昼下がり ―― 。 おかか先生は、のんびりと散歩を楽しんでいた。 |
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遠くから蝉の声が聞こえる。 あたりは、かぐわしい夏草の香りに満ちている。 |
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そしてこの時、おかか先生は、あるものを発見したのだった。 「おっ!?」 |
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「こ、これは……」 | |
「ネコジャラシの穂だ!」 | |
「う~む、もうネコジャラシが出たか。この夏はじめて見たよ」 | |
「季節はまだ盛夏だが……秋は音もなく忍び寄っているんだなあ」 | |
おかか先生は、何だかしみじみとした気分になった。 | |
そんな先生が、ふと、振り向くと ―― | |
そこに、よっちゃんがいた。 | |
「うわあああああ!?」 | |
「ご、ごめんなさい先生。驚かせるつもりじゃなかったんですけど」 | |
「……いやあ、びっくりしたよ。誰もいないと思ってたから」 | |
「背後に音もなく忍び寄るのは、やめてくれよ」 | |
「でも僕、猫ですから……」 | |
「ふふふ。そうだな……」 | |