音もなく忍び寄る……

2011年07月16日 18時42分20秒 | B地点 寄り目ちゃん

 

 

昼下がり ―― 。

おかか先生は、のんびりと散歩を楽しんでいた。
遠くから蝉の声が聞こえる。

あたりは、かぐわしい夏草の香りに満ちている。
そしてこの時、おかか先生は、あるものを発見したのだった。

「おっ!?」
「こ、これは……」
「ネコジャラシの穂だ!」
「う~む、もうネコジャラシが出たか。この夏はじめて見たよ」
「季節はまだ盛夏だが……秋は音もなく忍び寄っているんだなあ」
おかか先生は、何だかしみじみとした気分になった。
そんな先生が、ふと、振り向くと ――
そこに、よっちゃんがいた。
「うわあああああ!?」
「ご、ごめんなさい先生。驚かせるつもりじゃなかったんですけど」
「……いやあ、びっくりしたよ。誰もいないと思ってたから」
「背後に音もなく忍び寄るのは、やめてくれよ」
「でも僕、猫ですから……」
「ふふふ。そうだな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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