背筋を伸ばして

2010年02月02日 16時04分00秒 | B地点 おかか

 

 

新春に萌え出たばかりの若草の芽も、雪に覆われてしまった。
それでも草たちは、健気にも、雪の中で生き抜こうとする。
しかし、この草は、余りの寒さのため、生きる希望を失ってしまったのだった。

「ああ……誰か助けて……寒いよ……冷たいよ……」
「も、もうだめだ……僕は凍死するのか……」
がくっ
だが、この時 ―― 遠のいてゆく意識の底で、この草は、猫たちの会話を耳にしたのだった。
「おい、寒いなあ」

「ええ。こんなに積もるとは思いませんでしたよ」
「いつになったら春が来るのかなあ……」

「いつでしょうねえ……」
「とにかく、ひたすら待つしかありませんよ」
「他に、どうしようもないじゃありませんか……」
「それはそうだが……待つにしても、前向きに待ちたいな」
「前向き? どういうことですか?」

「だからその、希望を持って、未来を見据えて、胸を張ってさ」
「背中を丸くして縮こまってたら、気が滅入るだろ?」

「……僕たちが猫背なのは、当然じゃないですか」
「いや! 背筋をぴ~んと伸ばさなくてはいかん!」

ぴ~ん
猫たちの、こんな会話を聞いて、この草の心にも、勇気が湧いてきたのだった。

「……よ~し! 僕も頑張ろう!」
ぴ~ん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (おるつつ)
2010-02-18 13:18:42
この草は、実は柳生の草ではあるまいか。

そういえば『子連れおかかみ』というのも構想中なのですが……

「公儀駄洒落人」とは……
公方(将軍)に駄洒落を言って笑わせるのが役目の顕職、
むろん世襲である。

宝永年間のこと……
駄洒落を言わせれば天下無類と謳われた
公儀駄洒落人「おかかみ一刀」は、
柳生一族の陰謀によって職を追われ、一家断絶!

柳生一族に復讐を誓って
野に下った一刀は、
一子「おむ五郎」と共に
冥府魔道の駄洒落道に入る……

駄洒落一発、五百両!

「おむ五郎! 柳生を倒すのが我らの悲願ぞ!」
「わーい! ちゃん、今夜はスキヤキだね」
「い、いや、野牛じゃなくてさ……」

……う~ん、これはあんまり面白くないな
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。