ」 |
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おむさんには、先生の頼みの意味が、よく解らなかった。 |
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「まごころ」などという抽象的なものが、そこらに落ちているわけがない。 |
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だが、他ならぬおかか先生の頼みなので、ともかく探してみることにした。 |
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近くをあちこち探し回ってみた。 |
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しかし、当然ながら、見付からない……。 |
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「おかか先生、ごめんなさい」 |
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「お探しの『まごころ』は、見付かりませんでした……」 |
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「いや、お前は見付けてくれた」 |
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「妙な頼みを引き受けてくれたのは、お前が『まごころ』を持っているからだよ」 |
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「……ふふ。許せ。ちょっとキザなことをしてみたくてな」 |
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