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新春に萌え出たばかりの若草の芽も、雪に覆われてしまった。 |
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それでも草たちは、健気にも、雪の中で生き抜こうとする。 |
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しかし、この草は、余りの寒さのため、生きる希望を失ってしまったのだった。
「ああ……誰か助けて……寒いよ……冷たいよ……」 |
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「も、もうだめだ……僕は凍死するのか……」 |
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がくっ |
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だが、この時 ―― 遠のいてゆく意識の底で、この草は、猫たちの会話を耳にしたのだった。 |
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「おい、寒いなあ」
「ええ。こんなに積もるとは思いませんでしたよ」 |
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「いつになったら春が来るのかなあ……」
「いつでしょうねえ……」 |
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「とにかく、ひたすら待つしかありませんよ」 |
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「他に、どうしようもないじゃありませんか……」 |
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「それはそうだが……待つにしても、前向きに待ちたいな」 |
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「前向き? どういうことですか?」
「だからその、希望を持って、未来を見据えて、胸を張ってさ」 |
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「背中を丸くして縮こまってたら、気が滅入るだろ?」
「……僕たちが猫背なのは、当然じゃないですか」 |
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「いや! 背筋をぴ~んと伸ばさなくてはいかん!」
ぴ~ん |
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猫たちの、こんな会話を聞いて、この草の心にも、勇気が湧いてきたのだった。
「……よ~し! 僕も頑張ろう!」 |
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ぴ~ん |
そういえば『子連れおかかみ』というのも構想中なのですが……
「公儀駄洒落人」とは……
公方(将軍)に駄洒落を言って笑わせるのが役目の顕職、
むろん世襲である。
宝永年間のこと……
駄洒落を言わせれば天下無類と謳われた
公儀駄洒落人「おかかみ一刀」は、
柳生一族の陰謀によって職を追われ、一家断絶!
柳生一族に復讐を誓って
野に下った一刀は、
一子「おむ五郎」と共に
冥府魔道の駄洒落道に入る……
駄洒落一発、五百両!
「おむ五郎! 柳生を倒すのが我らの悲願ぞ!」
「わーい! ちゃん、今夜はスキヤキだね」
「い、いや、野牛じゃなくてさ……」
……う~ん、これはあんまり面白くないな