大人の条件

2010年01月22日 16時41分00秒 | B地点 おむ

 

 

おむさんである。
おむさんは、この日、あまり活動的ではなかった。
人生について、何やら考えているらしいのだ。
すたすた
ひょい
「……」
「……ねえ、おかか先生」
「僕は、大人でしょうか?」
「……少なくとも、母親の乳を吸ってはいないな」
「大人になるって、どういうことでしょう」
「難しい問題だが……」
「自立するってのが一つの条件かもな」

「う~ん、自立……」
「そうか……自立か……」
そんな二人の会話を、リュックが黙って聞いていた。
そして、リュックは、自立してしまった。

「……あ、あれれっ?」
「せ、先生、リュックさんは、大人になりたかったんでしょうか?」
「む……。自立の意味を、はき違えているようだが」
「ね、リュックさん! 無理して大人にならなくていいんだよ」
リュックは再び、体を横たえた。

「む? お前の言うことが解ったらしいぞ」
「こうやって僕が乗れば、リュックさんも暖かいでしょ?」

「そうだとも。乗ってやれ。互いに暖め合うんだ」
「先生、自立はいいけど、孤立はまずいですよね?」

「うむ。自立した上で、助け合うことが大切だよ」
「そんなことを言える先生は、やっぱり大人ですね」

「……どうかなあ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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