|
「おかか先生、賭けをしましょう……」 |
|
「ん? どんな賭けだね?」 |
|
「カメラのお兄さんの膝に、三分間、乗っていられますか?」 |
|
「へん! そんな賭けはごめんだ!」
←ニンゲンの膝は大嫌い |
|
「三分間、我慢できたら……新日鐵を10万株!」 |
|
「な……何っ!!」 |
|
「ふ……ふふふふふ……」 |
|
「この勝負、もらったあああ!」 |
|
というわけで、賭けが行われることになった。
公平を期すため、計時はよっちゃんが担当する。 |
|
「先生、用意はいいですか。ではスタート!」 |
|
チッチッチッチッチッチッ…… (ストップウォッチの音)
「へへん、三分くらい、どうってことないさ」 |
|
チッチッチッチッチッチッ……
「余裕だよ」 |
|
チッチッチッチッチッチッ……
「いいですよ先生! その調子です」 |
|
チッチッチッチッチッチッ……
「ふっふっふ。楽勝だな」 |
|
チッチッチッチッチッチッ……
ずるっ
「お、おっと!?」
|
|
チッチッチッチッチッチッ……
「先生、危ない!」 |
|
チッチッチッチッチッチッ……
「な~に、大丈夫、大丈夫」
ぎゅう~ |
|
チッチッチッチッチッチッ……
ぎゅう~ |
|
チッチッチッチッチッチッ……
「ああ、見てられないよ……」 |
|
チッチッチッチッチッチッ……
「くっ、ここで耐えねば……」
ぎゅう~ |
|
チッチッチッチッチッチッ……
「う、ううっ」
ぎゅう~ |
|
チッチッチッチッチッチッ……
「も、もうダメだああああ~っ」 |
|
チッチッチッチッチッチッ……
「お、降ろしてくれっ」 |
|
ドサッ |
|
「せ、先生!」 |
|
「お、おいっ、タイムは?」 |
|
「2分59秒です……」 |
|
「ぐあああーーーっ!」 |
|
「先生、残念ですっ」
うるうる |
|
「いいんだ……。悔いはない……」 |
|
いつもの風景が、先生の目には、とても美しく見えた。 |
|
夕暮れですね。
それにしても、おむさんは本当に
新日鉄を10万株も持っていたんでしょうか。